『そこにいた男』片山慎三監督インタビュー!着想はネット上の1枚の衝撃写真

そこにいた男,画像,片山慎三監督
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『そこにいた男』片山慎三監督インタビュー
着想はネット上の1枚の衝撃写真

長編デビュー作品『岬の兄妹』が話題を呼び自主映画としては異例のロングランを記録した片山慎三監督の最新短編映画『そこにいた男』が、11月13日(金)よりアップリンク渋谷、アップリンク京都他で公開を迎えます。

昨年5月に発生した【新宿ホスト殺害未遂事件】に関するネット上の1枚の衝撃的な写真を見た監督が「これを映画にしたい」と奮い立ち、脚本を務めた岨手由貴子(そでゆきこ)氏の女性ならではの視点を加え、濃厚なR15+指定映画を完成させました。

今回は本作の公開を記念して、片山監督の映画制作に迫りました!

そこにいた男,画像,片山慎三監督

片山慎三監督

―――― 非常に心に残る作品で楽しませていただきました。『岬の兄妹』の次となる本作を短編にした狙いをお聞かせください。

片山慎三監督
四宮プロデューサーからお話をいただいた時に、長編もやりたいけど撮影期間が限られていたので、「短編にしましょう」ということで、撮影期間からすると30分ぐらいの作品が限度なのかなと思って、短編になりました。

―――― 撮影時期はいつ頃だったのでしょうか?

片山慎三監督
昨年の10月末です。

―――― 実はお聞きしたかったのは、昨年5月に発生した【新宿ホスト殺害未遂事件】にかなり似ていると思ったんです。一つの愛の形を描く上で、あの事件を参考にされたということでしょうか?

片山慎三監督
参考にしました。
ネットで流れている血だらけの写真が割とショッキングで。

ただ、あくまでもあの一枚の写真をモチーフにして、世界観を大幅に変えて描こうということで、制作進行と売れない役者の恋物語に変えました。

そこにいた男

―――― 男女の愛の形にはいわゆる正解はないと思います。
ただ、観客目線ではおぼろげながらにも自分の求めている愛の形とか理想が見えてくるものなのかなと思いました。監督としては愛の形を見たり、描いたりすることによって何を狙っているのか、どういう愛の形を考えていらっしゃるのかをお聞きかせいただけますか?

片山慎三監督
今回に関して言うと、紗希が一方的に固執しています。

冷静に考えたら早めに気付きそうなものなんですけど、妄信的に好きになってしまうことは男でも女でもあると思うんです。周りが見えなくなった状態の中で好きになってしまうことは、多分女性はすごく共感出来るんだろうなって思います。

実は彼が結婚していたという話もよく聞くじゃないですか。女性は不倫に対する恨みつらみがあって恨んではいるんでしょうけど、結局一緒に過ごした時間はなくならないものですよね。だから、時間がなくならない、記憶として残っていることが大事なのかなって思ったんです。

いびつな結果を招いたとしても、その時間があったという事実は変えられないというか、そういうことを描きたかったです。

そこにいた男,画像,片山慎三監督

―――― 「私だけが翔を理解してあげることが出来ると思った」と言った、あの瞬間から全てが始まって、結末が結末だけに恐ろしいです。
刑務所の女同士のシーンももつれた糸をほぐしたのか、紗希への当てつけなのか、女性の複雑な気持ちを垣間見たような気がしました。

片山慎三監督
彼女が本心で言ってるかどうかも定かではなくて。ちょっと強がりを言っているのか、本心で言っているのか、どっちか分からない方がいいと思ったんです。だから、ちょっと呼び止められた時に悲しい顔をしていて、どっちなのかな?って思わせた方がいいかなと思ったんです。

その辺りは脚本の岨手さんが上手く書いてくれました。

―――― おそらく監督が骨子を作り、脚本として岨手さんが書き加えたと思いますが、どの辺りが加えられたのでしょうか?

片山慎三監督
台詞が女性ならではの台詞になっていると思います。やっぱり浮かばないですから、嫉妬心とか。

翔の体に落書きを描くのも、実際に岨手さんの友達が経験した実体験として、旦那に浮気されてやったらしいです。それをモチーフに取り入れた感じなんですけど、そんな話も男同士の会話の中では絶対出て来ないじゃないですか。だから、その辺は女性ならではの視点で書いてもらいました。

―――― 正直、観客目線としてもドキッとしたシーンです(笑)
逆に、監督と岨手さんの意見が分かれたシーンはありましたか?

片山慎三監督
全体的な構成で、過去と未来が入れ替わっていきながら、落書きのところで一つになるみたいな、あの構成は自分がこういう風にしたいと主張しましたけど、あとは細かい台詞を現場で変えたぐらいですかね。最初からこの映画は女性が書かないとダメだと思っていたので。

『そこにいた男』画像

―――― 最後のシーンは可愛いらしいというか、普通の恋愛をしている男女の姿を見れたような気がして(笑)あのアイディアは監督ですか?

片山慎三監督
お尻が見えて(笑)
最後あそこで終わろうというのは自分が考えました。

―――― 女の人として男の人を見た時の可愛いっていう気持ちを最後に持ってきたのですか?

片山慎三監督
あのシーンは唯一、翔が紗希のためにしたことなんです。だからこそあそこだけが記憶に残っている。

―――― そういった狙いがあったのですね。
監督はポン・ジュノ監督の元で一緒に仕事をされていますが、映画作りにおいてどんなものを得ることができたのでしょうか?

片山慎三監督
得られたことは沢山あります。

テイクを重ねるし、割と諦めない姿勢というか、少しでも良くしようとしている姿勢は凄く感じるんです。後はシリアスなシーンでもちょっと笑いの要素を入れたり、一つの偏った方向に感情を持っていかないところはスゴイですね。

あまりジャンルに捉われずに、シーン毎に色んな要素を詰め込んでいった方が映画は豊かになるということを教えてもらいました。

そこにいた男,画像,片山慎三監督

―――― 続いてキャスティングなのですが、紗希役の清瀬やえこさんと翔役の安井秀和さんの演技が素晴らしくて、紗希と翔がそこにいるんだという一種の存在感を感じることが出来ました。
まず、清瀬さんについては演技についてどんな会話をされたのですか?

片山慎三監督
オーディションの時から清瀬さんに紗希っぽいところがあるとは思ったんです。でも、肩にリストカットがあったりとかは清瀬さんに決まってから思いつきました。

一人の男にのめり込んでいく感じと自傷癖があるような、そういう女性像は清瀬さんになったことで浮かびました。

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―――― 清瀬さんが持っている個性と、紗希とをシンクロさせることで新しい発想に結びついてるのですね。演じる役者さんによってストーリー性というか、見方が変わってくるのは面白いですね。

片山慎三監督
配役によって全然イメージが変わってきますもんね。

―――― 安井さんからは本当にチャラさがにじみ出てました(笑)
常にあっち行ったりこっち行ったりして居場所が分からないような、素晴らしい演技で驚きました。

片山慎三監督
安井さんも本人のまんまでいけるかなって思ったんです(笑)
実際は真面目な人で、見た目と違って硬派というか、体育会系なところもあるんです。
そういう意外性はあるんですけど、本質的には翔っぽいところもあるんじゃないかと思います。

年齢が33歳なので、色んな人生経験も裏で感じさせるようなところはありました。若くてチャラいだけだと、ちょっとつまらないんで。おそらく彼の人生経験みたいなものが出ているんです、色々あった感があるんですよね(笑)安井さんはそこが良かったです。

そこにいた男

―――― 確かに年齢だけ見ても20代後半から30代にかけて、20代はハチャメチャで失敗もして、それをちょっと反省するような時期でもあり、少し大人になっているようなところがあります。

片山慎三監督
ただ、過去は消せないですから。何か出ているものがあるんです。

―――― その辺も見抜きながら、キャスティングされていらっしゃるんですね。

片山慎三監督
そうですね。やっぱり本人の持っているものが結構大きいですよね。

―――― そして『岬の兄妹』に続き松浦さんが出演されています。松浦さんとの出会いについて教えていただけますか?

片山慎三監督
松浦さんとの出会いは映画『マイ・バック・ページ』(山下敦弘監督)です。僕が助監督をして、その時に初めて会いました。面白い人だなって。同い年だし、ちょっと仲良くなったんですよね。

そうしたら終盤のシーンで、上手く出来なかったからって泣いていて、松浦祐也が。純粋な人なんだなって印象が残っていました。
彼はスタッフから役者になったんですけど、『マイ・バック・ページ』は大きい作品でいい役だったから気合いが入っていたんでしょうね。本番で上手くいかなくて落ち込んでいて、励ました記憶があります。

『そこにいた男』画像

―――― そんなエピソードがあったのですね。
『岬の兄妹』で松浦さんが一躍脚光を浴びた印象もあり、監督のディレクション、見せ方が良かったのかなと感じています。

片山慎三監督
そうだと嬉しいですけどね(笑)

―――― 松浦さんの真面目さというか演技に対する純粋さみたいなところを上手く引き出すために監督が特別に考えられたことはありましたか?

片山慎三監督
映画を沢山観ていて、本も読んでるし、結構勉強熱心なんです、ああ見えて(笑)

そういう意味では共通の言語が多いので「こういう風にやって」とか「ここをちょっとためたい」とかお願いすると、考えてくれたりアイディアを出してくれたり。やり過ぎの時もありますけど(笑)

―――― 本作はキャスティングがハマっているのだと思いますが、仮にキャスティングの時点で失敗したとして、撮影の中で何とかできるものなのでしょうか?

片山慎三監督
何とか出来るものだと信じたいですけどね。

顔を撮らなかったりとか(笑)引きだけにしたり、後ろ姿だけにするとか、色々方法はあるんですけど。それこそ少しお酒を飲んで演じてもらったり(笑)

―――― 色んな手段があるのですね(笑)今回は作品が作品だけに、撮影中は殺伐とした雰囲気が流れていたのでしょうか?

片山慎三監督
いや、楽しくやっていました。あまり殺伐とした感じにしないで楽しくやろうって。

―――― 監督がこれはいいシーンが撮れた、注目して観てほしいというお気に入りのシーンを教えてください。

片山慎三監督
観てほしいのは、やっぱりラストシーンです。エンドロールが凄く好きです(笑)芝居じゃないですけど(笑)
声で終わる、あれをやりたかったです。

―――― 一瞬、何かが始まるのかなと思いました。

片山慎三監督
あのまま終わるのがいいなって。

後は刺すシーンを観てほしいです。清瀬さんの危機迫る演技というか、ちょっと怖い狂気感が出ています。
男の人は皆気をつけようねって(笑)女の人が観たら「分かる~」ってなるのか、「やり過ぎだよ」ってなるのか分からないですけど(笑)

そこにいた男,画像,片山慎三監督

―――― 最後に改めて、監督が本作でやりたかったこと、描きたかったことをお聞かせください。

片山慎三監督
男女の話をしたいというのはあって、時間軸を綺麗にハメて、どう上手く見せるのかがテーマでした。なぜ刺したのか?そこを一番のピークに持っていけるように積み重ねていくことをかなり考えました。長編でやろうと思ったらちょっと間延びすると思うんです。短編の30分だからこそギュッと出来るし、凝縮して出来たと思います。

『そこにいた男』画像

―――― 本当に濃厚な作品で様々な要素を楽しむことが出来ました。有難うございました!

キャスト

清瀬やえこ
安井秀和
中村映里子
水口早香
松浦祐也

監督

片山慎三

スタッフ

脚本:岨手由貴子
プロデューサー:四宮隆史
挿入歌「HAKU」 etsuco/HIKIE
企画製作・配給:株式会社 CRG
©2020CRG

11月13日(金)より
アップリンク渋谷・アップリンク京都にて本公開

『そこにいた男』画像

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