1.19(土)公開 『かぞくわり』 塩崎祥平監督インタビュー・前編

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1.19(土)公開 『かぞくわり』
塩崎祥平監督インタビュー・前編
元宝塚・陽月華演じる主人公・香奈はインパクト抜群!

民俗学者・折口信夫の「死者の書」から着想を得た映画『かぞくわり』が、1月19日(土)より有楽町スバル座、TOHOシネマズ橿原ほか全国順次公開となります。本作は、日本最古の古都・奈良を舞台に崩壊した家族の行く末をユーモラスなタッチで描き、今日の日本において”守るべきもの”という普遍的なテーマに向き合った意欲作です。
主人公の香奈を演じるのは、元宝塚歌劇団宙組でトップ娘役を務め、退団後は『駆込み女と駆出し男』『チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話』等に出演し、2019年には『二階堂家物語』『あの日のオルガン』が公開待機している大注目女優・陽月華。さらに『アウトレイジ』シリーズ・『サバイバルファミリー』の小日向文世、『男はつらいよ』シリーズ・『聖の青春』の竹下景子といった名優コンビが香奈の両親役で脇を固めています。
今回は、地元・奈良で精力的に映画製作活動をしており、前作『茜色の約束』で関西の動員2万人以上というヒットを飛ばした新鋭・塩崎祥平監督にたっぷりとお話を伺いました。

家族から「変な子」と言われていた中将姫

―― 稲穂や蓮の花などがゆっくりと見渡せるシーンは非常に印象的です。

塩崎監督:そう言っていっていただけると嬉しいですね。あそこのお寺で1,400年、当時からそのまま残っていて全く変わっていないところが沢山あって。そういう物、いわゆる本物なのでずっと残っているものを映像で出せればいいなと思っていたので。

―― きれいな「曼荼羅」も映像に出てきますね。そもそも曼荼羅とは“真理”を表現しているものだと思いますが、この作品では、家族というありがたさ、その意味を追求するという点で、意味を被らせていたようにも感じましたが?

映画『かぞくわり』

塩崎監督:そうですね。あの曼荼羅も、中将姫の話も1,000年ぐらいずっとあるものです。
それがそれだけ残るということ、国宝になっているような本物を作り出すためには、そこには作り手としての一つの在り方、つまり作り手を支える人達、その中で一番身近で、最小限で、一番近い人達というのは、家族だと思います。
物作りをやる上で、家族って、いないにしても、少ないにしても、その人間が存在しているということは、何かしら確実に家族はいてるわけで、その在り方はもの凄く大切だということです。
中将姫(ちゅうじょうひめ:747年~775年)自身は、家族からは「変な子だ」と言われていました。

―― 中将姫は継母からいじめられたのですよね?

塩崎監督:いじめられるし、その当時、女性は読書も出来ませんでしたから、写経なんてもってのほかみたいな。そういう時代にそれ(読み書き)ばっかりやっている。この娘、おかしいんじゃないか、といった感じでしょうか。だから、彼女的にも自分の家族の存在みたいなものは影響していたと思います。
それに対する相手役の大津皇子(おおつのみこ:663年~686年)においては、ゴタゴタに巻き込まれて、怒り狂っているというようなところにも、背景には家族があるわけです。

元宝塚・陽月華演じる主人公・香奈はインパクト抜群!

―― 気になる出だしのシーンについてお聞きします。図書館で、職員である主人公の香奈(陽月華)と本を借りに来た家族との“やりとり”がありますが、現実にああいう人(職員の態度)っているよね~って思いました(笑)

塩崎監督:いっぱいいますよね!(笑)
映画『かぞくわり』塩崎祥平監督

―― かなり杓子定規な受け答えをする職員になってます(笑)。彼女のわがままや変人ぶりを、周りが受け止めてくれているということでしょうか?

塩崎監督:受け止めているというか、仕方ないと。
何も問題が起こらないように、ただ単に生きてくことが一番なんだ、と淡々と生活している。その中で、(変わり者の主人公が)社会に無理やり順応するには、ああいう形になってしまったということです。それに対してどこに問題があるの?みたいなことだと思うので。

―― 後片付けもなく、仕事をほったらかしにして、5時きっかりに帰宅しますよね?

塩崎監督:そうですね(笑)

―― そういったこと一つとっても、家族としての在り方が反映しているということですね。家族の中で変わり者として扱われていると、やはり外の世界でも変わり者として存在すると?

塩崎監督:だからああいう形になっちゃう。要は平和ボケですよね。とりあえず形にはまっていれば、とりあえずなんか生きていけるという社会の中で、考えなくていい、考えることは辛いからそのまま育っていればいいんだ、というような。
極端な感じかもしれないですけど、実際に客観的に見てるとああいう人って結構いてるよね、っていう風になるんです。(笑)

―― 映画の出だしなので気持ちに残ったのかも知れませんが、とはいえ、ここはやっぱり気持ちに引っかかりました

塩崎監督:嬉しいですね。そもそも、一番初めは、完全に“引きこもりの子”っていうことで描いてたんですよ。でも、まぁ、“引きこもり”ってなっちゃうと、そういう子だっていう観点から見てしまうので、さっきおっしゃってもらったように、こういう人がいてるっていう、香奈自身もなんか普通に生きていると、社会に順応して、とりあえず生きてます、みたいなのを出すには、彼女にも仕事を与えて進んでいく方が、リアリティが見えるんじゃないかと。その方が、後半に向けて、彼女自身の感情も見ていけるんじゃないかなという風に思って、後からなんかの仕事を!ていって付けたんです。

映画『かぞくわり』陽月華




父親役・小日向文世の言葉で成就

―― 母親(妻)から「あんたが絵なんか(香奈に)教えるからこんなことになるのよ!」と言われて、お父さんも困惑したと思います。

塩崎監督:それ(絵)をやればやるほど彼女は死んでしまうかもしれないという恐怖が、そんなことは絶対に親としては到底受け入れられるものじゃない。生きて欲しいという大前提だから、それはそこにも優しさがあるんだけれど、非常に辛いところでしょう。
お父さん(堂下健一郎)役だった小日向文世さんとも、役についてはかなり話はしているんです。最初の段階からの脚本も見てもらっている中では、お父さん自身は香奈のことを最終的に受け入れるか、受け入れないかとか。

映画『かぞくわり』小日向文世

最後の方のシーンで香奈が下した決断とその結末を健一郎は受け入れられないだろうって言って。ある程度台本が固まる時までは、彼女の結末を父親は受け入れているような感じだったんです。だけど、それは皆さんとも話をして、ここは最後の最後まで父親の願いを貫いた方がいいって話をして、脚本を書き換えたんです。
そうやって普段からも話をしていたので、ラストシーンでは、一家団欒の中で、父親があのように香奈に言及する形になったんです。

―― ところで、こうした家族との関わり方の中で個性が芽生えてきたり、絆が培われていくものであれば、輪廻した中将姫ではない香奈自身がそこには居たのだと思います。香奈の個性について、どのように考えたらいいのでしょうか?

塩崎監督:香奈は、当然自分のことは中将姫だっていうことは、全然思ってもいてないわけです。
映画の中の彼女の台詞とかに反映させているんですけど、とにかく自分は変であるというか、そういうものを変であると思わないと生きていけないというか、自分の見ている物だったり、存在の在り方としても、実はいてないんだみたいな。
それを一回思ってしまったら、生きていくのが、存在していること自体が苦しい。苦しいからこそ、もうある時を境に淡々と生きていくことをしないといけなくなる。社会に順応するために仕方なく絵も描いている、描かないとおかしくなっちゃうから。
だから、なんかこうひたすら生きる事、淡々と生きることはいかに難しいか。

―― 香奈の存在という意味では、むしろ否定されているところから始まって、それが絵が縁となって、謎めいた青年と出会って自分の心が動き始めたということですね。

塩崎監督:彼が、絵を描いていいって、言ってくれること。今まではそれはやってはいけない事と思い込んでいた。そう思う事で逆に生きていくことが出来ると思っていたから、絵も辞めていたんですけど。
人から初めて、これは素敵だからもっとやるべきだ、やっていいって言われる。
あなたの絵を見ていたら心が安らぐみたいなこと言われたことは初めてで、それでふわっとした顔をする。
やっていいって言われることの嬉しさみたいなのは、彼女自身が欲しかったこと、必要だったこと。家族からは否定されていたけど、それが一番欲しかったこと。
だから最後にお父さんが「いいアトリエだね、今から何したい?」って言ったら、「絵を描きたい」それで、そうしようぜっていうことで、それで彼女自身の想いもめちゃくちゃ成就したわけです。

―― 家族の物語でもあり、自分で自分の事を認める、一人の人物が目覚めていくといったストーリーも根底に流れているということですね。

塩崎監督:はい、“それをやりたかったんだ、とりあえずやってみるか”みたいな、“やっていいよ!”と言われることの嬉しさは誰にでもあるはずなので。

映画『かぞくわり』塩崎祥平監督


塩崎祥平監督インタビュー・後編





予告動画

『かぞくわり』
配給:日本出版販売株式会社
©2018かぞくわりLLP
2019年1月19日(土) 有楽町スバル座・TOHOシネマズ橿原ほか全国順次公開

■あらすじ
堂下香奈、38歳。画家になる夢を挫折し、両親の元で無気力な生活を送っていた。だが、妹の暁美と娘の樹月が家に住み着き、香奈を軽蔑したことで堂下家の生活が一変する。家に居づらくなった香奈は神秘的な男性と出会い、ふたたび絵を描くようになった。絵に没頭するようになり、香奈が内に秘めていた魂が目覚める時、家族、そして奈良の街に危機が降り掛かる——。


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