9/30(土)公開「夜間もやってる保育園」大宮浩一監督インタビュー

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9/30(土)公開「夜間もやってる保育園」

大宮浩一監督インタビュー

今回は、9/30(土)にドキュメンタリー映画「夜間もやってる保育園」を公開する大宮浩一監督に、取材を通じて感じたこと、観客の皆さんへの想いなどたっぷりお話し頂きました。

「生活のケア」として繋がった介護と保育

――園長さんからのお手紙で取材をすることになったと伺いました。映画化に至ったポイントを教えて下さい。

「エイビイシイ保育園」の片野園長から、夜間保育園の映画を作って欲しいというお手紙をいただきました。介護を題材にした私の映画『ただいま それぞれの居場所』 をご覧いただいたことがきっかけだったそうです。

(C)夜間もやってる製作委員会

とはいえ、保育に関して特別な関心をもっていた訳ではなかったので、園を見学し、何度かお話を伺っていくと、夜間保育園が通常の保育園と違うのは「夕飯を食べる」、「風呂に入る」、「寝る」ということ。要するに、生活により多く関わっている、そのサポートをしているとわかった時に、介護と似ているな、と思いました。私は介護を生活の一部、「生活をケアする」と考えていました。認知症の方や子供たちは自分の言葉でうまく伝えられない、だからこそ彼らの言葉を想像して生活を「ケア」する周りの人間が必要です。介護と保育が生活、日常というキーワードをとおして私の中で繋がり、撮影を決めました。手紙をもらってから半年を経た頃です。

お客様に想像して欲しいこと

――夜間保育園に預けることに対して、気が付かないうちに偏見をもっていたのかもしれません。自分自身の心のそういう部分に気付きもしていませんでした。撮影をしていく中で監督にも感情の変化はありましたか。

偏見まではいかないものの、先入観はありました。その先入観はけっしてポジティブなものではありませんでした。私は、勉強してから作るタイプではなく、学び、感じさせてもらうために毎回映画を作っていきたいと考えています。今回もまずは、情報を予め仕入れるのではなく淡々と見ていきながら、カメラが気になったこと・私が興味や関心を持ちだしたことに正直に向き合いました。その意味では、映画の時間軸は作る側の気持ちの変化とシンクロしているのかもしれません。

映画は、寝ているところから始まり、寝ているところで終わります。安心して寝ている一晩の映画だったのかもしれませんし、寝ている間にパパやママも頑張っているぞ、パパとママだけでは足りない部分を支えてくれている方がいるよ、だから安心して眠っていいんだよ。しかし、一方で安心して寝れない子供がたくさんいるかもしれない。その状況を作り出している社会をお客様には想像してもえれば。

今、困っている人を

――夜間保育園が足りないから増やすべきだというような主張を声高に挙げるのではなく、子育てに関係する色々な人を応援しているように感じました。

そのように感じて頂けたら大変嬉しいです。映画はお客様が観て成立するメディアです。こちらの主張を一方的に押し付けるのではなく、ある程度幅を持たせることが必要だと思います。夜間保育園が素晴らしいのかどうかわからないですし、夜間保育園がない世の中が良いのかもしれません。日が暮れたらみんなお家に帰りましょう、と。

皆、理想やグランドデザインはあるでしょうし、実はそんなに違いはないでしょう。例えば、残業が少ない方が良いでしょうし、お父さん、あるいはお母さんの収入だけで生活ができて、お母さん、あるいはお父さんがいつも家にいた方が良いかもしれません。そういう意味では理想は一緒で、そこを目指すべきなんでしょうけれど、そういう社会にするには長い時間がかかります。時間をかけて整えなければならない制度がある一方、今過ごすために、今晩この子を救うために、私たちは何ができるのか、考えたり想像することが大切だと思います。声高に言いたくないというのは私の好みですが、それで十分お客様に伝わるはずですし、伝わると信じたいですね。

【予告編】


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