2022年を代表する洋画!主人公は正しいのか?フランス大ヒットサスペンス映画『ブラックボックス:音声分析捜査』

映画『ブラックボックス:音声分析捜査』ヤン・ゴズラン監督インタビュー,画像

ヤン・ゴズラン監督インタビュー

2021年9月に本国フランスで公開され、観客動員数100万人突破の大ヒットを記録したサスペンス映画『ブラックボックス:音声分析捜査』が1月21日(金)より全国公開です。

ヨーロピアン航空の最新型機がアルプスで墜落し、乗客・乗務員316人全員が死亡。司法警察の立会いの下、航空事故調査局の音声分析官が、ボイスレコーダー、通称“ブラックボックス”を開く。

いつもなら責任者のポロックに同行するのは、最も優秀なマチューだったが、天才的なあまり孤立していた彼は外されてしまう。だが、まもなくポロックが謎の失踪を遂げ、引き継いだマチューは「コックピットに男が侵入した」と記者会見で発表する。

マチューの分析は高く評価され、責任者として調査をまとめるよう任命される。ところが、被害者の一人が夫に残した事故直前の留守電をきっかけに、さらなる陰謀を疑ったマチューはキャリアと命さえもかけて、危険な探求を始める。

なんと国家機関であるBEA(フランス民間航空事故調査局)が、「プロットの核となるテクノロジーは、現実の安全性に対する懸念や今後の課題を描いている」と本作の企画に賛同。取材に協力するだけではなく、実際に使われている部屋を提供するなど、リアルな物語が国家機関の全面協力で誕生しました。

さらに、マチュー役を『イヴ・サンローラン』(2014年)で、イヴ・サン=ローランに扮してセザール賞を受賞、その美しさと繊細な表現力が光るピエール・ニネが演じているのですが、音声分析官という真のプロフェッショナルを、徹底的にリサーチして作り上げた演技の一つ一つから緊張感が漂っていて、思わずスクリーンに引き込まれてしまいます。

今回は、2022年を代表する洋画の一本と紹介して大げさではない映画『ブラックボックス:音声分析捜査』を日本に届けてくれるヤン・ゴズラン監督にオンラインでお話を伺いました!

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ヤン・ゴズラン監督(©Philippe Quaisse Unifrance)

―― 航空機事故とブラックボックス、そして音声調査、業界の闇、それから上司と部下の関係など、脚本の世界観、深さにはフィクションとは思えない重厚感がありました。どういった考え方で、このストーリー構成が出来上がっていったのでしょうか?

ヤン・ゴズラン監督(以下、ゴズラン監督)
実は自分自身は飛行機に乗るのは苦手なのですが(笑)、この作品を作るに際して、航空業界に大変興味を持ちました。

でも、それと同時にハイパーテクノロジーの世界にも非常に興味を持ちました。今回は“事故”よりも“事故の原因を分析して調査する”ということに興味を持ったんですが、この調査は非常に複雑で、時間がかかり、真相を見つけるために凄く長い道のりを必要とします。

特に、今の映像や音の世界では、偽の映像とか偽の音というものをテクノロジーによって簡単に作り出すことが出来ます。そのような偽物の世界が作られているということにも興味を持ちました。

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―― BEA(フランス民間航空事故調査局)の全面協力があったと資料を拝見しましたが、監督はどのくらい取材を重ねたのでしょうか?その取材時に新しい発見・経験などがあったら教えて頂けませんか?

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ゴズラン監督
資料作りにはとても長い時間をかけたんですけど、実はその間に別の作品を一本作っているので、その分長く時間がかかりました。ただ、毎日BEAのところに行っていたわけではなく、数年間何回かに区切って行っていたんですけど、それでもやはり長い間事務所に通いました。

これに関しては技術的な部分で正確なものを作品の中で創りたいと思いましたし、現実で実際に起きていることを表現するために調査をしました。

劇中のブラックボックスを開ける作業をしている部屋ですが、このラボは本物のラボを使わせてもらっています。マチューが音声を分析する部屋も、現実の部屋よりは少し小さいですが、ほぼ忠実に全て再現しています。そこで作業をする調査官や分析官の仕事の正確さと厳格さはできる限り現実に沿って再現したいと思いました。

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また、驚いた部分としては、ブラックボックスを開ける作業をビデオで見せてもらったのですが、何時間もかかる作業でした。今回の作品で全てを撮影することは無理なんですけれども、全ての段階を見せられるように作りました。

この作業は儀式的で、航空会社や航空機の製造業者など色んな方がガラスの向こう側から緊迫感を持って見つめています。そして、ブラックボックスの中に入っているメモリーカードは、真相を中に含んでいるということで、巨大な争点となる事実をはらんでいるものです。
それは遺族に対しての人間的な真相究明という点もあれば、飛行機の欠陥やパイロットのミスによって事故が起こったことが分かれば、航空業界は経済的に大きな打撃を受けるという点にも興味を持ちました。

―― ブラックボックスを開けるシーンはまるで医療現場のようで非常に印象に残りましたし、事件の真相を解明するだけではなく、遺族にとっては亡くなった方の人生を映し出す特別なものなのだと、今の監督のお言葉から伝わってきました。

ゴズラン監督
おっしゃる通り、ブラックボックスを開けるシーンというのは、自分としても心臓を開ける手術のように見せたいという風に思っていました。この作業は技術的なテクノロジーの冷たい部分が出てきているんですけれども、それと同時に、やはり人を失うという人間的な問題も描いている作品なので、それを象徴するシーンが奥さんを亡くした方の家に行って電話を回収するところです。技術的な世界の中で生きていた人間が、現実の世界の人を失った悲しみというものに出会うシーンであり、それが人間的な側面をこの作品に与えていると思います。

加えて、この作品で大事なのはカップルの生活です。というのも、テクノロジーの問題がどんどん影響を与え、結果的に2人の間に距離を作ってしまい、カップルが壊れていく姿を描くことも凄く大事にしました。

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―― マチューについて、作品の中で真実への強い関心を抱き、ある意味執念のようなちょっと取り憑かれているような人物だと感じました。遺族の方との出会いがあり使命感が彼に真実への強い関心を抱かせている点もあると思いますが、一方で視力が足りずパイロットになれなかった過去、その劣等感が影響しているようにも感じました。マチューというキャラクターがどういう人物なのか、ピエール・ニネさんとはどんな会話をされたのですか?

ゴズラン監督
このマチューという役はとても執念深い役で、真相究明するために最後まで頑張るスゴイ役です。彼は先程言ったような真実と嘘の世界というものにも葛藤するわけです。

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観客の方がどう感じるか分かりませんが、“主人公が間違えるのかもしれない”という疑問を観客が抱くような作品作りをしました。
つまり、マチュー自身が分析・調査をしている間に政治的な策謀がある理論の方にどんどん進んでいってしまうところに疑問を持つということです。これに関しては監督の私も、俳優であるピエール・ニネさんも凄く重要だと思って脚本を深めていきました。

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マチューのパラノイア(※)の部分をどんどん強くしていく、彼が間違った道に進んでいくかもしれない、それに対して観客が疑問を持つということは私にとって非常に大事なテーマでした。

※パラノイアとは、不安や恐怖の影響を強く受けて、他人が常に自分を批判しているという妄想を抱くもの。偏執病。

―― ニネさん同様に、マチューの妻ノエミを演じたルー・ドゥ・ラージュさんの演技も素晴らしく、最後まで作品を楽しむことが出来ました。

ゴズラン監督
カップルに起きる災難を描いているのですが、このカップルは若くて野心家で、国立の航空学校出身のいわゆるエリートとして、2人とも競争の激しい世界に生きているんです。

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物語の冒頭でマチューは出世に行き詰まっていて上司にも信頼されず、自分の世界に閉じこもっているギーク的なところがある。逆にノエミは出世街道まっしぐら。

その時点で2人のカップルは悪い状態に進んでいく前兆があるんですが、ストーリーの中でマチューはどんどんパラノイアになっていき、奥さんに対しても“彼女が陰謀に関わっているのではないか?”という疑問を持ってしまう。

そういったカップルの間に起こる問題点にも凄く興味があり重点を置きました。

―― ありがとうございました!


『ブラックボックス:音声分析捜査』予告動画

【 監督 】 ヤン・ゴズラン『パーフェクトマン 完全犯罪』
【 出演キャスト 】 ピエール・ニネ『イヴ・サンローラン』
ルー・ドゥ・ラージュ『夜明けの祈り』
アンドレ・デュソリエ『パリよ、永遠に』
【 原題 】 BOÎTE NOIRE(英題 BLACK BOX)
【 本編尺 】 129 分
【 クレジット 】2021 年/フランス/シネスコ/DCP/字幕翻訳:橋本 裕充/映倫区分:G(一般)配給・宣伝:キノフィルムズ 提供:木下グループ
【 フランス公開 】 2021 年 9 月 8 日
© 2020 / WY Productions – 24 25 FILMS – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA – PANACHE Productions

公式HP:https://bb-movie.jp/

2022年1月21 日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開

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