映画生きる街

映画『生きる街』は3月3日(土)から新宿武蔵野館ほか全国で順次上映されます。
東日本大震災から5年が経ち、ある手紙に託された想いに触れた時、止まっていた家族の時間がゆっくりと動き出します。母親・千恵子(夏木マリ)、娘・佳苗(佐津川愛美)、息子・哲也(堀井新太)を中心にした今を生きる家族の物語です。今回は、本作品の監督兼プロデューサーであり、俳優としても数多くの作品で活躍中の榊英雄監督に、映画『生きる街』に込めた想いを語って頂きました。
気合の入った女性、その答えが「夏木マリ」さん!
―― 夏木マリさんのキャスティングには監督の熱意があったと伺いました。
千恵子という役にハマる女優のイメージは色々ありました。肝っ玉母ちゃん、気合の入った女性は誰なのかと議論していると、「夏木さんはどうですか?」と仲間が一言。一瞬、刈り上げでモヒカンの夏木さんが頭に浮かびました。また『鬼龍院花子の生涯』(五社英雄監督)で演じた姐御役や『里見八犬伝』(深作欣二監督)の妖怪役などエッジの効き過ぎた役のイメージも沸きました。当然この役のイメージにはなかった発想です。ただ、視る角度は違っても、俯瞰して考えてみると「そうか、、、この役は夏木さんなのかもしれない!」と感じたのです。

夏木さんは現場で、「監督の要望を言ってください、やります!」と応えて下さいました。メイクもほぼせず、シワもあえて出るように、衣装やバンダナのアイディアも自らプロデュースして下さって、千恵子役に全力で取り組んで下さいました。とはいえ、撮影に入ってから初日、二日目と現場には緊張感が漂っていました。「これは何とかしないとな」と思い、「おはよう」の挨拶で僕が現場に入っていきなり「おっ、マリ。マリそこに立って、台詞言ってみようか」と。言いながら思わず身体が引いてしまいましたが、夏木さんも意図をすぐに汲み取って下さり、「マリー??? はい、わかりました!」と笑顔で答えてくれました。周囲も「マリさんのことマリって言うんですか!!」と突っ込んでくれて、みんなの心がひとつになった気がしました。とにかく、夏木さんを「マリ」と呼んだことは、強烈な思い出です(笑)

僕自身は、長崎の五島列島出身で母親がひとり実家にいます。一日中、母親以外の誰とも口をきかずに、生きることに関して会話したこともあります。そんな僕の答えは、全世界のどこの母親も、息子や娘がどこにいようと無事、安心・安全、夢の実現など色々なことを祈りながら生きているものだ、というものです。「母親がどんな思いを持って生きているのか」について、夏木さんと考えをすり合わせながら演じていただきました。
素晴らしいキャストが集合、また堀井君を撮りたい!
夏木さんの他にも大好きなキャストが集まってくれました。佐津川愛美さんは難役を引き受けられる演技派女優で今後もっと活躍の場が広がると思います。岡野真也さんもいろいろな表情を見せてくれました。吉沢悠さんや原日出子さんは、昨年公開した『トマトのしずく』に続いて出演していただいたのですが、本当に信頼できる役者さんです。升毅さんも仲間由紀恵さんも映画に厚みを与えてくださっています。そして次の三人の俳優さんに関しては少し深く言及させて下さい。

一人目は、斎藤工君です。実は、現在公開中の彼の初監督作品『blank13』に癖がある役で僕も出演しています。「是非、君の現場に出たい」とお願いしたんです。同時に、その三カ月後にこの作品があったので「ぼくも斎藤工が欲しい」とオファーをして、快く引き受けてくれました。映画のことを本当に愛していて、映画と真剣に向き合っている彼の姿はすごく刺激を受けるし、応援したいし、一緒に頑張っていきたいです。

監督:斎藤工(長編初監督)

映画『blank13』 (C)2017「blank13」製作委員会

二人目は、この映画のキーマンであるドヒョン役のイ・ジョンヒョンさん。この映画で起きる小さな奇跡の使者が韓国からきたドヒョンです。仙台の街で「君の役目なんだ!」と激高するシーンでは、あえて韓国語の字幕は入れていません。説明がいらないシーンだし、彼女がちょっと通訳をするので、それを含めれば読解ができる。あの瞬間に字幕はいらなかった。人気ロック・バンドのメンバーとして活躍している彼がキーマンを見事に演じてくれました。

実力派俳優が織りなす心の機微 映画『生きる街』豪華キャストのコメントをご紹介

そして三人目は、堀井新太君です。最初の印象は好青年。でも現場では一番怒りました。最後のシーンは何テイクか撮る中、途中で僕から「君の顔で全てが表現されるんだ。なぜ台本を読んでそれが理解できないのか!」と檄を飛ばしました。その時は、夏木さん達がすかさずフォローをしてくれて、最終的にはすごく良い顔が撮れました。深夜ドラマ『3人のパパ』では初主演を果たし、今年は大河ドラマ『西郷どん』にも出演と、今や若手スターの仲間入りをしている旬な俳優さんです。もう口も利いてもらえないかもしれないけど(笑)、良いタイミングで出会うことができたし、是非また堀井君を撮りたいです。

実力派俳優が織りなす心の機微 映画『生きる街』豪華キャストのコメントをご紹介

今回は、プロデューサーも兼務で大変さはありますが、このように素晴らしいキャストが集結し、僕自身も大好きな映画です!
前を向いて生きていく、作品に込めた想い
―― ラストのシーンは非常に印象的でした。
台本上は、映画のラストシーンの後に2シーンほどストーリーが続きます。でも、撮影・編集でバッサリ切りました。Too muchだと。切なさをこれでもかと観客に押し付けても、観客のみなさんはすでに感じとっているはずです。むしろ、今からまた前を向いて生きていこうという力強い映画にしたい。ラストシーンは撮りながらカメラマンと話していて、「ここがラストの気がするね」と一致して、あの場面になりました。

それぞれの街で生きていくのだから『生きる街』であり、カレンダー上では3月11日がまた巡ってくることはみんなわかっているから、それを踏まえて前へ。3月11日に失ったものを思うのではなく、未来を見据えた顔で終わりたい。そう願ってあのシーンが生まれ、台本上の『生きる街』とは違っても、これが劇場でみんなに観てもらう『生きる街』です。映画では、語らずともわかってくれる、それぞれが感じることができる【余白】を持っていることも大切ではないでしょうか。だから自由なんです。母親はあそこで生き続けていく、だから俺もお前も頑張りんやーいと思う。ネタバレになるのでこれ以上は語れませんが(笑)。あの表情、風景、アングル全てに僕の想いを込めました。是非、その想いを自由に感じて下さい。
映画『生きる街』誕生の経緯
僕自身は震災時は東京にいました。復興支援も何か特別な活動をしたわけではありません。この話を受け、初めて被災地を回りました。肉眼でみて、驚きや悲しみや色々なことを感じ、震災と僕が対峙することは難しいのではと思いました。そこで少し視点を変えて考えてみました。震災に限らず、世界大戦で亡くなった世代、中東で戦争を体験している人々、色々な時代、場所、それぞれに出会いと別れがあり、生きることと死ぬことがある。失礼を覚悟で言えば、震災があっても生き続ける人たちはいるわけです。その生き続ける人間の家族の話であればできるかもしれないと考えて、このストーリーに舵を切りました。入口は震災ではなく家族です。日本全国、世界中、どこにでもいる家族の物語。そこに震災の影響を受けている家族、という要素を加えました。だからこそ、震災に関するメッセージを込めるのではなく、母が君たちの健康と安全を祈って待っている、自分の生まれた街で大地に根を張って生きている、父ちゃんがいなくなってもこの街を離れずに生きたい、という想いなのです。誰もが関係する【家族】をテーマにした『生きる街』です。
榊監督の経歴、九州男児魂で突き抜けた10年間
俳優としてデビューし、この世界に入りました。まだ駆け出しで暇を持て余していた時に、「そんな暇があるなら、自分で脚本を描いて撮れば主役でしょ!」と、同年代の女優・片岡礼子さんに言われました(笑)。女性に言われて、九州男児の自分としてはすごく悔しくて「絶対撮っちゃるよ!」と。そこから色々な縁があり、10年間で13本というスピード感で撮り続けてきました。その中で『あずみ』『ゴジラ FINAL WARS』『ルパン三世』などで知られる北村龍平監督に出会い、『VERSUS』(2001年)に出演。その映画が海外の映画祭で好評となり、そこから自立できるようになりました。自分なりに全力で監督兼俳優の道を模索し、挑戦し続けてきたからこそ今があります。結果的には、俳優として作品に参画すること、監督として作品を作り上げていくこと、の両方できることが自分のストロングポイントです。この先どんな仕事ができるかわかりませんが、それも今の頑張り次第。まだまだ突き進んでいきたいと思っています。

ちょうど昨夜も世界における日本映画の存在感、今後注目のASEAN市場などについて語り合っていました。日本国内にも沢山の外国人が住んでいますので、彼らにもっと僕の映画を届けることができるはずです。なぜなら扱っているのは【家族】など世界共通のテーマです。海外の映画祭に向けて英語字幕をつけることはありますが、日本で上映する場合にも日本在住の外国の方々のために英語字幕が必要なのかもしれません。そんな僕は40代後半で英会話のレッスンを受け始めました。これからもまだまだ全力で攻めていきます!


編集部より
映画『生きる街』同様に、榊監督からは人生に立ち向かう力強さが溢れていました。人と人との繋がりを大切にし、仲間と全力で作品を作り続けていく榊監督の益々の活躍に期待しています!

※夏木マリが等身大の女性を熱演!映画『生きる街』
http://tokushu.eiga-log.com/featured-movie/4944.html

※映画『生きる街』キャストのコメントをご紹介
http://tokushu.eiga-log.com/new/4951.html


■ 予告編




■ 出演
夏木マリ
佐津川愛美
堀井新太
イ・ジョンヒョン(CNBLUE)
岡野真也
吉沢悠
石田法嗣
小柳友
ラサール石井
斎藤工
内田理央
新津ちせ
菅原大吉
石倉三郎(写真の出演)
仲間由紀恵(声の出演)
原日出子
升毅
■ スタッフ
監督:榊英雄
主題歌:BRAHMAN「ナミノウタゲ」
挿入歌:イ・ジョンヒョン(from CNBLUE)「ひかりのまちで」
題字:ジョージ秋山

配給:アークエンタテインメント/太秦
2018年/日本/カラー/シネマスコープ/5.1ch/124分
■ コピーライト
©2018「生きる街」製作委員会





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夏木マリが等身大の女性を熱演!映画『生きる街』予告動画キャストとあらすじやストーリーネタバレ「評判・レビュー」

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