映画には「ユーモア」や「皮肉」が必要だ!『ピンカートンに会いにいく』坂下監督インタビュー

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2018年1月20日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開となる『ピンカートンに会いにいく』坂下雄一郎監督にインタビューを行いました。

ーー作品タイトル『ピンカートンに会いに行く』の由来を教えて下さい!

タイトルは『再結成(仮称)』を経て『ピンカートンに会いに行く』になりました。「会いに行く」とすることで様々な意味がとれます。例えばストーリー上のいろんな立場の人によってもそれぞれ意味が変わるでしょうし。アイドルユニット名「ピンカートン」自体にはそんなに深い意味はありません。

ーー「らくごえいが(2013年公開)」は喜劇でした。今回も新感覚のコメディです。坂下監督の作品に共通する「笑い」のモチーフはどこからやってくるものですか?

十代から思春期の頃でしょうか、元々TVが好きでその中でもダウンタウンやナインティナインとかが出ているバラエティ番組をよく見ていたんです。それが割と1週間の中で自分の楽しみだった、ということが影響しているのかもしれません。

学生になって「どんな作品を作ったらいいのか?」を考えるようになった時、当然周りを意識して、自分に近しい人達がどんなものを作っているのかを見てみました。その時は割と暗めでシリアスなものが多く、それなら単純にライバルが少ない方がいいと思ったんです(笑)。そこで、明るいコメディみたいなものがいいんじゃないかと思って、実際やってみるとそんなに悪くもありませんでした。

ーー漫才やコメディを見ていて単純に面白いなと思います。ただ「笑い」の中に創作者のメッセージが込められることがありますが、これはどういった意味なのでしょうか?

映画作りにはそういうものが必要だと思っています。「笑い」というより「ユーモア」や「皮肉」という言い方の方がいいと思うのですが、やはりすぐれた物語にはそういうものは必要だと思います。分かり易く言うと、正義感だけで作られたものよりは、ちょっと引いて笑えるものの方がいいのではないかなと思っています。

ーーこの作品のテーマの一つである「夢の実現」ついてはどのように考えてますか?

©松竹ブロードキャスティング

この映画の中では割と夢にこだわっている方がいいなと思いました。それが主人公だとしたら、売れたいとか脚光を浴びたいといった欲があって、それがこの映画を動かします。劇中での夢の叶え方ですが、これは薄っぺらい話にはしておりませんので乞うご期待下さい。夢の実現に向けての「決着のつけ方」には凄く気を付けなくてはいけないと思いました。特にアイドルやショーをする人達にとって、やっぱり一人一人に、目の前の一人に対してどれだけの感動が与えられるかが大切だと思っています。

ーー優子と葵との対面シーンでは、両者の掛け合いが心に残りました。

©松竹ブロードキャスティング

なるべくストレートな描き方はしたくなくて、謝りたいからごめんなさいというのはシナリオ的によろしくないと思っていました。思っていることと喋っていることがなるべく離れている方がいいと思っていたし、それでも何かが伝わるというシーンに出来たらいいと。最近読んでたシナリオ教則本にそう書いてありました(笑)

ーーキャストの皆さんの個性が際立っているのに、どこかまとまり感がありますね?

©松竹ブロードキャスティング

映画を作る側としては、主役の優子が中心にいてその設定をまず考えた上で性格がこうでと考えます。その時に、まず対立する相手にはどんな相手がよくて、どうやったら盛り上がり、物語的に深みが出て、いろんな面が見れるようになるのかを考えて、ああいう人達をぶつけていった方が面白くなるんじゃないかと考えていきます。

ーー葉月役の岩野さんの迫力ある語気だけで、見ている方ですら壊れそうになりましたが、、

そうですね(笑)。葉月の娘が葉月の背中を押すシーンもお楽しみに。

ーー昔のアイドルグループ、過去と現在が交錯する点で『あまちゃん(2013年NHK)』を連想しました。

©松竹ブロードキャスティング

そういえば、脚本を書いてる時に『あまちゃん』の再放送を見てたかな。『あまちゃん』好きなので、それはあるかも(笑)。

ーーアイドル時代と大人になってからのそれぞれの感情がよく描かれていますね。

©松竹ブロードキャスティング

元々、脚本段階ではアイドル時代は入れるつもりがなかったんです。女の子の十代とか若者のことは分からないので描き方がわからず、どうしたものかと。作戦としては、大人と同じ感じに描くというものです。元々、個人的にはそれぞれに違いはほぼないと考えていて、言動とか性格は大人時代とほぼ同じにしようという形だったら描けるかなと思って入れました。

ーー監督が描こうとした大人は、夢を追い続けている人とか実現できなかった人なのでしょうか?

どちらかというと自分の環境の方が大きくて、自分もこれからどうなっていくんだろうとか、こうやって続けていけるんだろうかという不安が大きくて、その不安を置き換えている部分が大きいと思います。将来に対する漠然とした不安を抱えている大人ということになりますね。

ーー音楽もノリが良くて映画にマッチしていますね。

池永正二さんにお願いしました。映画や演劇音楽など他の音楽もやられています。

ーー監督の今後の目標を教えて下さい。

とりあえず、続けていくことが目標です。続けていかないと出来るものも出来ないし、やめたら出来ない。続ける意思は大事だと思います。


この映画は何かしらの結論を強要されませんし、観ている方が自ら勝手に結論を持ち込んで納得する、そんな作品だと感じました。真正面から向き合うことを避けてきた現実でも、ユーモアや皮肉と一緒になると、なぜかスッと心に染み込んで来ます。今後の作品が大いに期待できる坂下監督に会いに行ってきました!

■ 予告編



■ コピーライト

©松竹ブロードキャスティング

■ 監督・脚本:坂下雄一郎
■ 音楽:池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)

■ 出演

内田 慈
松本若菜
山田真歩
水野小論
岩野未知
田村健太郎
小川あん
岡本夏美
柴田杏花
芋生 悠
鈴木まはな

■ 製作:松竹ブロードキャスティング
■ 制作プロダクション:松竹撮影所/ランプ
■ 配給:松竹ブロードキャスティング/アーク・フィルムズ
<2017年/日本/ビスタ/5.1ch/86分>

■ 公式ホームページ

www.pinkerton-movie.com

■ 公開情報

2018年1月20日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開!!

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