「ムトゥ 踊るマハラジャ」から20年 インド映画が再び日本全国を席巻する「バーフバリ 王の凱旋」降臨

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12月のおすすめ映画は「バーフバリ 王の凱旋」です。本作品の宣伝隊長を務める江戸木純さんにお話を伺いました。

江戸木さんは、映画評論家として各誌に執筆する傍ら、コピー・ライター、プロデューサーとしても活躍。約20数前に旅先のシンガポールで「ムトゥ 踊るマハラジャ」と運命の出会いを果たします。あまりの衝撃に何としても日本で紹介したいと思い、(有)エデンを設立してムトゥの配給をサポートした、いわば日本におけるインド映画の立役者です。その後も「ロッタちゃん はじめてのおつかい」、「処刑人」など日本では既存の配給会社が輸入しない知られざる傑作を積極的に紹介しています。今回は、そんな江戸木さんが配給会社ツインからの依頼を受け、満を持して「バーフバリ 王の凱旋」の宣伝隊長に就任。早速、バーフバリの魅力を語っていただきました。

インド映画の記録を塗り替えた「バーフバリ 王の凱旋」

2016年に日本でも限定公開ながら、噂が噂を呼び観客が主人公バーフバリの名前を叫ぶ『絶叫上映』も話題となって異例のロングラン・ヒットを記録したのが前作『バーフバリ 伝説誕生』です。そして、その記録を次々と塗り替えた待望の続編は、全米初登場第3位、インド国内興収歴代1位、世界興収300億円突破、とまさにインド映画の歴史を塗り替えています。

ストーリー

物語は、遥か遠い昔、インドに栄えたマヒシュマティ王国。国王に指名されたアマレンドラ・バーフバリは、クンタラ王国の姫デーヴァセーナと恋に落ちます。しかし、王位継承争いに敗れた従兄弟のバラーラデーヴァは邪悪な策略で王の座を奪い取り、さらにバーフバリと生まれたばかりのその息子の命をも奪おうとします。父バーフバリはなぜ殺されたのか?母デーヴァセーナはなぜ25年もの間、鎖に繋がれていたのか?自らが伝説の王バーフバリの子であることを知った若き勇者シヴドゥは、マヘンドラ・バーフバリとして、暴君バラーラデーヴァに戦いを挑みます。

映画史上最高峰レベルの傑作!

私自身は年間500本ぐらいの映画を見ていますが、その中で10本選ぼうとすれば確実に上位に入ってくる作品ですし、ここまで凄いものは正直、数十年に一本とかのレベルです。数多くの映画を見ても本作品のように100%参りました、という映画はそうはありません。娯楽映画として非の打ち所がない域に達していて、もはや言葉でその「凄さ」を説明するのは困難です。一生に何本出会えるかどうかの映画です。その面白さを表現する言葉が見つからないので映画評論家としてある意味もどかしいです。とにかく騙されたと思って見てほしいとしか表現しようがない映画なんです。これを作ってしまったら、この監督他にもうやることがないのでは?と思ってしまいます。「ベン・ハー」「十戒」「アラビアのロレンス」など、映画史上にスペクタクル映画の名作は数々ありますが、この作品はそれらと肩を並べ、永遠に語り継がれていく映画だと思います。

まさにヒロイン映画、女優陣の圧倒的な存在感!

前作ではスペクタル要素が強かったのですが、本作品に関してはヒロインの力が圧倒的に凄い。女性にどうしても見て欲しい映画だと考えています。クンタラ王国の姫デーヴァセーナの登場シーンやアクション、踊りがこの映画の大きな見どころだと考えています。ムトゥの時代はヒーロー映画がメインでしたが、この作品のヒロインである女優アヌシュカ・シェッティは、1枚看板の映画も沢山ある女優さんでヒーローに引けを取りません。それは、この20年でインド映画の表現が変わった部分かもしれません。この映画が大ヒットした理由の一つは、世界中の多くの女性層が見たというところにもあると思います。

物語を全て悪い方に転がしているのも女性の意思の強さからです。ちょっと我慢すれば丸く収まるのに、お嫁さん(ヒロイン)も言い方を考えればそこまでにならないのにといった、女の人の強さがポイントです。是非、女性に見て欲しいと考えています。インド版「ワンダーウーマン」ともいうべき弓を使った華麗なアクションも見ものです。もちろん主役のヒーロー、バーフバリを演じるプラバースの魅力も満載です。

ハリウッドをも凌駕するインド映画

インド映画との付き合いは20年を超えていますが、さまざまな面でかなり凄いレベルに進化していると感じています。ハリウッドと肩を並べるというより、ある意味超えている部分も多いです。色々な感情が映画の中に込められていますが、通常のキリスト教的精神に基づくハリウッド映画とは違うスタイルや考えが多々あり、物語や感情を強調する表現として使われる歌や踊りのシーンも特徴です。またインド映画は、インドの神話が物語のベースにもなっているケースも多く、日本の観客の常識を超えた展開もありますが、その“驚き”もファンタスティックな“異文化体験”として積極的に楽しんでいただきたいところです。本作のラージャマウリ監督は世界中の映画を相当程度研究しているのではないかと感じています。最新のハリウッド映画のレベルもきちん理解しているからこそ、それを超えるレベルを目指しているのでしょう。「ベン・ハー」から「ロード・オブ・ザ・リング」「アベンジャーズ」等のアメコミ超大作群も含めてエンタテインメント映画の最先端の見せ方が非常にわかっているので、インド映画ファンだけではなく全ての映画ファンにアピールできるんです。二時間半全力で押し通す、なかなかここまでのスタミナがある作品は世界中どこを探してもそうはありません。

デジタル技術の進化と俳優の迫力が生み出すリアリティ

インド映画の技術は「ムトゥ 踊るマハラジャ」の頃とは比べ物になりません。当時は主演俳優ラジニカーントの圧倒的な魅力で引っ張っていた部分が多く、デジタル技術は一切使われていませんでした。大人数で華やかな歌と踊りも含め、日本の観客は、スケールの大きなアナログの楽しさでインド映画の凄さに衝撃を受けたと思います。この20年の間で、インドのデジタル技術力は驚くほど進化しました。本作品は全編にデジタル技術が使われています。

しかし、単にデジタル技術を駆使しただけではなく、生身の人間の肉体や演技が持つ説得力も大事にしています。バーフバリのドラマを語るには、プラバースの鍛え抜かれた肉体が無いとリアリティが出ません。彼はこの映画2部作のために体重を約50キロ増やして、筋肉をつけました。そこにCGが加わるのでありえないアクション、笑ってしまうようなアクションにもリアリティと味が生まれるのです。「バーフバリ」2部作はデジタル技術を映画史上最も有効に活用した作品といえるかもしれません。だから、見ているときは楽しいけど、その後何も残らないCG偏重のハリウッドのスーパーヒーローものなんかとは一味違うんです。この映画は面白いだけじゃなく、何度でも見たいと思わせる麻薬的魅力も持っています。それは素材と技術、そして物語の奥行きがバランスよく相乗効果をあげているからです。私は「ムトゥ 踊るマハラジャ」を見て公開が実現するまで数百回見ました。当時は、一日一回見ないと物足りないような状態に陥っていました。「バーフバリ」も同じ常習性を持っています。一つ一つの密度が濃いので何度見ても面白い。何度見てもその度に味があるのがインド映画の魅力です。

壮大な映像の裏に、世界一の撮影所ハイデラバード「ラモジ・フィルムシティ」

この映画、撮影の規模も歴史に残るスケールで、セットの大きさももの凄いんです!主な撮影が行われたのはハイデラバードにあるギネスブックにも登録されている世界最大の映画スタジオ「ラモジ・フィルムシティ」です。ここはセットの一部を一般開放してアトラクション・ツアーも実施していますが、現在も「バーフバリ」のセットが残っていて人気となっています。ただ、その大きさは京都の太秦映画村などの数百倍の規模で、本当に規格外で、広さは2,000エーカー、東京ドーム175個分もあります。撮影所内には、空港ロビーのセットがそのままあったり、病院が丸ごとあったり。スケールが全然違うので発想も規格外になるわけです。

本作の宮殿の中のシーンでも、実際に巨大な通路を作り、そこで撮るから迫力が違います。日本での映画の撮影では如何にして画面に入れ込んでいくかという考え方が基本ですが、インド映画では広いところをいかに切り取るかという考え方をします。このスタジオでは現在も数多くのインド映画が撮影されています。主にテルグ語やタミル語の南インド映画ですが、ボリウッドのヒンディー映画やハリウッド映画も撮影に利用しています。

大ヒットメーカー、S.S.ラージャマウリ監督

日本ではまだ公開されていない彼の過去の作品などを見ていると、親子や兄弟の間の愛憎は彼の映画の大きなテーマになっているように感じます。『バーフバリ 王の凱旋』は彼の11本目の監督作ですが、これまでのすべての作品を彼は大ヒットさせています。テルグ語映画を中心に活躍していますが、多くの作品がヒンディー語版も製作され全インドで知られています。近年は本作2部作や『マッキー』など、VFXを多用した作品が多く、その使い方の大胆さでも有名です。デジタル先進国インドの映画はいまやデジタルVFXが満載ですが、ラージャマウリ監督はインドの中でもそれを最も効果的に使いこなせている監督といえます。実は、彼の監督作では音楽や撮影など主要スタッフはほとんど同じメンバーが担当しています。いわばラージャマウリ一家というチームでの製作が基本になっています。監督のお父さんも脚本家として有名で、この作品の脚本もお父さんが描いています。
インドでは映画界には映画をファミリー・ビジネスにしている一族がたくさんいます。これだけの大作を息のあった仕事ぶりでこなせたのもその結束があったからかもしれません。ただ、やはりこの2部作がこれだけの成功を収めた一番の要因は、ラージャマウリ監督の才能であり、その演出力なのは間違いありません。この映画、どのシーンを切り取っても素晴らしい場面ばかりで絵画のように美しいにシーンが並びます。どれも良すぎてキラーショットを1つに絞ることができない宣伝担当泣かせの作品です。ここまで密度の濃いビジュアルを持つエンターテイメントは滅多にありません。

「絶叫上映」を体験せよ!

インドでは映画公開の1ヶ月前ぐらいに映画音楽がリリースされます。そのため観客は音楽を覚えてから劇場へ行くことができ、歌のシーンは観客も一緒に大熱唱です。また、インドの映画館ではヒーローやヒロインの活躍を歓声や口笛で応援したり、花びらをスクリーンに撒いたりしてお祭り騒ぎのような上映も多く見られます。そんなインドでの上映スタイルに近い、観客が積極的に映画を盛り上げ、より楽しもうという考えからスタートしたのが“絶叫上映”で、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」や前作「バーフバリ 伝説誕生」ではその“絶叫上映”が話題となり、大成功を収めました。

映画の内容に合わせて“バーフバリ!”と連呼したり、登場シーンで拍手をしたり、ペンライトを振ったり、大変な盛り上がりでした。今回の「バーフバリ 王の凱旋」でも初日12月29日の夜の上映で、前説付きの絶叫上映を開催予定です。キャッチコピーの<王を称えよ!>には、みんなで盛り上がろうよ、というメッセージを込めています。
最近、アニメの応援上映も話題となっていますが、これまでのように映画を静かに受け身で鑑賞するだけではなく、観客が積極的に映画に参加する新たな映画の楽しみ方としてさらに定着して欲しいと思っています。

スターウォーズに宣戦布告!?

12/29(金)公開 映画『バーフバリ 王の凱旋』全米初登場第3位!インド国内興収歴代1位!世界興収300億円突破今回は、お正月映画の真打として非常に良い時期に公開することができます。今年のお正月といえばやはり「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」が一番の話題作で、日本のスクリーンはスター・ウォーズ一色となることは間違いないと思います。それはそれでいいと思いますし、宣伝費もスクリーン数も到底スター・ウォーズには適わないのですが、面白さに関しては絶対負けていないと思います。宣伝コピーに使っている<宇宙最強>という言葉は多少「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」を意識して使いました(笑)。また、この映画は2018年に向けての開運吉祥ムービーにしたいという思いもありました。この映画を見れば誰にも幸福と幸運がやって来る! 本ポスターもゴールドやオレンジなど2018年のラッキーカラーを使っておめでたく仕上げました。2017年の映画締めに2018年の映画初めはこの映画で決まりです。ぜひ大きなスクリーンで楽しんでください。大げさな言い方ではなく、これは映画ファンなら絶対に見なければならない1本です!


江戸木さんもおっしゃっていましたが、俳優や女優がこれまで出演した作品、監督の過去作など次々に興味を広げることができる、インド映画に入り込むきっかけになる映画ではないでしょうか。江戸木さん、バーフバリ愛に溢れるお話の数々、ありがとうございました。「バーフバリ 王の凱旋」は、12月29日(金)より新宿ピカデリー、丸の内TOEIほか全国順次迎春必勝ロードショー!です。

■ 予告編



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