映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』主演・辻 美優さん【インタビュー】

祝・映画初主演!
辻 美優さん【インタビュー】
映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』

日本とフィリピン両国のボランティア達の献身により、戦争の傷を乗り越え9年もの歳月を費やし完成した、フィリピン・パンダンの水道建設工事にまつわる感動の実話を描いた、映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』が、本日9月21日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開となりました。
今回は、本作の主人公・明日香を演じた辻 美優さんにお話を伺いました。辻さんは、全日本美声女コンテストで 14,434 人の中からグランプリを受賞し、美声女ユニット「elfin’(エルフィン)」でアーティストとして活動中で、本作は記念すべき映画初出演で初主演作品。異国で迎えた初めての現場で感じたこと、作品への想いなどたっぷりと打ち明けていただきました。

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』主演・辻 美優さん【インタビュー】

主人公・明日香役の辻 美優さん

―― 初の映画出演、それも主演ということで、映画に出演するにあたってどんな気持ちで撮影に入られたのか教えてください。

辻 美優さん
このお話をいただいた時は、なんて大役を命じられたのか!という気持ちでした。ちょうど夏にお話をいただいたのですが、本当に想像もしていなくて、現実味がなさ過ぎて、果たして私に務められるだろうか?という気持ちがありつつも、本当に嬉しかったです。こんな素敵な役をいただけたことが光栄でした。

―― 実話を元にしていますし、そのため海外ロケも入っていました。

辻 美優さん
初めて撮影に挑むのに、まさかの海外ロケ!フィリピンに約2週間行き、ほとんどのシーンを現地で撮るということで、“私は一体どうなってしまうんでしょう…”と思いながらでしたけど、せっかくいただいたこの役、本当に素敵なこの物語を皆さんにお伝えしなくてはいけないなと思っていたので、一生懸命演じさせていただきました。

―― そんな中、実際に演じるのが難しかったところもあったと思うんですが、自分が想像していたことと違ったとか、撮り終わった後などはどんな気持ちになりましたか。

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』

辻 美優さん
初歩的なこととして、カメラワークというか、位置的に自分がどう映っているのかをちゃんと把握しながら演技をしなければいけない、きちんと考えながら動かなければいけないな、というのを改めて感じました。
それは私が演じた主人公の明日香と一緒で、彼女自身も右も左も判らないまま、ボランティアとして活動しないといけなかった。また、明日香は普通の女子大生なので、いかに普通の女子大生として演じていったらいいのか、当初は悩みもあったんですけど、撮影が終わった後も、まだまだずっと明日香のままでした。劇的に成長する子ではないですし、私もおそらく劇的に飛躍して成長するというような感じではきっとないので、少しずつ成長していく姿も凄くリンクすると感じたんです。だから、あまり役から抜けきれなかったところに、最後の展開があったので余計に苦しくなってしまいました。

―― やはり明日香を引きずったんですね。

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』主演・辻 美優さん【インタビュー】

辻 美優さん
はい…、やはり、どうして…みたいな。
(水道管を通す溝を造るために地面を)掘るシーンでは実際に私も掘りましたし、こんなにみんなで一生懸命働いてやっと水道も出来上がったのに、なんでこんなことになってしまったんだろうって…。でも、これがフィクションなんかじゃなくて本当にあったお話で、今でさえ綺麗な水に恵まれない人たちが世界にはたくさんいると思うと、本当にやるせない気持ちになりました。そういう現状を本当に多くの人に知って欲しいなと感じました。

―― こうした問題がずっと続いている以上、本当にずっと明日香のままかもしれないですね。アミーについてですが、彼女は実在したのでしょうか。

辻 美優さん
私の想像ですけど、1990年代くらいの当時フィリピンで活動していた人たちはもしかしたらアミーのような子供と出会っていたのかなと感じます。

―― アミーは美味しい水に恵まれなかった数多くの人たちの代名詞なのかもしれないですね。撮影は約2週間とのことですが、実際にパナイ島のパンダンに行かれたのですか?

辻 美優さん
ロケ地はパンダンとは別でした。

―― 臨場感があって、その場で撮影されていたような感じを受けました。まさに辻さんが最初にフィリピンに降り立って、右も左も判らなくて立っていたシーンでは本当に心細いんだろうな、と感じました。

辻 美優さん
ちょっと心細かったです。カメラさんも離れた場所で撮ってくださっていたので、一人で立っていて“私どうしよう…”みたいな。

―― それと、現地でジープに乗り込む時に、閉めたドアの反動で反対側のドアが開いてしまいます。随分、年季が入った車でした(笑)

辻 美優さん
いや、あれは中にスタッフさんがいてくださって、うまい具合にタイミング良く!でも、あの車も本当に現地の方が使っている車だったんです。本当に乗っている車だからこそ、あの車にもリアリティーが出ていました。

―― ちょっと話が飛んでしまいますが、主題歌もelfin’の4人で歌っています。主題歌に込めた想いをお話いただけますか。

辻 美優さん
本当にありがたいお話でしたし、素敵な楽曲をいただきました。「アンルート」という曲で、映画の内容と歌詞が本当にリンクした曲になっています。歌詞の中の一行に「はじまりはいつもすぐそばにある」という一節がありますが、本当に明日香の気持ちを体現しているというか、その言葉に尽きるのかなって。歌っている時もなるべく明日香の気持ちになって歌おうと思いました。

―― 人は何かに気づいた時にそれらは全て自分の身近にあるんだと感じてきて、とても盛り上げてくれる曲でした。

辻 美優さん
ありがとうございます。メンバーもとても喜びます。

―― 続いてキャストの皆さんですが、赤井英和さんは元ボクサー、篠原信一さんと言えば柔道家、蝶野正洋さんも出演され、格闘家の人たちが勢ぞろいでした。監督のキャスティングだと思いますが、なぜだったのでしょうか?(笑)

辻 美優さん
なぜでしょう?(笑)
もしかすると、心根が優しい方を集めたのかもしれないですね。芯をきちんと持ちつつも、心が本当に優しい方々を集めたんじゃないのかなと、勝手に私は思っています。

―― その通りかもしれないです。例えば、水道建設工事の立ち上げから関わっている岩田役の赤井さんも物凄くハマっていて、一言一言に“何とかしてあげよう”という気持ちが込められていますし、どんな困難があってもそこに飛び込んで行く勇気もあるし、頼りがいのある方だなと感じました。

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』

辻 美優さん
(撮影でも)本当に沢山助けていただきました!

―― そして、横井会長役の森次晃嗣さんが、反日に対して単に援助する、謝罪するのではなく、感謝の気持ちを持って一緒に手を携えていくことが大事なんだと放った一言については、とても重要なことだと感じました。この辺は客観的に見ていかがでしたか。

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』

辻 美優さん
意見を言うことももちろん大事ですし、これはこうなんじゃないか、現実問題そうなんじゃないかという意見はもちろん大切なのですが、やっぱり最後に大切になってくるのは人の優しさとか、助け合う心なのかなっていうのは本当にこの映画を通じて感じました。
明日香が折り紙を折ってフィリピンの皆さんと交流するシーンがありますが、実際に私自身も現地でやりました。(日本から)折って持って行ったりとか。
折り紙を通じて人と人との心が通じ合っていくってシーンになるんですけど、本当にそういった助け合いの心というのは、きちんと皆で持っていないといけないんだなっていうのは本当に強く感じました。

―― 折り紙は、日本人の繊細さなど精神的なものを表した文化の一つでもあると思います。これを紹介することは、日本の自己紹介のような気もします。折り紙の先生役として明日香も最初は凄く緊張していましたが、その一つ一つが人間らしさを相手に伝えてくれていると思いました。あのシーンはどう受け止めていらっしゃいますか?

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』主演・辻 美優さん【インタビュー】

辻 美優さん
明日香という人物が、ただただボランティアも何もせずに普通に生きていたら、こんな経験は絶対しなかったですし、そういう風に自分の想いを大勢の人に伝えることはまず絶対しなかったと思うんです。だけど、明日香はボランティアに行って、実際に自分で掘って、現状を目の当たりにして、アミーが一体どういう状況なのかも知って、これは自分が少し動かなければっていう気持ちとか、自分が少し動いたら何かが変わるかもしれないっていう希望を持って、きっとあの時、どんなに緊張しても伝えようとしたのかなっていうのを私の中で持っていました。

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』

―― もう一人、ボランティアの青年を演じた新井さんの言葉「小さくてもいいから、自分の役割を見つけることだ」と言われてから何か弾けたというか、後々の明日香の全ての行動に繋がっていますよね。

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』

辻 美優さん
そうですね。本当にそのシーンで明日香も迷っていたんです。私自身もそういう風に演技しようと思って。色々ここまでやってきた自分が感じたことがあった、さて、じゃあ自分は何かしてあげたいけどやり方が判らないし、かと言ってそれこそ岩田さんみたいなことは、自分に果たして出来るんだろうか、いや、出来ないだろうなって。本当に藁にも縋る気持ちで、その時答えを求めたと思います。

―― ご自身が疑似体験したような感じなんですね。辻さんにとって、こういうボランティアって、言葉に置き換えるとどう表現できるものなのでしょうか?

辻 美優さん
何て言ったらいいんでしょう。人の繋がりと言いますか、助け合いの心というのは結局は人と人の繋がりが大切だと思っていて。何でもいいんですよ、その一歩を踏み出すだけで。一本だけだった線が、すごい無数の線になっていって、それが色んな人との繋がりになっていって。その全ての線がどんなボランティアに対しても助けになるし、誰かの心の支えになるし。そういうところなのかな、‘人との繋がり’なのかなと思います。
それこそ赤井さんが演じられた岩田さんから繋がった物語だと本当に思います。そこから本当に無数になっていって、何でか判らないけど明日香という普通の女子大生にまで繋がっていって。その女子大生も気持ちが少し変わっただけで、一つのターニングポイントになって、それがまた広がっていったってところなので、何が起こるか判らないなって感じます。

―― 他にも先輩の田中役を演じられた新井裕介さんや、友人の西川瞳役を演じられた花房里枝さんについてはいかがでしたか?

辻 美優さん
新井さんとは、実は事前に何度か演技指導を監督にしていただくためにお会いして、一緒に台本読みをしました。親切に色々と教えてくださったりとか、私が多分相当ド緊張していたのか、色々と気を遣っていただいたりとか(笑)。ですので、実際にフィリピンに行っての撮影の時はスムーズに演じさせていただきました。
逆に、elfin’のメンバーでもある花房とは、会ってしまうとメンバーの感覚になっちゃったんですけど(笑)。でも、演技に入ったらお互いに女優としてもやっているので、お互いの役を全うしようということが出来たので、それは良かったかなと思います。

―― 花房さん演じた友人の西川さんが突然インフルエンザになって現地に一緒に行けないと言われて、許せるものなのかなって思いました(笑)

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』

辻 美優さん
明日香が許せていたかどうかは判らないんですけども!もしかすると、帰国してから「お土産のマンゴーだよ!」と言いながら、マンゴーを投げつけちゃったかもしれないです(笑)

―― 蝶野さんにドキッとする花房さんも可愛かったですけど。

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』

辻 美優さん
(笑)

―― そして、とても可愛らしいアミー役のミエル・エスピノーザさん。非常に向こうでも人気のある子役俳優さんだそうですね。だいぶ現場を盛り上げてくれたり、お友達になったりしたのでは?

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』

辻 美優さん
そうですね。本当に可愛くって。ひたすら、どうやって連れて帰ろうかずっと考えておりました!!(笑)それこそ本当に一緒に折り紙で遊んだり、ずっと「明日香~、明日香~」って呼んでくれたりしていました。

―― 終盤の大事なシーンの演技も凄く上手でしたよね。

辻 美優さん
本当にあの時は辛かったですね。芝居中とはいえ…。なんか辛かったです、本当に。現実のミエルちゃんは今も大活躍中といえど、作品の結末を考えると何だか凄く辛かったです。

―― アミーのような子供達がいたということを考えると、何か自分が出来ることを探しつつ、出来ることを実現していきたいなという明日香の想いは、観ていて十分に伝わってきました。

辻 美優さん
ありがとうございます。

―― ところで、先ほども演出の話が少しありましたが、目黒監督からのディレクションで印象に残っていることがあれば教えてください。

辻 美優さん
私が演じていく上で判らない部分とか細かなところを本当に凄く丁寧に教えてくだいました。その都度シーンが終わると「ここはもう少しこうして欲しいんだ」と伝えてくださいました。私がまだ初めてというところもあって、判りやすく教えてくださったのかなと思いますし、凄く素敵な監督でした。

―― 元々演技が上手だから、監督もあまり伝えることはなかったのでは?

辻 美優さん
いやいや、本当にもう右も左も何も判らないまま演じてしまったので(笑)

―― 本当に明日香を生きていたと思いましたよ。演じていて難しかったシーンはありましたか?

辻 美優さん
難しかったシーンは、全部なんです。というのも「普通」を演じるって、ゲシュタルト崩壊してしまうほど難しくて、、、それを理解するということが。でも、それを突き詰め過ぎちゃうと、逆に明日香から離れていってしまうな、というのもあったり。そこの一つの線、明日香という人物を作っていくのが凄く難しかったです。
※ゲシュタルト崩壊:知覚における現象のひとつ。 全体性を持ったまとまりのある構造(Gestalt, 形態)から全体性が失われてしまい、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識し直されてしまう現象をいう

―― 作中でも成長しているわけですもんね、明日香は。

辻 美優さん
はい、そのちょっとした成長の表現も凄く難しかったです。成長し過ぎてもダメだし、成長しないのもダメだし。ちょっとの成長の表現って一体どうしたら出来るんだろう、伝わるんだろうというところがとても難しかったです。

―― 明日香と自分を置き換えて考えさせられましたし、そこに明日香はちゃんといたと思います。最後になりますが、映画ファンに向けてメッセージをお願いします。

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』主演・辻 美優さん【インタビュー】

辻 美優さん
作品の見所はなんと言ってもパンダンの町に井戸を掘り、水道が完成するまでの道のりです。しかも、これがフィクションではなく、本当に身近にあった実話です。是非、それも踏まえて観ていただいて、命の大切さとか、本当に綺麗な水がどれだけ貴重なものなのかっていうのを沢山の方に知っていただけたらなと思っています。ぜひ劇場に足を運んでいただければと思います!!

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』主演・辻 美優さん【インタビュー】

2019年9月21日(土)より
ユーロスペース他全国順次公開

セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~

セカイイチオイシイ水

辻 美優(elfin’) 赤井 英和
前川 泰之 新井 裕介 花房 里枝 岡 千絵 橋本 マナミ 蝶野 正洋 角田 信朗 篠原 信一
森次 晃嗣
BONG CABRERA SUE PRADO MIEL ESPINOZA ERMIE CONCEPCION
原作:「マロンパティの精水 いのちの水の物語」小嶋 忠良(PHP研究所) 原案:湯川 剛
監督・脚本:目黒 啓太 音楽:勝瑞 順一/前田 哲彦 撮影:谷 峰登
プロデューサー:山本祥生
主題歌:elfin’「アンルート」(EXIT TUNES)
製作:セカイイチオイシイ水製作委員会
協力:公益社団法人アジア協会アジア友の会  フィリピンアジア友の会
株式会社OSGコーポレーション  株式会社ウォーターネット  イオングループ労働組合連合会
企画・制作:株式会社パラサング
配給:太秦
【2019/日本/DCP/91分】
©セカイイチオイシイ水製作委員会
公式サイト:www.sekamizu-movie.com

映画『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』

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