俳優、芸能事務所代表、そして映画監督 森岡龍が映画を撮り続けるワケとは? 『北風だったり、太陽だったり』

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俳優としても活躍中の森岡龍さんの 10年ぶりの監督作『北風だったり、太陽だったり』が12月10日より、渋谷ユーロスペースにて公開予定です。

本作は、服役中の元お笑い芸人の面会に向かう、かつてのマネージャーと元相方の道中がユーモラスに描かれます。

さらに12/24からはオムニバスの新作短編『プレイヤーズ・トーク』の公開も控える森岡監督に作品へのこだわり、そしてご自身のめざす未来について伺いました。

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自分のためだけではない映画作りを

―― 前作『ニュータウンの青春』(11)から10年が経ちました。

森岡龍監督:『ニュータウンの青春』の後に、商業映画を監督する話もいくつかいただいたんですけど、それまで仲間と一緒にずっと自主映画を作ってきたので、全く知らない人たちと映画を作るということに困惑してしまったんです。

それと同時に、役者としても中途半端になってしまいたくなかったので、しばらくはいい役者になることに集中していました。その間に独立して、自分の事務所も立ち上げたので、劇中のマネージャーが独立したという設定は完全に僕自身が反映されていますね。

―― なぜこのタイミングで次回作を撮れたのでしょうか?

森岡監督:今回は自分で監督しているだけでなく、自社(森岡が代表をつとめるマイターン・エンターテイメント)で制作もしているんですね。基本的にプロデューサーも兼ねているので、自分の好きなように映画を作る体制が、少しずつ実現できるようになってきたことが大きいと思います。

今は所属している役者たちにチャンスを与えなくてはいけない立場でもあるので、自分が映画を作ることによって、みんなに演じる場を提供することができる。自分のためだけではなしに、映画を作らなければならない理由というのも、整っていったんです。

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16mmフィルムで撮影を敢行

―― メインの登場人物は元芸人コンビとそのマネージャーですが、森岡さんはかつて自分でもM-1グランプリに出場したり、『エミアビのはじまりとはじまり』(16)で芸人を演じています。

森岡監督:今回は刑務所でのシーンをエモーショナルにしたかったんですよ。そう考えたときに、元コンビの再会というのは劇的だなというところから、漫才を取り入れることにしました。

一つ決めていたのは、画的に面白いネタにしようということ。しゃべくりだけの漫才だと、映画として見るときにはやっぱりちょっとキツい。バスター・キートンみたいに、言葉の違う外国の人が見ても面白いネタにしようとは考えていたので、ティッシュを使ったり視覚的な面白さは心がけていました。

―― キャストも『ニュータウンの青春』から続投している方が多いですね。

森岡監督:(橋本)一郎君は『ニュータウンの青春』にもワンシーン出ていて、中学・高校の先輩なんです。足立(理)は同級生かつここ最近の飲み友達。飯田(芳)はアテ書きでした。飯田も『ニュータウンの青春』の後で色んな作品に呼ばれるようになったけれど、必ずしも毎回見せ場のある役がもらえるわけではない。そういう意味ではこの映画でちゃんと見せ場を作ってあげたいなという思いはありました。

―― 16mmフィルムというフォーマットを選択したのはどうしてですか?

森岡監督:フィルムで撮りたい思いはずっとあって、今回はロードムービーだし、旅をしている道中にはフィルムの質感が合っているんじゃないかと思ったんです。スーパー16mmという、16mmの中でも綺麗な規格で撮っているんですけど、ルックという意味ではこれで十分だなと。

35mmになると逆にデジタルとの差がなさすぎてしまう。でも16mmはフィルムの質感も残しつつ、鮮明な映像で、デジタルともまた違うテイストになる。しかも思いのほか現場での機動力があったんですよね。

今フィルムで撮ることは、すごくハードルの高いものだと思っていたんですけど、意外といけるなと思いました。森岡監督インタビュー,IMG_0566

ここからが始まり

―― 今月はもう一本の監督作『プレイヤーズ・トーク』も公開されます。

森岡監督:あれは自社制作ではなく、監督として請け負った企画なんですけど、「ワンシチュエーションで『コーヒー&シガレッツ』(03)みたいな」というプロデューサーの要望に沿って、業界人の話を書いて撮りました。

映画業界のコンプライアンス、パワハラ、セクハラ、ワークショップみたいな問題がちょうどホットな時期だったんですけど、他人事ではないので、自分たちはどうするかというところも含めて、ある種の風刺として詰め込みました。

―― 年明けに公開される柄本佑さんの監督作『ippo』(2023年1月7日)の一編『ムーンライト下落合』(17)には助監督として参加していますが、身の回りで同業者が映画を撮るというのも、何かしらの刺激にはなったのでしょうか。

森岡監督:佑とか、同作で一緒に助監督をやった監督の三宅(唱)君は、二十代の頃によくつるんでいた仲間なんですけど、それぞれに忙しくなってきて、不思議と会わなくなっていたんですよ。

それが今回、三宅君も『ケイコ 目を澄ませて』(12月16日)の封切りがあって、たまたま三人とも同時期に自分たちの映画を公開することになった。お互いの新作を観ることで、映画を通して会話できるのがすごく嬉しいですね。

―― 今後はどのような活動を視野に入れていますか?

森岡監督:もともと僕は北野武さんに影響を受けていて。映画の冒頭に自社のロゴが出て、いつもお馴染みの顔が出ているチーム感みたいなものには、生き方としてずっと憧れてきたので、その後を追っているといえばそうなるのかなあ。

自分で映画を作って、自分たちの仲間に出てもらうということがようやくできたので、今回は短編だったけど次は長編を撮りたいですし、ここからが始まりだと感じています。

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あらすじ

人気絶頂の最中、暴力事件を起こし、解散したお笑いコンビ「北風と太陽」。
かつてのマネージャーだった葉山(橋本一郎)は、自身の入籍を機にボケ担当で服役中の金井に結婚報告をしようとする。事件以来、疎遠だったツッコミ担当の元相方である奥貫(足立理)をなんとか連れ出し、刑務所に向かうのだったが…。

キャスト

橋本一郎 足立理 川添野愛 フジエタクマ 浦山佳樹 宮部純子 松㟢翔平 島村和秀 秋場清之 嶺豪一 遠藤雄斗

東田頼雄 高木健 北見紬 北見環 森岡龍 飯田芳

監督・脚本・編集

森岡龍

撮影:古屋幸一|照明 : 山口峰寛|監督補・録音:磯龍介|美術・スチール:上山まい
演出部:佐藤リョウ・山本敦貴・野田麗未|撮影助手:角洋介・西村嵩毅|照明助手:北川泰誠
制作・車両:鹿江莉生・東田頼雄|車両応援:高木健|カラリスト:廣瀬有紀|整音:根本飛鳥
音楽:UCARY VALENTINE|デザイン:可児優|WEB:大井健司|現像:IMAGICA
宣伝協力:MAP|配給協力:ミカタ・エンタテインメント|制作協力:SONHOUSE
企画・製作:マイターン・エンターテイメント カラー/ステレオ/ DCP / 35 分/ 2022

配給:ムービー・アクト・プロジェクト
公式HP:https://kitakazedattari.com/
© マイターン・エンターテイメント

2022年12月10日(土)より、渋谷ユーロスペースほか公開

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