松本穂香さん&ふくだももこ監督インタビュー!映画『君が世界のはじまり』

映画 君が世界のはじまり,ふくだももこ監督,松本穂香

映画『君が世界のはじまり』
松本穂香さん&ふくだももこ監督インタビュー

7月31日(金)公開の映画『君が世界のはじまり』は、ふくだももこ監督と女優松本穂香さんが『おいしい家族』(19)以来、二度目となるタッグを組んだ青春物語。

閉鎖された地方に生きる高校生2年生の主人公・えんを演じた松本穂香さんをはじめ、中田青渚さん、片山友希さん、金子大地さん、甲斐翔真さん、ロックバンド・NITRODAYのVo & Gt担当小室ぺいさんら若手の注目キャストが集結し、ブルーハーツの音楽とともにヒリヒリするようなエネルギーに溢れた作品が完成しました。

映画 君が世界のはじまり,ふくだももこ監督,松本穂香

写真左:ふくだももこ監督 写真右:松本穂香さん

今回は、松本穂香さんとふくだももこ監督に、本作の撮影を振り返っていただきながら、映画の見所やお互いの魅力を語っていただきました。

ザ・ブルーハーツとの出会い

―――― ザ・ブルーハーツの音楽がとてもマッチしていました。監督とブルーハーツの出会いについてお聞かせください。ちなみに、私は「青空」が好きです。

ふくだももこ監督
私も好きです!(劇中でも)使いたかったんですけど、伊尾君(役:金子大地さん)は「青空」をよく聴いている設定です。ハイロウズの「青春」も使いたかった。

出会いは中2の時に読んだ小説に「終わらない歌」の歌詞が全部書いてあって、それが実在してるアーティストが歌っているとは知らなくて、ただ物語上に登場した作者が考えた詩だと思ったんです。その後に『リンダ リンダ リンダ』(2005年山下敦弘監督)を観て、どうやらブルーハーツというアーティストがいるらしいぞということに気付いて、アルバムを借りたら「“終わらない歌”ってこれのことやったんや!」と。だから、文字→映画→本家に行き着きました。

―――― 松本さんはどんな時にどんな音楽を聴かれますか?

松本穂香さん
独りで夜道を歩いている時とかです。夜歩くことが好きなので、特に自粛中は夜で人が少ない時間帯に外に出たりしていたので、フラフラっと散歩をしている時に好きな曲を聴いたりしました。

聴く曲はその時の気分で。表に出さないようにはしているので、あまりそうは思われないですが、気分のアップダウンが激しいタイプだったりするので、聴きたい音楽の選曲で“今、こういう気分なんだな”って思う時はあります。

映画 君が世界のはじまり,松本穂香

物語の胆、喧嘩シーン誕生秘話

―――― 想像を超えたものが撮れた!など、監督のお気に入りのシーンを教えてください。

ふくだももこ監督
想定を変更したというか、撮影の中で生まれたのは、穂香ちゃん演じるえんと琴子(役:中田青渚さん)が夜の商店街を歩いて決裂するシーンです。脚本を作っている時は全然意識してなくて、ただ2人が喧嘩するシーンだと捉えていたんですけど、現場で撮っていくうちにこのシーンがこの物語の胆になるのでは?と。

特にえんにとって大事なシーンじゃないのかと思い始めて、でもどうすればいいか分らなかったので、穂香ちゃんに「ここって大事なシーンだと思うんだけど、えんはどういうこと言うかな?」と相談したら「“どうでもええわ”とかどうですか?」とパッと出してきてくれて、役者さんとのセッションで生まれたというか、こういう相談をして段階を踏んでやったのが初めてだったので、感動しました。

えんから“どうでもええわ”って言葉が出てきたのはスゴイ!私が考えるなら言わないし、思い至らないけど、えんを演じている人だから出て来た言葉だと思いました。

松本穂香さん
真逆のこと、絶対に1ミリも思っていないことを言う場所かなと思いました。

松本穂香が共演者に胸キュン?!

―――― あのシーンが後々にも繋がっていますものね。
えんを演じた松本さんのお気に入りのシーンはいかがでしょう?

松本穂香さん
お気に入りにも色々な種類があると思っていて、「いっぱい走る」が大好き(笑)

琴子がナリヒラ君(役:小室ぺいさん)に声をかけて部活の話をするところで、ナリヒラ君が「うん、いっぱい走る」っていう台詞があるんですけど、その台詞がリハーサルの時からぺい君が言うだけでみんな笑っちゃうんです。

ふくだももこ監督
愛らしい感じになるよね。

映画 君が世界のはじまり,ふくだももこ監督,松本穂香

松本穂香さん
可愛いなぁって。“いっぱい走るんやー”みたいな(笑)。あそこは観てる人も皆同じ気持ちになるかなと、“キュ~ン”ってなるシーンで大好きです。

ふくだももこ監督
唯一の“キュン”ポイントかもしれないです。
アレは何なんですかね?何回やってもあの言い方だったしね。

松本穂香さん
意図して作り出せるものじゃないですよね。ぺい君の存在が想像を超えていったというか…

ふくだももこ監督
普通に「いっぱい走る」って言うだけやと思ってた(笑)。

―――― 先ほどのイベントの時も、小室ぺいさんは大人しく黙っているようでいて、確かに言葉を発するとありきたりの言葉がありきたりに聞こえなかったです。

ふくだももこ監督
そうなんですよ!

松本穂香さん
狙ってないからこそ、 欲がないからこその良さですよね。ずっとあのままでいて欲しい。でも、どっかで何かなっちゃっても、それはそれで面白いなと思います(笑)。

ふくだももこ監督
どう頑張っても面白いもんね。
彼はミュージシャンで、声が特徴的だというのもあり、そこは彼の持って生まれたギフトなのかなと思います。

松本穂香さん
何といっても「頑張れ!」のシーン、あそこは“最高だなぁ”って思いました。

ズバリ芝居の魅力とは?

―――― 本作では演出面にも参加され、ふくだ監督とも色々な会話をされたということですが、そもそもお芝居がお好きなんだろうということが伝わってくるんです。松本さんにとってお芝居の何が好きなのか、言葉で表現していただけないでしょうか?

映画 君が世界のはじまり,松本穂香

松本穂香さん
好きと言えるのかどうか微妙なところがあるんですけど、勿論、苦しいみたいなところも芝居からきてます。ただ、きっと“何か開放される瞬間みたいな感覚”が、本当にたまにあればいいかなぐらいなんですけど。その瞬間、普通の生活の中では解き放たれないものみたいなモヤモヤが、きっとお芝居だと許される時があるんじゃないかなと。

それが「好き」っていうものなのかどうかは難しいですけど、続いているっていうことは結局好きなのかなと思います。

引き出してもらう時もありますし、自分から“うぅ…”ってなって“わぁー”ってする時もありますし、苦しい時の方が多いかもしれないけど(笑)。

―――― 今回は若手の俳優陣が集まっていますが、皆さんに監督からの期待を込めて言葉を贈るとすれば、どんな言葉をかけてあげたいですか?

ふくだももこ監督
私が演出をやっていて楽しいなって思う瞬間は、脚本の文字を役者が演じた時に、全く私の想像超えて立ち表れた時、その人が完全に存在するんだとなった瞬間が本当に好きです。

自分の想像通りになることが良いとは限らなくて、やっぱり人と人だから、いつでもそこを超えて来て欲しい。恐れないで自分のやりたいようにとりあえず一回やってみて欲しいなって。後は色んなことを感じて考えて欲しいなって思っています。

―――― 存在するというのは、架空の人物として描いた人物が、そこに存在した瞬間ですよね?

ふくだももこ監督
その役の人生の積み重ねが見えたとき、本当に感動しますね。本作で言えば、ぺい君は本当に芝居の経験がない中で、現場ではナリヒラ君としてその場に立っている、あれは感動体験でした。本当にすごい。

―――― そこで改めてなんですけど、ふくだ監督から見た松本さんの魅力は何でしょうか?

ふくだももこ監督
彼女が持っている特別なものだと思うのは、えんもそうなんですけど、そこに存在しているだけで価値がある人というか、そこにただ存在することが出来る人だと思ってます。

それは何でなんだろう?って思ってたら、最近、韓国の音楽プロデューサーJ.Y. Parkの虹プロジェクトでの言葉を聞いていると、俳優にも通じることを沢山言っていたんです。練習生の少女たちに対して、基礎があまり出来てない人に言うことと、ある程度出来ている人に対してアドバイスすることが全然違っていて、ワンランク上にいる人にアドバイスする時は、歌やダンスの表現をより良くするためのアドバイスをするんです。

私にとって、穂香ちゃんは基礎があり、ワンランク上の演出をすることができる人です。この芝居をいかに発展させるかという話し合いが出来る、その力が既にあるというのが凄いと思っています。

―――― なるほど。松本さんは色んな監督の下で演技をされてきて、今回は2度目のタッグとなりましたが、ふくだ監督の魅力を一言でお伝えください。

松本穂香さん
こんなに愛が深い監督は他にいないと思います。

世界を広げてくれた大切な親友

―――― 本作から人間は自分以外の誰かに救われているんだということを感じました。タイトルは『君と世界のはじまり』ですが、“世界の広がり”とも捉えることが出来ると感じています。世界が広がった!という経験があれば教えてください。

ふくだももこ監督
凄く些細なことなんですけど、高校の時にしんどくてしんどくてたまらなくて、どうしたらいいか分からなくて、夜中2時ぐらいに【しんどいわ】って友達にメール送ったんです。自転車で2時間ぐらいかかる遠くに住んでる友達の子なんですけど、すぐに返信があって【今から行こうか?】って。面倒くさいとか、こんな時間にとか、そういうことを全部抜きにして、何がしんどいかも分かってないのに、とりあえず来てくれようとしたその心が嬉しかった。今後誰かがそういう状況になった時には、絶対私もやろうと思ったくらい、行動力・瞬発力が凄く嬉しかった。

それをえんとナリヒラ君の関係に活かしました。「ご飯食べた?」って。何気なくえんが家のご飯に誘うことが、ナリヒラ君の世界を広げることになる、あの瞬間を描きたかったんです!

映画 君が世界のはじまり,ふくだももこ監督

―――― あのシーンの笑顔も良かったです。ちなみに、ナリヒラ君をお家で迎え入れるえんの父親役・山中崇さんとの共演はいかがでしたか?

松本穂香さん
画面を通して観える方がカッコイイ人と、生で観た方がカッコイイ人がいて、山中さんは生で観るとカッコイイ方です(笑)

ふくだももこ監督
山中さんは本当に生で観るとカッコイイ!

松本穂香さん
画面を通すと良い感じにそのカッコよさが、

(2人同時に)消える!!(笑)

ふくだももこ監督
色気もありますし、山中さんのキャスティングは私の強い希望です(笑)

―――― 世界が広がった経験について、松本さんはいかがですか?

松本穂香さん
私も大切な親友の存在は大きなって思います。忙しくて1年以上会えてなかった親友に会った瞬間にその子が本当に大粒の涙をボロボロ流してくれて、そこまで想ってくれてるって思ってなかったし、もうビックリしてその時のことは覚えてます。

映画が公開した時も大阪でイベントがあれば毎回観に来てくれますし、彼女が観てくれるなら頑張りたいなと思います。親友が2人いるんですけど、映画のテーマによってはその子がずっと悩んでるテーマを描いた作品もあったりして、その時は撮影中もその子のことを考えたり、その子に一番に観てもらいたいなっていう気持ちで臨んだ作品もあります。そういう親友2人の存在は大きいです。

2人とも大阪に住んでいて、当然職業も違いますし、距離的にも離れてるんですけど、それでもずっと近くにいてくれてるのは凄く嬉しいし、ずっと続いてる関係なので安心出来る場所でもあり、大切な存在です。

映画ファンへメッセージ

―――― 最後に映画ファンへメッセージをお願いします。

映画 君が世界のはじまり,松本穂香

松本穂香さん
自信を持ってお届けが出来るとても素敵な映画が出来ました。是非、沢山の人に観ていただきたいです。

ふくだももこ監督
映画館に行くのはためらうかもしれませんが、映画館で観ることに本当の価値がある映画だと思っているので、本当に一人でも多くの人に、届けっ!!

映画 君が世界のはじまり,ふくだももこ監督

―――― ふくだももこ監督&松本穂香さん、ありがとうございました!


あらすじ

大阪の端っこのとある町。深夜の住宅地で、中年の男が殺害される。犯人は高校生だった。この町の高校2年生のえん(松本穂香)は、彼氏をころころ変える親友の琴子(中田青渚)と退屈な日々を送っていたが、琴子がサッカー部のナリヒラ(小室ぺい)に一目惚れしたことで、二人は徐々にすれ違うようになっていく。同じ高校に通う純(片山友希)は、母が家を出ていったことを無視し続ける父親に何も言えぬまま、放課後ショッピングモールで時間をつぶす。ブルーハーツを聴きながらふと通りかかった屋上で、東京から転校してきた伊尾(金子大地)と会い、求めるものもわからぬまま体を重ねるようになる。偶然ナリヒラの秘密を知るえん。急接近した二人を見て見ぬふりをする琴子。琴子に思いを寄せる、サッカー部キャプテンの岡田(甲斐翔真)。思いの捌け口を見つけられない純。田舎に閉じ込められた自分と義母を重ねる伊尾。変わらない町―。そんなある朝、父親殺しの犯人が逮捕され……。

郊外の気怠い空気とそれぞれの感情が混じり合い、物語は疾走していく。

キャスト

松本穂香 中田青渚 片山友希 金子大地 甲斐翔真 小室ぺい 板橋駿谷 山中 崇 正木佐和 森下能幸 江口のりこ 古舘寛治

原作・監督

ふくだももこ 『えん』『ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら』

脚本:向井康介
企画制作:オフィス・シロウズ
配給:バンダイナムコアーツ
製作:『君が世界のはじまり』製作委員会 バンダイナムコアーツ アミューズ オフィス・シロウズ
©2020『君が世界のはじまり』製作委員会

7月31日(金) テアトル新宿ほか全国ロードショー

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