倉悠貴&見上愛、注目俳優W主演映画『衝動』のファッションに迫る!ポイントはGジャン&競艇!?

土井生笑監督&スタイリスト大石真未氏インタビュー
池袋HUMAXシネマズほか全国順次公開中の映画『衝動』は、『スパゲティコード・ラブ』と本作が2作続けて公開中の倉悠貴さんと、先日2022年のJRA年間プロモーションキャラクターに長澤まさみさんとともに起用されることが発表された見上愛さんがW主演を務める、衝撃の作品です。
先日の見上愛さん&土井生笑監督インタビューに続き、今回は土井監督とスタイリストの大石真未氏にお話を伺いました。

土井生笑監督(左)とスタイリストの大石真未氏(右)
どんなファッションもカッコ良く着こなしてしまうという倉さんや見上さんの衣装選びから、サワダ役を演じる村上淳さんのファッション、さらに錫木うりさん演じるユウコが着用したオシャレなドレスについて等、本作のファッションに迫りました。
ポイントはアイが着ているGジャン、そして“競艇”という謎のキーワードです。
―― アイ役の見上愛さんの衣装ですが、どんなイメージで創りあげたのでしょうか?
大石真未氏(以下、大石氏)
見上さんは目鼻立ちがハッキリしていますし、倉さんも色気があって本当に何でも着こなすんです。
アイの衣装イメージはちょっと個性的がいいと伺っていて、壮絶な役ですし、自分の中で幾つかのブランドイメージが浮かびました。
今回の衣装ではGジャンがポイントで、ずっとGジャンを着ているんです。
Gジャンは襟付きが多いのですが、見上さんは首がとても綺麗なのでノーカラーにして、ハイネックのインナーを着ています。そこでちょっと遊びというか、バランスが取れたら面白いかなと思いました。
ちなみに、GジャンはRNAというブランドのアイテムです。
―― ハチとアイがキラキラ輝いてしまっても作品イメージとは離れてしまうので、何でも着こなされると困ってしまいますね(笑)
大石氏
なので、倉さんに関しては本当にあえてダサく、、、
土井生笑監督(以下、土井監督)
想像以上にダサかったです(笑)
僕が用意した資料は、もうちょっと今っぽいというか、Uber Eatsで働いていそうな感じの服装だったんですけど、さらにさらに!
大石氏
絶対に着こなしてしまうので(笑)
ハチって精一杯じゃないですか。17歳にして全てがギリギリの状態なんです。田舎から出てきて、こんな仕事をして、それを表現したくて、、、いかにハチの生き様を見せるか。
ハチは絶対に新しい服じゃないので、ほぼ古着にしました。帽子も渋谷のドンキで買うような感覚で選びました。
土井監督
(笑)
“競艇にいるお爺ちゃんが被っていそうな帽子だな”ってずっと思っていて。ジャンパーも本当にそんな感じ。
彼が着ているから劇中ではカッコよく見えるんですけど、実際には生地も一部メッシュで(笑)
大石氏
監督は「ここのメッシュがいいね」って(笑)
土井監督
おそらく僕がイメージしていたような服装を実際に着てもらったら超格好良くなる。モデルさんみたいになっちゃうから、ランクを2段階ぐらい落とした服の感じがちょうど良かったです。
―― Tシャツもある程度汚されたのですか?
大石氏
Tシャツに関しては、グレー、チャコール、白を着回しているんですけど、グレーとチャコールは古着です。白だけ買ったので、紅茶染めしてちょっと茶色い、黄身っぽくしました。
―― それでも白く映りますよね。
大石氏
映るんですよ(笑)
―― 俳優さんの持っているエネルギーですね。
大石氏
まさに!!
―― 今の若者たちに通じるファッションがあるとしたら、どうですか?と伺おうと思ったのですが、この服装は競艇系になってしまうのですね?(笑)
土井監督
(爆笑)
間違いない。彼の格好を僕がしたらオジサン(笑)
大石氏
サイズもオーバーサイズで、だらしなく。私のお気に入りの劇中写真が本記事トップの写真です。
―― 今の若者もそういう風に着こなすのかなと思いました。
大石氏
着こなしている人もいると思います。
これもすごくよれています。本来衣装さんはこういうのを見逃さず綺麗に直すんです。
でも、このよれている方が生きている感じが伝わって。海外の作品は「これって衣装なの?」ぐらい自然じゃないですか。それがスゴイなぁと思っていて。
着飾ることも仕事ですけど、着崩すとかそういうのも出来たらなと思って、ハチに関してはそんなに直さずにいたら倉さんが着崩してくれました。
―― 古着でも着崩し方によって見え方は大きく違いますよね。帽子もオジサンが被る帽子というよりはカッコ良く見えていました。
大石氏
このキャップも新品だったので、やすりを掛けて、某ブランドなのでブランドのロゴを消して、、、
土井監督
全然某ブランドに見えなかったです。「どこの帽子なの?」って倉君に何回も聞いた気がする(笑)
大石氏
それを求めていました!(笑)
―― 倉さんは通しで同じような衣装を着ていましたが、アイはピンク色っぽい紫がかっている様な衣装も着ていました。
土井監督
(あの服も)とても良かったです。
大石氏
アイも物語があって、本来はやりたくない仕事をしているわけだから、「鎧みたいなものを着ていたいよね」って監督と話して、着ることによってスイッチがオンになるみたいな。それがGジャンなんです。
足も本来彼女はこんなに出さないと思うけど、そういう仕事だからちょっと出させています。
でも、靴下が一番悩みました(笑)
土井監督
難しいですよね。
大石氏
履かせた方がバランスは良いけど、何色を持ってくるか、、、
―― 白や明るい色はちょっと違うかなと思います。
大石氏
黒も違うし、茶色も違うんです。だから、これはチャコールグレーなんです。
土井監督
黒だったらちょっと気持ち悪い(笑)
大石氏
グレーでも明るいものではなくて、チャコールグレーが自分の中でピッタリきて。
土井監督
確かに、あの靴下が別の色だったら凄く違和感があるような気がする(笑)
大石氏
全身映るように撮っていただけているから、尚更良かったです!
―― アイの靴はいかがですか?
大石氏
靴とスカートは渋谷のファストファッションです。
この年頃の子が着ているファストファッションってリアルじゃないですか。お店を見てみたらこの色があったので、“これはポイントになる”と思いました。黒ばかりだとハチが黒だから。
土井監督
僕も下半身のイメージが全然つかなかったんです(笑)
上半身のGジャンとかジャケットについては伝えていたんですけど、下半身は衣装合わせするまで“どんな感じなんだろう?”って。
―― アイの職業を考えれば、綺麗に見せるために靴下も履かないし、ヒールを履く感じがします。
大石氏
でも、等身大のそのままを見せるにはあえてスニーカーなんじゃないかって。お金は持っているかもしれないけど、絶対にキラキラはしていないので。
この靴も新品をあえて汚して、毎日これを履いてそうなくらい履き潰せたらと思って。撮影している間に汚くなりました(笑)
―― アイが抱えているダークな闇の部分があるから明るくは出来ないですよね。仮にこのファッションを今風にアレンジするとすれば、いかがでしょうか?
大石氏
厚底がここ最近ずっと流行っているので、スニーカーを厚底に変えるだけで今っぽいと思います(笑)
―― なるほど、そういうアレンジもあるんですね。
ところで、アイがダッシュをしてハチを追いかけていくシーンも、軽快に走っていて、若者らしさが出ていて良かったです。
大石氏
あの時はワンピースですよね。
この流れでワンピースはどうなんだろう?って思ったんですけど、着てみたら「これアイちゃんだ!」みたいな。
もう一着、茶色のニットとボロボロのデニムがあるのですが、一番アイ本来の私服に近いと思います。
土井監督
ファミレスに行ってから二人乗りする流れのシーンですね。確かあの場面は仕事に行く設定だったんですけど、オフっぽくしたんですよね。
大石氏
結構、迷いました。仕事だからヌケ感と足も出ているんですけど、一番私服っぽく出せたかな。
しかも、メロンソーダを飲みながら気を許し始めるところに、変化としてちょっと違うテイストを入れられたと思います。
土井監督
Gジャンを着ていないから余計です。
―― とはいえ、アイではなくなってしまってもダメですものね?
大石氏
はい、ダメです!アイが着ていなそうな服は違うので。
土井監督
難しいですよね。その辺りが僕はまったく分かりません(笑)
大石氏
服でどう波をつけさせていただくかを大切に、絶対に壊してもダメですしね。
―― そして、村上淳さんがとってもカッコイイです!社長さんだけど特殊な商売をしている。まさにあの世界の人でしたが、どんなチョイスをするとああいう風になるのでしょうか?
大石氏
実は以前、別の作品に助手として参加した時に、村上さんがご自前の衣装を用意されていて、それがすごくカッコ良かったんです!本当にオシャレで。
その時の役柄はヤクザだったんですけど、裸にベストとジャケットでした。
土井監督
(笑)
大石氏
とにかくカッコ良いけど、村上淳さんではなくその役になっているわけです。
今回もその時のブランド【1PIU1UGUALE3 (ウノ ピュ ウノ ウグァーレ トレ)】を思い出して使わせていただきました。
私自身が村上さんのファンなので(笑)、村上さんをやらせていただけるならあのブランドに聞いてみよう!しかも役柄的にもいけそうだなと。
土井監督
村上さんが決まった時に(大石さんは)スゴイテンションが上がっていました(笑)
大石氏
(笑)
サイズもこちらが伝えることなく用意していただいて(笑)
色だけは普通じゃない色が良かったのでそれは伝えて選びました。なので、すごく早く決まりました。
土井監督
村上さんも「これじゃない?」みたいな感じで。
大石氏
インナーのシャツは何枚か用意したのですが、ご本人も「白のシャツがいいんじゃない?」と、すぐ決まりました。
土井監督
僕は足元がスニーカーかなとずっと思っていて、それがしっくりくればいいなって。
ジャストしっくり!でした(笑)
大石氏
高い物をさらっと着ていそうな役ですし、“この役だったらいい靴を履いていてもいいな”と。でも、いい靴だけど白のスニーカーっていうちょっと抜けた感じにしました。
―― アンバランスをバランスよく着るところがスゴイですよね。
大石氏
村上さんだけで1時間語れるぐらいです(笑)
土井監督
(笑)
―― ファッションについて、さらに注目のポイントはありますか?
大石氏
工藤孝生さん演じるナイキは全身某スポーツアパレルブランドです。
相反するハチは黒だけど、ナイキは明るくて。もう名前が名前だけに揃えました。それも古着です。
あとは、錫木うりさん演じるユウコと、見津賢さん演じるショウヤ。この二人は監督のイメージを合わせつつ、一緒に衣装合わせをしました。
この二人もあまりにも着こなし過ぎて、私が不安になっちゃって。例えば、ショウヤの設定は社会人だけど、スタイリッシュ過ぎるかなって。
土井監督
ショウヤの裏設定は、頭のイイ大学の経済学部でちょっと人には言えないような商売をやっているのを伏せているサークルみたいな(笑)
その流れで卒業後の今もずっとやっている。表向きはベンチャー企業で働いていて、片手間でこっちも遊びの延長じゃないですけど、やっている設定なんです。
大石氏
それを聞いた時に、“それだったらこれぐらい着こなしていても全然いいかもしれない!”って。
村上さん演じるサワダに憧れがあるのかな?っていう感じも上手い具合に表現出来たかなと思います。
―― 終盤のシーンでユウコとショウヤが歩いてくるシーンは、暗がりの中で衣装がスッと映えていました。
大石氏
ショッキングピンクの服ですね。
土井監督
あのシーンは服のおかげですね
大石氏
まさにユウコの嫌らしさというか、、、
―― ハチがハッとするのも、色でハッとした感じが凄く伝わりました。
土井監督
我々もそれでハッと出来る。
―― 衣装は奥が深くて、本当に難しいですね。
大石氏
本当に作品の主張が凄くて十分インパクトのある作品なので、世界観を壊してはいけないと思いながら。
ユウコの下着の色も難しかったですし、“何色にする?”みたいな話をみんなで相談しました。下着は特に人柄が出ますからね。
―― 細部まで全部見逃さずに世界観を表現しているからこそ、作品にリアルさが滲み出ているのですね。
大石氏
お兄ちゃん(ヒカル)もとても狂気的で、真っ白な服で静かに狂っている感じを出しました。
最初は「拘置所だから作業服みたいな服にしますか?」と話していたんですけど、、、
土井監督
調べると拘置所に収容されている人、特に死刑囚の人はずっとそこに居るので服が自由らしいんです。いわゆる僕らが想像している制服ではないらしくて。
―― あのシーンは衝撃的な話で狂気を感じました。
最後になりますが、本作の中で一番トレンドを掴んでいるファッションはどのキャラクターですか?
大石氏
一番トレンドというかお洒落感を出したのはユウコです。全部がカッコよくて可愛い!
クラブのワンピースもカラオケのシーンの服も全部可愛いです。
ユウコはバッグも変わってるのを持たせてたりしてます。ほぼ写ってないですが、、、。
ただ、通常1年前に撮影をして、公開がさらに1年後になるので、流行っているものを着せないようにしています。あえて時代性をあまり考えないように。
Gジャンもタートルネックもずっとあるじゃないですか。このGジャンは丈が少し短かったり、時代の中でそういう変化はしているけど、トレンドは反映しないようにしています。
―― 流行に左右されないので、アイやユウコのファッションは是非真似して欲しいですね!ありがとうございました!!
RNA
劇中のアイ(見上愛さん)が着用しているGジャン等。2021秋冬アイテムをご紹介!
https://www.rna-media.jp/
Instagram: @rna_official_
【 デニム 】【 ヴィンテージ 】【 ユニセックス 】をベースにしたストリートブランド。
NAKAGAMI
劇中のユウコ(錫木うりさん)が着用している衣装。また、本作取材時に見上愛さんも着用!2021秋冬アイテムをご紹介!
- 取材時、見上愛さん着用タートル
- 取材時、見上愛さん着用スカート
https://nakagami.black/
Instagram: @nakagami_official
東京都目黒区上目黒1-10-15
ニットを中心に、伝統的なアイテムをベースに現代的な視点から再構築したコレクションを展開。
Lily
- 劇中ユウコ着用
- 取材時見上愛さん着用
https://lilyjewelry.base.ec/
Instagram: @lily_hikari
世界中のビーズを使用して、シーズンテーマをもとに製作する唯一無二のアクセサリー。
公式HP
saigate.co.jp/shodo
映画『衝動』作品情報
出演キャスト
倉悠貴
見上愛
見津賢
錫木うり
工藤孝生
池田朱那
川郷司駿平
山本月乃
佐久間祥朗
三村和敬
村上淳
監督・脚本・企画:土井笑生
音楽:Day on Umbrella
撮影:茅野雅央
照明:石川裕士
録音:黒沢秋(BLAZE LEGION)
美術:前田巴那子
スタイリスト:大石真未
ヘアメイク:飯塚七瀬
助監督:遠藤航哉
スチール:senobi
製作:映画「衝動」製作委員会
配給:SAIGATE
2021|日本|シネマスコープ|ステレオ|DCP|R15+|117分
映倫区分:R15
配給:SAIGATE
©映画「衝動」製作委員会
12月10日(金) 池袋HUMAXシネマズほか全国順次公開
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