“寄り添う”とは?映画『クローゼット』三濃川陽介さん&進藤丈広監督インタビュー【後編】

映画『クローゼット』三濃川陽介さん&進藤丈広監督

“寄り添う”とは?
映画『クローゼット』
三濃川陽介さん&進藤丈広監督
インタビュー【後編】

10月30日(金)にテアトル新宿ほか全国順次公開の映画『クローゼット』

主演の三濃川陽介さんと進藤丈広監督へのインタビュー【後編】では、三濃川さんがジンを演じる上で大切にされたこと、進藤監督が“寄り添う”ことに込めたメッセージを打ち明けていただきました!

【前編】インタビュー

―――― 新宿のビルに向かう終盤のシーンで七海がジンに話しているのですが、友達と話すようなごく普通の会話を一生懸命に伝えようとしていてむしろ七海の「孤独」を感じました。他愛ない会話かもしれませんが、あの時のジンの気持ちを三濃川さんとしてはどう感じられたのでしょうか?

三濃川陽介さん
ジンと七海の関係性は、他のお客さんとの関係性とは最初に出会ったファーストタッチから違うと感じました。というのは、七海は10代ならではの剥き出し感と言いますか、何も装ってないというか。彼女自身装っている部分は沢山あるんですけど、ジンに対しては装っているものを感じなくて、フラットに接することが出来たんです。

ジンを演じる上で、何かを取り繕うことはしたくないと思って、極力自分として相手と向き合いたい、相手を見た上で何を求めているかを考えて「添い寝屋」での時間を過ごしたいと思っていたんです。

その中で、彼女が最後に話した内容を聞いた時に、明らかに今までとは違うし、ちょっとずつ彼女の変化も感じていたので、“ここまで来てしまったか…”という感じですかね。

映画「クローゼット」

―――― 本作のテーマの一つが「寄り添うとはどういうことなのか?」だと思います。ジンを演じる上では、自分を主張するのではなく、寄り添うために受け手として目や姿勢で訴えていくしかないように感じました。声で表現した方が感情を伝えやすいと思いますが、ジンの台詞は限られていました。この作品を演じる上で難しかったところはどんなシーンだったのでしょうか?

三濃川陽介さん
全部ですが、一番は草村礼子さん演じるミエさんに「逃げてもいいんだよ」と言っていただいた後にジンが感情的になるシーンです。それまでに作品の中で引っ張ってきた部分を、今のジンがどう捉えているかが分かる部分なので、感情には任せきらないように演じました。

映画「クローゼット」

―――― ミエさんの一言も、会ったばかりなのに、人の心理を突いた感情に直接触れるような言葉で素敵でしたし、ミエさんの本当の目的を決して重くは受け止めないジンも素晴らしいと感じました。
進藤監督からは三濃川さんに対してどのような会話や演出をされたのでしょうか?

進藤丈広監督
三濃川さんと最初に面接をした時の印象がジン役にピッタリでした。

というのも、何人かで話していると言葉を発しないで人の話を聞き、周りの人がどう思っているかを観察するタイプの人だったんです。
ジンは最初こそ空気が読めずに色んなことを言っちゃうんですけど、後半は誰かが喋っているのを見てどう思うのか、彼女にどうしてあげた方がいいのかという眼差しを見せますが、こちらからお願いするのではなく三濃川さんから出てきたものを大切にしていきたいと思いました。

 

―――― 過去の取材で“誰かが辛い思いをした時に何が出来るのか?”を尋ねた時に、「何も出来ないからただ寄り添うことしか出来ないと思います」とお答えいただいたことがありました。しかし、一言で“寄り添う”と言っても、ただ物理的に側に居るだけではないと思います。難しい部分だと思うのですが、監督がもし言葉にするとすれば“寄り添う”とは一体どういう状態のことなのでしょうか?

進藤丈広監督
やはり“観察すること”なんだと思います。

観察をして向こうから喋れなくて喋ってもらいたそうならこちらから喋りますし、2人で一緒にいるだけで良いなら無言の時間が苦にならない時もあると思います。向こうが何を求めているのかを見つめる、その観察こそが寄り添うことなんだと思います。

今、コロナで打合せがリモートで行われたり、直接会うことが出来なかったりした時に、リモートで観察するのは凄く難しいと思います。会って喋ることが重要なのではなく、会って同じ空気を吸って、同じ空間にいること。相手が何を感じているのかをこちらが感じて反応する、それ自体が出来なくなっています。だからこそ、今この映画を観ていただいて、本当に1年前は当たり前だったことを改めて皆さんに感じてもらいたいと思います。

メールやLINEではないし、会話がなかったとしても一緒に居ることがより一層大切なんじゃないかと思います。

―――― 本作品の中にはLGBTQ、不倫、高齢者の孤独など身近な社会問題が含まれています。これらは一つ一つ解決出来る問題なのではないかとも感じるのですが、監督はどのように捉えていらっしゃるのでしょうか?

進藤丈広監督
現実世界には色んな人がいて、寄り添っても解決出来ない問題が沢山あると思うんです。ただ、この映画の中では何人か救われた人がいます。ジンが“添い寝”の仕事をして、一人でも二人でも救える人が居るのであれば、それは意味のあることだと思うんです。

現実だって全員を救うことは絶対に出来ないけど、誰か一人でも二人でも寄り添って救うことが出来たら、それだけでも十分なことなんじゃないかという想いを込めて描きました。

お客さんはジンと添い寝をして、一時的には救われるのかもしれないですけど、根本的なものは全く変わってない人の方が多いはずなんです。

―――― 現実世界の「添い寝屋」の方々はその辺りに気付いていらっしゃるのでしょうか?

進藤丈広監督
気付いていると思います。

それこそ「あんたの話なんか聞いてないわよ」というエピソードも取材で聞いたお話です。相手がどう思っているか、「観察」と表現されていましたが、「解決」ではなく「観察」を一番大切にしている仕事なんだと思いました。

それは私たちが生きる上で大切にしなくてはいけないことだなって身に沁みて感じました。

―――― 最後になりますが、ポスタービジュアルもとても美しいイラストです。

映画『クローゼット』三濃川陽介さん

映画『クローゼット』進藤丈広監督

進藤丈広監督
これは漫画家の浅田弘幸さんにお願いしました。映画のポスターは主演キャストの写真がメインになることが多いので、ちょっと他とは違う目を引くものにしたいと思って、今回はイラストを描いていただきました。美しくて飾っておきたくなるような素敵なデザインが出来上がりました。

三濃川陽介さん&進藤丈広監督から映画ファンに動画メッセージ!

キャスト

三濃川陽介 栗林藍希 新井郁
尾関伸次 青柳尊哉 篠田諒 永嶋柊吾
草村礼子 渡辺いっけい

監督

進藤丈広

© 2020「クローゼット」製作委員会
公式サイト:https://www.closet-movie.com/

10月30日(金) テアトル新宿ほか全国順次公開

映画「クローゼット」

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