映画『リトル・サブカル・ウォーズ 〜ヴィレヴァン!の逆襲〜』後藤庸介監督&松岡達矢プロデューサーインタビュー

映画『リトル・サブカル・ウォーズ 〜ヴィレヴァン!の逆襲〜』
後藤庸介監督&松岡達矢プロデューサーインタビュー
名古屋が生んだ、遊べる本屋「ヴィレッジヴァンガード」を舞台にした青春ドラマ「ヴィレヴァン!」の好評を受け、映画版『リトル・サブカル・ウォーズ 〜ヴィレヴァン!の逆襲〜』が10月23日(金)から全国ロードショーです。
出演キャストには、岡山天音、森川葵、最上もが、本多力、柏木ひなた(私立恵比寿中学)、平田満、滝藤賢一らドラマ「ヴィレヴァン!」主要メンバーは全員続投し、映画版スペシャルゲストとして萩原聖人、安達祐実、キャイ〜ン天野ひろゆきが参戦しました!
今回は、第一弾、第二弾ドラマと同様にメガホンを握った後藤庸介監督と本作の裏方代表・松岡達矢プロデューサーにお話を伺いました。
―――― メ~テレさんとヴィレッジヴァンガードさんは共に本社が名古屋という繋がりがある中で、どんな経緯で昨年のドラマ制作にまで至ったのですか?
後藤庸介監督
元々、“変わった店やなぁ”って思っていたんです。ただ、細かいことは知らず、下北沢にある面白いお店くらいの印象でした。本作脚本のいながききよたかさんと飲みながら話していたら、ヴィレッジヴァンガードは名古屋発祥の店で、かつ、初期の頃に彼はバイトをしていた、と。ビックリして思わず「30年も前からあったんですか!!?」って。
ぶっちゃけると、名古屋ってイイ意味ですけど、変な所だなってイメージないですか??
―――― ベタですけど、結婚式にお金をかけるみたいなイメージはあります…。
後藤庸介監督
そうそう、変じゃないですか!!
昔、赤と青と白色のリストバンドが異常に流行った時期があったんです。それが高校生の時で、大学の終わり頃に名古屋に用事があって行ったら、メチャクチャそのリストバンドが流行っていたんです!当時はネットがそこまで発達していなかっとはいえ、5年くらい遅れて名古屋で流行っているのを目の当たりにして、面白いところなんじゃないかって漠然と思っていました。
名古屋発祥と聞いたヴィレッジヴァンガードもドラマで描いた通り、変なところだったんです。儲かる必要はないとか、一店舗で潰すつもりだったとか、バイトは変な奴から採用しろとか…。でも、よくよく考えてみれば、忘れかけている昔の魂みたいなものを感じて、青春ドラマの舞台としてピッタリだと思ったんです。

後藤庸介監督
―――― そうなんです。しかも名言も沢山あって、所々で感動してくるんです。ドラマ版の中ですが、銀河鉄道の棚も完成した時にはちょっとウルっとくるものがありました。
後藤庸介監督
「誰かの人生を変えちゃうかもしれない本屋になった」って。ドラマで描くとカッコよくも見えますが、ヴィレッジヴァンガードの方にリサーチして彼ら自身から聞いた話なので、ちょっと美化されている可能性はあります(笑)
何せ自分たちで言っちゃっているんですから、ちょっと怪しい(笑)
―――― 今回の映画ではタイトルに「サブカルの逆襲」とあります。なぜ、今サブカルの逆襲であり、このタイミングで制作に至ったのでしょうか?
松岡達矢プロデューサー
昨年放送したドラマが小さい規模でしたが凄く好評でした。
ドラマとしてのクオリティが高い、かつ、若い人にとってもテンポがよくて楽しめる。しかも、企業幹部のような方々も共感出来ると言ってくださいました。そういう声が凄く嬉しかったんです。
ただ、観たら面白いとは言ってくれるものの、大体的に宣伝をする体力もなかったので、どうすれば全国に広げられるか悩んでいました。その時に、映画なら全国に公開出来ますし、この作品自体が映画に向いているという声もあり、映画にすればもっと皆さんに知ってもらえるんじゃないかと思ったんです。
そういう経緯で続編をやる時には映画も含めていかがでしょう?と後藤監督に相談しました。どういう内容の映画にするかを考えていくと、メジャーの大作に比べれば500分の1くらいの予算なので当然正面から競うことは難しい。であれば、ヴィレヴァンの世界観を最大限活かしていく。
マジョリティーとマイノリティーがあるように、メインカルチャーとサブカルチャーがある。ポスターはご覧の通り某ジョージ・ルーカスさんの作品に似せていたり、みんながよく知っている往年の大作をなぞったりした世界観の中で、色々なメッセージを込めてはどうかと。監督もアンダーグラウンドの映画などに造詣が深いので、今回のような作品に着地していきました。
企画自体は昨年から準備をしていたところ、今年に入りコロナが広がり、中国が大変だという騒ぎになり、映画で描いていた世界が現実になるとまでは言いませんが、現実がSFで描いていた世界にどんどん近づいていくような感じです。

松岡達矢プロデューサー
後藤庸介監督
当初伝えたかったこと意識したことは、コロナ禍でヴィレッジヴァンガードさんを含め小売業が苦境に陥っている中、何か奇跡を起こせないかということだけですかね。
―――― 人間が生み出したカルチャーはメイン、サブ関係なく、モノに限らず心の中に残ってさえいればいくらでも復活出来る、そんなメッセージも感じました。
松岡達矢プロデューサー
理系的なものに対するアンチテーゼみたいなことも考えていましたよね?
後藤庸介監督
そうなんですよね、人文的なものがあまり評価されなくなっていることとか。
世代毎にサブカルチャー論はあると思いますが、僕も脚本家のいながきさんも同世代で80年代後半から90年代にサブカルチャーは最も花開いたと思っているんです。その時に青春時代を過ごしましたし、テレビというメインカルチャーも凄く盛り上がっていた。だからこそ、俺たちはそうじゃないというサブカルチャーも元気だった。漫画や音楽もそうですよね。
―――― テレビに出演する歌手もいれば、あえて出演しない方もいました。
後藤庸介監督
そうそう、小室じゃないんだぞって(笑)
歌詞も何もない、エレキギターだけのロックとか。メジャーカルチャーとサブカルチャーが凄くいいバランスで盛り上がっていたと思うんです。そういう豊かだった時代からそうじゃなくなってしまった…。数値化出来ないと無理、ダメみたいな。
もっと人間同士のコミュニケーションで何かが生まれるとか、計算出来ないもので出来上がっていた世の中が全くなくなってしまった。
松岡達矢プロデューサー
無駄なもので溢れているあの店内みたいな。
後藤庸介監督
その最たるものがあの店ですよね(笑)
―――― 登場人物の個性が存分に引き出されていて、まるで実在するかのようでした。まず、岡山天音さんからお伺いしたいのですが、キャスティングはどんな点にポイントを置かれたのですか?
松岡達矢プロデューサー
まず、脚本にはヴィレッジヴァンガードとは無縁な体育会系の人物の設定がありました。その中で結構早いタイミングで監督の中には天音さんがいらっしゃったようです。
後藤庸介監督
細かくいえば色々とあります、芝居がめちゃ上手いとか(笑)
物語の最初は違うものの、杉下啓三(役:岡山天音さん)は結構早いタイミングでミスター・サブカルになる。彼が店長の意志を継ぎ、救世主となりミスター・ヴィレッジヴァンガードになっていく物語なので、本当に白紙の人がそうなっていくというよりは、確実にそうなりそうな人というイメージですかね。
―――― 岡山さんご自身も個性が際立つ方だとお見受けしておりまして、その個性がいかんなく発揮されているように感じました。
後藤庸介監督
完全にそっち側の人間ですもんね、漫画が大好きで!
2、3回お仕事をしたことはありましたが、あそこまでガチのオタクだとは思いませんでした(笑)。世の中をちょっと斜めに見ていたり、遠くから警戒して見ていたり、なんだか愛すべき不器用さを備えていて好きだったんです。
明るく上手くやりそうだなって感じは全くしなかったんです(笑)
―――― 実力がある方なので期待して観たのですが、期待以上でした。そうすると岡山さんを中心にキャスティングを決めていかれたのですか?
松岡達矢プロデューサー
店長の川上秀基役の滝藤(賢一)さんも早いタイミングで決まっていました。
―――― まさに滝藤さんイコールみたいな役でした!アドリブも色々と入っていらっしゃるのではないですか?
後藤庸介監督
ほぼアドリブじゃないですか!?(笑)
松岡達矢プロデューサー
滝藤さんが浮き輪を抱えた動画があるのですが、テイク1~3まで毎回違うことをやっていて、自由でした(笑)
後藤庸介監督
アドリブなんでしょうけど、実はメチャクチャ真面目に考えているんですよね。適当に言っているわけではなくて、“次はこれを言おうかなぁ”とか。
ギャル店員と同じ格好で登場するシーンは、最後カメラに向かって「ヒップホップ、怖え」とか言うんですけど、そんなに強くやってもらいたくなかったんです。抑えめで、カメラ目線もしないくらいに。
一回やってみたらカメラ目線はハマっていたので、それはいいかなって。でも、リハでも、本番一回目でも結構な迫力できたんです。別の問題があって何回かテイクを重ねていて、滝藤さんがモニターをチェックしに来て、こっちは「最後がちょっと強すぎるな」って思ったいたら、滝藤さんが「これさぁ、最後もっとやっていい?ちょっと足りないと思っちゃった」って。
(爆笑)
後藤庸介監督
「そっちなんだー!!もう、思う通りにやって下さい!」って。結構、俯瞰でみて考えているんでしょうね。ニコリともせずに僕の所に伝えにきました。
―――― CMでも女装されていますよね(笑)
後藤庸介監督
滝藤さんにドラマの台本を送ると、マネージャーさんから「カツラかサングラス、もしくはその両方を着用したいと本人が言っています」ってメールが返ってきたんです(笑)そんな俳優さんっています??全然本人かどうか分からないし、ポスターでさえサングラスを掛けようとするので、こちらから「大丈夫ですか?」って。唯一のオーダーがそれでした。
遊び心もあるんですけど、多分真面目に考えていて店長がたまにイイことを言うじゃないですか。イイ台詞があるからこそ、一つとして真面目にはしたくない、出来るだけふざけて言いたいということは仰っていました。
何かこれを明かしたらメッチャ滝藤さんの評価が上がっちゃいそうで悔しいですね(笑)
松岡達矢プロデューサー
僕も名古屋出身なのですが、滝藤さんも名古屋出身なので、ネイティブな名古屋弁も素晴らしかったです。
後藤庸介監督
(笑)
欲しいところだけ、バシッときますよね。そんなに多用しないですよね。その辺の塩梅ってあるんですかね?
松岡達矢プロデューサー
あります!
「標準語喋っとるがぁ」とか。あの感じはローカルな僕らが楽しむことですが、抜群です!!
―――― 本多力さん演じる山本昌男のキャラも抜群でしたし、皆さん本当に素晴らしい演技でした。
後藤庸介監督
ドラマの時からキャスティングを決めさせてもらいましたが、誰にも断られなかったんです。レギュラー7人全員。こういう群像劇って全員同じ時期にまとまってスケジュールが空いていないとキャスティングが出来ないから日程含めて確認が必要で、しかも7人ですから。にもかかわらず、全員一発でOKでした。
それはやっぱりご本人たちも自分にハマっていると思ってくださったのだと思います。
森川葵さんもこんなにガチなアニメオタクだとは知らなかったです。完全にそっち側の人。逆に滝藤さんは意外とそっちじゃないかもしれません。
―――― 有難うございました!最後に見所を含め、動画でメッセージをお願いします!!
出演キャスト
岡山天音
森川葵
最上もが
本多力
柏木ひなた(私立恵比寿中学)
水橋研二
落合福嗣
小林豊(BOY SAND MEN)
大場美奈(SKE48)
萩原聖人
安達祐実
平田満
滝藤賢一
監督
後藤庸介
脚本:いながききよたか
主題歌:「目蓋」神はサイコロを振らない
制作:コギトワークス
配給:イオンエンターテイメント
(c)2020メ~テレ
『リトル・サブカル・ウォーズ 〜ヴィレヴァン!の逆襲〜』
10月23日(金)全国ロードショー
ドラマ「ヴィレヴァン!2〜七人のお侍編〜」
2020年10月26日(月)より放送/全6回
ドラマ「ヴィレヴァン!」DVD発売中&各種配信サービスにて配信中!
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