三木康一郎監督、『弱虫ペダル』は小野田坂道(役:永瀬廉)を観る映画!

映画『弱虫ペダル』三木康一郎監督

映画『弱虫ペダル』公開記念
三木康一郎監督インタビュー

大人気スポーツ青春漫画「弱虫ペダル」が満を持して初の実写映画『弱虫ペダル』として、8月14日(金)より全国公開を迎えます。

主人公・アニメ好きの高校生・小野田坂道役をKing & Prince の永瀬廉さんが務め、新人エース・今泉俊輔役を伊藤健太郎さん、マネージャー・寒咲幹役を橋本環奈さんが演じました。さらに、坂東龍汰さん、竜星涼さん、栁俊太郎さん、菅原健さん、井上瑞稀さんらチーム総北メンバーがこの夏1番熱い物語を届けます!

今回は本作の三木康一郎監督に想像を上回る困難が待ち受けていた制作を振り返っていただきながら、映画『弱虫ペダル』の魅力をたっぷりと語っていただきました!

CGを使わない決断!

―――― 実写制作のオファーを松竹さんから受けて、監督はどのようなお気持ちでお引き受けされようと思ったのですか?

映画『弱虫ペダル』三木康一郎監督

映画『弱虫ペダル』三木康一郎監督

三木康一郎監督
なんか大変そうだなと…(笑)

『弱虫ペダル』をやりませんか?とお話をもらって、漫画原作コミックが送られてきて読んだ時に、面白くは読めたのですが「これ本当にやんの?」みたいな(笑)

舞台やドラマがあったことは知っていたんですけど、自転車レースを映画の規模でしっかりやった作品はないと思って、ないことをやったら今後の自分のためになるだろうし、やったことがないからこそ面白くなるんじゃないかと馬鹿な考えを起こしたばっかりに大変な目に遭いました(笑)

―――― アニメを観たのですが、自転車を漕ぐ画は単調と言えば単調ですし、深みがあると言えば深みがあると思います。どんなこだわりや技術をもって撮影に臨まれたのでしょうか?

三木康一郎監督
脚本を書いている時に各々のシーンをどうやって撮っていくかを想像しながら書くので、大体前半はCGだろうなと思っていました。だって斜度20度の坂をママチャリでなんか絶対に登れないんです。やったことあります?

―――― ないです(笑)やろうとも思いません…。

三木康一郎監督
車体の重量があるので絶対に上がれないから、グリーンの背景で撮ってCGで合成してやっていくんだな。大会は100人ぐらいロードレーサーを並べて、さらに道路に観客を入れる。だけど自転車はヒューンって目の前を通り過ぎてすぐ終わっちゃうから、どれだけの観客が必要になるんだろう?とか。そうするとレースもCGだろうなと思いながら書いてたんです。

でも、脚本を書いていてどこかのタイミングでCGを止めようと思ったんです。先ほどご質問で仰ったように、自転車って要素が多いんです。車の場合は座って運転しているところを撮ればいいだけなんですけど、自転車は2人が話す時も常に距離が変わりますし、細かく動くじゃないですか。道路の状況によっても変わるし、距離が変われば声の大きさも変わるし、風の音も直で入ってくるし。

そもそも最近の映画はCGばっかりじゃないですか。良い作品が出来る気はするんですけど、果たしてそれが今回の自転車に合っているのか?って思い始めちゃいまして、その辺の細かいところが自転車を伝えるには大事なんじゃないかと思って、CGを諦めて全部実写でやろう!と決めました。

例えば(小野田)坂道が、上りで追いついて抜かすシーンだったとしても、やっぱり実際にやらないと、(相手を)抜く前の表情や抜いた後の表情、そして台詞も全然違うんだろうなと思いまして。苦しみながらも、やっと相手をちょっと抜かした瞬間を、芝居でやれば「抜いた!」みたいな顔で表現されてしまうんだろうなって。でも、実際の自転車って抜いてからも坂は続くわけです(笑)

「抜いた!!けど…」みたいになるはずなんだけど、それって本当にやってみないと分からないと思ったし、そういうのが嘘になっていくと、自転車の面白さは伝わらないと思ったので、キャストに実際に走らせました。

―――― CGを止める決断をされ、実際に自転車を漕いでもらうためには事前のトレーニングが必要だったのだと思いますが、キャストの方々にはどのようなメニューをオーダーされたのですか?

三木康一郎監督
自転車練習は自転車のプロについてもらってみっちりやってもらいました。だけど、撮影とレースは違うんです。レースはゴールするためにやっているのですが、『弱虫ペダル』の撮影は走りながら感情を伝えたり、台詞があったりして物語が進んでいくので、そちらを重視しないといけないから。

自転車に乗ることに関しては出来るようになったんですけど、だからすぐに撮影が出来たかといえばそうではない。「練習したので出来ます!」みたいになったのですが、自転車は上手く出来るようになったんですが、それでどうやってシーンを作っていくか、感情を伝えていくかっていうのは出来ないですし、映画を撮っているのでカメラに撮らないと意味がないんです。

カメラポジションを考えて速度も2人で合わせたり、芝居をしながらカメラに映るように速度を変えたり、そういう要求をしなければいけないので、大変でした。

映画『弱虫ペダル』三木康一郎監督

ポイントは小野田坂道の感情

―――― 自転車には慣れていたものの撮影ではご苦労されたのですね。
小野田坂道は、抜群の脚力を秘めつつ、番狂わせの役割です。坂道を描く上でどの辺りをポイントにして演出されたのでしょうか?

三木康一郎監督
自転車レースではありますし、レースの面白さもこの映画では大事なのですが、彼のキャラクターの話なので、彼がどういう人で、どういうことを乗り越えていくか、そこ一点で物語を考えていく。プラス、周りにいるチームを彼がどう捉えて、チームのために自分がどうしていくべきか、ただのアニメ好きで内気な彼がそこまで行き着くまでの感情の流れ。何が起こってこう変わってこういう気持ちになってこうなるっていう、そのキャラクターをどうやって作るかがちょっと大変でした。

あのアニソンを歌い永瀬廉がママチャリで秋葉原を疾走!『弱虫ペダル』場面写真解禁

―――― 伏線を描くことが難しい、実直かつ真っ直ぐな青春映画だと思います。アニメであれば誇張出来ますけど、実写では風の音、抜いたり抜かれたりの距離感が表現できるとお聞きしましたけれど、逆にストーリー性を描くことが難しかったのではないでしょうか?

三木康一郎監督
ストーリー性は小細工ナシと決めたので、要は自転車を漕いで頑張っていれば人の心に何か伝わるだろうみたいな発想です(笑)

伏線を張ってストーリーに深みもたせて、その中でレースを入れてみたいなことをやっても多分面白くないと思ったんです。何か頑張ってる姿を見たら…。だって、マラソンも知らない人が走っていてもいいなと思う。そういったところを踏まえてストーリーを分かりやすく一個のものに絞って作るっていうやり方。頑張っている姿が撮れなかったらどうするんだ?みたいな(笑)

―――― なるほど、原作に対して忠実に描かれているんですね。それが一番難しいと、色んな方々からお聞きします。

三木康一郎監督
だからリアルに、何回もやってもらったってことじゃないですかね。

橋本環奈がボス感満載のマネージャー!

―――― 小野田坂道役の永瀬さんをはじめチーム総北メンバーは皆さんピッタリでした。特に巻島役を選ぶのが難しかったのでは?思っています。さらに、マネージャー寒咲幹役の橋本環奈さんもまるでアニメから出て来たような感じでした。キャスティングのポイントをズバリ教えてください!

三木康一郎監督
これは恋愛ストーリーではないので、幹は坂道を見つけて、今泉を成長させるという、全部知っているような存在です。坂道と一緒にいれば今泉もきっと成長するはずだ、みたいな。全てを分かっている裏のボスみたいな役割だと思っていたので、それをこの歳で出来る女の子ってなかなか見当たらない。ボスを出来る若い女の子って中々いねーなぁ、って(笑)

石原裕次郎レベルのボスを二十歳そこそこの女の子でやれる子いるのか??みたいな…。居たんですよ(笑)

―――― 15歳の役ですから、大人過ぎてもダメですものね。

三木康一郎監督
その辺の10代ぐらいの女の子でやれる人っていったら…、ねぇ?
まんまとやって帰りましたけど、ボス感満載で(笑)

巻島役の栁は昔からよく知っていて、手足が長いし、巻島にピッタリだと最初から思っていたら、まさかの丸坊主だった。前の作品の役で丸坊主にしていたので、ツルッ禿で来たからビックリした!!(笑)

―――― 一番に選びにくかった方はいらっしゃいますか?

三木康一郎監督
(部長の)金城!

竜星くんも金城の役は難しかったと思います。
「17、18歳というのは捨てましょう」と伝えました。高校生らしさを考えちゃうと多分金城じゃなくなるんで、「高校生という発想はなくしましょう」みたいなことを言いました。

―――― 坂道が自信を持つに至る、成長していくことがアニメの中でも伝わってくるんですけど、監督はどのような表現で成長感を描こうと思われたのでしょうか?

三木康一郎監督
『弱虫ペダル』は、ストーリーを追えば成長するんです。でも、2時間という限られた時間の中で映画はやらないといけないので、そんなに成長をしっかり描こうという風には考えていなくて、レースをしっかり彼がやりきれば自然と成長している風にお客さんがとってくれると考えました。

小細工よりも、伏線を張ることよりも、「とにかくレースを頑張ってください」と。だから、あまり細かいことをやっていないんです。「レースに勝てばいいんだよ」って、学校みたいですけど(笑)

裏門坂、山頂、ガッツポーズは必見!

―――― 監督が観ていてイチオシのシーン、みんなに是非注目して観てもらいたいシーンを教えてください。

三木康一郎監督
3つあるんです。

まずは、裏門坂の20度の勾配(笑)あれをママチャリで上がって行くシーン。

『弱虫ペダル』

次に今泉のガッツポーズをするシーン。あれが大変で、何回やったかな、ガッツポーズって危ないじゃないですか。でも、何とか両手で出来ないかと、あのシーンを撮る前からずっと伊藤君に「両手でやらないと画にならない」ってイヤーな感じで言っていたら(笑)、練習してきて出来たんです。でも、あのシーンは本当に大変でした。

そして、今泉の前を走っている坂道がバトンタッチする山頂ゴールシーン。最終日に撮ったのですが1日しか残っていなくて、晴れ予報だったのに山頂なんで霧がかかっちゃったんです。13時ぐらいまでずっと撮れなくて、急に晴れたからバーッと撮ったシーンなんです。霧が残っているんです、山に。霧の中から坂道と今泉が出て来るので、それは…。スモーク焚いたんですか?みたいな。

―――― 味方してくれたのですね!

三木康一郎監督
そういう感じですよね。味方してる感じが凄い。

―――― 撮影の期間は結局どのくらいの期間になったのでしょうか?

三木康一郎監督
本当はもっと短く出来ると思っていて、30日ぐらいで出来ると思ったら、自転車に乗れるのと撮影とが全然違うので、ほとんど最初は撮れなくて、結局50日弱ぐらい。

自転車が絡むと一番多く撮った日でも12カットぐらい。

例えば、20秒走って台詞があるとします。20秒走る前の助走からカメラは撮るので、助走が決まるまで500メーターぐらい走って、「よーい、スタート!」がかかって、やり終えて、すぐにスピード落とすと危ないのでそのまま走らせて、いいところで落としてってやるんです。自転車が100人いて、エキストラを並べてやっていると、1日9カットか10カットぐらい。大変でした。

映画『弱虫ペダル』三木康一郎監督

―――― 動物の撮影も大変だと伺うことがあるのですが、監督が初めて経験された自転車を撮ることもそれだけ大変なものだったのですね。

三木康一郎監督
要は何台かのカメラで、感情なし芝居なしでレースっぽいシーンだけ撮るなら楽だった気がするんです。でも本作は自転車に乗りながらストーリーを観せるので、そういう撮影方法が出来ませんでした。一個一々撮らないと物語になっていかないんで、一個ずつ撮影していった。結果、大変な目に遭った(笑)。

例えば、100人が走って10秒のシーンを撮るのに2、3キロ必要なんです。それで失敗していたらもう一度撮りなおし…。役者も疲れてしまうから自転車は全部トラックに入れて、本人たちをバスに乗せて、グルっと回って元の位置に戻ってきてもらうんです。

それを永遠に繰り返すという、気の遠くなる作業でした。

―――― キャストに申し訳ないという気持ちを持ってしまったら、とても出来ないですね。

三木康一郎監督
はい。

―――― 心の中の言葉を表現するシーンも沢山あると思いますが、台詞は別で録っているのですか?

三木康一郎監督
漫画でオフになっているところは、基本的にはオフで撮っています。でも、オフのシーンでも「喋れそうだったら喋って」って言いましたが、ほとんど喋らなかったです。辛いから(笑)

台詞がない方が楽なんでしょうね。一回も喋らなかったです。

―――― ちなみに、一番へばっていたのはどなたでしたか?

三木康一郎監督
鳴子!(役:坂東龍汰さん)
うるさいんです、すぐに「出来ないです」って(笑)。

小野田坂道(役:永瀬廉)を観る映画!

―――― 最後に、コミックを読まれて、この作品を撮影されて、監督のチーム総北愛や自転車愛についてお聞かせください。

三木康一郎監督
自転車というよりも、僕は坂道が好きというか、やっぱり彼が良いなって思いました。何なんでしょうね。やっぱり彼だからかな…。

自転車の楽しさも当然あるんですけど、彼が素直に言われたことをしっかりやって、相手のことをしっかり考えて、そういうところが凄くイイですよね。
弱虫ペダル,画像

―――― 今泉をアニメ研究部に入れたくて一生懸命に走るレースから、最後はチームのために走っている。その坂道を見ているだけで感動ですよね。

三木康一郎監督
そうなんですよね。やっぱり『弱虫ペダル』は小野田坂道(役:永瀬廉さん)が引っ張っている、彼を観る映画なのだと思います。

一番美味しいところは他の人が持って行くけど、彼が他の人を送り出してるイメージはずっと残っているので、主人公がゴールしないラストって小野田坂道だから出来たんだろうなって。普通は主人公にゴールさせたくなるんですけど、そういうキャラクターではないし、それが逆にいいんだと思います。

三木康一郎監督から動画メッセージ!


映画『弱虫ペダル』
8月14日(金)全国公開
主演:永瀬廉(King & Prince)
出演:伊藤健太郎、橋本環奈、坂東龍汰、栁俊太郎、菅原健、
井上瑞稀(HiHi Jets/ジャニーズJr.)・竜星涼 / 皆川猿時
原作:渡辺航『弱虫ペダル』(秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載)
監督:三木康一郎
脚本:板谷里乃・三木康一郎
主題歌:King & Prince「Key of Heart」(Johnnys’ Universe)
制作プロダクション:デジタル・フロンティア
協力:ワイズロード
製作:映画「弱虫ペダル」製作委員会
配給:松竹株式会社
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/yowapeda-eiga/
公式twitter:@yowapeda_eiga
公式Instagram:yowapeda_eiga
©2020映画「弱虫ペダル」製作委員会 ©渡辺航(秋田書店)2008
ストーリー:
主人公は、地元・千葉から秋葉原にママチャリで通う、運動が苦手で友達がいないアニメ好きの高校生・小野田坂道(永瀬廉)。あることをきっかけに、自転車競技部に入部することになった坂道は、自転車選手としての思わぬ才能を発揮することになる。坂道の良き仲間で期待の新人エース・今泉俊輔(伊藤健太郎)や、マネージャーの寒咲幹(橋本環奈)、同じ自転車競技部のメンバーとともに自分の限界や壁を越え、初めて出来た「仲間」とともに、レースで走る喜びを見出していくー。
誰かの為に頑張ったり、頑張る誰かを応援したりー。
あなたもきっと応援したくなる、誰かに想いを伝えたくなる、今年一番熱い青春ストーリー!

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