『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』配給・東北新社 北丸貴子さん、宣伝プロデューサー・ 和氣道子さんインタビュー

『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』
配給・東北新社 北丸貴子さん、宣伝プロデューサー・ 和氣道子さんインタビュー

1月5日から Bunkamura ル・シネマ他全国順次公開中の映画『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』は、『ハンナとその姉妹』『サイダーハウス・ルール』で2度のアカデミー賞®を手にし、近年は『バットマン』シリーズなどで活躍する英国の大スター、マイケル・ケインがナビゲーターとなり、彼を育てた60年代のロンドンの新鮮の輝きを体感できる貴重な映像コラージュ集です。1600時間を超える映像素材を集め、6年の歳月をかけて制作された本作からは、今も不滅の影響力を持つ「スウィンギング・シティ」=ロンドンの魅力を存分に感じることができるでしょう。
今回は本作を配給している東北新社の北丸貴子さんと、宣伝プロデューサーの和氣道子さんにお話を伺いました。

階級社会が復活しているイギリス

―― 今回、このタイミングでの製作、配給の背景を教えてください。

北丸さん:製作に関しては、監督でなければ分かりませんが…元々監督の両親も労働者階級出身でしたが、60年代の革命を受けて、道を切り開いた一人だったようです。そういった60年代に起こった出来事を映像化したいと思っていたようですね。本作は莫大なアーカイブ映像が盛り込まれた部分も見どころです。例えば、ビートルズが飛行機から降りてくる映像は、誰しも見たことがあると思いますが、その場面を後ろから抜いたバンドメンバー視点の映像ですとか、好きな人でも見たことがないような映像を使って作品を作りたいと思ったそうです。
本作字幕監修のピーター・バラカンさんは、プロフェッショナルで詳しい方ですが、なかなか見られない映像が沢山ある貴重な作品だとおっしゃっていました。

―― 改めて、当時と今とで似ている部分があるとしたらどんな所でしょうか?

北丸さん:元々、イギリスには厳しい階級社会がありましたが、60年代はそこから若者が解放と自由を実現させた年代です。しかし、また階級社会が強くなっていると先日の電話インタビューで監督が語ってくれました。例えば、貧富の差という面では、日本も他人事ではなく通ずる部分もあるのかなと思います。

労働者階級から生まれたスーパースター達

―― ところで、この映画を観ていると励まされるような気持になりますが、なぜそう感じるのでしょうか?

和氣さん:ほぼリアルタイムにビートルズ、ストーンズに熱狂していましたが、彼らが言っていることが今の時代でも通じるなと思います。
マイケル・ケインが若い時は、自ら訛りがあって、ブルーカラーの労働者階級で、親もホワイトカラーではありませんでした。だから、今のような立場になれるなんて思ってなくて、その(著名な俳優になる)きっかけとなった出来事は、映画をご覧いただければ出て来ますけれど、イギリスでも実際にあったんだという“励まし”のように思うのかもしれませんね。
長年映画の仕事に携わっていますが、マイケル・ケインの表面的なプロフィールは知っていても、本作で語っているようなことは知りませんでした。ビートルズもそうですし、ストーンズもそうです。イギリスは特に階級制度が強いんだなと。
少し脱線しますが、先日観た『ボヘミアン・ラプソディ』のクイーンはかなり育ちがいいですよね。医者の子供だったり、自分たちは博士課程を出ていたり、随分違うなと。
60年代末に活躍していた人たちはほとんど労働者階級の人たちで、そこから世界中に知られるスーパースターになっている。時代背景もあってホップ、ステップ、ジャンプみたいに。マイケル・ケインもこの時代じゃなければ現在のようにはなれなかったと、映画の中で教えてくれましたね。

―― なるほど、逆境にこそチャンスありなんですね!

和氣さん:これより前の時代はそうですよね。
戦後、民主化が進められたので、日本はちょっと違ったようにも思いますが、イギリスはより階級制度が厳しかった印象です。単に新しい音楽やファッションがこの時代から生まれてきたというのではなくて、社会背景がきちんと描かれている映画だと思います。そこが楽しいだけではなく、なかなか凄い作品です。

―― 映画を通じて、社会的な背景をとてもリアルに理解することができます。

北丸さん:話は変わるのですが、STAR CHANNEL MOVIESが昨年配給したシアーシャ・ローナン主演の『追想』は、1962年が舞台でまさに労働者階級と上流階級の結婚生活を描いています。両方観ていただけると、イギリスの状況がより深く理解してもらえるかなと思います。性的なことが開放的ではなく、さらにお互いの階級の違いが影響して、初夜とはいえうまく行動ができずに結婚がたった6時間で破綻する物語です。時代がもう少し後であれば、まったく違った人生になっていたのだと思います。
※『追想』1月20日(日)夜9時からスターチャンネルで独占プレミア放送。

マイケル・ケインの魅力を語る!

―― 本作のナビゲーター兼プロデューサーのマイケル・ケインの魅力を教えてください。

和氣さん:世界的に活躍しているスーパースターですが、いわゆるシェークスピア俳優というか、舞台で活躍して世界的スターになるローレンス・オリヴィエ(『ハムレット』でアカデミー主演男優賞受賞)などとは違うタイプですね。勲章ももらっていますし、『007』シリーズにも脇役として出ていたり、『キングスマン』のような作品にも出て、ハリウッド映画にも引けを取らないイギリス映画に出演しているので、世界中に知られているんだと思います。

Michael Caine

アクション系の映画にもシリアスで地味だけれど良質な作品にも出演し、役柄が幅広いのではないでしょうか。『バットマン』や、パオロ・ソレンティーノ監督の『グランドフィナーレ』(2015・伊)にも出ていたり、いろんな所からオファーがありますよね。
『ハンナとその姉妹』『サイダーハウス・ルール』でアカデミー助演男優賞を2度受賞していて、イギリス人で2度受賞している役者さんはなかなかいないのではないでしょうか。女優さんだとジュディ・デンチやヘレン・ミレンがアカデミー賞を受賞している例はありますけど。

―― ハリウッドスターとイギリス俳優の違いや魅力を教えてください。

和氣さん:私はダニエル・デイ=ルイスとか大好きです。今、英国俳優は大人気ですよね。アイドルタイプもいるし、実力派もいます。紳士的で知的な感じに惹かれるのですかね。『キングスマン』もそういう雰囲気が他との差別化になっているんだと思います。ハリウッドは世界中から才能が集まっているので、ヒュー・ジャックマンのようなオーストラリア人でありながら、今やハリウッド映画の代表ともいえる俳優も数多くいますね。でもやっぱりイギリス俳優は、知的な感じがしますね。

北丸さん:あとは、ブリティッシュ・アクセントで喋っているのを聞くとカッコいいですよね。

―― 英国紳士を生んだ古き良き文化があったことと、当時の若者の新しい感性の爆発をどうのように理解したらよいのでしょうか?

和氣さん:世界的な波がその時代に来たのだと思います。
世界中の若い世代がムーブメントを起こし、イギリスがその先陣を切った。時代が必然的に新しい波を求めていて、タイミングが一気に来たのではないでしょうか。

北丸さん:作中でケインが、自分が最初に出演した映画に関して、イギリス人が監督だったら起用されなかったと語っていますし、アメリカ人の監督だから起用され、スターになっていったんだと。労働者階級の出身でもチャンスがあるということが、若い層に伝わって盛り上がっていったんじゃないかなと思います。

―― ツィギーのミニスカート姿もまったく古く感じないですね!

English fashion model Twiggy with a poster bearing her name and image, 1967. (Photo by Paul Popper/Popperfoto/Getty Images)

和氣さん:日本では、森永のチョコレート「小枝ちゃん」のCMに出ていて、元々彼女が細くて小枝という愛称だったので起用されたと思うんですけど、爆発的に人気が出ましたよね。
この映画に出てくるように、ボーイッシュで、中性的な感じで、ファッションはミニスカートで今観ても本当にお洒落ですよね。
流行は周っているので、今回スタイリストの方にもご覧いただいていますが、その点は皆さんおっしゃっています。

話題のポスタービジュアル裏話

―― 副題『ロンドンをぶっとばせ!』はこの映画を見事に表現しています!

和氣さん:ローリング・ストーンズの「Let’s Spend the Night Together」の邦題「夜をぶっとばせ」と関連づけたんですけれど、古い世代のイギリスをぶっとばすというか、そこから脱皮して新しいイギリスを産むんだぞと。原題『My Generation』はザ・フーの曲のタイトルでもあるし、作中にも流れているのでそのままにしようと思っていて、色々と候補が挙がる中でそうなりました。

―― 同様にプレスシートとポスターのビジュアルも斬新!

北丸さん:お陰様で劇場に置いていただいたチラシが続々となくなっていて、前売りもかなり売れている状況です。

和氣さん:プレスシートの表紙はまさにパンチでぶっとばしているようなマイケル・ケインの写真でピッタリだなと。
ポスターのビジュアルには裏ネタがあって、権利の関係で表に使えない写真が多いんです。使えるのは、顔が知られてなかったり、オジサンばっかりになっちゃう。販売物じゃなければOKということでチラシの裏はこんなビジュアルになっています。
表は使える素材で、いかにインパクトを与えるかというところからこのデザインになりました。かなり目に飛び込んでくるビジュアルになりました。

ポール・マッカートニーの秘蔵映像は必見!

―― 最後に映画ファンへのメッセージをお願いします。

和氣さん:登場する人たちは年配の方々ですが、流行って周っていて、この時のファッションや音楽、60年代末から70年代初頭の文化が今、再ブレイクしています。だからこそ、まったく古さは感じないし、むしろ今の流れを作っている。この時期のものを見ているとルーツを味わえる。
この映画の作りが秀逸なのは、今の姿を見せているのはマイケル・ケインだけで、ほとんどが当時の映像に現在インタビューした声を被せていることです。最初見た時には、どうかな?と思ったんですけれど、何度か見ると違和感がなくなりました。監督に聞いたところ、今の姿ももちろん映像として撮っているんだけれど、当時の映像だけを残したと明かしてくれました。そういう手法ってあったのかもしれないけれど、意外になかったのかなと。他のドキュメンタリー映像を見ると、大抵は往年のスターの今の姿が映し出されてがっかり。ポール・マッカートニーみたいにずっと現役で活躍していればその姿を私たちも知っているのですがね。その構成というかアイディアは秀逸だなと。
それから、バラカンさんいわく、編集、つまり音楽の使い所とインタビューのQ&Aの編集が凄くいい。社会背景についてインタビューしている時に使われている曲だとか。それは試写の時にも、専門家の方ほど編集が秀逸だと。鑑賞後にウキウキ歌いながら、最高だよ!なんて声もいただいているんです。

北丸さん:最近、音楽映画が流行っていますけど、映画館の音響で聴くことにも意義がある。制作陣も言及していて今世界中にある恐らく一番音響が良い施設のひとつである映画館で素晴らしい音楽を共有体験として聴かせたかったと。
あとはポール・マッカートニーのインタビューで「君が聞くから答えるんだよ」とマスコミを皮肉るシーンがあって、あんな映像が残っているんだと驚きでした。そういう貴重な小ネタも散りばめられているのも楽しめると思います。
公開に合わせてスターチャンネルでは、マイケル・ケイン主演の『アルフィー』(1966年)を1月11日(日)の朝6時45分から放送、日本未公開かつソフト化もされていないドキュメンタリー映画『ビートルズVSストーンズ』(2015年・仏)を1月19日(土)の午前10時45分から放送します。マネージャーへのインタビューなどから、ヒットの裏側で大人たちがどういうマーケティングで売りだしていたのかや、売り出し方の違いなどが分かる貴重な未公開作品ですので、是非合わせてチェックしてください。

※スターチャンネルは東北新社グループの映画エンターテイメントサービスで、海外の人気映画やドラマを24時間放送しています。

映画『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』は、1月5日より Bunkamura ル・シネマ他全国順次公開中!

編集部より

音楽を取り上げた映画の面白さは、大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』で体験している方も多いと思います。この『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』では、当時の音楽と“その世代”を鷲掴みにして、今の私たちとを結び付けてくれる魅力にあふれています。
現代の映画館が進化したからこそ楽しめる部分も相まって、音楽好きにはたまらない一作となるに違いありません。また、イギリスという国の素顔と対峙した時に感じる現実と幻想のギャップにも新しい発見があるでしょう。
映画ファンの皆さん、是非、映画館に足を運んで観てみてください!!

予告動画





配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
コピーライト:© Raymi Hero Productions 2017
公式HP:https://mygeneration-movie.jp/

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