映画『ピンカートンに会いにいく』 主演内田慈さんインタビュー

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1月20日(土)より公開される映画『ピンカートンに会いにいく』で神崎優子役として初主演を務めた内田慈さんにお話を伺いました。内田さんは舞台を中心に活動し、映画『恋人たち』(2015年)、『下衆の愛』(2016年)などでも個性的な存在感を発揮する実力派女優です。今回演じたのは「こんなはずじゃなかった」「あの時こうしていれば」と人生半ばにして迷走中の“こじらせ女子”。元アイドルのプライドにすがり、口を開けば悪態をつく強烈な優子を見事に表現してシニカルな笑い生み出しつつ、世代や性別を超えて胸が熱くなる、「自分も頑張ろう」という勇気を観客に届けます。それでは内田さんの単独インタビューをご紹介いたします。

――『内田さん』と『優子』は似ている部分もあるのでしょうか?

©松竹ブロードキャスティング

似ている部分もありますが・・・物言いに関しては違うと思います、私はあれ程すらすら悪態づく言葉は出てきません(笑)。坂下監督からの要望はシンプルで、「まくし立てて欲しい」、「掛け合いでは、相手のセリフとセリフの間をあまり空けないようにして欲しい」と言われました。その要望を受け取って演じてみると、間に余裕がない分、セリフを一生懸命聞くこと・伝えようとすることに専念できました。余計な演技を付け足すことなく、シンプルに言葉や役の人物の思いに集中することができました。結果的に、色々なニュアンスを表現することに繋がっていると感じます。

――アイドル時代のもう一人の優子を演じた『小川あんさん』の印象を教えて下さい。

©松竹ブロードキャスティング

屋上のシーンなどで共演しましたが、すごく面白くて良い子です。映画の好みも若くないというか、「おっ。渋いね」みたいな。知識の量も多くて、演劇のこともすごくよく勉強していて驚きました。何より若いのに人に対して壁を作ることがなく、パーンと開けていてすごくセンスの良い子。踊りのシーンで、フリーのパートがあって、彼女の方から「ここ一緒の振付にしませんか?」と言ってくれたりして、すごく嬉しかったです。
アイドル時代の優子は毒を吐くようなシーンが多いのですが、ベースとしては大人の優子に期待が広がるように役を作ってくれています。あの時の優子があって、今の優子なんだと感じる部分が多々あります。大人の優子の場合は確かに強がってもどうにもならない現実を突きつけられているので弱くなる部分があったりと幅があるのですが、彼女のベースはもっと濃くて、煮詰まっていて、難しい役なのですが、彼女が素晴らしくこの神崎優子という役を組み立ててくれたのだと思います。

――映画に重ね合わせて、20年前に女優を始めた頃のご自身に言葉をかけるとしたら、どんな言葉を伝えたいですか?

忠告しかないですね(笑)
そう考えると劇中の優子が言ったように、「貴女、これから思い通りになることなんて1つもないからね」と、言うかもしれません。ただし、そこには違う意味も入っていて、ポジティブな要素として、「自分が思い描いていることはすごく狭い世界で、そうではないことを周りが教えてくれて、きっかけを与えてくれて、楽しい未来が広がっているよ」という希望の部分も含まれます。でもやはり、忠告ですかね。性格のベースとして“こじらせる”部分を持っているので、自信がないのに変に自信を見せてしまったり、今振り返れば台本の読み方もろくに分かっていなかったのに、演出家さんに指摘されても「いや、分かっていますから」みたいな態度を取ってしまい、間違っていることを受け入れられなかった。そういうことが本当に山ほどありました。「思い通りにはならないよ」ということを忠告も含めて言いたいです。
「周りの人に言葉できちんと感謝を伝えなさい、自分一人では生きていけないんだぞお前は」と言いたいです。

――数々の舞台や作品に出演してご活躍されている内田さん自身の現在は、この作品での「こんなはずじゃなかった」とは違ったものなのではないでしょうか。

映画『ピンカートンに会いにいく』予告動画キャストとあらすじやストーリーネタバレ「評判・レビュー」そうですね。でも、思い描いていたものとは違うと言いますか、こういうタイプの俳優だと思っていなかった自分がいます。デビューした頃は、割と幸が薄くて孤独な女みたいな役が続いていました。最近は母親の役が多かったりして、そういう側面を自分が持っていると思っていなかったので、想像と違う部分ですね。ただ、とにかく人に恵まれていて、素敵な出会いしかなくて、私は不器用なのに責めずに待ってくれたり、許してくれる方と沢山出会い、そういった意味ではすごく幸せです。
最近発見したのですが、自分に自信がなかった20代の頃は、自分を確立させたくて、見られたい姿に近づくために、「自分はこういう人間なんです」と一生懸命になって鎧をかぶっていました。最近はある意味どう見られても良くなって、自分というのは真っ白というか透明で良くて、そのまま真っ新な状態で自分が入っていくと、人が色々なものを与えてくれて、自分というものが形作られていくのだと感じています。その発想ができるようになったことは、成長した部分であり、力が抜けて楽になりました。それも気づかせてくれる方が周りにいたからこそであり、本当に幸せです。

――過去・現在とお聞きしましたが、内田さんが20年後の自分にメッセージを送るとしたらどんな言葉をかけたいですか?

ふと立ち止まらないと、毎日って結構うまくできているつもりになってしまいます。でも、実際にはどこか調子に乗ったり、怠け根性が働いたり。何かがある度にそれに気が付き反省する、この繰り返しだと思います。人生を波に例えると、凹んでいる時にはどうしても周りの方を傷つけてしまうことも多いので、できるだけ1つ1つの波を緩やかにして、人を傷つけないようにしたいです。
20年後のわたし・・・。そうですね、「思考停止してないか?」と問いかけたいです。思考停止することがまさに老化ではないかなと思うのです。挑戦することも止めてしまうと、今までの自分が経験した財産でしか語れなくなり、価値観もそこからしか引き出せなくなる。それってどんどん古い遺産にしがみ付くことで、ダサいことだと思います。年を重ねるほどに経験が増すので難しいことだとは思いますが、「挑戦をし続けてください、思考停止を絶対にしないでください」と伝えたいです。

――最後に観客の皆さんにメッセージをお願いします。

アラフォー女子だからこういう風に演じようではなく、神崎優子の悩みがこうだから、それを真っ直ぐに当事者の立場になって考え、演じました。「こんなはずじゃなかった」ということは性別や年齢を超えて共有できるものだと思うので、色々な方に観て頂けたら嬉しいです。

2017年12月21日(木)取材
ヘアメイク:新井はるか


内田 慈(うちだ ちか)さんプロフィール
1983年3月12日神奈川県出身。日本大学芸術学部文芸学科中退後、演劇活動をスタートする。橋口亮輔監督『ぐるりのこと。』(08)でスクリーンデビュー。その後は『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(10/白石和彌監督)、『恋の罪』(11/園子温監督)、『ヒミズ』(12/園子温監督)、『劇場版神聖かまってちゃん』(11/入江悠監督)、『鍵泥棒のメソッド』(12/内田けんじ監督)、『きみはいい子』(15/呉美保監督)、『恋人たち』(15/橋口亮輔監督)、『下衆の愛』(16/内田英治監督)、『葛城事件』(16/赤堀雅秋監督)、『恋愛綺譚集』(17/倉本雷大監督)、『神と人との間』(18/内田英治監督)など話題作に次々と出演。TVでは「リバースエッジ 大川端探偵社」(14/TX)、NHK 連続テレビ小説「まれ」(15)、「ハロー張りネズミ」(17/TBS)などに出演し好評を得る。

ピンカートンに会いにいく

あらすじ

©松竹ブロードキャスティング

かつて、ブレイク寸前で突然解散してしまった伝説の5人組アイドル「ピンカートン」。20年が過ぎ、リーダーだった優子は今も売れない女優を続けていた。ある日、優子の元にレコード会社の松本と名乗る男からかかってきた電話。それは「ピンカートン再結成」の誘いだったのだ。所属事務所もクビになり、気づけば人生も半ば。崖っぷちに追い込まれた優子は、再起をかけ松本と一緒に元メンバーに会いに行くが、メンバーのうち3人はすでに芸能界を去り、返事はつれない。さらに一番人気だった葵の行方がわからず、彼女を知る人たちを訪ねて回るのだが…。プライドだけが肥大した“こじらせ女子”まっしぐらの優子は、過去と向き合い、20年分のわだかまりを乗り越え、「ピンカートン」を再結成させることができるのか!?

■ 予告編



■ コピーライト

©松竹ブロードキャスティング

■ 監督・脚本:坂下雄一郎
■ 音楽:池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)

■ 出演

内田 慈
松本若菜
山田真歩
水野小論
岩野未知
田村健太郎
小川あん
岡本夏美
柴田杏花
芋生 悠
鈴木まはな

■ 製作:松竹ブロードキャスティング
■ 制作プロダクション:松竹撮影所/ランプ
■ 配給:松竹ブロードキャスティング/アーク・フィルムズ
<2017年/日本/ビスタ/5.1ch/86分>

■ 公式ホームページ

www.pinkerton-movie.com

■ 公開情報

2018年1月20日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開!!

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