子供の立場から伝えたいこと。映画『こどもしょくどう』藤本哉汰さん、鈴木梨央さん

映画『こどもしょくどう』藤本哉汰 ふじもとかなた 鈴木梨央

子供の立場から伝えたいこと。
3//23公開 映画『こどもしょくどう』
藤本哉汰さん、鈴木梨央さんインタビュー

3月23日から岩波ホールほか全国順次ロードショーとなる映画『こどもしょくどう』は、豊かに見える今の日本社会のひずみを受け、満足な食事をとることのできない子ども達の姿を、同じ子どもの視点から描いたとても素敵な作品です。

今回は、食堂を営む両親と妹と健やかな日々を過ごしていた小学5年生の高野ユウト役の藤本哉汰さん、河原で父親と車中生活をしている姉妹の姉ミチル役の鈴木梨央さん、ダブル主演のお二人に撮影時のユウトとミチルの気持ち、そして公開を控えた哉汰さんと梨央さんの“今”の大切な気持ちを真っ直ぐにお話していただきました。

―― まず、車中生活をしているミチルを見つけました。心配になったユウトは両親にも状況を伝えますが、何日たってもミチルの置かれた状況は変わりません。この時のユウトの気持ちを教えてください。

映画『こどもしょくどう』藤本哉汰 ふじもとかなた

高野ユウト役の藤本哉汰(ふじもと・かなた)さん

藤本哉汰(ふじもとかなた)さん
普通の考え方かもしれませんが、僕としては“多分子供の言っていることだから、そんなに(両親は自分のことを)あてにしていない”というか“(ミチルとヒカルは)どうなるの?”って思っているけれども、ユウトは本当はミチルとヒカルを助けたいんだなということが段々と伝わってきました。最終的にユウトは爆発するのですが、その時は“ミチルやヒカルのことをどう助けたらいいのか?”そういうことを強く思っていたんじゃないかなって思います。

―― 子供の時ってなかなか言葉できちんと伝えることができなかったりしますよね。やっぱり、分かって欲しいのに分かってくれないじれったさを感じたということですね。

藤本哉汰さん
そうですね。

―― 子供の立場でもミチルの様な子供を助けるためには、色んなことを学ばなければいけないってことでしょうか?

藤本哉汰さん
そうですね、ユウトじゃなくて、僕目線というか。ニュースとかでは聞いたんですけど、子供食堂のことをこの台本が渡されるまで詳しくは知らなくて、いろいろと調べました。

―― 凄い!調べたんですね。
一方で、鈴木梨央さんはミチルを演じられました。お母さんもお父さんも、ミチルのそばにはいてくれません。会いたくても会えないという状況でミチルはどんな気持ちだったのでしょうか?

映画『こどもしょくどう』鈴木梨央

ミチル役の鈴木梨央(すずき・りお)さん

鈴木梨央さん
そうですね、ミチルを演じている上で感じたのは、やっぱりミチルは両親に会いたいという思いが強くて、ずっと(両親を)待っているわけです。こんな苦しい車中生活、苦しい状況の中でも、多分お母さんに会えるからって待ち続けているミチルの気持ちを考えると、すごく胸が痛くなりました。実際演じていて、苦しくなる時がありました。でも、最終的にはユウトたちに救われるんですけど、私も撮影中はしっかりミチルを演じて、この映画を見てくださる方にちゃんとお伝えできればなと思いました。

―― 車の中で頭を抱えながら、車中生活の現実に押し潰されそうになっていましたよね?

こどもしょくどう

鈴木梨央さん
そうですね、ミチルがどうしてああなっちゃったかっていうと、両親との思い出を回想するシーンにもあったように、以前は幸せな生活を送っていた、それが今となっては車中生活という苦しい状況の中にいる。ミチルの中でフラッシュバックしてお母さんとの楽しい思い出やお母さんの声とかを思い出したら、辛くなってきちゃって駆け出したくなっちゃうところだったんです。

―― なるほど、フラッシュバックで思い出し、今の生活とのギャップに耐えられなくなってしまった?

鈴木梨央さん
はい、それでやっぱりお母さんに会いたい…。雨の中を撮影したのを鮮明に覚えています。

―― 気持ちが伝わってくる雨の中のシーンでしたが、撮影中は寒かったですか?

映画『こどもしょくどう』鈴木梨央

鈴木梨央さん
(撮影時期が)秋でしたので、もう寒かったです。
それと、あのシーンも台本上では、泣きながらっていうのは書いていなかったんですけど、感情的に高ぶってしまって。

―― そうだったんですね、観ている側としても耐えられないシーンでした。
あとタカシ役の浅川蓮(あさかわ れん)君、あの役柄の雰囲気、空気感をかもし出す演技力は凄いなって思ったんです。演技について哉汰さんは蓮君と会話等したのですか?

藤本哉汰さん
タカシという役が割と自由な感じなんですよね。僕はこうやる(から蓮君はこうして)とかあんまり話していなくて、自然にやりやすかったです。

―― 素なんですね(笑)一方で、古川凛(ふるかわ りん)ちゃん演じるヒカルは、幼くてまだ現実がうまく飲み込めないといったミチルの妹でした。辛いことを聞くことになってしまうんですが、そんな状況に置かれた妹を姉としてどうしてあげようと思いましたか?プラス面とマイナス面の両方の話を率直に聞かせていただけますか?

鈴木梨央さん
ミチルから考えてみると、妹のことだし、二人しかいない姉妹なのでそれは守ってあげたい気持ちも強いと思うんです。それが、いざ自分の心が乱れてミチルも死にたいと思ったりとか苦しいと思ったりとかした時は、多分妹のことなんか考えずに自分が孤独だっていうことにしか目が行ってなかったかなっていう風に思います。

―― 子供なのに精神的に追い込まれていくから仕方ないですよね。
ところで、ユウトの家でミチル姉妹、タカシと一緒にハンバーグとかご飯を食べるシーンがありますね。その時どんな気持ちでしたか?

藤本哉汰さん
実際にはとてもおいしかったんです。でもユウト目線ではいつも口にしているというか食べているものって、ユウトよりもミチルやヒカルに食べさせたいっていう気持ちの方が強くて、おいしいはおいしいけど、喜んでくれるかな?みたいな、そんな感じなのかなって。

映画『こどもしょくどう』藤本哉汰 ふじもとかなた 鈴木梨央

映画『こどもしょくどう』藤本哉汰 ふじもとかなた 鈴木梨央

鈴木梨央さん
実際に私が日常生活で普段目にしているご飯とかお味噌汁だったり温かいご飯とか普通に食べているけれども、ミチルとして考えてみたら、その光景はすごく新鮮なものだと思うし、やっぱり温かいご飯とかお味噌汁、あとは優しい言葉とかその一つ一つがミチルにとってすごく心に響くんだなって思いました。実際食べたのはおいしかったんですけど、ミチルの目線からすると込み上げてくるものがありました。

―― 幸せな生活を送っていたのに、車で生活するようになった。今はとてもお腹が空いていておいしい料理が出てきたら、途中でミチルが泣きだすのかと思いました。そういう思いになったわけですよね?

鈴木梨央さん
はい、ありました。それと、ミチルは人に伝えることがあまりできない子なので、本当は有難うって言いたいけど言えない、そんな表情の表し方だったりとか、心の中でのセリフは多分たくさんあったと思います。その心の中のセリフを表情にして表すのが結構難しかったです。

―― そうですよね、そこは伝わってきましたし、表現は難しいだろうなと思っていました。それでもって、タカシ君はあんまり喋んないしね?(笑)

映画『こどもしょくどう』鈴木梨央

鈴木梨央さん
(笑)「虹の雲」(を追いかけようとした時)の時は結構しゃべっていたんですけどね。




―― ところで、終盤のシーンになりますがユウトはどんな気持ちでミチルとヒカルと別れたのでしょうか?

藤本哉汰さん
そうですね、大人に助けを求めたとしても、二人がそんな幸せになるわけじゃないですし、それだったら自分たちでやった方がいいって思っているんです。それ以外にも、ミチルとヒカルには“お母さんに会わせることができなくてごめんね”みたいなそういう気持ちとかいろいろな気持ちが込み上げてきました。

―― やっぱり優しいもんね、ユウトは。一方で、ミチルは周囲に助けを求めようとしたらできたんだけど、そこはどういう気持ちだったんだろう?

こどもしょくどう

鈴木梨央さん
ミチルは時には助けを求める時もあるんですけど、お母さんに会いたい、やっぱりお母さんが会いに来てくれるって気持ちが強かった。だから、最初にユウトたちが来ても拒否をして自分たちの邪魔しないでって思っていて、最初は助けを求めていなかったのかなと思います。でも、やっぱり自分の心もだんだん乱れてきて、お母さんもずっと会いに来てくれないし。その時、ユウトたちがちょっと助けてくれて、自分もユウトたちに心を許していくという気持ちの変化がミチルにはあったなって思います。

―― 助けを求めてしまえば、お母さんがもう戻って来ないということを認めてしまうことになるから、という気持ちもあったんですね。

鈴木梨央さん
ミチルにはあったと思います。

―― そこまで心が葛藤してしまうのですね。
それから、ユウトはヒカルのお父さんを見かけました。それを見てどう思いましたか?

藤本哉汰さん
ミチルとヒカルのことを見捨てたというか…、大人って駄目だなとか自己中だなって気持ちもあったのかなって思います。
そうですね、情けない、、、ですね。

―― そうですよね。
ところで、現実の世界にミチルのような子供や友達がいたら、梨央さんだったらどうしますか?

鈴木梨央さん
実際にそういう友達とかが身近にいたら、もちろんその子のことを助けたいっていう気持ちはあるんですけど、今の考えでは本当にその子を目の当たりにしてみたら、“すぐには”助けようっていう気持ちにならないかなって、自分では思うんです。助けるっていう気持ちの前に、“話しかけてみようかな”って思います。助けたいっていう気持ちもあるんですけど、それよりも前にどういう状況なのか知りたいですし、その子と話したりとかしてみようかなとか思います。

―― そこから何かできることがあれば、、、

鈴木梨央さん
私も勇気を持って関わってみたいです。

―― 藤本さんには別の質問になりますが、この映画を通じて色々経験したと思うのですが、どんな大人になりたいと思いますか?

藤本哉汰さん
この作品を通してミチルやヒカルのお父さんみたいに見捨てたりっていうか、そういうことは絶対にしたくないですね。自分でこういう人嫌だなっていうのがあったりするんですけど、そういう人を見習ったりするのはしたくないかなって。

―― 終盤ですが、タカシに心の変化が起きました。そのタカシにユウトが大声で叫びますよね?これはユウトの心にも“見て見ぬフリをするような大人にはなりたくない”っていう変化が起きたということですよね?

映画『こどもしょくどう』藤本哉汰 ふじもとかなた

藤本哉汰さん
そうですね、ユウトは周囲にいる子を見て“この子大丈夫なのかな?”とか気付いたりする子なんですけれど、僕もこの作品を通して、学校でもそういう目で周りを見てみたりとか“この子ずっと独りでいるけどどうしたのかな?”って感じる時に、少しですけど話かけられるようになりました。

―― ありがとうございます。
梨央さん、ところでミチルは今後どんな大人になっていくのでしょうか?

鈴木梨央さん
ミチルとヒカルには終わりがないじゃないですか。物語上の結末は結末としてあるんですけど、その先二人がどうなるのか(二人に何が起こるのか)っていう意味では、(まだまだいろんな出来事が起こると思うので)先は見えないと思います。
でも、私が考えるにはやっぱりミチルは芯の強い大人になっていればなって思いますね。このミチルって役は、すごい芯はしっかりしている女の子だなって思ったんです。頑固な時は頑固だし、自分の思っていることをうまく伝えられなかったとしても、心の中ではミチルっていうキャラクターを強く持っていたような気がして、大人になるにつれてミチルはしっかりした芯の強い女性になっているんだろうなって自分では思います。

―― 有難うございます、よく分かりました。改めてお聞きしますが「子ども食堂」が果たす役割って何だと思いますか?

映画『こどもしょくどう』鈴木梨央

鈴木梨央さん
「子ども食堂」っていう場所では、生活に困っていたりとか虐待を受けている子たちがそこに通っていたり、行く場所だと思っていたんですけど、見方を変えてみれば、その地域の人たちが温かいご飯を出してコミュニケーションをとったり、子供と楽しい会話をしたりしてコミュニケーションの場としても使われているんだなって、素敵だなって思いました。

―― そこにユウトみたいな子がいたら、とても楽しいんでしょうね。哉汰さんの目線から見た「子ども食堂」ってどうですか?

藤本哉汰さん
僕も同じような感じで、食事を食べれない子たちを食べさせてくれるような場所なんですけど、それは一人で行けないと思うので、そこで周りにいる子たちとかが誘ったりして一緒にどう?って言ってあげたりして、少しでもそういう子たちが食事をとれるようになって気を遣っていくというか、そういうのがいいと思います。

―― 最後に映画ファンに向けてメッセージをお願いします

映画『こどもしょくどう』藤本哉汰 ふじもとかなた

藤本哉汰さん
この映画はとても考えさせられる映画なんですけど、こういう貧困問題っていうのは身近に結構あるもので、でもこの「子ども食堂」っていう活動があることはあまり知られていないと思うので、できるだけ多くの方々に見てもらいたいと思っています。
見てみぬ振りをするのではなく関わっていくことの勇気、何かを少しでも変えたい、相手だけでなく、自分も!!いろいろな人達に問題を投げかける映画だと思います。是非劇場で見ていただけたら嬉しいです。

映画『こどもしょくどう』鈴木梨央

鈴木梨央さん
私は「子ども食堂」のことをあまり知らない同世代の人たちにもそうですし、沢山の人に見て欲しいなって思います。この映画を見ることによって、きっと考え方が変わると思うし、あとは生活に苦しんでいる子とか食べ物に困っている子がこの現実の世界でも沢山いるんだってことを、やっぱり同世代の人たちに知って欲しいです。普段、自分が当たり前にご飯を食べたり綺麗な服を着たりとか、そういう生活ができているのが当たり前って思って欲しくなくて、幸せなことなんだなってことを同世代の人たちに分かって欲しいです。それでこの映画を観た後に、家族の人たちとみんなで話し合って、可哀想だなってだけじゃなくて、何か自分にできることはないか考えて、勇気を持って行動に移してくれたら嬉しいです。

編集部より

不遇な境遇に置かれている子供には現実を受け入れるだけの逞しさが備わっておらず、その子に手を差し伸べようとする子供には、乗り越えさせるだけの術がない。不安に押しつぶされ、声なき声は爆発するしかないだろう。
しかも「大人たち」の解決策は機械的で冷徹なものだと見抜かれているわけだ。
だが「食べる」というありふれた日常の営みとその空間には、そんな子供たちでもホッと安心できる世界が広がっている。
あらゆる意味での貧困が形を変えて忍び寄る現代においても、まず食べようではないか、ということだ。
藤本哉汰さんと鈴木梨央さんのお二人が、優しい常盤貴子さんと吉岡秀隆さん演じる両親の愛情が生み出した日常こそが「虹の雲」なのだと教えてくれました。
俳優として人間として、藤本さんと鈴木さんお二人のこれからの成長が楽しみです!応援しています!!

映画『こどもしょくどう』は
2019年3月23日(土)より岩波ホール2週間先行ロードショー、ほか全国順次ロードショー

■予告動画

■キャスト
藤本哉汰
鈴木梨央
浅川蓮
古川凛
田中千空
降谷建志
石田ひかり
常盤貴子
吉岡秀隆

■スタッフ
【監督】
日向寺太郎
【原作】
足立紳
【脚本】
足立紳
山口智之
【撮影】
鈴木達夫
【照明】
三上日出志
【美術】
丸山裕司
【録音】
橋本泰夫
【編集】
川島章正
【音楽】
Castle in the Air(谷川公子+渡辺香津美)
【主題歌】
「こどもしょくどう」作詞/俵万智
作曲/谷川公子  編曲・演奏/Castle in the Air
【製作】
パル企画/コピーライツファクトリー/バップ
【配給】
パル企画

■公式サイト
https://kodomoshokudo.pal-ep.com/

■コピーライト
(C)2018「こどもしょくどう」製作委員会





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