人生の選択に迷った時におすすめの1本!ドキュメンタリー映画『木樵』宮﨑政記監督インタビュー

ドキュメンタリー映画『木樵』宮﨑政記監督インタビュー,画像

10月14日から全国順次公開中のドキュメンタリー映画『木樵』

林業不況の中でも熟練の技術と誇りを持って山の生活を続ける木樵たちに密着した本作は、自分の人生をどのように生きていくかのヒントが詰まったおすすめの1本です!

今回は、岐阜県下呂市出身で、自身も木樵である父の背中を見て育った宮﨑政記監督に制作の経緯から、本作に込めた想いを伺いました。

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ドキュメンタリー映画『木樵』宮﨑政記監督

―― 東京で映像の仕事をされていた監督が数十年ぶりに岐阜に戻ったきっかけを教えてください。

宮﨑政記監督(以下、宮﨑監督)
お袋が岐阜県の高山で一人暮らしをしていたのですが、体調が良くないということで長男の私に「戻ってこい」とラブコールがありました。当然、高山では映像の仕事が出来ないと覚悟したので、映像を捨ててお袋の介護に生活を変えました。

お袋とは何年か一緒に暮らすことが出来て、あっちに逝っちゃったんです。そうすると“俺は一体何をすればいいんだ…。やはり映画を作るしかないぞ”って。だってそれしか知らないものですから。

でも、高山で仕事として映像を作ることは不可能なので、自主制作のドキュメンタリーしかないし、それが自分にも一番合っていると思ったので映像制作に戻りました。

―― 主人公の面家一男さんとは元々面識があったのですか?

宮﨑監督
映像を始めた頃からずっと“山のドキュメンタリーを作りたい”と思っていました。高山には山で仕事をしている会社や組織が結構あります。その中の一人と巡り合い、その会社で働いていたのが面家さんでした。

現場を見ているうちに、面家さんに自分の親父の姿を見ちゃったんです。
“あっ、親父がいる…。これはいいぞ!”という流れです(笑)。

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面家一男さん

―― 撮影について面家さんに伝えた時はどんな反応でしたか?

宮﨑監督
映像を作る連中というのは結構ズルいんです(笑)。

3回お酒を飲んだのですが、2回目までは黙っていて3回目に「実は面家さん…」という形で口説いたら、面家さんも大体気付いていました(笑)。「いいですよ」と快諾していただきました。

―― 面家さんはとても優しそうな方なので、断るようなこともなさそうです(笑)。

宮﨑監督
その辺につけ込みました(笑)。

ドキュメンタリーもたくさん種類があります。

例えば、敵対する関係を撮っていく作品もありますし、震災の後のように人々へのエールを込めた作品もあります。

今回の場合は見つめる作品。山の仕事はなんだろう?木樵とはなんだろう?という本質を見つめようと思って撮っているので、まず良い人間関係を作ることを大切にしました。

友人の映画監督からは「セルフドキュメンタリーっぽいね」というような言葉をもらいました。

―― おそらく監督が山の生活や面家さんに対しての好奇心を持ちながらカメラを回しているので、観ているこちらも監督が撮影を通して感じたことを追体験しているような感覚になりました。

宮﨑監督
まさにそうなんです。今回はまっさらな状態で面家さんたちの現場へ入ることができたので、カメラに写すこと私にとっては見ることですけど、それは全て新鮮で楽しかったです。

―― ちなみに、お正月に皆さんがとっても嬉しそうな顔をしている一家団らんのシーンが私のお気に入りです。

宮﨑監督
インタビューで「林業をやったお陰で4人の子供を育てることができた」という言葉は、面家さんが一番自信を持って言ってくれました。それを見ることができたのがまさにあの正月の風景です。

俺は4人の子供を育てたという自信、木樵をやっていたから出来たんだという自信。それは凄く良いなと思いました。

ドキュメンタリー映画『木樵』宮﨑政記監督インタビュー,画像

―― この作品を観ていると人生は自分で選択することができるということを教えてくれているような気がします。そのことを考えてみたらどうですか?と問いかけられてるような気持ちになりました。

宮﨑監督
日本人の平均賃金に対して、林業従事者の賃金はかなり低いと言われています。しかし、あの面家さんたちの豊かさはなんだろう。経済的な豊かさを決して否定はしないけど、もっと大事な豊かさみたいなものをこの映画から感じていただき“豊かさって一体何だろう?”って。

それは山に限らず、都会の生活の中でも見つけられるんじゃないか。この映画を観た人が面家さんの生活からその辺を読み取り、自分自身で考えていただければ私が映画を作った価値があると思います。

ドキュメンタリー映画『木樵』宮﨑政記監督インタビュー,画像

―― 改めて、日本や日本人にとっての豊かさについて、監督はどのようにお考えですか?

宮﨑監督
この映画を試写会で観て「懐かしい」と仰ってくださる方がいました。

それはもしかすると我々は農耕文化の中で生活し、山と関わり、山の恩恵を受けながら生活してきた歴史がある。だから山に対する特別なDNAが残っているんじゃないか。そこがチクチクっと刺激されて、なんだか懐かしいのかなと思います。

そして、人は懐かしいと感じると心が安定するのだと思います。コロナやウクライナ戦争などでモヤモヤしているこの精神状態がちょっと安定する。そうすると明日を考える余裕が生まれる。そんな役割もこの映画が果たしてくれればいいですね。

ただし、日本人が生活していくためには全員が農業や林業をやる訳にいかないので、それぞれが自分に合った仕事を見つけて、なおかつ、精神的に余裕のある生き方をしてもらいたい。この映画がそのためのヒントになってくれたら嬉しいです。

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―― 最後に面家さんと過ごした中で一番印象に残っていることを教えてください。

宮﨑監督
映画の中では何度も繰り返して食事のシーンを使っています。“ご飯をあれだけ美味しそうに食べるのはとても素敵なことだな”と。しかも、ずっと食べるシーンを見ていたら上手い具合に弟子の食べ方が段々と面家さんに似てきた(笑)。

当たり前のようですが、美味しそうに食べている時が一番豊かな瞬間ですよね。

―― ありがとうございました!


映画『木樵』作品情報

語り:近藤正臣
監督・撮影・編集: 宮﨑政記
プロデューサー:益田祐美子
出演:面家一男 澤和宏 瀧根清司 他

テーマ音楽:「久遠」日景健貴 横笛:雲龍
構成協力:大宮浩一 北里宇一郎
制作協力:山田貴敏 笠原木材㈱ 岐阜県 高山市 飛騨市
配給:平成プロジェクト 宣伝:ウフル/原麻里奈 宣伝協力:博報堂

協賛:日本特殊陶業 新東通信 イオスコーポレーション ワーリンク SURROUND 山翠社 高山信用金庫 名古屋木材
製作:2021「木樵」製作委員会
©︎2021「木樵」製作委員会  カラー/81分/ビスタ/2chステレオ/日本

公式サイト:http://kikori-movie.com/

10⽉1⽇(土)CINEX、名演書劇場ほか先行公開、10月14日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開中!

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