「泉の少女ナーメ」監督・主演キャスト Q&Aレポート『第30回 東京国際映画祭』
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第30回東京国際映画祭で映画「泉の少女ナーメ」が上映され、その後「ザザ・ハルヴァシ監督」「メリー役」マリスカ・ディアサミゼさんによるQ&Aが行われました。

—ネタバレ注意 Q&A —

〇ザザ・ハルヴァシ監督
私の映画は楽しめる類の映画ではないと思いますが、最後まで我慢して観ていただいて有難うございます(笑)。私は沈黙・静けさの中でストーリーを伝えようと考えました。なぜなら一番強調したかったのは、映画の中の細かいニュアンス・繊細なディテールなのですが、それは音楽を流しながら、または大きな声を出しながら伝えることではないので、静けさや沈黙の中で集中できる場が必要だったのです。

また、私は時に聖書に振り向くことが好きなのですが、映画の中でも聖書からのセリフ「昼であり、その次は夜である」を使わせてもらいました。聖書の中でもシンプルな哲学を伝えたかったのです。

〇マリスカ・ディアサミゼ(ナーメ役)さん
東京国際映画祭に参加できるという、子供からの夢が叶うことになってとても嬉しいです。日本の皆さま、ジョージアの小さな家族ともいうべき我々を迎え入れてくれたことに、とても感謝しています。

「泉の少女ナーメ」監督・主演キャスト Q&Aレポート『第30回 東京国際映画祭』

Q.泉を守る家族の物語が出来た背景
A.(ザザ監督)我が国は黒海に面していますが、この黒海沿いに住んでいる人達の間に神話が存在しています。

~神話~
大昔に、水で人の心や傷を癒していた少女がいて、普通の生活に戻りたいと思っていました。普通の人間として普通の生活を目指していたからこそ、彼女は自発的に自分の力を拒否しました。力の根源になっていた魚を解放することで、魚も自然に戻り、彼女も自然の人間の状態に戻りました。

この神話をモチーフに映画を作成したのですが、それ以外の話は我々の考えたフィクションです。

Q.作品の中で建物が映るシーンが多かったのは何故
A.(ザザ監督)この映画の映像美は、全て意識して伝えようとしたものです。
この映画の中では、全てに導入とそれに後に続くストーリーの展開といった流れがありますが、建築についてもその流れを伝えようと思いました。

Q.母親がいないことでこの家族に与えた影響
A.(ザザ監督)私は、テキストやスクリプトよりも映像で伝えるのが好きです。映画とは映像の芸術であり、言葉の芸術ではないと思っています。母親がいないという事実は、映像で伝えるのが難しかったので、スクリプトで伝えることになりました。一つのシーンで、お父さんが「母が亡くなって、ナーメが後を継ぐようになった」と言いますが、それですべてが明らかになったのではないかと思います。

Q.ジョージアのロケーションについて
A.(ザザ監督)南ジョージアのアジャラという地方です。イスラム教とキリスト教が共存しており、一つの家族で2つの宗教が共存するのは珍しいことです。この映画でもこの家族(兄2人がそれぞれイスラム教徒とキリスト教)が母国の乾杯をするシーンでは、宗教は違えど同じこの国の人間だということを伝えたかったからです。

「泉の少女ナーメ」監督・主演キャスト Q&Aレポート『第30回 東京国際映画祭』

Q.ナーメを演じにあたって工夫した点
A.(マリスカ・ディアサミゼさん)
最初は、なるべく自分の演じなきゃいけない人のことを理解しようとします。つまり、その人が行動する裏にどんなモチーフがあるのかを理解しようとします。こうして理解した後は、演じ手には個人的な理解が生まれますが、その理解は、監督とは全く違う理解かも知れません。なので、その後、監督と相談して自分はどんな感情を伝えなければならないのか、全てのシーンを撮る前に必ずそういう相談をして演じることになっています。

Q.余りにも自然が美しく、アニミズムの力が根底にある様
A.(ザザ監督)
撮影場所は霞が多い場所でした。ところが、実際に撮影するとなると霞が消えるのです。結局、専門家を連れてきて、霞を人工的に作りました。人工的な印象を与えたのではないかと心配していました。しかし、最後のシーンに現れるあの霞は、自然に現れた霞だったのです。現実が詩を作ったといってもよいのではないかと思い
ます。

(マリスカ・ディアサミゼさん)
実は天気で苦労しました。ちょっと寒かったです。でも自然を見てそれを自分の肌で感じとると、自然の中で生きているナーメを演じることも逆に簡単になったということもありました。

「泉の少女ナーメ」監督・主演キャスト Q&Aレポート『第30回 東京国際映画祭』

【編集部の感想】

映画ではキャストのセリフは少なく、水の流れる音、火が燃えうつる風の音、魚の泳ぐ音等々がむしろ前面に出てきます。大自然を背景に、ナーメの心が解放されていくことはむしろ自然の一部であって、人間のつくった慣習に縛られることが窮屈に感じてきます。最後のシーンは、そんなナーメと自然が一体化する瞬間だったのではないでしょうか。

【作品紹介】

ジョージアの山岳地帯にて、村に伝わる癒しの泉を守る一家。息子たちは独立し、父は娘のナーメに後を託すが、ある日泉の異変に気付く。ファンタジーと現実社会が溶け合い、幽玄で繊細な映像美が心を揺さぶる現代の寓話。

泉の少女ナーメ『第30回 東京国際映画祭』 映画予告動画あらすじとストーリー「評判・レビュー」

日本で劇場公開された『みかんの丘』(13)や『とうもろこしの島』(14)、あるいは多くの映画祭で受賞した『The House of Others』(16)など、ジョージア映画は近年世界的に存在感を増している。伝統的に高度な撮影の水準がジョージア映画の個性のひとつとされるが、本作もその系譜に位置するように息をのむような映像美で溢れたドラマである。

癒しの泉を守る一家という神話的な存在を現代社会に蘇らせ、スピリチュアルな領域と現実世界の境目はあいまいになっていく。ヒロインはある選択を迫られるが、果たして現代社会には無私を貫くだけの価値があるだろうか。そして現代人が自らの行為に払うべき代償とは何か。本作はあくまで控え目に、しかし確実に問いかけてくる。

■ 予告編



■ 制作国

ジョージア/リトアニア

■ 監督

ザ・ハルヴァシ

■ スタッフ

監督/脚本:ザザ・ハルヴァシ
撮影監督:ギオルギ・シュヴェリゼ
プロデューサー:スルハン・トゥルマニゼ
エグゼクティブ・プロデューサー:マムカ・トゥルマニゼ
編集:レヴァン・クハシュヴィリ
美術:アカキ・ジャシ
スチール:マムカ・チュヒクヴァゼ
録音:ヴァノ・グヴァラゼ
音響:ジョナス・マクスヴィティス

■ キャスト

マリスカ・ディアサミゼ
アレコ・アバシゼ
エドナル・ボルクヴァゼ
ラマズ・ボルクヴァゼ
ロイン・スルマニゼ

91分 カラー ジョージア語 2017年 ジョージア リトアニア

■ コピーライト

© 2017 BAFIS, UAB Tremora





■ 東京国際映画祭とは

88の国と地域、1538本もの応募中から15作品がコンペティション部門に選ばれ日本からも『最低。』と勝手にふるえてろの2作品が選出されました。日本で唯一の国際映画製作者連盟公認の映画祭他では見られない世界の秀作が集結し、グランプリ作品が決定!

・新しい才能が集う、アジアで最も注目される映画祭
・映画を核とした一大イベントの実施
・併設マーケットとの強い連携

■ アートとエンタテインメントの調和

・Expansive-映画を観る喜びの共有
・Empowering-映画人たちの交流の促進
・Enlightening-映画の未来の開拓

■ イベント名

第30回東京国際映画祭

■ 開催期間

2017年10月25日(水)~11月3日(金・祝)

■ 会場

六本木 ヒルズ(港区)、EXシアター

■ 公式サイト

http://www.tiff-jp.net

第30回東京国際映画祭

第30回東京国際映画祭

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