【インタビュー】第31回東京学生映画祭、テーマは「Re.」

第31回東京学生映画祭,画像

【インタビュー】
第31回東京学生映画祭
テーマは「Re.」

新型コロナウイルス感染症の影響で6月開催が延期を余儀なくされた第31回東京学生映画祭が10月15日(木)~17日(土)の3日間、東京都内の渋谷ユーロライブで開催されます。

今年は応募137作品から短編・長編19作品を上映。企画、運営の全てを学生が行い、映画を志す学生と映画界を繋ぐ架け橋として数多くの映画人を輩出した伝統の映画祭が、今後も絶対に続いていくという希望を込めてキャッチフレーズ「Re.」を掲げ、選りすぐりの学生映画を届けます!

今回は、東京学生映画祭代表(以下、東学祭)の木村翔武さん広報部の田伏夏基さんにお話を伺いました。

―――― 昨年のキャッチフレーズ「のぼせる。」に続いて、今年は「Re.」を掲げての開催となりました。改めて、このキャッチフレーズに込めた想いをお聞かせください。

木村翔武さん
6月の開催が新型コロナウイルス感染症の影響で延期せざるを得なくなってしまいました。一時期は会場も中々確保できず、開催が危ぶまれたのですが、作品も募集していましたし上映作品も決まっていたので、何としても開催したくてユーロライブさんにご協力いただき10月の開催が決まりました。

30年間学生だけで運営して映画祭が続いているだけでも奇跡だと思っているのですが、今回もなんとか延期を経て復活出来ました。そんな東学祭をこれからも続けていくという意味も込めて今年のキャッチフレーズを「Re.」にしました。

田伏夏基さん
メンバーも新メンバーが15人ほど加わりました。1年生は大学のサークル活動が中々行えないこともあり、こちらのようなインカレに参加してくれています。これまで30年間続いてきましたが、コロナの影響でどうしてもこれまで通りいかないこともあると思います。それでも、工夫して必ず続けていきたい、そういう希望も込めています。

木村翔武さん
30回続いてきたものを自分たちの代で終わらせてはいけないという責任もありますし、何とかこの先も32回、33回と続けて欲しいです。

―――― 有難うございます。続きましてお二人のプロフィールを含め活動内容などをご紹介いただけますか?

第31回東京学生映画祭,画像

慶応義塾大学の木村翔武さん

木村翔武さん
関西出身で慶応義塾大学の商学部に入学後、1年生の4月から東学祭に参加し、先輩に色々教えていただきました。

去年の30回が終わった時に、核となって運営していた4年生がごっそり抜けてしまい、人数も少なくなってしまいました。僕がリーダーとなってどうにか続けていこうとした時に、2年生もついてきてくれました。でも、第31回に向けてスタートした時には5、6人しかいませんでしたので、新メンバーがいなかったら当日の運営もかなり危機的な状況、さらにコロナがやってきて、振り返ると色々大変でした。

東学祭の仕事としては東京フィルメックスとのコラボで学生審査員があり、1年時に審査員のアテンド、2年時に審査員を務めました。そこでアジア映画が大好きになりました(笑)

個人的には映画制作もしていて、今もドキュメンタリー映画の企画を一つ進めています。

第31回東京学生映画祭,画像

明治大学の田伏夏基さん

田伏夏基さん
僕は明治大学の文学部の史学地理学科という特殊な学科で、地域の文化を学んでいます。高校まではスポーツばかりやっていたのですが、高3の時に地域のイベント運営に携わって、大学入学を機に上京した時に、イベント運営に携わりたくて東学祭に参加、ここで映画の面白さや学生映画の完成度の高さに触れ、商業映画と遜色ないクオリティに魅了されました。

木村さんをはじめ映画に詳しい先輩方に色んな映画を教えてもらって勉強中です。イベントをやりたいというきっかけから、映画というコンテンツに出会い、魅了されているところです。

 

―――― 今年の作品のカラー、注目して欲しい作品についてお聞かせください。

東京学生映画祭

木村翔武さん
僕のイチオシというか観るべき作品としては、ドキュメンタリー映画『MOTHERS』です。

この作品は日本映画大学の関麻衣子監督がご自身の家族にカメラを向けた作品です。昨年も『ツヤ子81歳』というドキュメンタリーがありまして、温かい空気が流れる作品でした。こちらの作品は温かい空気ではなく、殺伐とした、壮絶な家庭環境をそのまま子供目線から撮った作品です。

タイトルが複数形になっている通り、監督には3人の母親がいて、産んでくれたお母さん、育ててくれたお母さん、今家にいるお母さんと一人のお父さんとの関係性。お父さんが衝撃的な方です…。

監督自身が自分と家族との関係性を見つめ直していくような作品になっていて、私がもしその状況だったらおそらくカメラは回せないと思います。自分や家族を外の世界に向けて発信することになりますから、カメラを回した時点で関さんの監督としての力を感じました。

選考委員内では内容が過激すぎるとか自分との境遇がかけ離れていて受け入れられないという意見もありましたし、ドキュメンタリーなのかフィクションなのか分からないという声もあったほどです。

―――― 個人が経験している出来事をいかにして社会に共有し、社会に変化をもたらすのか。その辺りの芸術家としての勢いのようのものを感じますね。田伏さんはいかがですか?

東京学生映画祭

田伏夏基さん
丹幽(たんゆう)監督とフルイヒト監督の『パピルス』は、自宅の中に寝台列車の車内を再現したセットを造り、電車が走行しているように照明を調整したりして、ロケ地は全て部屋の中なのに電車が本当に動いているように見える作品です。なんとCGも一切使っていません。台詞があるわけではなくて、解釈も観る人によって違う作品になるのではないかと思います。

上映後には審査員監督の方々とのトークショーがあるので、監督の制作意図や、皆さんがどんな風に感じたのか是非聞いてみたい作品です。映像の完成度と監督の撮影技術に注目していただきたいですし、今後どんな作品を創ってくれるのか楽しみです。

―――― コストを抑えるというよりも、限られた空間の中でどういう表現が出来るのかに挑戦されているような作品ですかね。

木村翔武さん
聞いた話によると制作に2、3年かけているそうです!

―――― 昨年鑑賞した作品では作品の完成度もさることながら、出演されている俳優の皆さんの演技も見事でした。今年ご注目のキャストさんはいらっしゃいますか?

木村翔武さん
冬のほつれまで』は主人公が女子高生なんですけど、基本は一人で過ごしている女子高生の役なのでほぼ喋らないんです。でも、表情と体の動きだけでイイ演技を見せてくれていて、僕の中では女優賞に輝いて欲しいくらい。

実は劇中で一言しか発しないのですが、その一言も溜めてだした一言が強烈に感じるんです。勿論、演出の力もあると思いますが、彼女の視線には是非注目していただきたいです。

東京学生映画祭

田伏夏基さん
私のイチオシは常間地監督の短編映画『Female』に出演されている方々です。

監督の作品は昨年も『なみぎわ』を上映していて、同じメンバーが出演しているそうです。設定が仲の良い学生の集まりなのですが、演技を超えた仲の良さが表現されていて、おそらくチームワークの賜物だと思うので注目して欲しいです。

東京学生映画祭

―――― 色々な観点での楽しみ方がありますね。ちなみに、今年はライブ配信もあるようですが、映画に携わっている学生のお二人からするとオンライン配信についてはどのように感じていらっしゃいますか?

木村翔武さん
オンラインやライブ配信に対してあまり抵抗はないですし、今年の東学祭は客席が減ることもあり、現地開催+ライブ配信の形で開催することになりました。

東学祭×DOKUSO映画館 31st東学祭をディレイ配信!
東学祭×U-NEXT オンデマンド配信決定!

各種配信サービスが広がり、家で映画が観られるので劇場に足を運ばなくなるのも理解出来ますが、そもそも映画離れもあるので、家で映画の面白さを知ってもらい、そこから映画館に興味を持ってもらうことが出来れば、平和なんじゃないかなって思います(笑)

第31回東京学生映画祭,画像加えて、配信サービスでも貴重な作品を観ることが出来ます。例えば、エドワード・ヤン監督『牯嶺街少年殺人事件』(1991年)は昔でいえば色んなレンタルビデオショップを周ってようやく見つけることが出来るような作品だったそうです。月額1,000円程度でそういう作品が堪能できる利点は大人しく受け入れるべきかなって思います。

ただ、映画祭に限っては色々な方が集まってリアルに交流できるのが一番の魅力だと思っています。

田伏夏基さん
今年の6月に海外で開催されていた映画祭の作品をオンラインで観ました。学生なので中々海外まで行って映画祭を観ることは出来ないので、配信によって観られるのは利点かなって思います。

ただ、私もあくまでリアルがある上で、配信があるのがベストかなって思います。映画祭は映画を上映するだけではなく、映画人の交流の場ですし、人と人の繋がりを大切にしているので、リアルがあってこその配信だと思います。

第31回東京学生映画祭,画像

―――― 最後にお二人が映画を好きになったきっかけの映画、今一番好きな映画を教えてください。

田伏夏基さん
『007』シリーズなど海外のメジャーなアクション映画が凄く好きです。最近では『ワイルド・スピード』シリーズも好きです。今年か来年には新作公開も控えているようなので、楽しみです。映画を好きになったきっかけも『007』のDVDをお爺ちゃんから譲り受けたことだったりします。

木村翔武さん
日本の濱口竜介監督の作品が好きです。

東京芸術大学大学院の卒業制作で創られた『PASSION』、東日本大震災以後の東北地方の人々を映したドキュメンタリー『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』、5時間超えの『ハッピーアワー』、そしてカンヌ国際映画祭に出品された『寝ても覚めても』など全部好きです。

特に人の会話が好きで、本音をぶつけ合う人間の会話が作品の中にあって、それを脚本に書いてしまうのがスゴイです。現実世界ではあまり本音で語り合えないと個人的には感じていて、仲がいい友達や先輩後輩でも本音でぶつかることは出来ないし、怖いんです。

携帯でいつでも連絡が取れてしまいますし、携帯でやり取りしていても実際に会ったらそのことは会話しなかったり…。コミュニケーションがおかしくなっているというか、よくわからない、複雑なことになっている。ついつい、本音は語らずに建前で済ましてしまう。かといって本音で語り合いたいわけでもないんです。

濱口監督の映画では、本音で語り合うことの大切さと、それで関係が壊れてしまうようなこともありますが、そういう部分を最も現代的に捉えているのかなと思っています。

―――― 有難うございます!当日の運営も頑張ってください!!

第31回東京学生映画祭 開催概要

会期 :2020 年 10 月 15 日(木) 10 月 17 日(土) (3 日間)
会場 :渋谷・ユーロライブ

作品数 :東学祭コンペティション 11 作品
短編コンペティション 8 作品
特別招待作品 1 作品
全 20 作品

主催:第 31 回東京学生映画祭企画委員会

【ゲスト審査員】
井口奈己(映画監督) 大九明子(映画監督) 深田晃司(映画監督)
佐々木敦(文筆家) 岩井澤健治(映画監督) ※敬称略

公式サイト:http://tougakusai.jp

友だち追加

コメント

注目映画

  1. ヴァイオレット・エヴァーガーデン,画像
    心を揺さぶる物語、 心に響く音楽、 心に残るアニメーション。 映画『劇場版 ヴァイオレット・エ…
  2. 82年生まれ、キム・ジヨン,画像
    全世界の女性たちが共感 私たちはジヨンの人生を通して違和感と痛みの正体と、未来への希望を知る 映…
  3. ミッドナイトスワン,画像
    片隅に追いやられて生きてきた二人が出会ったとき、命がけの愛が始まる 切なき疑似母子(おやこ)のラブ…
  4. 星の子、画像
    芦田愛菜、6年ぶりの実写映画主演! 『日日是好日』の監督・スタッフがこの秋に贈る、圧倒的な感動作 …
  5. 浅田家!,画像
    「一生にあと一枚しか、写真を撮れないとしたら?」 彼が選んだのは、“家族”だった―。 映画『浅田…

DedachiKenta MV完成!

ページ上部へ戻る