映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』ジョン・チェスター監督

「生態系は無限の力を秘めている」
カリフォルニアから届いた“共生”の形
映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』
ジョン・チェスター監督Q&A

2020年3月14日より、シネスイッチ銀座、新宿ピカデリー、YEBISU GARDEN CINEMA他、全国順次公開される映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方は、ロサンゼルスからカリフォルニア郊外に移住し、200エーカー(東京ドーム約17個分)もの荒れ果てた農地を開拓し、時に、大自然の厳しさに翻弄されながらも、そのメッセージに耳を傾け、命のサイクルを学び、愛しい動物や植物たちと未来への希望に満ちた究極に美しい農場を創りあげていった自然を愛する夫婦の8年間を記録したドキュメンタリー映画です。

今回は妻のモリーさんと共に壮大な自然に挑んだ夫であり本作監督のジョン・チェスターさんからのメッセージをお届けします。
ちなみに、ジョンさんは映画制作者、テレビ番組の監督・カメラマンとして25年の経歴を持ち、アニマルプラネットとITVの野生生物番組の制作者として世界中を旅したことがきっかけで、複雑な生態系の相互作用に興味を持つようになったそうです。

— 8年間365日撮影していた映像の編集は、動物相手だったことも含めて想像を絶するものだったと思います。脚本と編集で大変だった点などいくつかポイントを教えてください。

まず撮影したフッテージが92テラバイト分ありました。何時間分か何日分かわからないんだけど、80万クリップあったんです。これまで自分と別の仕事をしたことがある編集スタッフと一緒に編集したのですが2年間かかりました。一番大変だったし、とても複雑だったのは、色々なキャラクターが沢山でてきたので、それぞれのストーリーをどうやってみせるかというのにかなりの時間悩みました。同時にそれらの主要キャラクターたちの関わりだけでなく、複雑にかかり合うエコシステムをみせたかった。そして見ている人にメインのキャラクターたちに共感をしてもらえるように作っていくのが大変でした。

— 例えば、出産に立ち会いながらそれを映像に残すなど、農業をしながらの撮影は当然一人で出来るものではなく、チームワークが不可欠だったと思います。監督の周囲には信頼するスタッフが集まっていることをスクリーンから感じました。監督がとても助かったと思えた最高のチームプレーが発揮されたのはどのシーンだったでしょうか?

どのシーンというわけではないですが、一番大変だったのは、実際私がチームに「もう撮るな」と言ったときでしょうか。それは自分が恐怖や何か失敗したと感じて恥ずかしいと思ったときです。ですが、最初に私がチームのみんなに言ったのは、「これもう2度と言わないからよく聞いていてくれ、このあと撮影が始まって私が君たちにやめろって言ってもやめないでくれ」ということ。そして「10フィートくらい下がって私から見えないところからカメラを回し続けてくれ」って言ったんです。

映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』ジョン・チェスター監督

— 結果的には生態系にとって必要だったコヨーテを撃ったシーンを映画に入れていることに監督の勇気や誠実さを感じました。一番の敵が一番の見方であること、これは人間の世界にも言えることではないでしょうか?

はい!全くそうです!

— 農業を通じて感じた「自然」と、番組制作を通じて知ることになった「自然」とがあるとすれば、その違いはどのようなことですか?

一番の違いは、農業をするときのほうが自分の生計をすべて農場の自然に任せてしまっている、自分が生身になって、自分の生活を自然に任せてしまい、自分のもろさがそこに出てしまう。同時に、農地の自然も私を守り手として非常に頼っている。そこが大きな違いだと思います。

映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』ジョン・チェスター監督

— 農業をスタートする前のご自分に声をかけるとすればどんな言葉を投げかけますか?

8年前の自分に言いたいことは、「何も確実でない」ということをわかっていてほしい。それから自分が失敗して恥ずかしい、と思ったときに、恐怖に支配されるのではなく、好奇心を強く持ちなさい、ということを言いたいです。

ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方

— トッド(犬)やエマ(豚)の存在を通じて、動物たちに大きな愛情や大自然の力を感じることが出来ました。この作品の主役でもあるトッドやエマについて、番組では描き切れなかったエピソードやコメントを頂けますか?

映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』ジョン・チェスター監督

すごく良い質問ですね。トッドが私に教えてくれたのは、顔の表情を変えたからといって自分の感情を隠すことはできない、ということ。自分がトッドの前に行くときには自分が一息ついてから行かないとダメだということに気づきました。なぜなら私がたとえ笑顔を作っていても自分の中に不安やいら立ちがあると、トッドがすごく不安になるんです。それでわかりました。顔の表情をコントロールするだけでは自然は騙せないと。自分の中に感じている感情というのを自然に対して騙すことはできない。そんなことを学びました。

— 「自然とは完璧なものである」にもかかわらず、人間はその恩恵を自ら破壊しています。将来、自然と人間とが共生していく上で、私たちは物質社会とどのように向き合うことが大切だと思われますか?

大きな質問ですね。自然界というのは私たちのGDPには追い付かないんですね。ですが、自然の中にある無限のエネルギーに触れるチャンスを得るためには人間が謙虚に追及し続けなければいけない。その自然の偉大な力と強調するやり方を私たちが謙虚に探すことを要求する。人間が謙虚にどうやったら共生するかを、そのやり方を考えれば自然の限りないエネルギーに触れるチャンスが与えられるのです。

映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』ジョン・チェスター監督

— 人間も自然の一部であり動物の一種ではありますが、この作品を通して人間が自らを知ること、そして行動を律することを学びました。監督が子供達にこうした点を教育するとしたらどのように教育されますか?(こうした作品を通して教える、でも結構です!)

恐怖を使って自然界を大切にすることを説くのは良くないと思う。恐怖を使わないことが大切。たくさんの生命を提供してくれる自然の密接な関わりをみることを教えたほうがいいと思う。そういう見方を教えれば子供たちが自然に“自然“と恋に落ちて、そうなれば自然を当然のように大切にするようになると思います。

— 映画ファンや自然を愛する人たち、そして皆へメッセージをお願い致します。

自然の複雑で美しいエコシステム、生態系というものは無限の力を秘めています。

ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方


【ストーリー】
愛犬トッドの鳴き声が原因で大都会ロサンゼルスのアパートを追い出されたジョンとモリー夫妻。料理家の妻は、本当に体にいい食べ物を育てるため、夫婦で愛犬トッドを連れて郊外の荒れ果てた農地へと移り住む。二人は、自然の厳しさに翻弄されながらも、命のサイクルを学び、動物や植物たちと共に美しいオーガニック農場を作りあげようとする――。
【キャスト】
ジョン・チェスター、モリー・チェスター、愛犬トッド、動物たち
【スタッフ】
ジョン・チェスター監督

2018/アメリカ/英語/91分/シネスコ
原題:The Biggest Little Farm
日本語字幕:安本熙生
サウンドトラック:ランブリング・レコーズ
配給:シンカ
© 2018 FarmLore Films ,LLC
photo credit:Yvette Roman Photography
公式サイト:synca.jp/biglittle/

2020年3月14日、シネスイッチ銀座、新宿ピカデリー、YEBISU GARDEN CINEMA他、全国順次公開

ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方

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