インド映画特集

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-多様性に育まれたインド文化の魅力-

6月のおすすめ映画『きっと、うまくいく』は如何だったでしょうか? 映画ログ会員からは「おススメされなくても、もう見たよ!」といった声が聞こえてきそうですが、 そんな皆さんに向けて更に魅力的なインド映画の世界を特集してみました。

今回は『ムトゥ 踊るマハラジャ』『きっと、うまくいく』『女神は二度微笑む』『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』など 代表的なインド映画の日本語版字幕翻訳を担当したインド映画研究の第一人者である松岡環さんにお話をお伺いしました。

伏線をどう回収する?

インド映画の作品には伏線が張られることが多い一方で、昔はその伏線が回収されない終わり方をする作品が多くありました。 『きっと、うまくいく』は対照的で、伏線がどれも見事に回収されます。 もちろん、アート系作品では伏線を回収せずラストに余韻を残す、味のある終わり方をするものもあります。 最近の作品では『めぐり逢わせのお弁当(2013年)』などがそうです。

 

ソング&ダンス

一度でもインド映画を観た方なら、ソング&ダンスシーンがふんだんに挿入されている特殊性を見逃す人はいないと思います。

インドでは1912年に映画製作が開始された当初、伝統演劇から物語の素材や人材を得ていたため、 映画の世界に伝統演劇のスタイルをも完全に取り込むこととなりました。 以後100年以上の間、歌と踊りが入るスタイルが一貫して変わらず、インド映画を特徴づけるファクターとなっています。

インドの女優さんは当然古典舞踊を身に付けていますし、 最近では振付師の要求に応えてキレのいい激しいダンスシーンもみせてくれます。 また、雨の降る中で踊るシーンがよくみられますが、これは濡れたサリーがボディラインをはっきりと映すことでエロティシズムを表現しているのです。 様々なアングルと多くのカット割りで撮影し、それを編集者が音楽に合わせて見事につなぎ合わせている点には、編集者の能力の高さを感じます。

また、1作品あたりの上映時間が長く2時間40分~50分が当たり前でしたが、 今では2時間少々の作品も増えてきました。ショッピングモールのテナントとしてシネコン運営が盛んとなっている昨今では、 フレキシブルな上映時間を利用して、昼間は一般ウケが難しい芸術映画を上映し、ハイソな観客層を取り込んだりもしています。

評判を裏切らないインド映画

インドでは面白い作品は口コミであっという間に評判が広がります。経済的に豊かではない観客にとって、 少ない収入の中から料金を払って惜しくない映画かどうか、慎重に判断が下されるので、評判の良いインド映画にはハズレがないのです。

インドで放送されている日本のアニメ

番組表
【写真:衛星放送が充実しているインドでも映画やアニメは人気のコンテンツ】

衛生テレビのチャンネル100以上あるインド。 日本のアニメ「クレヨンしんちゃん」「忍者ハットリくん」、 映画では「ど根性ガエル」が放映(2008年)されたりと、インドでも人気があります。


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