映画『完全なる飼育 étude』月船さららさんが語る女性演出家役への覚悟

月船さらら,映画,完全なる飼育 étude,画像

映画『完全なる飼育 étude』
月船さららさんが語る女性演出家役への覚悟

本日11月27日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷他で公開の映画『完全なる飼育 étude』で、女性演出家・小泉彩乃役を演じた月船さららさんにお話をうかがいました!

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小泉彩乃役を演じた月船さららさん

―――― 色々な点で完成度が高く、凄く良い映画でした。シリーズを知らない人でも楽しめると思いました。伏線もあればどんでん返しもある作品なのですね!
はじめに、この作品への出演に至った経緯を教えていただけますか?

月船さららさん
お声をかけていただいたのですが、すぐに「はい」とは言えない点もあり、一度監督とプロデューサーさんにお会いしてお話をさせていただきました。

例えば“露出”の点は、それ自体の良し悪しではなく、どうしてそういったシーンが必要なのか?ということを納得したくて話を聞かせてもらいました。また、私自身も映画の設定と同じく演劇の世界に長く生きているので、自分と近いだけに逆にハードルが高く、台本の細かなところまで落とし込めなくては演じられないという気持ちをお話させていただきました。

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―――― 信じられないくらいの本気度が伝わってきました。出来上がった作品をご覧になってみて、改めて月船さんの感想をお聞かせいただけますか?

月船さららさん
撮影中、スタッフもキャストも全員の気迫が凄かったんです。時期も時期でコロナ禍でもあったし、撮影の直前に予定していた劇場が使えなくなって、別の劇場に急遽変更したり。通常より少ないキャストとスタッフという点も大変でした。でも誰もが本当に素晴らしい仕事をされていて。映画の出来上がりを観た時に、あのメンバーであの時期だからこそできた映画だと思いました。画面から伝わるものが見事にあったと感じました。

―――― やはりそういう雰囲気だったのですね、目に見えないものですが伝わってきます。
ところで、そうした迫力とは別に、逢瀬の現場を発見した時の竹中直人さん演じる警備員さんのシーンが笑えました(笑)しばらく独りでクスクス笑ってました。

月船さららさん
いやー、ほんと自由でいらっしゃって(笑)

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―――― 鬼気迫る支配・被支配の男女関係に対して、対照的な一般的な情愛の中に盛り込まれた痛烈なギャグでした。我々に近い目線を忘れずに作りこんで頂いたことで対照的二つのストーリーを違和感なく受け入れることが出来ました。ちなみに竹中さんの演技はいかがでしたか?

月船さららさん
私は現場にいなかったので、直接は見ていないんですけど、ほんとに私の出ているパートとは違う世界を繰り広げられていて。凄く面白かったです(笑)確かにこちらのパートだけだったら、観ている方々からはちょっと遠い世界になっていたかもしれないですよね。

―――― 竹中さんの存在がシリーズの継続性を担保しつつ、彩乃が助けを求めると竹中さんが登場することになるのか?などといった目線でもハラハラしながら見ることも出来ました。
監督からの演技指導はどういったものがあってどんな会話をされたのでしょうか?

月船さららさん
そうですね、台本を読んだだけでは、彩乃の作り方っていくつもの可能性が出てくると思うんですけど、監督が「彩乃をもうちょっと品格のある感じに作りたい」という意味のことをおっしゃって。その時に「あ、分かった、見えた」と思いました。私も彩乃をただヒステリックで暴力的な女性には演じたくなかったので、全ての迷いがなくなりました。監督とは綿密にコミュニケーションをとっていましたが、沢山の言葉で伝え合うというよりも、言葉少なく分かり合える感じで、それは凄く良かったです。

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―――― ご自身の納得感とは別に、彩乃にとって大切だと考えたポイントはありますか?

月船さららさん
彩乃は蒼に対して物凄く要求が高いのですが、その裏付けがとても大事で、彼から何を引き出したくてこのセリフを言ってるか?ということを監督と突き詰めながら作っていきました。

彩乃のようなキャラクターは「舞台や表現に真摯に向かい合っている」ということが根底にないと、とてもチープになってしまうと思んです。決して鬱憤を晴らしているのではなく、蒼の中に少しづつ芽生えた本物の表現をちゃんと捉えて“今の眼!”とか“今のその演技!”と引き出していくんです。どのシーンにもそれが大前提にないといけないので、監督とはセリフのご相談もしました。とても丁寧にワンシーン、ワンシーンを撮っていきました。

『完全なる飼育 étude』,画像

―――― 終始、高圧的に暴力を振るって蒼の演技を引き出していく彩乃ですが、行き過ぎた演技指導の末に、苦しむ蒼を見て唖然とした彩乃の表情を一瞬垣間見ることが出来ました。その時に、彩乃の心中に別の感情を感じ取ることが出来ました。
ところで、蒼役の市川知宏さんとは演技についてどんな会話をされたのですか?

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月船さららさん
自分でも気がつかないうちに蒼と彩乃の距離感みたいなものが続いていたんでしょうね。市川さんにとって私はとても近寄り難かったと思いますし、私も寄せ付けないような空気を纏っていたと思います。だから話し合うことはあまりしていない気がします。ただ冒頭の稽古のシーンは話合いました。初めて蒼が彩乃に稽古をつけられるシーンなのですが “蒼の演技はまだ未熟だ”という演技をすると、演技に演技を重ねて、それってちょっとチープになってしまうと思うんですよね。勿体ない。本気で演技をしていてもそれでも尚 “出来てない”って彩乃に罵声を浴びせられる事で作品自体が底上げされると思うんですよ。

でも市川さん自身、とても本を読み込んでらっしゃるから、私が何か言うことは全然必要ないですもの。演技の話も雑談もせず(笑)でも、オールアップした途端、人格が変わって笑顔でハグし合いました(笑)

―――― 鬼気迫る二人の主従関係が逆転するのか、していないのか?なども見所だし、深いと感じるところでした。
ところで、演出家がこのような過激な指導をすることは、多くはないにしろあるとは思うんです。こうした指導が人格の破壊に繋がっていくものなのか?あるいは憑依体質と言われる役者さんの人格は、色々な演技を経験することでどうなっていってしまうのか?その辺りについてご意見を頂けませんか?

月船さららさん
多くの舞台に立っている私がこうした過激な演出シーンに挑戦すると、リアリティーを感じられてしまって、舞台ってこういうものなのかって思われてしまうかも知れないですよね。でも実際はこういう演出は受けたことないです(笑)ヒステリックに役者を追い込めば役者がいいものを出すとも全く思わないですしね。

憑依体質については、そういうタイプだとしてもそれをコントロールする力もないといけないと思っています。役と自分を重ねることでしか演技ができないと、メンタルももたないですし。

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―――― それは宝塚時代から既に培われてきたものなのでしょうか?それとも、長い時間をかけて自分でコントロールできるようになったのでしょうか?

月船さららさん
若い時の方が自分と役を同化させて演技していたように思います。でも、その事について、師匠のように思っている天願大介監督から「それでは演技の限界が来るから、そうじゃない演技の仕方を学ばなきゃ駄目だ」と、とても強く言われて。
憑依している様に見えていながら、そうではないということが重要なんだなと、今は思います(笑)。

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―――― 久しぶりに気迫を感じる作品に出会えましたし、彩乃と目の前の月船さんとのギャップにも、当然なのかもしれませんが本当に驚いています(笑)
ところで、ご自身が写っているお気に入りのシーンがあったら教えていただけますか?

月船さららさん
ラストカットです!
蒼と彩乃の憑き物が取れたような表情を見て欲しいです。

―――― それでは最後に映画ファンに向けてメッセージをお願いします!

月船さららさん
とても有名な作品なだけに、先入観があるとは思うんですよ。でも、それに囚われないで観ていただければと思います。かなり幅広く色んな方が観て楽しめると思います。

最近はコロナ禍の中、やりたいことも中々出来なくて、ちょっとムズムズしていらっしゃる方も多いと思います。そんな方にこそ、この熱量に触れてもらえるといいなって思います。

是非、劇場でご覧ください!!

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―――― 俳優としての素直な気持ちや覚悟を教えていただくことができました。楽しいお話の数々、有難うございました!!

映画『完全なる飼育 étude』ディレクターズカット版予告

キャスト

月船さらら
市川知宏
金野美穂
寺中寿之
永井すみれ
松井るな
竹中直人

スタッフ

監督:加藤卓哉
原作:松田美智子
脚本:山本浩貴
挿入曲:Theatrical Odyssey of BALLET APOLLO アルバム「幻想連鎖 fantasmagoria」
挿入歌:ドクロズ「とんでって」「ちょっと死ぬ」

配給:『完全なる飼育 étude』宣伝委員会
©SEDIC INTERNATOINAL,SEDIC-DILON

2020年11月27日(金)
ヒューマントラストシネマ渋谷他公開

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