
映画『サマーゴースト』
幽霊 絢音役の声を担当・川栄李奈さん
インタビュー
ネットを通じて知り合った高校生、友也・あおい・涼。都市伝説として囁かれる“通称:サマーゴースト”は、若い女性の幽霊で、花火をすると姿を現すという。自身が望む人生へ踏み出せない”友也”。居場所を見つけられない”あおい”。輝く未来が突然閉ざされた”涼”。彼等にはそれぞれ、サマーゴーストに会わなくてはならない理由があった。
映画「サマーゴースト」は、気鋭のイラストレーターloundraw(ラウンドロー)が監督を、安達寛高(乙一)が脚本を務めるオリジナル短編アニメーション作品です。今回は、幽霊・絢音役の声を担当された川栄李奈さんにお話を伺いました!

川栄李奈さん
川栄李奈さん動画インタビュー
―― 脚本を読んだ時のご感想を振り返ってください。
川栄李奈さん(以下、川栄さん)
現代の若い子に刺さるなって思いました。私の役は幽霊なのですが、それも凄く新しいというか、やったことがない役でしたし、この作品を観てくださる方の背中を少しでも押せたらいいなって思いました。
―― 「絢音」にはどんな印象がありましたか?
川栄さん
幽霊だけど普通の女の子。監督が絢音について色々教えてくださって、アフレコ時も監督が参考として自らの声で仮の声を入れてくださっていたので、テンション感とかは凄く分かりやすかったです。だけど、自分の中での絢音像みたいな、幽霊だけど凄く可愛らしい女の子ということで、凄く難しかったですね。
―― どんなところが特に苦労された部分でしたか?
川栄さん
全体的に(笑)
声のトーンというより語尾の上げ方。私が語尾を上げてしまうことが多くて、監督は「語尾を上げないでほしい」とおっしゃっていて、それが難しかったですね。
―― アフレコについては、何回かご経験されていますが慣れましたか?(笑)
川栄さん
いいえ(笑)
毎回役も全然違いますし、監督によっても全然違うので。
今回は椅子に座って収録したのですが、それも初めての経験でした。普通は立って録るので「もうちょっとお腹から声を出してください」と言われることが多かったんですけど、今回は座った状態でボソボソ喋っているみたいな感じ。力を抜いてリラックスして録ってほしいということで、それが凄く新鮮でした。
―― ちなみに、loundraw監督はどんな印象の方ですか?
川栄さん
“この絵を描かれている方なんだろうな”という感じの優しそうというか、繊細そうというか。監督の描く絵が凄く繊細で儚いイメージがあったんですけど、それを描かれている方だろうなっていう感じはしました。オーラが温かく包まれているというか(笑)
監督が生み出すモノが、この人から作られているっていうようなイメージです。
―― 作品ホームページの監督コメントを拝見すると、ひょっとすると友也役もゴーストも実は監督の投影なのかもしれないと感じました。ゴーストが一体どんな存在なのか、川栄さんなりに考えて感じたことを教えてください。
川栄さん
絢音を通して改めて生きていることに気付かされるというか、ゴーストを通して自分が一歩踏み出せるような作品になっているので、この絢音は自分の生き写しではないですけど、それを見て自分は強く生きなきゃと思ったり、ちょっとそれを通して勇気をもらえたり、そんな存在です。
―― 死や霊を描くことがネガティブではなくて、むしろ力をもらえる作品になっているのですね。一方で3人が悩んでいるわけですけど、監督自身の投影についてはいかがですか?
川栄さん
友也はお母さんが望むように生きているというか、本当の自分を隠しながら言われたとおりに生きて、要領良く生きるみたいな感じ。あおいちゃんは学校でいじめられていたりして、“その悩みってみんなが持っている悩みなんだろうな”と思って、それが凄くリアル。アニメなのですが、リアルに感じました。そういう悩みを持っている人は多いと思うので、そういう人へのメッセージ性は特に強いんだろうなと思いました。
―― リアルさというものは、当然監督が持っているものから伝わると思うのですが、声優陣の皆さんの演技や作風、どういうところからリアルさを感じましたか?
川栄さん
やっぱり絵。浮かび上がってくるような繊細さがあって。私も予告編しか見ていないのですが、映画一本分の絵を見ることが凄く楽しみで、“凄く素敵な映像になっているんだろうな”と思います。
―― 作品の登場人物たちが高校生で、川栄さんがAKB48に入った時期になると思いますが、同調するような気持ちや“私の時はこうだったかな”と思い出したことはありましたか?
川栄さん
私に限らず、今の10代・20代の子って自分の意思を割と押し殺しているイメージがあって。揉め事も好きじゃないし、自分がこういうことでこうなったら面倒くさいなとか、自分がここで出しゃばったらこうなるだろうなっていうのを、凄く考えてしまって生きている子が多いと思うので。
それは見ていて共感というか、主人公の友也もそうですし、大事になるのも面倒くさいからこのままでいいよ、みたいな感じも今の若い子にメチャクチャ刺さるんだろうなと思いました。
―― 現実世界の中で言いにくいからこそ、この作品を通して感じるところを受け止めてほしいということですよね。この作品のテーマに関しては、どのように感じていますか?
川栄さん
何かを伝えたり、一歩踏み出したりって凄く勇気がいることで、先のことを考えてしまって「いいや、このままで」ってなっている人が多いと思うんです。それに対して、この作品は「頑張れ!!」っていう感じではなく、徐々に一歩ずつ踏み出していったり、それこそ新しい仲間に出会って友達の大切さに気付いたり、周りの人の大切さに気付いたりが描かれているので、些細な日常を大切にしてほしいし、本当に少しずつ殻を破っていったり、困難を乗り越えていくことが大切なんだなって、この作品を観て思いました。
―― ちなみに、ゴースト(幽霊)を見られたことはありますか?(笑)
川栄さん
見たことはないです(笑)
でも、このゴースト可愛いし、結構しっかり見えているじゃないですか。そこもアニメの良さというか、現実の映像だと不思議な感じがしてしまいますけど、アニメなら成立するというか、アニメならではの良さが詰まっていると思います。
―― 声優さんのお仕事、俳優さんのお仕事など色んなチャレンジをされていますが、エンタメの中で表現をしていく上で川栄さんが大切にされていることはどんなことですか?
川栄さん
やっていて楽しいことが自分の中で大切だなと思っていて。お芝居もそうですけど、自分が楽しいものをやると決めています。
―― 今回の作品で一番楽しかった瞬間を教えてください!
川栄さん
毎回、声優のお仕事をやらせてもらう時は、アフレコの時に不安というか、“大丈夫かな。周りは声優さんで自分だけ浮かないかな”って心配をしていて。実際に出来上がったものを観ても、“自分は大丈夫かな”って毎回思ってしまうんです(笑)
でも、ファンの方や観てくださった方が「良かったよ」と言ってくれるのが一番嬉しい瞬間なので、そう言ってもらえるように頑張ろうと思います。
―― 有難うございました!!
キャスト
杉崎友也役:小林千晃
春川あおい役:島袋美由利
小林涼役:島﨑信長
佐藤絢音役:川栄李奈
原案/監督
loundraw
脚本
安達寛高(乙一)
キャラクター原案:loundraw
音楽:小瀬村晶、当真伊都子、Guiano、HIDEYA KOJIMA
企画:FLAGSHIP LINE
アニメーション制作:FLAT STUDIO
製作・配給:エイベックス・ピクチャーズ
公式HP:https://summerghost.jp
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