第30回東京学生映画祭

学生映画にのぼせよう!
第30回東京学生映画祭の見所を実行委員に直撃!

8月3日(土)、4日(日)に開催される第30回東京学生映画祭。実行委員として、上映作品の選定や映画祭の宣伝に奔走している小倉さん大石さん浅野さんに選定のポイントや今年の映画祭の見所を教えていただきました。

【3人の紹介】
小倉さん:大学4年生。年間500本以上の映画を鑑賞。好きな映画、岩井俊二監督の『リップヴァンウィンクルの花嫁』を卒論テーマに選定。

大石さん:美大の映像学科に在籍する3年生。授業で出会った『ベニスに死す』が最高!追いかけるシーン、そしてエンディング…。

浅野さん:この春から大学に進学した1年生。映画に興味があったことに加え、他大学との交流を求め参加。好きな映画はインド映画の傑作『きっと、うまくいく』。

第30回東京学生映画祭

実行委員の大石さん(左)と浅野さん(右)

【インタビュー】

―― まず、今回のキャッチコピー「のぼせる。」に込めた、皆さんの想いをお聞かせいただけますか?

小倉さん
今回は、1年ぶりに渋谷での開催ということや、8月3日、4日と真夏に行われるので“のぼせるほど熱い夏を、みんなに届けよう!”ということで決まりました。

大石さん
そうです「映画にのぼせる!」です。

―― 16作品がノミネートされていて、色々な視点から良作を選ばれていると思うのですが、選定に当たっての基準を教えていただけますでしょうか。

TSFF30th_入選作品collage,画像

小倉さん
応募していただいた作品数が多かったし、メンバーが20名近くいることで好きな映画がそれぞれでわかれるんです。誰かが推している作品が、他のメンバーからすればあまり好みではなかったり。映画に対する知識が深く、画角や撮り方といった手法にまで詳しいメンバーもいれば、雰囲気を大事に捉えるメンバーもいました。
もちろん審査基準はあったのですが、とにかくバラエティー豊かにしたいこと、加えて2日間を通して映画を全部観てくださる方々にとっては「テイストが似ていない方がいいよね」といったことを重視して取り纏めていきました。つまり、普段だったら出会えないような映画、例えば、バイオレンス系が好きな人がラブストーリーに出会えたり、ラブストーリーしか観ない人がドキュメンタリーに出会えたり。そういう偶然性みたいなものを凄く大切にしたいと思ったので、16作品がかなりバラエティー豊かに選ばれていると思います。
最後まで悩んだ作品もあったのですが、決め手はやっぱり私たちがこの映画を応援したいと思うかどうかということです。東京学生映画祭を通っていく以上、次世代の小泉徳宏監督(『タイヨウのうた』)、月川翔監督(『君の膵臓をたべたい』)、青山真治監督(『EUREKA』)、中村義洋監督(『アヒルと鴨のコインロッカー』)…、そういった先人監督達のようにここから羽ばたいて行って欲しい。そういう意味でも、本当に応援したいかどうか、それが最後の基準でした

―― 100点満点のようなご回答をいただいた感じですが、選定の中で難しかったことや悩んだことについても教えていただけますか。

小倉さん
メンバーの個性が強く、それぞれ強く推したい作品があるので、セレクションについては何度も話し合いました。ご応募頂いたどの作品も面白かったのですが、「もともとの映画ファン」への想いだけじゃなくて、「映画を普段はあまり観ない人」にも届くようなセレクションにしたかったというのも一つ悩んだポイントだったと思います。

―― そういう意味では、映画祭で出会った映画がきっかけで映画そのものを好きになってもらえると嬉しいですよね。大石さんと浅野さんは応援したい作品に出会えましたか?

大石さん

ワンダラー,画像

『ワンダラー』8/4上映

小林瑛美監督(映画美学校)の『ワンダラー』が凄く好きです。

浅野さん

つやこ81歳,画像

『ツヤ子81歳』8/3上映

中川楓子監督(武蔵野美術大学)の『ツヤ子81歳』です。自分がアテンドを担当しているCプログラムの作品で、上映作品の中では唯一のドキュメンタリー映画です。監督とお話させていただく機会もあったので、直に家族の絆を感じていますし、思い入りがあるというか、応援したい作品の一つです。

―― 『ツヤ子81歳』と伺うと、先日映画ログで取材をした『99歳 母と暮らせば』を思い出しました。監督のお母様が認知症を患っていて、その介護をするドキュメンタリーなのですが、介護の手法が過酷ではないといいますか、人として接することの大切さが映画から伝わってくるようなジーンとくる、楽しい作品でした。

小倉さん
『ツヤ子81歳』をプッシュしていた委員が、「老人を学生が描く場合、認知症や介護をテーマにすることが多いなか、ツヤ子さんはそういう描き方が全くされていないところが魅力」と言っていました。本当にありのままの等身大のツヤ子さんが描かれている、そんな点が非常に新しく感じて、選出した作品です。

―― さらにいくつかイチオシの作品をご紹介いただけますでしょうか。

浅野さん

moondust,画像

『moondust』8/3上映

では、『ツヤ子81歳』と同様に私が担当している『moondust』をご紹介させてください!作品全体を通して芸術的というか美的というか、Instagramで流行っているインスタ映えのような、凄くカラフルで綺麗な感じがズーッと続いていきます。その中で、フランス映画に出てくるようなオシャレな音楽や雰囲気を楽しめる、一つ一つの描写が洗練されている映画だと思います。

第30回東京学生映画祭

―― それも観てみたいですね。「moondust」(ムーンダスト)という言葉はあまり聞きなれないですが、きっとタイトルにも監督のこだわりがあるのでしょうか。

小倉さん
「moondust」ってお花の名前で、花言葉が「永遠の愛」だそうです。

―― そうすると、男女の愛を描いた感じですかね?

小倉さん

『moondust』霧道百桃監督

霧道百桃監督

この作品の霧道百桃監督(きりみちもも・日本大学芸術学部)も非常にこだわりが強い監督です。
あらすじは、花を食べる主人公のエルさんが、体験していく恋や友情が現実なのか夢なのか判らないといったところをずっと描いていく30分弱の作品です。アバンタイトルがすごく素敵で、私的にはフランス映画の『アンダルシアの犬』みたいなシュルレアリスム感を感じました。世界観が色濃いので、本当に一瞬で引き込まれますし、どこまでが現実でどこまでが夢なのかが分からない、それってダメなの?という監督の投げかけというか、今生きている瞬間が幸せならいいんじゃない?みたいな部分を描いた作品だと受け取っています。

※シュルレアリスム:芸術の形態、主張の一つとして理解されていて、現実を無視したかのような世界を絵画や文学で描き、まるで夢の中を覘いているような独特の非現実感が見る者に混乱、不可思議さをもたらす。

大石さん
凄く綺麗な映画なので、是非映画館のスクリーンで観ていただきたい作品です。

小倉さん
主人公のエルは花しか食べないことをアイデンティティーとしていて、さらにそれを受け入れる周りの登場人物もいます。そこに込めている多様性にも注目して欲しいということです。

大石さん

HINA,画像

『愚か者、HINAのためのセレナーデ』8/4上映

私からは、短編コンペティション部門の『愚か者、HINAのためのセレナーデ塩川孝良監督(日本大学芸術学部)をご紹介させてください。THE青春、疾走感に溢れた作品です。

―― 疾走感というのは作品のもつスピード感ということですか?

大石さん
そうですね。あと仕草も好きです。おそらく脚本に書いてあったであろう行動、仕草が凄く好きで、ネタバレになってしまうのであまりお話できないのですが、ちょっと非現実的な部分も入ってきて、そこも凄く綺麗でした。
主人公の日菜子が彼氏にフラれてしまい、監督なりのフラれた女の子はこうでなくちゃみたいな部分。そして、フッた男の子が好きになった別の女の子と、ママチャリ・レースを繰り広げる(笑)。レース中の二人の表情と背景になっている田舎の風景は必見です!

―― 青春&恋愛映画と言えば、少し昔の作品でいえば『世界の中心で、愛をさけぶ』とかを思い出します。

小倉さん
最近は片思いの作品が多いのかなと思います。片思いの幅というか、片思いの関係性が多様化しているのかなと思っています。

大石さん

何度でも忘れよう,画像

『何度でも忘れよう』8/4上映

短編部門からはもう一つ『何度でも忘れようしばたたかひろ監督(東京藝術大学大学院)をご紹介させてください。「一回で忘れられないじゃん!」と思わず突っ込んでしまうような、ショッキングなアニメーション映画です。

第30回東京学生映画祭

浅野さん
心にグッと突き刺さるようなエグみのある映像といいますか…。『何度でも忘れよう』というタイトルですが、私にとって忘れられない記憶になってしまいました。逆説的な題名になっているのかなとも思います。

大石さん
手法が特徴的で、写真か動画かを手書きのものと一緒に活用していて、画としても印象に残ると思います。
アニメーション映画なのに、登場するのもカワイイ熊さんなのに、…。でも、背景は凄くリアルで…。

―― 色々な作品のお話を伺いましたが、俳優さんはそれぞれ監督がキャスティングをされていらっしゃるのでしょうか?

小倉さん

歴史から消えた小野小町 画像

『歴史から消えた小野小町』8/3上映

日芸さんは学内でキャスティングしているケースが多い印象がありますが、基本的に監督によりけりだと思います。
キャストに関連して一番印象的なのは『歴史から消えた小野小町』です。大野キャンディス真奈監督が、キャストとしても一人で11役をこなしているんです。もうその映画にはパッションしかないんです。エンドロールも永遠に彼女のクレジットが続くので、あれだけでも愛を感じるというか、あのエンドロールは伝説になると思います(笑)。

―― 最後に、将来の映画監督に期待すること、学生や映画ファンにメッセージをお願いします。

大石さん
学生のうちだから出来ることが絶対にあると思うし、私自身も作る側の人間なので、素敵な作品に出会った時は悔しさもあります。「これを同世代が作れるんだ!」って。そこから得た刺激は非常に大きかったですし、彼らの作品をもっともっと観たいです!
学生映画に触れられる機会は学内に限られてしまいがちで、それを観ることができる機会があることを、私も実行委員に入るまでは知りませんでした。そういう点でも、この映画祭はメチャメチャ良い機会なので、学生に限らず色々な方に観ていただきたいです。

第30回東京学生映画祭

浅野さん
自分自身はこれまでとりあえず「勉強」をしていたけど、自分を捨てきれないし、何かに夢中で取り組むこともあまり出来ずにいました。今回、学生監督がそれぞれ映画に全力を注いで、撮影に奔走して、キャストを募集して、そういう姿を見て、自分を捨てきってやっている。それに対して応援したい気持ちと、自分も負けてられないという気持ちになりました。
学生の映画がこのように集まる機会は全国的にも稀有なものですし、普通の大学生活を送っていたら触れることがほぼないので、年に一度の東学祭の機会にぜひ足を運んでいただきたいと思います。

小倉さん
映画監督はクリエイターでありスゴイ方々だと思うのですが、私は感動する側とさせる側はどちらもスゴイと思っています。第三者として映画を観て、それによって動かされる自分もスゴイんだということをもっと映画を観る方に感じて欲しいです。沢山のひとに観ていただいて、心を動かされることでさらに映画が活性化すると思っているので、一人でも多くの方にご来場いただきたいです。

30th 東京学生映画祭は、2019年8月3日(土)、4日(日)に渋谷・ユーロライブにて開催!

【開催概要】
名称:第30回東京学生映画祭
会期:2019年8月3日(土)ー 8月4日(日)
会場:渋谷・ユーロライブ
作品数:東学祭コンペティション部門9作品、短編コンペティション部門7作品、特別招待作品1作品(全17作品)

【ゲスト審査員】
■東学祭コンペティション部門
入江 悠(映画監督)
三島 有紀子(映画監督)
熊澤 尚人(映画監督)※敬称略
■短編コンペティション部門
平林 勇(映像ディレクター・映画監督)
大槻 貴宏(ポレポレ東中野支配人・下北沢トリウッド代表)※敬称略

【公式HP】
http://tougakusai.jp/
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