別所哲也代表「アメリカで学んだ“Know Who”」ショートショート フィルムフェスティバル & アジア インタビュー【後編】

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 別所哲也代表

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア
別所哲也代表インタビュー【後編】

米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(略称:SSFF & ASIA)別所哲也代表インタビュー。

前編では、映画祭誕生の裏話からショートフィルムの魅力、さらにはビジネスと芸術という大きなテーマに至るまで、別所さんにお話いただきました。

後編では世界中のクリエイターとの宝物のような出会い、別所さんアメリがで学んだこと、本映画祭の役割やアフターコロナの世界についてなど、たっぷりと語っていただきました。

インタビュー【前編】はこちら

ジョージ・ルーカス&ジェイソン・ライトマンのエピソード

―――― 実は、昨年『家族のレシピ』が公開された時にシンガポールのエリック・クー監督に取材させていただき、出演されていた別所さんの話題にもなりました。別所代表は映画祭の運営を含めて、世界中の方たちと交流を深めていらっしゃいます。
世界の仲間との思い出やエピソードとか、別所さんが映画祭を通じて世界中の友人と出会い、付き合っていく中で培ってきてものや得たものをお聞かせください。

別所哲也さん
エリックの名前も挙げていただいて凄く嬉しいです。エリック・クーとの出会いも国際映画祭をやっていることを含めて繋がっていくことが出来ました。実際にそれが長編映画の制作に繋がったり、シンガポールを中心とした彼のネットワークの中からショートショート フィルムフェスティバル & アジアの参加者も増えていったりもしています。ちょっと前ですけど、2018年にグランプリを獲った方もイーウェイ・チャイ監督というシンガポールを中心にアジア圏で活躍している方ですし、そういったことも含めて映画祭をやっていて良かったと思います。

振り返ると、最初に僕にこういうチャンスを与えてくれたのは、映画祭を今でも応援してくれている『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカス監督だと思っています。世界で唯一、【ジョージ・ルーカス アワード】という彼の名前がグランプリについた映画祭にしてくださいましたし、彼のショートフィルムや彼宛にダメ元で送ったメールから始まった関係が、やっぱりこの映画祭を大きく世界に知らしめたり、あるいは信頼してもらえるものになったという意味では、一生を懸けて感謝してもし切れない存在がジョージ・ルーカスです。その後もずっと応援をしてくれている監督には本当に感謝してます。

別所哲也&ジョージルーカス

別所哲也さんとジョージ・ルーカス監督

その数年後にはジェイソン・ライトマン監督が参加してくれました。『JUNO/ジュノ』や『マイレージ、マイライフ』(主演:ジョージ・クルーニー)がアカデミー賞にノミネートされた本当に素晴らしい作品を作っている監督で、今後もソニーから『ゴーストバスターズ/アフターライフ』を公開する予定ですが、彼が自分の作ったショートフィルムで原宿のラフォーレに来てくれた時のことは本当によく覚えています。そこで彼が出会った他の国の仲間や映画祭の知り合いとは今でもハリウッドで連絡を取り合ったり、仕事をし合ったりしてくれているので、そういうお話を聞くと映画祭をやっていて良かった、人と人が繋がる場所を作れたなって。

アメリカで学んだ“Know Who”

僕がアメリカで最初に教わったのは、「人間は“Know How”の前に、“Know Who”だ」と。どんなにノウハウがあっても、人とどう出会ったか、誰を紹介してもらったか、どんな出会いがあったかで人生は変わるって。ハリウッドも完全に“Know Who”社会なんです。要は、ノウハウとか才能を持っているのはその大前提で、自分の問題として当たり前。それを育てるためにはどういう人に出会っていくか、どういう人のドアを叩いていくかだから“Know Who”だと言われたんです。

映画祭はまさにその“Know Who”の場所で、ノウハウの前に人と出会う場所。誰と出会えたか、自分は誰と友達で仲間でいるかっていうことが、人生の一番の財産で、そういう意味でジョージ・ルーカス監督もそうですし、ジェイソン・ライトマンとか、その先に繋がる色んな人たち。

今、シンガポールのスター監督の一人であるロイストン・タン監督はコロナをテーマにショートフィルムを撮っています。これも世界との繋がりの中で海外から聞こえてくるので、それはこの映画祭を開催しているお陰だと思っています。

日本の監督もこの映画祭でショートフィルムを知り、何度も足を運んでくれた監督も沢山いますし、こんなに有名になる前の斎藤工君も来てくれていたり、ディーン・フジオカ君も来てくれたり、本当に色んな人達が日本の国内でも参加してくれているので感謝しています。

世界は日本を渇望!

―――― 海外のクリエイターとのお付き合いも多い中で、敢えて、日本人クリエイターに要望があるとすれば、期待を込めてコメントをいただけないでしょうか?

別所哲也さん
もっと世界に飛び出して行って欲しい。

映画祭の窓はいっぱい開いてますし、オンライン上でもネットで繋がることもいくらでも出来るので、そういう場をもっともっと…

僕ら日本人って表現ベタというか、あまり自分から積極的に自分たちの存在を外に向かって、遠心力を持って発信していないと思うんです。もっともっと世界は待っているというか、待ってるどころかむしろ日本の色んなコンテンツや表現を渇望していると思うんです。

ゲームとかアニメに魅力を感じてくれる部分はいっぱいあるんですけど、もっと実写とか、映像作家とか、俳優との繋がりも求めているとも思うので、英語がちょっと喋れないとか苦手とか、そういうことに捉われず、今はポケトークもあるし(笑)

使おうと思えば色んなツールでコミュニケーションなんて取れるわけだから、どんどんドアを叩いていくことが大事なんじゃないかと思っています。

先日、ドイツの俳優がコロナ短編映画祭を立ち上げたというニュースを目にして、すぐうちの映画祭も連絡をとりました。思いがけず、彼はうちの映画祭にも俳優として参加していたことが後で分かったり。やっぱりドアを叩くというか、繋がろうとすれば色んなことが実はもう繋がっちゃっているってこともあるだろうし、僕も驚くことがありますから。

自分が出ていた「ウルトラマンの映画観てます」とか「ゴジラ映画観てます」という人から、海外の国際映画祭へ行ったときに急に抱きしめられたり(笑)。

だから、外の世界を恐れずにどんどん日本のクリエイター達にも飛び出して行って欲しいし、僕らの映画祭もそういった人たちと世界とを繋ぐ場所のお手伝いをしたいと思っています。

アフターコロナの映画祭

―――― 今年の映画祭は秋に延期となりましたが、キャッチフレーズが「ボーダレス」で、約200作品を無料上映されていかれると思います。このコンセプトに込めた想いと、何を具体的な成果として求めていくのかについてお聞かせください。

別所哲也さん
今年は皆さんもそうだと思うんですけど、本当に世界的に色んな事を考えさせられる課題、世界共通のテーマをもらったと思っています。それは映画祭に限らず、言わずもがなコロナというこの現実の中で、局地的なことではなく世界中の人たちがあらゆる形で向き合っているウイルスとの闘い、そして、僕らエンターテインメントや映像事業者がどうリバイバルしたりどう形を変えるのかということを考える、そういった物凄く節目の年だと思っています。

これまでも映画祭は毎年6月に開催してきました。同時多発テロがニューヨークで起きた年も、それからリーマンショックの年も、東日本大震災の年も6月開催を中止したり延期することはなかったんですが、今回22年目にして初めて開催を秋に延期する決断をし、6月の前に発表しました。

だから不思議な気分なんです。6月の梅雨の時期に、6月4日は必ず【ショートフィルムの日】という記念日設定もされていて、世界中からゲストを招き入れて映画祭をやっていた時期だったので、この時期をこういう風に過ごしながら秋に向かって準備する中で、僕の中では大きくマインドセットが変わりました。

これまでもオンラインとか、先程のブリリアの話も進めてきましたが、アプローチを変える、考え方を変える、そして、映画そのものの本質が何かをもう一回皆で問い直す。そういうことをこの映画祭の中でしていきたいと思っています。何よりも世界中のクリエイターが飛行機で飛んで来れなかったとしても繋がれる、あるいは表現ということを通じて、お互いを価値付けしたり、励まし合ったり、褒め称え合ったり、刺激を受けたりすることが映画祭というお祭りの本質だとしたら、それを絶対出来る場にしていきたいです。

もし、今後第2波、3波が来なくて、9月、10月の秋頃に私たちが映画祭をリアルに出来たとしたら、その映画祭がまさに本当に宝物のような存在になると思います。本当に皆が出会えたとしたら、その出会えた場所は涙を流すほど貴重な価値のあるものになると思います。オンラインに大きく軸足を移しながらも、人と人が本当にリアルに接することの掛け替えのなさ、もっと言うと映画の本質だと思うんですけど、感動の分かち合いや人が喜怒哀楽を感じる場所、泣いたり笑ったり刺激を受けたり、そういったことに近付ける場所や機会づくりをしていきたいです。そこに向かって今、毎日準備しているところです。

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2019 オープニングセレモニー

―――― より多くの“Know Who”が実現するといいですよね!

別所哲也さん
まさに!!

本当に今日の取材を通じたこの出会いもオンラインではありますが新しい出会いですし、この“Know Who”を次に活かす、あるいはこの映画祭の中でも人との出会いの形は変わると思うんですけど、形は代わってもそこで大事なのは映画祭を通じて出会えた“信頼”だと思うんです。信用と信頼というか、共感、あるいは同じ方向を向いている仲間がそこに集っているから、リアルでもオンラインでもそこで出会えた人って掛け替えのない信頼出来る人なので、そういう場にしていきたいと思っています。

是非、バンバン、デジタルで情報を出して映画祭を広めてください(笑)

シーン別おすすめショートフィルム!

―――― 是非、この記事を読んでくれた方々に映画祭に向けて短編映画を観ていただきたいので、別所さんがこの映画祭の作品の中で印象深かった映画を選んでご紹介いただけないでしょうか?

別所哲也さん
立場上どれと挙げるのは難しい面もあるのですが、「ブリリア ショートショート シアター オンライン」では年間を通じて沢山ショートフィルムを展開しています。そこでの上映(配信)作品は、僕も選定に参加しているものになります。無料で鑑賞出来ますのでぜひご覧いただきたいと思ってます。

―――― さらに、年代別や世代別、シーン別におススメの作品もご紹介お願いします!

【親子で観て欲しい作品】

ワンダフルフライト / The Wonderful Flight:モンゴル発/素朴な兄弟愛を感じる物語
(モンゴル、監督:Bat-Amgalan Lkhagvajav & Ian Allardyce、2015年、上映時間:14:36、配信期間:2020/6/24~2020/9/23)

窓から見える世界 / THE WORLD IN YOUR WINDOW:外の世界へ一歩を踏み出すとき
(ニュージーランド、監督:Zoe McIntosh、2017年、上映時間:14:55、配信期間:2020/6/17~2020/9/16)

【ベッドタイムストーリー】

韓国発、4分間で魚の一生を描くアニメーション『エサ』

エサ / Prey:ネタバレ厳禁の衝撃アニメ
(韓国、監督:Bo-Young Kim、2015年、上映時間:4:20、配信期間:2020/7/15~2020/10/14)

アグネス / Agnes:言葉で表せない想い、伝わって・・・!
(スウェーデン、監督:Anja Lind、2015年、上映時間:14:50、配信期間:~2020/7/28)

【土日に観たいサプリメントムービー】

オーストラリア発 心も温まる映画『スパ』,SPA

スパ / The Spa:悲しみを癒すのは時間か、それとも?
(オーストラリア、監督:Will Goodfellow、2015年、上映時間:8:06、配信期間:2020/7/8~2020/10/7)

ビックフォード公園で会いましょう / Bickford Park:日々の生活の中で忘れていたこと
(カナダ、監督:Linsey Stewart & Dane Clark、2017年、上映時間:12:31、配信期間:2020/7/22~2020/10/21)

【夏にハラハラ楽しみたいサスペンス】

ショートフィルム,映画,渋滞

渋滞 / Gridlock:消えた娘の行方は?緊迫感が続く20分の本格サスペンス
(アイルランド、監督:Ian Hunt Duffy、2015年、上映時間:19:45、配信期間:2020/7/1~2020/9/30)

ザ・ゲスト/ The Guests:新しい街、新しい家。ドアをノックしたのは誰?
(オーストラリア、監督:Shane Danielsen、2015年、上映時間:10:00、配信期間:2020/6/10~2020/9/9)

クレスニク / Kresnik:夏休み山の家での不思議な体験
(スロベニア、監督:David Sipos、2014年、上映時間:22:17、配信期間:2020/7/29~2020/10/28)

観たいショートフィルムは決まりましたか?是非、こちらのリンクからご覧ください!

※各作品は配信開始から3か月間視聴可能


SSFF & ASIA 代表 別所哲也 × フィルムメイカー・俳優 斎藤工 映画業界が挑戦するビヨンド・コロナを徹底トーク

未来をけん引するフィルムメイカーたちに贈るオンライントークシリーズ第5回は、SSFF & ASIA 代表 別所哲也 × フィルムメイカー・俳優 斎藤工が映画業界が挑戦するビヨンド・コロナを徹底トークを繰り広げます。さらに、SSFF & ASIAアンバサダー LiLiCoとのショートフィルムの魅力談義も展開!SSFF & ASIA 2020でのスペシャルイベントもライブ配信中に発表!!

【2020年8月6日(木)20:00~21:00ライブ配信】

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア

配信URL: https://youtu.be/l68nWHDYh18

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