映画『TRAVERSE』 田部井淳

アクション映画の逆襲!
映画『TRAVERSE』
田部井淳さん(ためがいじゅん)
【インタビュー】

11月2日(土)~8日(金)、東京渋谷ユーロスペースでPM9時から1週間限定レイトショー上映されているアクション映画『TRAVERSE。CGやワイヤーを一切使わない本格アクションに、キャスト・スタッフ全員が挑戦した本作の主演を務めたのは空手道豊空会・始祖師範の田部井淳(ためがいじゅん)さん。スポーツでもない格闘技でもない“道”としての武道・空手を追及してきた田部井さんの本作に込めた熱い想いをたっぷりと伺いました。

―――― アクションに溢れて面白い映画でありつつも、人としての強さを追求しているような真面目なラインもあり、見応えがありました。撮影を終え、公開を迎える今のお気持ちをお聞かせ下さい。

映画『TRAVERSE』 田部井淳

田部井淳(ためがい じゅん)さん

田部井淳さん
アクション監督の意向として、準備をしっかりやり、撮る時はバッと吐き出す感じで撮ろうということで挑みました。ダラダラやるとケガ人が出るし、集中力も保てませんからね。
また、CGやワイヤーを一切使わずにやったので、最近(使うことが)それが全盛なものですから、それで本物の空手家を起用するところもありました。ケガは絶対にご法度ですし、スタッフ・キャスト一同本当に命を削るような思いで挑みました。その分、命がけのような本当のチームワークと、本当の人の情っていうんですかね、本当の優しさとか。そういうものに触れることは意外とないですけど、この現場は本当に皆さんのそういったものが全部頂けたというんですかね、監督も最後は涙してました。本当に一つになれたという風に監督も仰っていましたので、大袈裟かもしれませんが、50年以上生きていますから色々ありましたけど、人生の中で宝物のような時間をいただけたなと思いました。

普段は武道の団体をやっていますが、遥か彼方ですけど35年前ですかね、19から24歳ぐらいまでは、某アクションクラブに所属しておりました。10歳から19歳ぐらいまで9年間空手をやってまして、ちょうど愛知県のチャンピオンになってから挫折していた時期があったんです。そんな私を心配して叔父が(アックションクラブを)紹介してくれたんです。ちょうど真田広之さんが空手を流行らせていた頃でした。映画の出演のお話もあったのですが、それは実現せず空手に戻りました。それから空手の団体を作ってずっとやってきたんですけど、なんか大きな忘れ物が今頃になって、こういう企画で、少しキャリアがある奴はいないかという中で、白羽の矢を立てていただきました。“おっ、忘れ物が来たから命がけで取りに行かないと”と思いました。
アクションと武道は正反対なところもあるんです。実際の空手はなるべく相手に見えないように技を出さないといけないし、ジェスチャーも、(相手の攻撃を)かわす時は小さい動きの方がいいんです。でも、そうするとアクションの映像として映えない、映像映えしない。痛い時も僕らは痛い顔をしたらいけないけど、そこは痛い顔をして下さいとか。昔、少し演技をやっていたものの、長年の空手が身に沁み込んでいるので、アクション監督にご指導いただき、体質改善から食事療法から、声の出し方から色々と準備して、錆びついてるところを監督に半年ぐらいヒロインの子と一緒に特訓していただきました。

―――― パンフレットをみると白善さんからのお褒めの言葉もありましたが、その裏にはみっちりと厳しく?演技指導があったのですね。

画像,トラバース,TRAVERSE

田部井淳さん
厳しくではないですけどね(笑)
白善さんはアクション監督としてプロですから、この映画にかけていると仰ってくださいました。「アクション業界の活性化が必要だと常々思ってました。だから妥協は一切しませんよ」と。そのうえで話し合いをして、ディスカッションを重ねながら、淳さんだったらここどう思いますかという形で聞いたりもしてくださって、それをアクションに焼き直すとこういう感じでした。

―――― 戻りますが、昔の実現しなかった映画のこともあり、相当思い入れが強い映画になったのですね。

田部井淳さん
そうですね。忘れ物っぽかったんです。今、56歳なので空手を10歳から46年間やってきて、あの4年間だけが何となく“何だったのかな、あれは?”という。空手に挫折していましたから、渡りに船で今度はここで頑張ろうかなと思ったのは事実ですけども、結果的に空手の世界に戻って、現在に至るまでまっしぐらに来たら、あれは何だったのかなと。この歳まで生きると大体のことはつじつまが合うのに、あそこだけがハマらずに、でも人間誰しも一つぐらいあるよねって思っていたんです。こういうタイミングでお話が届いたのがちょっと怖かった、鳥肌が立ちました。
自分の主宰している団体のコンセプトがオリンピックの空手とは違う、どちらかと言うと「道」の部分であって競技とかスポーツじゃない、勉強で言うと受験勉強ではないところです。それを発展させて残していきたいのですが、意外と皆さん分かりずらいんです。チャンピオンになろうとか、優勝とか金メダルを目指そうではなく、見えないところの作用というんでしょうか。そこに目を向けていくことも残したいなと、でもちょっと苦戦気味なのです。
広める手段が手づまりなところもあって、ここからいかに皆さんに分かっていただくか、目に触れるようにするか。そんな時、向こうの話があって、もしかしたら“これやれってことかな?”って、でも随分悩みました。最終的には来たら全力でやらせていただくべきだろう、終わった後にどういう景色が見えるのかやってみないと分からないですし、チャンスをいただいたので命がけで、燃え尽きていいと思ってやりました。

―――― 作品のお話に移りますが、奥さんを失った時の夫の落胆の仕方が自然だったので、スッと映画の世界に入れました。人が落ち込む時ってこういう風な落ち込み方というか自然な落ち込みがとても良くて、演技として冴えてらっしゃるなと感じました。

田部井淳さん
何よりも嬉しいことです。嬉しいというか、本職の役者さんに申し訳ないような。懸命にはやりましたけど、ありがとうございます。

―――― セリフや演技指導は監督からも色々なデレクションがあったのでしょうか?

田部井淳さん
準備期間に基本的なエチュードっていうんですかね。そういうものが特に娘の、自分の娘との関係が要だと。とにかくそういう風な感じになるように作ってくれということがまず主でした。女房の方針で義理の娘として引き取って、自分としては女房が気に入ったら「まあ、いいよ」ってことだったので、そのうち段々慣れてくるはずが、まだ心が通じてないうちに死んでしまい、ギクシャクしたままで残された2人みたいな。そんな二人が最後のラストシーンには本当の親子になれる、親子以上になれるところまでを一通り彼女と関係を構築するためには練習もしました。お互いに演技をああでもないこうでもないと言いながら、短い期間ですけど反抗期もあったりとか。本当の娘みたいになってきて、切なくもなったり、なんか今日は反抗的じゃんみたいな(笑)。段々と本当の娘のようになってきたなと思いながらでした。
そしてある時から、不思議な現象なんですが、これだから役者さんはやめられないのかなって思うんですけど、役に憑依されたような、そういう時期が来たんです。

―――― 撮影期間は短かったと伺っていますが、その間に?

田部井淳さん
準備期間ではそこまでの関係にはならなかったのですが、現場に入って何日目か忘れましたけど、皆さんが高梨淳として扱うんです、自分のことを。キャストの皆さん世界観があって、そこに行ってただ生きればいいみたいな、そこに憑依されちゃったみたいな錯覚を起こす。“あれ、入って来てるぞ”というような。そうなった時にやっぱり監督は流石です。何も言わなくなりました、勝手にやれ、と。
岡田監督は凄く懐の深い方なので、伸び伸びと演じさせてもらいました。細かいことは全部受け止めてくださる。その上で、本質のことだけをバシッと伝えて、後はもう非常に懐が深い方です。現場になったら監督の掌の上で楽しんでやれよ、思いっきり出せ!みたいな。蓄積してきたものがきっとあるだろうから、それを出せよ!そういう感じですね。

―――― 朝ご飯のシーンではまだ親子になり切れていないぎこちなさのある二人が、ラストにかけて「ああ、親子になってきたな」と自然に受け止められました。

映画『TRAVERSE』 田部井淳

田部井淳さん
お世辞でも嬉しいです(笑)

(まだまだ続く熱血トーク!恋さん、桝田幸希さん、津田寛治さん、笠原紳司さんなど共演者とのエピソード!)

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