「自信」は最高のアクセサリー!女優・松本若菜さん&映画『サイゴン・クチュール』グエン・ケイ監督【特別対談】

12月21日(土)から新宿K’sシネマほか全国の劇場で公開される映画『サイゴン・クチュール』は、2019年のラストに華を添える、誰もが元気をもらえる抜群のエンターテインメント作品です。
物語の舞台は1969年のサイゴン。主人公ニュイは、9代続いたアオザイ仕立て屋の娘で、スタイルもファッション・センスも抜群。しかし、60年代のニューファッションに夢中の彼女は、“野暮ったい”アオザイを仕立てる母と対立してしまいます。そんなニュイがある日突然、現代にタイムスリップすると、彼女は衝撃の未来と遭遇することになるのです。果たしてニュイの運命は、アオザイと向き合うことは出来るのか…。
今回は、映画やドラマで活躍している女優の松本若菜さんと本作のPRで11月に来日されたグエン・ケイ監督に対談をしていただき、映画『サイゴン・クチュール』の魅力を存分に語っていただきました。キャストの演技について、女優目線だからこその世界初!?の質問が飛び出すなど、大いに盛り上がった女子トークをお楽しみください!
変わらないことは、変わること

松本若菜さん
松本若菜さん
今回、『サイゴン・クチュール』を観て凄く懐かしい気分になりました。今、35歳なのですが、ちょうど私の母親世代が60年代にファッションを楽しんでいて、昔の母の写真を見ると『サイゴン・クチュール』に出てくるような洋服や大きめのカチューシャをつけていました。
そういったファッションが日本にもようやくやってきて、解禁され、若い娘たちがファッションに自分の意見を取り入れて、女性が凄くキラキラ輝くような時代でした。
『サイゴン・クチュール』の舞台となるベトナムでも、その時代が来るまではファッションが凝り固まっていたのでしょうか?

グエン・ケイ監督
グエン・ケイ監督
その通りです。より正確に言えば、60年代は世界的にそういうウェーブがありました。
例えば、フェミニズムが広がり、アメリカでは有色人種たちの平等な権利が叫ばれ、ニューエイジ運動が誕生した時代でもありました。つまり、60年代というのは殻を破る、そういう時代でもあったわけです。サイゴンも同じで、それまでは女の子たちがなかなか自由な装いもできませんでしたが、自分たちが着たいものを着る、殻を破るという時代になっていった。だから、お母さん世代と凄く確執が起きて、喧嘩をしていたんです。
松本若菜さん
監督は凄く詳しいですけど、60年代には勿論生まれていないですよね?
グエン・ケイ監督
はい(笑)、35歳ということは84年生まれですか?
松本若菜さん
そうです。
グエン・ケイ監督
私も84年生まれです!!
松本若菜さん
本当に!?私たち同じ年だ!(笑)
グエン・ケイ監督
なので、60年代のことは本当に上の人から聞くしかないです。
松本若菜さん
そうですよね、それなのに60年代が舞台でアオザイをテーマにして、しかも現在のファッションにアオザイをうまく取り入れています。
現代的なファッションは、どうしても移り変わりがあって、流行り廃りもあるけど、絶対に以前流行っていたものが何かしら形を変えてまた流行っていくという繰り返しだと思うんです。
この映画でもそういう流行の周期みたいなことを描きたかったのか、もしくは母と娘との確執や誰かに対するメッセージなのか、または監督としての何か違う想いがあったのか、この映画を制作された経緯をお聞きしたいです。
グエン・ケイ監督
まず、私がこのバックグラウンドを選んだ理由は、先程お伝えした通り60年代は私が一番好きな時代です。自分はまだ生まれていなかったですが、本当に好きなんです。あの時代には、ロックンロールやファッションがあり、スウィンギング・ロンドンやビートルズ、フェミニズム、その他にも色々なことが起きた一番ホットな時代でした。
特に69年は、人類が月面着陸を果たしたという、私にとっては本当に特別な時代なんです。だから、色々なことが賑やかなまでに起きていた60年代を舞台にストーリーを創りたいと思い、この時代を背景に選びました。そして、変化で何を表現したかったのかというと、歴史の中で一番変化が多かった年なので、ストーリーにするのにとても面白いと思いました。古いものと新しいものとか、変わりたくないものが変わるとか。
この映画のメッセージは、“変わらないものは何か、それは変わること”。つまり、“変わること”は絶対に変わらないんです。必ず変わらなくてはならないんです。それは人生の中、生きていること、ファッションもそうだし、全部が必ず変わるのです。
松本若菜さん
“変わらないことは、変わること”って凄く難しいと思うんです。自分の中で色々なプライドを捨てないといけないこともあるだろうし、それによって周りから「今のままのあなたでいて欲しい」と言われることもあると思います。
だけど、この映画を観ることによって「それでもいいんだよ」と背中を押してくれているような気持ちになったので、監督の“変わらないことは、変わること”という言葉は凄く私の中でこの映画を観た感想とマッチングしました。そういうことだったんだって!
実は、今日の私はニュイを真似たメイクとヘアをしてみたんです。
グエン・ケイ監督
言おうと思っていました!(笑)
松本若菜さん
ここまで来る時に恥ずかしかったから、サングラスかけてきました(笑)
グエン・ケイ監督
スゴイ似合ってる、“カワイイ”!
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