『飢えたライオン』藤川ヒロキ役・水石亜飛夢

9月15日(土)にテアトル新宿にて公開となった映画『飢えたライオン』。本作品は昨年の第30回東京国際映画祭に出品されるとチケットは即完売。その後、海外映画祭にも多数招待され、国内外から多くの注目を集めています。本作品で主人公・瞳の彼氏である藤川ヒロキ役を演じた水石亜飛夢さんは、2012年にミュージカル「テニスの王子様」2nd Seasonで俳優デビュー。その後、TVドラマ、舞台、映画で数多くの作品に出演し、役者としてのキャリアを着実に歩んできました。今回は、水石さんと一緒に本作品を掘り下げるとともに、等身大の水石亜飛夢さんに迫りました!

―キャストの皆さんからはとても“和気あいあい”とした雰囲気を感じます!
そうですね、日高さんとか加藤さん、菅井さんや松林さん(役:瞳)は同級生の役でしたので、撮影が同じ所が多かったこともあったと思います。
撮影前のリハーサルの回数にしても、僕は3、4回でしたが、女子高生チームは凄く多かったみたいです。リハーサルというか、普通にみんなで遊んでいるような雰囲気でした。女子チームがみんなでカラオケに行ったことまでは知らなかったです(笑)
お芝居の世界では、それこそ“はじめまして”の方と急に恋人役になるとかもありますけど、やっぱり緒方監督は偽物みたいなものが嫌だっていう方なので、役者と役者の心の距離を詰めて、よりリアリティを持たせるためにリハーサルを繰り返す、そういう部分もあってみんな仲が良かったのかもしれませんね。
僕は(女子高生チームの中では)松林さんと演じるだけでしたので、後輩として可愛がっていただいたというところで、(細川)岳さんとか、品田誠さんと凄く話していました。

―松林さんから(役作りのために)「無視して欲しい」とお願いされたそうですが、撮影以外の場所でも徹底的に無視されたそうですね!?
だって「無視して」っていうから(笑)。カメラ前に入ってから無視するというのもよくわからないですし、カメラの外でそうする(無視する)ことでやっぱり活きてくると思うので、言われたからにはガン無視して(笑)。 

『飢えたライオン』藤川ヒロキ役・水石亜飛夢

―最初から自然に作品の世界に入り込むことができました。どんな演技をしようと思って撮影に臨んだのですか?
そうですね、役作り的なことって考えてなかったんですよ、この『飢えたライオン』に関しては。そこら辺にいる普通の人達というのが、監督の中にあって。
で、僕自身、普通の人間なのかは分からないですけど、“ヒロキはこうだから”っていうより、なるべく等身大でヒロキっていう役を演じようと思って。それと、松林さんは僕からすればお姉さんなんですけど、彼女役だったので、しっかりと心の距離を詰めたりして。
そうですね、役作りっていうよりも、自分の内面をちゃんと出して、突飛なことはしないようにしました。

―リアクションは自然なものになりますね?
自分で観ていても、あ、実生活もこんな感じなんだろうなというくらい僕は今回(役を)作らなかったので。作品によっては、リアリティラインみたいなことで、芝居の熱を込めたりとかもあると思うんですけど、今回に関してはなるべく普通に私生活に近い、ドキュメンタリーチックな質になるようにというのは心掛けました。

―最後まで瞳の味方のはずだったヒロキの気持ちとは?
瞳と喧嘩した後、ヒロキもヒロキなりにちゃんと考えて、仲直りのつもりでプレゼントを持って瞳をずっと待っていました。その後、先輩の車から降りてきた瞳の状況を(勘違いではありながらも)理解したヒロキは、ほんとに裏切られた感を抱いたと思います。ちょっとカッコつけた言い方をすれば、愛と憎しみって表裏一体的なモノなのかなとも思いました。

『飢えたライオン』藤川ヒロキ役・水石亜飛夢

―瞳に対してヒロキは本来どうするべきだったのでしょうか?
彼女ってなったら、一番信じなきゃいけない存在です。なかなか、こんな体験をしたことないですけど、やっぱり自分だけは味方であり続けたいなと思うんです。だからこそ、「これはほんとだな」と思うまでメチャクチャ問い詰めて、で、信じることができたら何とかしたいですよね。
ちょっと話はそれますけど、ヒロキを“ヒーロー”と呼ばせているんです。結局この世にヒーローなんていないということを逆に伝えているんです。

―高校生ぐらいだと、やはり問い詰めるまではいかない?
そうですね、高校生はまだ純かもしれないですね、恋に恋しているところあるから。でも、周りにいる自分の友達に彼氏・彼女ができて「自分もつくりたいな」と思って、付き合ってみることもあるだろうし、付き合っても結局本気で好きにならないで別れるカップルもいると思いますし、長続きするカップルもいると思います。一概には僕も言えないですね、人それぞれなので。
一方で、ヒロキは瞳より年上で同じ高校でもないですし、もしかしたら状況的に関係を切り易かったのかもしれないですね。同じ高校とか同じクラスとなると別かもしれませんけれど。

―水石さんが想定したヒロキの交友関係や日常生活とは?
正直あまり考えてはいなかったけど、僕的には友達がいない感じがしていて、休みの日は瞳と会って、他の日はバイトして、で、どこか空いていたら先輩に連行されて、みたいな、そこら辺のつながりだけなんだろうな、というのをすごく感じていました。
また、瞳の交友関係もそれほど知らないですし、ほんとに好きではあったんですけど、結局薄っペラだったのかもしれませんね。

―西島先輩の忠告通り、ヒロキは瞳の友達と二人で仲良さそうにしていました。
ヒロキは大学に行っていないので、女の子と知り合う機会が少ない。で、瞳ちゃんの交友関係の中で、イケメンだと言われているのは知っていました。そこで穴埋めですかね、ちゃんとヒロキも傷つきましたし、衝動的と言うかそんなに何も考えずに、さみしいなと感じていた時に、そこにチャンスというか機会があったからっていうのが僕の解釈でしたかね。

―ファンの方々には、このヒロキ役をどのように見て欲しいですか?
好感を持てる役ではないかもしれませんね。個人的な話ですが、僕がミュージカルの「テニスの王子さま」でデビューさせていただいてから、ファンの方々も沢山ついてきてくださいました。結構不良役とかはあるんですけど、僕の生々しい芝居って意外とまだ出てなくて、ドロドロしたものとかリアリティのある人間のちょっと嫌な部分を、僕を知っている方々に見せるというのは、もしかしたら『飢えたライオン』が初めてかもしれません。
僕個人としては見て欲しいな、っていう思いはありますけど、新たな一面として、俳優として見せて、どう受け取っていただくかは観ていただいた方次第ですもんね。勿論これからも色々やっていくわけですけど、そうだな、見ていただきたいは見ていただきたいですけど、確かに好印象として残る役ではないですよね(笑)

『飢えたライオン』藤川ヒロキ役・水石亜飛夢

―ヒロキは水石さんとは違って少し弱々しい青年にも見えました
そうですね、僕はデビュー当時が15才で小さかったのですが、この世界には年上のお兄さんがいて。お兄さんからすれば可愛がってくれているつもりだとは思うんですけど、でもこちらからすれば初めての芸能界で緊張もするし、そんな意味では僕もそんなメンタルが強い人間ではないので、(弱々しく見えるのも)素ですよ。
カメラ前では何も考えないでやる様にしていたので、あるシーンでは「もうちょっと歩かないと台詞が出ないけど、このままだとカメラを通り過ぎちゃう」とかありました。
クリスマスプレゼントを持っている時も、撮る前に結末を知っちゃっているからなのか、ずっと泣いていて。不思議だなと思っていて、だから今思えばですけど僕なりの等身大でやっていたのかなと思います。

―自然に涙が?
すごい泣いてるじゃん、鼻水も出ちゃうし、みたいな。
たまに、というかほんとに、役と自分が近くなった時に自分でも予期しないことが起こったりして。予期していないんで自分でも楽しくなっちゃいますよね(笑)。

―今後、挑戦してみたい役柄について
弱い部分や欠陥がある人間が、物語を通して一歩でも先に進めるような役をやりたいな、というのはずっと思っています。のび太君みたいな人間が頑張っているような、やっぱりそういうのって、観ている方にもきっと力になり易い作品ですし、やりたいです。
後はなんでしょう、“僕にしかできないよね”っていう役に巡り合いたいな。もちろん、今までやらせていただいた役については、いつも観終わった後に“やっぱりこれは運命だったな”って、どれもそう思うんですけど、“これは水石亜飛夢じゃないとできないよね”という役、そして、それに見合ったような芝居ができる役者になりたいですね。

―自殺に向かってしまう若い人に言葉をかけてあげられるとしたら
なんか、きれいごとはいくらでも言えると思うんです。結局環境がいけないので、とても難しいなって思っちゃいます。
その子がどう頑張っても、その環境って、いやもう奇跡的なことなんじゃないかな、、、「勇気を出して誰かに声をかけてみなよ」とか、もしかしたら、それさえその人にとってはその言葉がプレッシャーかもしれないし。
ですから、その環境から逃げるのがいいんじゃないかなって、戦うとかいうんじゃなくて、自分が頑張るとかじゃなくて、ほんとにもうどうしようもないって。またいろんな考えがつけば、もしかしたらその人のそういう関わる力が変わるかもしれないし、年齢とともに。
何か励ますようなメッセージではないかもしれないけど、無理をしないということ。
そうですね、だから突き詰めるところまでいってしまうのも、結局“この時代”と言う話になっちゃうと思うし、難しいですよね。

―撮影現場でのエピソードをいくつか教えてください
そうですね、西島先輩役の品田誠さんですが、品田さんの人柄を知ったら、(役とは違って)“ほんとはこんな人なんだな”となると思うので、“ほんとにいい方だな”となっていただければと。とにかく、凄くいいお兄さんで、ロッテルダム国際映画祭でもずっと二人で部屋にいたんですけど、凄い良い方、凄い好きです僕は。
それから、根岸憲一撮影監督です。現場へのこだわりがあって。その場の芝居を見て決める、絵が良いんじゃなくて、作品が繋がりをもって通るような絵にしなきゃいけない、だからカメラマンにとって「絵が素晴らしかった」というのは誉め言葉ではない。作品をほめてもらえることが一番嬉しいとおっしゃっていました。他作品で根岸さんに撮影していただいた時も、撮りながら泣いていたりしてくれているんです。「涙でカメラが見えません!」とか言ってくださって「最高だな」と。だからかもしれませんが、役者とカメラマンのメソッドは同じなんだよ。投げられた言葉とか芝居に対する反射はカメラマンも同じなんだよと。『淵に立つ』(2016年、監督:深田晃司、撮影監督:根岸憲一)みたいに、観た後に「あそこ何だったんだろうな?」とか思わず考えちゃう映画が好きです。あー、すっきりしたという感覚よりは、ザワザワするという感覚。

―映画ファンにメッセージをお願いします。
フェイクニュースが問題になっていますが、その実情を知ってもらうことも出来ると思いますし、この作品に出てくる人間の一面を見ると、きっと“あるある”と思えて、でもどういうわけかモヤッとする気持ちが残る、こんなに複雑な心境になる映画もなかなかないと思います。観た後に自分の中で反省だったり、思い直すこともできる、自分の行動や発言に責任持たないとな、とも思ってもらえるんじゃないかな。
そういうジャンルだという捉え方もできると思いますし、いつも目を背けている人間の素顔が見られるという意味ではホラーかも(笑)。とにかく凄くおススメの映画ですし、僕も大好きです。
是非、皆さん劇場に足を運んでみて下さい!!

『飢えたライオン』藤川ヒロキ役・水石亜飛夢


~編集部より~
テレビ、舞台、朗読劇、そして映画と幅広いジャンルで活躍している水石さん。そのお答えからは、水石さんの素直な気持ちを感じることができました。自分の感情を素直に言葉に置き換えようとしている姿をみていると、感情をうまくコントロールしているし、お芝居に対する並々ならぬ情熱を着々と形にしていくのだろうな、と思いました。
音楽劇で演じた「星の王子さま」の台詞を言ってくれた水石さん、司馬遼太郎氏の本が面白くて、勉強としても読んだりしたそうです。
これからも広い世界に飛びたって、皆に夢を届けてください!応援しています!!

■水石亜飛夢さんプロフィール
1月1日生まれ。神奈川県出身。
ミュージカル「テニスの王子様」2nd Seasonで俳優デビュー。主な出演作は『鋼の錬金術師』『武曲 MUKOKU』『いぬやしき』『花は咲くか』『青夏 きみに恋した30日』、ドラマ「東京ヴァンパイアホテル」など。

■映画ログにこの映画の評価・感想や水石さんへの応援メッセージを投稿しよう!

映画レビューサイト:映画ログ『飢えたライオン

■予告動画

【スタッフ】
監督・脚本・プロデューサー 緒方貴臣
撮影監督 根岸憲一
共同プロデューサー 小野川浩幸

【キャスト】
松林うらら
水石亜飛夢
筒井真理子
菅井知美
日高七海
加藤才紀子
品田誠
上原実矩
菅原大吉
小木戸利光
竹中直人

■関連ニュース
第30回東京国際映画祭『飢えたライオン』
9/15公開『飢えたライオン』緒方貴臣監督インタビュー
映画『飢えたライオン』主演・松林うららさんインタビュー

■ 配給
キャットパワー

■ コピーライト
©2017 The Hungry Lion.All Rights Reserved

■公開情報
9.15(土)より、テアトル新宿にてレイトショー!
10.13(土)より、シネ・リーブル梅田にて公開
以降全国順次公開予定

■ 公式ホームページ
http://hungrylion.paranoidkitchen.com/

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