映画『いつくしみふかき』大山晃一郎監督インタビュー

映画『いつくしみふかき』大山晃一郎監督
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映画『いつくしみふかき』
大山晃一郎監督インタビュー

2019年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019で観客賞である「ゆうばりファンタランド大賞」作品賞を受賞し、カナダのファンタジア国際映画祭の長編初監督コンペティション部門に正式出品。世界各地の映画祭で受賞が続く映画『いつくしみふかき。6月19日(金)からテアトル新宿他全国順次公開されます。

本作は、劇団チキンハート主宰の遠山雄さんの親しい知人とそのお父さんについての“実話”が元で、ひきこもりの知人が葬儀で父親をかばいながらも謝罪をした姿が衝撃的だったことが映画化のきっかけ。その知人が住んでいた長野県飯田市に、劇団員が実際に代わる代わる住み込んで、今回の映画化に漕ぎ着けました。

劇団チキンハート演出で遠山さんと苦楽を共にしてきた大山晃一郎監督のデビュー作は、父親・広志役に映画初主演となる渡辺いっけいさん、その息子・進一役を、遠山さん自身が演じ、W主演を飾り、大山監督と親交のある豪華な俳優陣が脇を固め、笑いと感動に包まれる噛めば噛むほど美味しい作品に仕上がりました。

今回は大山監督に本作制作の経緯や作品に隠された様々な仕掛けや想い、そして映画愛を語り尽くしていただきました!

映画『いつくしみふかき』大山晃一郎監督

大山晃一郎監督

『いつくしみふかき』誕生秘話!

―――― 笑っていいのか、泣いていいのか、不思議な感覚になりました。

大山晃一郎監督
ジャンルを聞かれた時に一番困るんです(笑)。ごちゃまぜにし過ぎっていう方もいますし、人によってまちまちです。

映画祭の審査委員の方から「最初の10分は良いのに、なんで中盤になってあっちに行っちゃうの?」と言われたこともあれば、一般の人から「最初は良く分からないけど、真ん中からメッチャ面白い」とか。

もう、みんな好きに言ってください!」って感じです(笑)。

映画『いつくしみふかき』大山晃一郎監督

―――― まず、遠山さんからオファーがあったそうですが、その経緯やお引き受けになった時の気持を教えてください。

大山晃一郎監督
僕はずっと助監督で下っ端だったんですけど、遠山もなかなか仕事がない役者で、仕事がないもの同士が昔『ほるもん』という短編映画を撮ったんです。その縁で一緒に劇団をやることに。ただ、劇団をやるのはいいんですけど、僕は映画監督になりたいので、“なんで脱線して演劇をやんなきゃいけないんだ”という気持ちもあったから、5年以内に3,000人を動員出来なければ、一切演劇は止めて本業の映画に戻ると決めていたんです。

本当に遠山と僕は性格が合わないんです(笑)「用事がなかったら顔も見たくない」ってお互いに言っているんですけど、ただ、その時々で一緒にやらないといけないプロジェクトがあり…。劇団4年目で本番の日の朝まで飲み歩いて、「観に来てください」ってチケットをさばいて、何とか3,000人入ったんです。それで一段落で安らかな顔で「なんとか3,000人入って良かった」という話をしている時に「実は次の…」って。

遠山が知人の葬儀に行った時の引きこもりの息子とお父さんの話。
その葬儀に遠山が行くと、その息子が喪主なんだけど人前で喋れるような奴ではない。でも手紙を用意して何言っているかわからないけど必死に読んでいた。遠山がその時のことを忘れられなくて、手紙をコピーさせてもらい、ずっと持っていたんです。

話を戻すと遠山から「実は次の…」と言われた時に、喪主の挨拶の手紙を見せられて、感動しました。自分も父親と色々あるので自分の人生の区切りというか、自分自身も父親に対するメッセージを一度浄化させたいという想いもあり、「二人が生活していた長野県の飯田に明日行こうぜ!」って、行ったのが6年前です。

―――― 登場人物の二人は実在の人物からヒントを得て物語にしたのですね。

大山晃一郎監督
実はメインキャストの人はほぼモデルがいるんです。

―――― 脚本は安本文哉さんと一緒に作られたと思うのですが、どういった発想があっての作品だったのかなと感心していました。

大山晃一郎監督
僕と安本の関係は古くて、僕が上京して16年目なんですけど、単純に日雇いのバイト友達だったんです。彼も一か月後に上京してきて。
安本はスチールマンに憧れていて、僕は映画監督に憧れていた。で、彼はすごくギャグセンスが高い。劇団をやる時に、自分一人でやっていると面白いかどうか分からなくなるから、安本に「ちょっと稽古場に来て面白いか面白くないかだけ言って」ってお願いし、劇団を続けているうちに、もう手もいっぱいだから「ワンシーン書いてみて」って。それから段々ニコイチでやるようになりました。

―――― 『いつくしみふかき』というタイトルですが、何となくは分かるのですが…。

大山晃一郎監督
広志役のモデルの方がクリスチャンだったんですね。「いつくしみふかき」って讃美歌なんですけど、不思議なことにお葬式でも結婚式でも色んな場面で歌われる歌なんです。遠山が、参列した葬儀の「いつくしみふかき」が頭から離れないということから、このタイトルを最初につけたんです。

映画『いつくしみふかき』大山晃一郎監督

―――― ロジックよりもその時のメロディーが頭から離れなかったのですね。
クリスチャンと長野県の飯田が結びつかなかったのですが、あの地域にはクリスチャンの方が多いのですか?

大山晃一郎監督
そんなこともないのですが、遠山郷の山奥にはなぜか結構いらっしゃるようです。僕もあえてキリスト教とか宗教を描きたいということではなくて、本当に実際の二人の周りにあった環境を大事にしたいなと思ってやった感じです。
宗教に対しても他のことも全部の事象に対して客観的であろうと思っていて、例えば、リニアが走るかどうかも地元は凄く揉めていたんです。賛成派も反対派もいるので。でも、どっちがいいのかを描きたいと思っていなくて、何年後かにリニアが走るという漠然とした変化を迎える街に起きた話として描きました。
クリスチャンという要素ですが、実際に広志役のモデルの方と進一のモデルの方が、礼拝で再会を果たしたんです。だから、結局宗教のことも二人にとっては大きい、物理的に二人が関わっていく上ですごく大きな要因だったんです。

―――― なるほど、面白いですね。
そのモデルの知人の方には取材という形で協力してもらったのですか?そして、今もひきこもりなのですか?

大山晃一郎監督
映画のプロジェクトが始まって、東京から色々なスタッフが飯田に行くと、車を出してくれたり、彼の家に住み込みでやったり。で、今は「ユーチューバー」になっています(笑)。
あれだけ壮絶なことがあって、今ユーチューバーしているってリアルで面白いじゃないですか(笑)

映画『いつくしみふかき』大山晃一郎監督

―――― ところで、進一は引きこもりではありますが、それは周りの村人たちの白い目があったことも一因なので、進一が親子の絆に目を向ける隙を生んでいると思います。更には、進一の母親とその弟の絆の深さが故に、弟は姉の旦那である広志の不実さに対して攻撃をする。ここは“親子・兄弟の絆の深さ”と“閉鎖性”というのがどこか結びついていきますよね?

大山晃一郎監督
結びついちゃうんですよね。

本当にあの村にお世話になっているので、あの村が閉鎖的だとかマイナスイメージがついたら嫌だなと思いつつも、すぐそっちに引っ張られちゃう。でも、絶対に持っているんですよね。狭い村の中のちょっとしたモラルというか、異常に反応したりとか、結びつきが強いがゆえに誰かが悪魔になっちゃったり。あまり人をディスリたくはないけど、そういう要素も少し盛り込みたいなって。

―――― 村としてまとまって生きていく上での知恵でもあったし、暗黙の了解があるんですよね。事件を起こした時に、法被(はっぴ)をきた人たちが登場しますが、あれは?

大山晃一郎監督
あれは完全にオリジナルの話です。
オープニングはちょっとやり過ぎちゃったけど(笑)
なんで松明(たいまつ)持っているんだろう?みたいな。

―――― でも、あれがあるから現実から解き放たれている部分もあり、観ている方としては閉鎖性を伝えているのかなと解釈することが出来なくもないです。親子の縁とエッセンスの部分、閉鎖的がゆえの絆、それは人間が共通して持っているものなのかなとも感じました。

大山晃一郎監督
広志と進一は、最後まで、親子の絆にまでは到達出来ていないんです。

自身も自分たちに対してグレーな気持ちを持っていて、許せないことがある。どうしても今の世の中はイエスかノーかが求められがちなんですけど、グレーないい風な部分も悪い部分も、その気持ちは日によっても変わるし。広志と進一は、単純な、許すとか許さないまでもいけてないと思うんです。

だから、本当にこの二人って自分一人の存在。息子は息子で「自分がうまくいっていないのは人のせい、自分は悪くない」と思っている。全くいつくしみを持っていない二人が“自分以外の存在を意識するまでをゴールにしたいな”と思いました。

映画『いつくしみふかき』大山晃一郎監督

―――― 意識するきっかけが、広志が軽く言い放った“不動産”なのですね。

大山晃一郎監督
自分でもこの映画を作りながら“危ないな”と思っていたのは、いっけいさんが演じる広志が真面目に礼拝のチラシを撒いたりするあの20分くらいです。観客の方も、この映画メチャクチャつまんない所に向かっているんじゃないか!?って不安になると思うんです。それが分かっていて、どこまで引っ張ろうかって。そんな映画観たくないなって(笑)。

1回目は観客の方にもその不安を抱えながら観ていただき、2回目は展開が分かっていながら観ると新たな面白さがあります(笑)。

渡辺いっけい&遠山雄をリングにあげる残酷な男とは?

―――― それを見事にいっけいさんが演じていらっしゃるわけですよね。金田明夫さん演じる牧師・源一郎と広志(渡辺いっけいさん)のやり取りも最高でした。

いつくしみふかき 金田明夫

大山晃一郎監督
でもこの映画で一番残酷なのは源一郎なんです。
毎回しんどい選択を求めてくる。30年前に広志が村人に殺されていた方が誰も不幸にならなかったのをわざわざ生存させたり、息子と引き合わせなければ誰も傷つかなかったのに、しんどい選択をその都度その都度迫っているのは源一郎です。

―――― むしろ牧師さんとしての存在感が薄く見えるんです。
宗教的なパワーを見せていないからこそなのかもしれませんし、逆に厳しさがそう見させているのかもしれませんし、意味のない厳しさ。本当は人知を超えた厳しさなのかもしれません。牧師さんの存在って一体何だろう?と感じました。

大山晃一郎監督
そうですね、二人をリングに上げるというか。
結果、(関係が)良くなるためにやっているんじゃなくて、関係が崩れたとしてもそれはそれで仕方ないじゃないかっていう投げっ放しではあるんです。

―――― リングに上げることに意味があるのだとすれば、結果次第だと思うのですが、リングって何なのでしょうか?

大山晃一郎監督
実際にリングに上がらないままなんとなく疎遠のまま終わっていく親子って沢山いると思うんです。実際、この作品の脚本を書いている時に、飯田のバーのマスターと話していて「自分の父親も離婚をしていて、ずっと気にはなっている。飯田にスクランブル交差点があるけど、反対側に立っていたのが多分俺のオヤジだったんだよ」って。その時に声をかけなかったことをいまだに後悔されていて、「その5年後に役所から訃報の業務的な通知が来た時に、なんであの時声をかけなかったんだろうな」って。

だから、リングに上がるきっかけっていっぱいあると思うんですけど、上がらない人が結構いて、この二人は自発的にリングに上がる人間ではないけど、交差点で声をかける映画を作りたかったんです。
久々に再会した親子がそこで一つアクションを起こす、それを映画の中でやってみますって。で、あのシーンが生まれたんです。

―――― 監督がさっき仰ったように物事の白黒の結末って常に起きるけど、そこにはひょっとしたら意味はなくて、リングで向かいあう事の方が意味があると。

大山晃一郎監督
そうです。結果、それで仲が悪くなったとしても。

―――― これはそれぞれが持っている心の問題。心の決着のさせ方、それは結局は向き合うことでしか解決しない。そこで逃げたら結果的に逃げたままにしかならないんですかね?

大山晃一郎監督
結果、逃げたとしてもそれでもいいんですけど、ずっと自分の中に残っちゃう。といっても自分も父親とそんなに激しいリングには立っていないですけど、やっぱりずっと意識はしています。

―――― 心の中での存在の仕方が自然であればあるほど受け入れ易いし、それが喧嘩したことであってもそれ自体も自然なことなので、そういった自然現象みたいなことを心に入れることが人間にとってリングにあがることになるのかもしれないですね。

大山晃一郎監督
そうですね、あまり“そうした方がいいよ!”という程強くは言えないですけど、何となくそういう状況にいる人っていっぱいいて、自分もそうなので、実生活でリングに上がれていない分、この二人に僕自身は自分の理想をのっけてしまった部分はあるかもしれないですね。
こんなにぶつかれていないので。
自分でこの映画はもう何千回も観ていますけど、未だに“いい映画やな~”ってボロボロ泣いています。響かない人には響かないと思いますけど、それでいいなって思います。

メインビジュアルの風呂に込めた理想の親子像!

―――― 背景を聞くと、メインビジュアルもより味が染みてきます。だって、この風呂がリングじゃないですか。

大山晃一郎監督

映画『いつくしみふかき』が映画館も支援出来るクラウドファンディング開始!

本当にこのシーンを撮りたくてこの映画を作ったんです。
宣伝向きなカットが少ないので宣伝の方にも迷惑をかけていますけど、このお風呂だけは絶対にメインビジュアルと思って、現場でスチールを撮りました。映画を観た後に、このポスターを観た人がまたこれで見方が変わるじゃないですか。
僕も父親のことを思い返した時に、お風呂に入ったことしかいい思い出がないんです。
この二人が一緒にお風呂に入ったことなんか絶対にないんですけど、お風呂で向き合うというのが自分の勝手な親子の理想というか。

―――― 子供の時に一緒に父親と風呂に入っているシーンもあります。本来の親子ってこういうものだろ?って意味もあるのですね。

大山晃一郎監督
“ひょっとしたらあったかもね”っていう未来が広がったという想い。あれだけ壮大に色んな不幸を書いているんですけど、そもそものスタートは昔盗みに入った時あそこで思いとどまっていれば、こんなことにならなかったし、自分の人生も最初の変化は本当に小さいことの選択。だって手紙を見せられて「じゃあ、明日飯田行く?」ってならなかったらこの映画も作ってなかったかもしれない。本当に小さいことだと思うんです。それも言いたかった。

―――― なるほど。劇中でも「お前さえいなければ」「お前がやらなければ」という所に繋がるわけですね。

大山晃一郎監督
いっけいさんにも衣装合わせの時に、「一匹の獣が人間になるまでを広志という役で見たいんです」と言いました。最初に村人に捕まる時も人を殺してでもどんな手でも自分さえ助かればいいという人間。でも、最後に人間になって自分以外の息子の存在を知った時に、あの台詞を言うんです。あの時の顔は情けないし、カッコ悪いんです。でも、人間になるってそういうことかなと思って。そのいっけいさんの顔、最初に取り押えられて吠えている顔とあの顔、その変化を観て欲しいんです。

関連記事:映画『いつくしみふかき』渡辺いっけいオフィシャルインタビュー!

―――― あの時に子供の靴下が映されていたのもそこなのですね。まさに噛めば噛むほどです。

大山晃一郎監督
だからメインのキャストは全員色々な深みがあるんです。
「今日はお母さん役の平栗あつみさんに注目してみよう」とか。平栗さんもあそこで「なんでー」と叫んでいる理由など、もはやお客さんに伝わるとかはどっちでもよくて、分かる人に伝わればいいという気持ちです(笑)。

いつくしみふかき

―――― これはどこまで記事に書いていいですか?(笑)
あとは事前に頂いた資料を拝見したのですが、もはやメイキングを映画にしていただいてそれを観たいです。

大山晃一郎監督
残念ながら撮っていなんです。
ずっと修行をしているので、映画を作る行為は出来る自信があるんですけど、撮影前の準備と撮影が終わってから公開するまでの作業、撮影の前後は素人なので凄く効率は悪いんです。
まず、二人で頼み込んでお金を借りてやろうという時に、二人でいくら借りれるかって話になり、1,000万円くらいじゃない?って。1,000万円ならなんとか集められるだろうと思って、実際に準備してみたら6、7日で撮らないと予算オーバーになったんです。

一週間で撮る作品もありますけど、自分も初めてやし、「絶対に一週間では撮りたくない。せめて三週間はかけたい」と言って、飯田にある新聞社やケーブルテレビや色々な方々に「なんでもいいからください。貸してください」と。お金くださいに限らず、余っている布団とか食材とか、家の離れとか。それで色んなものが集まって、その食材で飯田の婦人会の100名くらいの方が交代制でロケ弁を作ってくださって。東京だとお茶付きで880円かかるんです。スタッフが40人くらい、キャストが20人くらいいて、60人×三食×撮影期間なんて、そんなにお金がないから寄付して頂いたもので作ってもらったら、一食18円になったんです。

スタッフが寝るところも色んな人のところに分かれて寝て、クルマも借りて。そういうことで色々な予算が圧縮されて、三週間かけて撮れたんです。一週間で撮っていたらこんなに賞はもらえなかったと思います。時間をかけて、いっけいさんも遠山もみんなでディスカッションしながらすごく丁寧に作れました。色んな方が参加してくれなかったら絶対出来なかった。
一度東京で封切をして、それから全国の劇場を周る予定なんですけど、その前に飯田の皆さんには「みんなで作った映画だよ」と先行上映で披露してから、東京に殴り込むみたいにしたいなって。本当に飯田から世界に行こうぜ!って。

関連記事:長野県飯田市撮影の映画が地元映画館とのコラボ動画公開

癌で亡くなったこいけけいこは今も一緒

―――― 凛役のこいけけいこさんも天国で喜んでいらっしゃると思います。

大山晃一郎監督
…。
こいけさんと、伊藤茂雄さんという、「いつくしみふかきを応援する会」のその人がいなかったらその会がまとまらなかった人物が公開前に亡くなって。その二人がいなかったらこの映画は出来なかったので、エンドロールの一番最後に
「伊藤茂雄さんとこいけけいこさんと共に」
という一文を入れました。

いつくしみふかき こいけけいこ

こいけさんも抗がん剤を撮影期間中は止めて、挑んでくださいました。病気のことは知っていましたけど、自分も人生がかかっていますから、病気だからと言って手加減はせずに、「ちょっとでも不安があるなら出演しないでください」とキツいですけどお伝えしたら、彼女は「それくらいがちょうどいいです」って。「じゃあ、やりましょう!」と。ほんまに手加減しなかったし、他のメンバーと同じようにモノを一緒に運んだりもして、映画が完成して、アフレコで会ったのが最後でした。

彼女は飯田出身なので、「飯田での公開が決まったら毎日一緒に舞台挨拶お願いしますね」なんて言ってたら、なので。
自分としては今も一緒に作っている感覚はあります。

―――― 色んなカットがあって記憶に残りましたが、こいけさん演じる凛が進一に渡した弁当を見ていたシーンは忘れられないです(笑)。あとは進一のお母さんからの言葉も良かったですよね。

大山晃一郎監督
(笑)
こいけさんは身長が高くて、デッカイこいけさんに対して「うわっ、デカッ!」みたいな。進一(遠山雄さん)もどこかで阻害されて生きてきて、こいけさんが演じている凛もどこかでそういう部分があったから、シンクロして、二人でいることが心地いい。
観る度にパワフルなこいけさんの演技が残っていきます。

溢れだす大山晃一郎監督の映画愛

―――― 映画を制作する観点で、監督にとって映画制作とは?映画は誰が作るのか?についてはどんなお考えをお持ちなのでしょうか。

大山晃一郎監督
映画制作について自分が言うのもおこがましいですけど、今は機材がなくても携帯で簡単に映画が撮れちゃう時代です。

でも、総合芸術というか。例えば、記録さんがいなくてもとか、照明部がいなくてもとか、そういう風潮も確かにあるけど僕は全パート使いたい。だって自分が同じ釜の飯を食べてきて、衣装も下っ端は毎日洗濯をしたりとか、照明部は夜、他の部署が帰った撮影現場で「ウエイトが一個足りないんです」と暗い中探していたりとか、そういう時代がみんなあって、一緒に修行をしてきた。現場で雨が降ってきたから川が増水しないようにみんなで橋の脚を抑えるとか、映画好きな人間が色んなところで勉強をし、修行をして集まって作る。それが僕は凄く楽しいんです。だから、自分の作品には誰一人欠けて欲しくなかった。ギャラも普段の6、7割しか払えていないですけど。

だから、『カメラを止めるな!』が300万円で興行30億を突破したとかが本当に嫌。自分たちは映画が好きでこの世界に入り、色んなポジションの人が集まって一つの作品を作っているし、照明部の下っ端の人にも家族がいて、自分の生活があるだろうし。だから、映画作りを分かっていない人たちが入ってきて、映画が売れたか売れないかがスタッフに関係ないのも嫌。スタッフは最初にもらった額が全てみたいな。色んな映画の作り方があるとは思いますけど、映画が好きなので。

監督はスタッフ陣の長なので、この映画に関わる人にはこの映画が当たったらA4くらいのでっかい大入り袋を配りたい。
映画を作るの、面白いんですよね(笑)

映画『いつくしみふかき』大山晃一郎監督

―――― 本当に素晴らしいオリジナル作品でした!

大山晃一郎監督
元々の台本と決定稿もだいぶ違いますからね。現場でどんどん書き加えていきました。
バスのシーンも当日その場所に行ったら「泣いたらアカン」って思って、遠山に「何で泣こうとしてんの?」って言ったら、「監督がここで感情を爆発させるって書いてるじゃないですか?」って。「意味分かんねー」って言われました(笑)。
音楽も吉川さん(音楽プロデュースの吉川清之氏)に「このシーンは音楽勝負ですから、お願いしますね」って。そうしたら「ずっとこのカットでいくの?気が狂ってるね」みたいに言われました(笑)。

―――― 最後に映画ファン、そしてこの作品を楽しみにしている方へのメッセージをお願いします。

大山晃一郎監督

いつくしみふかきこのポスターのシーンを撮りたいという衝動で作った映画です。
是非、観ていただいて、改めてこのポスターを観ていただきたいです。
おススメは5回目くらいです(笑)

映画『いつくしみふかき』大山晃一郎監督

―――― 楽しくて尽きないお話ありがとうございました。

6月19日(金)からテアトル新宿他全国公開!

映画『いつくしみふかき』予告動画

映画『いつくしみふかき』作品情報

出演キャスト
渡辺いっけい 遠山雄
平栗あつみ 榎本桜 小林英樹 こいけけいこ のーでぃ 黒田勇樹
三浦浩一 眞島秀和 塚本高史
金田明夫

監督:大山晃一郎
企画:遠山雄 プロデューサー:清弘樹/榎本桜 脚本:安本史哉/大山晃一郎 撮影:谷康生 照明:阿部良平 編集:菊地史子 録音:高松愛里沙 美術:榊さくら 音楽プロデュース:吉川清之 整音・効果:渡辺寛志 記録:松村愛香 衣装:深野明美 メイク:長縄希穂 制作担当:津崎雄大 助監督:安養寺工/松村卓 演技事務:清水亜紀 ラインプロデューサー:福田智穂 タイトル題字:高田菜月
主題歌:タテタカコ「いつくしみふかき」
後援:長野県飯田市 特別協力:映画「いつくしみふかき」を応援する会 遠山郷 天龍村
配給・宣伝:渋谷プロダクション 2019/5.1ch/JAPAN/DCP/109min

(c)映画「いつくしみふかき」製作委員会

公式サイト:www.itukusimifukaki.com

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