映画『左様なら』 主演・芋生悠さん インタビュー

映画『左様なら』
主演・芋生悠さん
【インタビュー】
in アップリンク吉祥寺

音楽と映画の祭典 MOOSIC LAB 2018の長編部門にエントリーされた映画『左様ならがムーラボから1年を経て、9月6日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開されています。
繊細なタッチで儚く美しい映像を紡ぐ石橋夕帆監督が、Twitter・Instagramで若い世代から圧倒的な支持を得ているイラストレーター・ごめんさんの原作を映画化。今後、映画界で活躍が期待される若手スタッフ、キャストが集結し、当たり前のように続きて行く日常を描いた青春群像劇に注目が集まっています。
今回は、閉じられた学校生活の中で、中学からの同級生の綾(役:祷キララ)を突然亡くし、その死をきっかけにクラスメイト達からも距離を置かれる主人公の高校生・由紀を演じた注目の若手女優・芋生悠(いもう はるか)さんに本作の誕生秘話から作品に込められたメッセージについてたっぷりお話しいただきました。

映画『左様なら』 主演・芋生悠さん インタビュー

芋生悠(いもう はるか)さん

―― 今回、芋生さんが石橋監督とごめんさんのキューピット役になったと伺いました。まず石橋監督との出会いについて教えてください。

芋生悠さん
石橋監督とは私が上京する前、高校生の頃に役者仲間から「石橋夕帆監督っていう方がいて、作品面白いから!」と聞いて『ぼくらのさいご』(2015)を観たりして“素敵だな、いつかご一緒したいな”って思っていたんです。そうしたらその友人が石橋監督の作品に私を推薦してくれて、『それからのこと、これからのこと』(2016)で主演を演じさせていただいたんです。出会いはそこからです。

―― 一方、原作者のごめんさんとはどのような繋がりがあったのでしょうか。

映画『左様なら』 主演・芋生悠さん インタビュー

芋生悠さん
上京以来、ずっと撮影をしてもらっているカメラマンさんが、ごめんさんと仲が良くて。そして、漫画の中に一コマだけ実際の写真、ヒロインの女の子の写真を入れようとなった時に、その女の子役にカメラマンさんが「芋生ちゃんという娘がいるよ」って紹介してくれて。それでカフェでごめんさんとお会いしました(笑)

―― 色々な繋がりから石橋監督とごめんさんが芋生さんを通して繋がっていくんですね!

芋生悠さん
色々と繋がっていくんです(笑)

―― 実は先ほどビラを持った石橋監督にご挨拶させていただきました。

芋生悠さん
素敵!!

―― 今のお話を伺っていて感じたのですが、随分とお知り合いが多いのかなと。祷キララさんは同じ事務所でもあってお友達ということでしょうか?

芋生悠さん
実は元々違う事務所で、会ったこともなかったんです。
『左様なら』の前、キララちゃんがまだ大阪に住んでいた頃、私が出演していた映画を観にきてくれていて、そこで上映後にご挨拶をしたんです。その時に運命的なシンパシーを感じて、そのまま記念に写真を撮ろうということになり、ブランコのオブジェのようなものに2人で並んで撮ったんです。その写真を石橋さんが見て、「あっ、これだ!!」となったそうです。

―― 映画の中でも素敵な関係でしたが、出会った時から何かを感じていらっしゃったのですね。先日の公開前イベントでも皆さんの仲の良い雰囲気を堪能させていただきました!コメンタリー上映(レポートはこちら)では作品の内容はあまり頭に入って来なかったんですが(笑)

映画『左様なら』 主演・芋生悠さん インタビュー

芋生悠さん
(爆笑)
でしょうね!!

―― 撮影中も面白いエピソードがありそうですね。

芋生悠さん
コメンタリー上映に参加したくださった方は「この人たち役者本気でやっているの!?」と感じたかもしれないですが(笑)、現場では割と自分の役に入っちゃう人が多かったです。他の現場では、入っちゃう人もいれば、切り替えるタイプの人もいて和気あいあいと接することもあるのですが、今回はみんな当て書きという事もあるのかもしれないですが、珍しく役通りというか、役で仲が良いメンバーが集まっている感じでした。劇中で喋らない子とは喋らない、みたいな事をしてくれたので、私は本当に嫌われているのかなって思うくらい(笑)そういう意味では意識の高い人が多かったです。

―― 安西結花役の日高七海さんもスゴイ演技だなぁと思って観ておりました…。

芋生悠さん
先日、日高さんは私がパーソナリティを務めているラジオ番組に出演してくれました。彼女は毎回挨拶で井上陽水さんのモノマネをするんです。井上陽水さんへの愛が溢れ過ぎて、もう呼び捨てにしていて。「また、来てくださいました!」みたいな(笑)
※FM MOOV「芋生悠はじめてのラジオ」レギュラー出演 毎週(火)9:30~10:00放送

―― 飢えたライオンの時の日高さんと加藤才紀子さんお二人の印象とは違って、すごい豹変ぶりでした。

芋生悠さん
2人とも豹変がスゴイですよね。
日高さんも普段は気さくで面白い方なのですが、スゴイですよね(笑)

―― 常に由紀役の芋生さんとは対比しているような役どころでしたよね。特に綾が亡くなってからは…。

映画『左様なら』

芋生悠さん
そうですね。
実は、クランクイン前にみんなで集まってリハーサルをする時間がありました。
本当に学校のような雰囲気があって“この作品、どうなっていくんだろう…。ちゃんと映画になるのかな…”と。その時に、私と日高さんがアイコンタクトのような事をして、休憩時間に隣に座って「どう思う?」「いけるかな、これ…」みたいな会話をしたんです。全然違うキャラクターで、相容れない仲の役ではあったけど、一番信頼できるパートナーみたいな感じで「ああしよう、こうしよう」みたいな話をしました。キララちゃんとは喋れないことを日高さんとは喋って。キララちゃんとはあえて中身の話はせず、自然に仲良くなって心を通わせていくような感覚でした。

―― キララさんは序盤のシーンに集約されていて、その後は芋生さんと日高さんが軸になっていくわけですものね。

芋生悠さん
(キララさんも日高さんも)お互いに大事というか、作用しあっているから、どっちかが欠けちゃうとつまらなくなっちゃう。

―― この物語を頭の中で整理しようとすると途端に分からなくなるんです。

芋生悠さん
うんうん、確かに。

―― これは理解しようとすると、むしろ離れていくなというのが第一印象です。「理解」と対極にあるのかなとも感じるのですが、その点どう思われますか。

映画『左様なら』 主演・芋生悠さん インタビュー

芋生悠さん
うーん、そうですね。
学生が見ると“今の学生生活の中で私はこの立ち位置だな”というように色々と思う所があると思います。学生を経て、社会人になっている方は「生」と「死」に目を向ける方も多いのかなと思っています。
でも、今回、人が亡くなるということに対してというよりは、生きている時間を「死」と一緒というか、生まれた時点でみんな死ぬことは決まっていて、その中で出会った人達との別れもあると思うんですけど、なんか、その中でも自分がしっかり存在するためには出会いがあって別れがあるみたいな。
そういう日常的な話なんですけど、それを「死」と考えると凄くインパクトのある文字だと思うのですが、日常的なところにそういうものがあって、それをどう捉えて、自分としてちゃんと生きていけるかみたいな感じですかね。
私も最近、祖父が亡くなったのですが、そこに捉われて「お爺ちゃんのために」とか、そういう風に生きようとしていたけど、そうではなくて自分としての道を切り拓くことがきっと祖父にとっては喜びだろうなと感じたりして。
この役の中では日常の中に「生」と「死」があるということを感じました。

―― 死と向き合っている由紀がいる反面、色々な出来事を消化しきれない由紀もいるように感じます。タイトル『左様なら』の意味がひょっとすると「大人になっていく」という意味もあるのかなと思います。

映画『左様なら』

芋生悠さん
特に最後のシーンで一つ大人になっている感じを受けました。
やっぱり学校は凄く狭い世界で、自分が学生の時なんかも毎日同じ、ルーティンで、毎日同じように生きているから外に触れることがなくて、スゴイちっぽけなことで悩んでいたり、学校内の人間関係で悩んでいたり。でも、意外と外に出てみたらもっと沢山色んな人がいるし、知らない世界が広がっていて、その中の一つが友人の「死」だったのかもしれないですけど。そうなった時に、言い方がアレですけどそれがちょっと嬉しくて、「なんでこんなことになっちゃったんだろう!!」って騒ぎ立てる人も嬉しいのかなって。学生時代の記憶を辿ると、それくらい籠の中の鳥だったのかなって。

―― なるほど、そういう視点もあるんですね。オモチャではないですけど、狭い世界が故の一種の話題、トピックスだということですね。

映画『左様なら』 主演・芋生悠さん インタビュー

芋生悠さん
由紀はそれが凄く嫌だったという役です。

―― もう一つ、ミュージシャンの忍野(役:こだまたいちさん)との出会いがあり、「初めてライブに行きました!」と言った由紀が一番明るい表情に見えました。それは籠の中の鳥が、自ら選んで飛び込んだ外の世界に解放感を感じたということでしょうか。

芋生悠さん
そうですね。

―― やっぱり日常に敏感に反応している結花(日高さん)と対極にいるんですね。

芋生悠さん
それは相容れないですよね(笑)
共学の学校は結構あんな感じで、男子は女子にタジタジみたいなイメージです。私も結構男っぽかったので、基本的には言わない方で。なんならその人に直接いじるみたいな。コソコソはしないタイプだったので、こういう娘そういえばいたな…みたいな(笑)

―― 由紀が「大人になるってどういう事ですか?」と忍野に聞くと、忍野は「何も変わらないよ」と答えてくれる。あのシーンもこの作品の中でポイントになっていると思います。

映画『左様なら』

芋生悠さん
あのシーンは台本の中でも好きで、実は初日に撮ったんです。
初日なのにスゴイ良い空気で撮れました。
あの時に、こういう大人が学生の時にいたらカッコよくみえたなって。バンドを諦めて、バイトをしているということで社会的にはあまり認められている人じゃなかったとしても、学生時代の自分にとっては「大人になっても変わらないよ」って言ってくれる人がかっこよく見えたりする。学生時代の自分もそういう人に出会いたかったなと。

―― 一つ一つ目の前の出来事に対して、いかに大切に生きていくのかということが違いを生むのかもしれないですね。

映画『左様なら』 主演・芋生悠さん インタビュー

芋生悠さん
今回、大人パートというこだまさんのシーンを石橋監督は元々作る予定がなかったらしいです。全部教室の中、学生だけで固めるつもりだったらしいのですが、そこにあえて大人を入れたというのは、最近になって私は分かるのですが、今、学生の方たちに伝えたいことってあるじゃないですか。そういう事って大人に触れてみないと分からないからかなって。
私も先日母校にトークショーでお話をして、伝えたい事があり過ぎてバアーって喋ったんです。みんな未来のある人たちだから、学校から出た時にも沢山の刺激がもらえるだろうし、夢もまだないという人が沢山いたけど、それでいいと思うし、学校内にも知ったら面白い人とか、例えば物静かで目立たない子がすごく面白いものを持っている。トーク後にそれを「スゴイ、良かったです」とみんな言ってくれて、伝えたい事を大人が今の学生に伝える、学生だった頃に伝えたかったことを大人に伝える、それが多分石橋監督の作りたかったものなんじゃないかなって受け取っています。

―― ある作品で永六輔さんの「子供叱るな来た道だから、老人を笑うな行く道だから」(99歳 母と暮らせば)という言葉に出会ったことを思い出しました。

芋生悠さん
それ良い言葉ですね。
そういうのを馬鹿にしたくないなって思いますし、馬鹿にしてない大人がカッコいいなと思います。尊敬する役者さんも監督もそういう気持ちを持っている方々だと思います。

―― 目の前のことを大切にすることですね。

芋生悠さん
それが本当に大事だと思います。
今、この目の前にいる人に対して。

―― 最後の泣いたシーンがやっぱり引っ掛かりました。理由があって泣いているわけではない。泣いたというよりも、泣くという行為があった。慶太(役:平井亜門さん)も理屈じゃなくて反応した。あの最後のシーンは由紀からするとどういう想いだったのですか。

映画『左様なら』

芋生悠さん
個人的には泣かないで終わるのかなと思っていました。
でも、演じていくうちに忍野との出会いがあり、綾のことを考えたりしているうちに、“やっぱり綾の事を何も知らなかったな”みたいな想いがあり、全然知らないのに悲しむことも出来なくてというのがあったんです。最終的には悲しくてとかそういうことではなく、やっと綾という存在をちゃんと見ることが出来たというか、今までちゃんとみることが出来ていなかったなって。

―― あの妄想の中のシーンで由紀は綾に沢山問い掛けをしていますよね。あれが、現実でやりたかったこと。それまで由紀は理解が出来ず、動揺していた。でも、あの時にようやくそういう想いが溢れたのかなと思いました。

映画『左様なら』

芋生悠さん
夢のシーンの時は、夢だと思わなくていいから、目の前にいると思っていつも通り楽しく問いかけて欲しいと石橋監督から言われました。本当にいつものように喋る感覚で明るく言いました。最後にやっと触れられたというか、ここにいたんだなって。

―― 同じ目線に立てて、彼女が抱えていた苦しみとかを感じられたのかもしれないですね。

芋生悠さん
もし、大事な人が急に亡くなったりした時は、凄く後悔すると思うんです。もっと色んなことを知りたかったし。そういう時に同じく私も泣けないタイプで、スゴイ後悔しているとか、どうしようもない憤りとか悲しみとか全部がギュっとなっちゃうと泣けない。それをもし大事な人が病気を患ってしまったと分かっていたら、私なら絶対にそうならないために、その前に沢山喋りたいし、色んなことを知りたいなみたいな。それを由紀と綾は出来なかったから夢の中でやっていたんだと思います。

―― 芋生さんが一番印象に残っているシーンはどこですか。

芋生悠さん
最初の方の綾との海辺のシーンです。
ちょうど夕暮れ時の、「今だ!!!」という時です。みんなが慌てることなく準備万端だったんです。「2人でやってもらっていいから」と見守ってもらっている状況の中、凄く綺麗な夕焼けがきて、あのシーンを撮れたので、撮り終わってみんなでハイタッチ!みたいな(笑)
私の顔の寄りのカットで終わるので、私が見ている綾は映画の中では見られないんですけど、私だけが見ていた綾が本当に綺麗で、超美しくて、死ぬ直前の綾は透けてみえるような美しさが、顔も一番清々しく笑顔で、綺麗な笑顔でした。
あれは凄かったですね、過ぎるように海辺の方へ行って風を浴びている…あればずっと残っています。

―― あのシーンは観客の中にも残ると思いますし、同じような次元で生きている人たちからするとおそらく理由を超えて心に残る作品だと思います。

映画『左様なら』 主演・芋生悠さん インタビュー

芋生悠さん
自分なりに解釈をして、私も取材などでお話していて“そういう事か!”と思ったこともあります。そういう感じで友達と一緒に観にきてもらって、帰りにお茶でもしながら、「あれがどうで、これがどうで」と語り、「この映画って私にとってはこうだ」ということでいいのかなって。

―― 最後に映画ファンに向けてメッセージをお願いします。

映画『左様なら』 主演・芋生悠さん インタビュー

芋生悠さん
『左様なら』は学生にはもちろん、色々な世代の一人一人に響くものがあるんじゃないかなと思っています。
是非、劇場で観ていただいて、何か一つでも勇気とかを持って帰っていただいて、自分の人生に一つでも『左様なら』が入ってくれればいいなと思います。是非、観てください!

―― 『左様なら』があるから出会いがある。それを凄く感じました。ありがとうございました!

芋生悠(いもう はるか)さんフォトギャラリー in アップリンク吉祥寺

映画『左様なら』は9月6日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか、全国順次公開中!

■キャスト
芋生悠    祷キララ
平井亜門  こだまたいち  日高七海  夏目志乃   白戸達也  石川瑠華    大原海輝  加藤才紀子
武内おと   森タクト  近藤笑菜  安倍乙  栗林藍希  田辺歩  武田一馬  田中爽一郎  本田拓海
高橋あゆみ  日向夏  塩田倭聖  タカハシシンノスケ   籾木芳仁  小沢まゆ
■監督・脚本
石橋夕帆

■原作:ごめん
■企画:直井卓俊
■配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
■宣伝協力:MAP

©2018 映画「左様なら」製作委員会

■公式サイト:
https://www.sayounara-film.com/

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