2022年新感覚心理スリラー!女性の子宮を家に投影

女優黒沢あすか,映画親密な他人,画像

映画『親密な他人』インタビュー
(後編)

映画『親密な他人』主演・黒沢あすかさんインタビュー後編です。

前編では、中村真夕監督を唯一無二と絶賛された黒沢さん。後編では、本作の主な舞台となっている“家”について、黒沢さんも驚いた中村監督の独特な視点に迫ります。さらに、3人の息子さんに関する黒沢さんの子育てについても教えていただきました。

関連記事:女優黒沢あすかさんがざわめき立った“女”の部分とは

母性と女性の間とは?

―― 中村監督は「母性と女性の間でゆれながら生きるリアルな女性を、これからも映画の中で描きたい」とコメントを寄せています。そもそも母性と女性の間があるのか、明確に分けられているのでしょうか?

黒沢さん
私もそのフレーズを聞いて“母性と女性の間はあるのかな?”って今思いました(笑)。間があるのかどうか分からないけど、確かに両方あります。

―― お話を伺っていると、少なくとも母性は常に色んなところに存在するんですね?

黒沢さん
今は息子たちと家族5人で一緒に暮らしているんですけど、息子たちが一人ずつ家を離れたとしても、多分母性という名の何かはずっと消えずにあるんでしょうね。それは産んだということを子宮で感じられているから。やっぱり産んだ瞬間から物事が子宮なんじゃないかなって感じます。

例えば、何かのきっかけで夫にドキドキしたりワクワクしたりするのはあります。でもそれは不思議ですけど意外と継続しないです。ただ、息子たちに対しての想い、それを母性とするならばそれは産んだ時からずっと切れずに続いています。

―― 男の子はふとした瞬間に気付いたら母親の膝のところに収まっていたり、母親もギュッとしていたり、何気なくそうなっていることがありますよね、あれは何でしょう?(笑)。

黒沢さん
何でしょうね(笑)。

理由付けするなら多分“子宮”って私は思っています。

―― すべて“子宮”なのですね!

黒沢あすかさんの子育て

―― 劇中の「日本は男に甘い」という台詞は中村監督ならではの視点だと思ったのですが、黒沢さんはどのように感じましたか?

黒沢さん
スゴイ視点だなと思いました(笑)。

ただ、私の場合は基本的に息子たちに関してはドライです。中学までは本当に厳し過ぎるぐらい一つ一つの行動も言動もビシビシやりました。でも、私が教えられることは全て教えたので、高校生からは「全部自分で責任を取りなさい」と突き放しています。

ただ、時々「ん、怪しいな?行動が変だぞ…」と思ったら「どうなの?」という確認はしています。一緒に暮らしている限りは私たち親の管轄なので、大人扱いをしながら締めるところはきっちり手綱を締めています。

―― 中村監督のイメージからすると、少しレアな日本の女性かもしれないですね?

黒沢さん
だと思います。学校で色んなお母さん方とお話をすると“私はちょっと違うな”って。私もお母さん方のようになりたいって思うけど“いやぁ〜、私には無理だな”って。息子さん娘さんに対して、物凄い勢いで愛情注いでいるんだなって。

―― 熱心ですよね。

黒沢さん
熱心です、物凄く!

どうも習い事の送り迎えは当たり前らしいんです。ウチは何か自分でやると決めたら送り迎えは一切やりませんし、台風だろうと大雪だろうと、電車が途中で止まろうとも、帰って来られるところまでは自力で帰って来なさい。途中で何かあったら交番に駆け込んでSOSを頼みなさい。親を頼るのではなく、自分で考えられる限りの力を使って家に帰って来いって。

―― それが本来の愛情ですよね。生きていく力を身につけてもらいたいですから。

黒沢さん
私自身が両親からそういう教育を受けてきたので、自然とそのまんまやってしまっているのが正直なところです。それで私は芸能の世界で生きてこられたので、これがいいのではないかと。夫も同じように育てられてきたので、夫婦2人とも“それでいいねよ”って育てているんです。

でも、長男が大学に入学する時に「もっと優しくしてもらいたかった」って言われました。「えっ、どういうこと?どんな時?」って聞いたら「雨の時に迎えに来てもらいたかった。友達のお母さんはそういうことをしていた」って言うんです(笑)。「次から母さんもやるよ」って言ったら「別にそれは望んでないから言いたかっただけ。ずっと言えなかったから聞いてくれるだけでいい」って、そういう風に言われました。

“家”とは一体?

―― この作品は残虐なシーンがあるわけではないのに、ムズムズ、ドキドキ、ハラハラが止まりません。それは、家族団らんの温かいイメージがある“家”という環境の中で、“家ってこんなことに使えるの?”みたいな怖さと驚きが詰まっているからだと感じました。途中でガンガン窓を叩いてくる大家さん役の佐野史郎さんもメチャクチャ怖いです(笑)。この作品を通じて“家”についてはどんなことを感じられましたか?

映画,親密な他人,画像

黒沢さん
今、私が住んでいる地域はいわゆる新興住宅地で、私たちと同じようにどの家庭も子どもたちが成長して、最近は子供たちが外で遊ぶ姿をあまり見かけなくなりました。そうすると、朝の通勤時間はざわめくのが分かるんですけど、8~9時ぐらいになると段々朝の忙しい音がなくなってきて、昼ぐらいにはシーンとするんです。

その間に私はウォーキングやジョギングをするんですけど、家の周りや玄関を見るだけで“このお宅は家が賑やかだ”とか“居住者がいないんだな”って分かるんです。

あるいは、“家に一歩入ってしまったら中で何が行われているか一つも分からないんだ”って。それは一軒家を購入して引っ越した日から感じていたことではあります。

その私が感じていたことを、監督は“恵の子宮”という位置付けにしているんです。つまり、映画の一室は“子宮”なんです。それを監督から聞いた時に“家”をそういう目で確立させる発想も“独特だな~”って。

―― そういうことなんですね。監督は“恵の子宮”と表現されているんですね。

黒沢さん
家の中で何が行われているか分からない怖さが恵の子宮である。分からない。守られたところである。ヌクヌク出来る。おおっ、なるほど!って(笑)。

―― なるほど…中村監督恐るべしです!
最後に映画ファンに向けてメッセージをお願いします!

女優黒沢あすか,映画親密な他人,画像

黒沢さん
『親密な他人』は中村監督が思いを込めて年数をかけて作り上げた作品です。私も出演していますが、中村監督の世界観を思う存分味わっていただきたいと思います!

―― ありがとうございました!!

『親密な他人』予告映像

キャスト

黒沢あすか
神尾楓珠
上村侑
尚玄
佐野史郎
丘みつ子

監督・脚本

中村真夕

公式HP:http://www.cine.co.jp/shinmitunatanin
2021年/日本/カラー/96分   
© 2021 シグロ/Omphalos Pictures

映画,親密な他人,画像

3月5日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

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