中川奈月監督&福永朱梨さんの名コンビに新ジャンル映画誕生の予感『彼女はひとり』【前編】

中川奈月監督,福永朱梨,画像
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中川奈月監督&福永朱梨さんの名コンビに新ジャンル映画誕生の予感!
『彼女はひとり』【前編】

11 ⽉29 ⽇(⽇)より、テアトル新宿にて⽥辺・弁慶映画祭セレクション 2020 として『中川奈⽉監督特集上映 4DAYS』が開催されます!

今回は、中川奈月監督と主人公の澄子役を演じた福永朱梨さんにお話をうかがいました。監督がなぜこの物語を映画にしようと決めたのか、澄子と秀明(役:金井浩人さん)の壮絶な演技合戦はどのように誕生したのか、撮影の思い出やお互いの印象とともに楽しく振り返っていただきました!

中川奈月監督,画像

映画『彼女はひとり』中川奈月監督

福永朱梨,画像

主人公・澄子役の福永朱梨さん

―――― だいぶ深いテーマなのにそれが上手く表現されていて、演技も凄く良かったです。一瞬で全てが分かるわけじゃないので、考えていくと色々な点が線となってどんどん繋がっていく感じでした。
監督は、なぜこの作品、この物語をお作りになられたのか教えていただけますか?

中川奈月監督
まずはホラーをやりたかったのが一番ですね。ジャンル映画を撮りたかった。

ただ、ホラーで幽霊が出てビックリしてみたいな、そういう構図で私が観たいものを作ろうと思っていたら、それだけになってしまって。そこに中身を入れるにはどうしよう?と思った時なのですが、埼玉にある大学にずっと一人で通ってて、夕方の街中を歩いてたら、ふと“一人ぼっちだな”みたいな気持ちになってしまって(笑)

その、ふとした瞬間、一人になってしまった時に“私に頼るところってあるのかな?”みたいな、そういう気持ちが(中身として)出せたらいいなって思ってたんでしょうね。

ちゃんと世渡りをしてきて繋がりを作っていく人たちに対して自分は上手く出来ない、といった嫉妬みたいなものがあったんだろうな、と思うんです。また、それが暴力的な形で出ちゃったなみたいな気もします。

―――― 最初はホラーだったわけですね?

中川奈月監督
そうですね、完全に(笑)メチャ、ホラーでした!

中川奈月監督,画像

―――― 途中で“あれっ、この作品のジャンルは?”みたいな感じでちょっと期待した気持ちはありました(笑)
ところで、作中では、普通の女子高生・澄子の周りをタブー視されている愛が取り囲んでいます。そこで彼女は傷つき、その行く末に“どうなっていくんだろう?”ってという点で考えさせられると思うんです。中盤から後半にかけて、タブー視されてる愛みたいなものに対しては、監督はどういう捉え方をされたのでしょうか?

中川奈月監督
主人公の澄子が一度身を投げて戻って来た後に、やっと現状に怒り出すというか。

タブー視していたものを続けてきた人たちを見て、ずっと澄子は口を塞いできたというか、私にそれが出来ないというか、澄子自身がずっと我慢してきたことに反動をつけたかったっていう気がしますね…。

―――― もう一つ “好き”の破壊力の方って大きいな、と。人間は“好き”とか“嫌い”、これで“良い”とか“悪い”とかを選択している生き物なのかなって。そして、“好き”という選択を否定された時に自分の存在が揺らいでしまうほどの弱さをはらんでいるの生き物なんだと感じました。“好き”というものの破壊力については、監督としてご意見があればおうかがいしたいのですが、いかがですか?

中川奈月監督
その通りだと思いますね。全部をまとまり良く自分の気持ちを受け止めてもらった世界を澄子は本当に物凄く求めていたんだなって思うので。それをスッと流されてしまったというか、その気持ちが返って来なくて、それよりも大きなものが別の人たちに向けられてるって思った時の辛さって本当に辛いなって思いますね。

中川奈月監督,画像

―――― 福永さん、お待たせしました(笑)
本作では、ある事件をきっかけに豹変した後の澄子を演じられていて、『本気のしるし』(深田晃司監督)では豹変する前後を演じています。福永さんは“豹変系”かな?と編集部でも話題でした(笑)
観客目線からすれば、最初、澄子は無表情で大人しい子なのかな?って思うのですが、秀明から金を無心するわけです。目力といい、語気といい、このギャップの大きさには驚かされました。演技上、難しかったり、ポイントを置いた点、澄子になりきるためにどういうことを意識されましたか?

福永朱梨さん
やっぱり相手の秀明役の金井さんが、私がいじめればいじめるほど反応するので(笑)それが凄く楽しいというか、こっちはもっとやってやりたくなる(笑)でも、攻撃が一方的になっていたら成立しないというか、秀明の反応があるから澄子がどんどん加速していく感じがあったので、やっぱり澄子をやる上で相手役の金井さんに助けられた部分は凄くあります。

福永朱梨,画像

―――― 秀明の反応を見る澄子を見てると、ちょっと悲しそうでもあるんですよね。怒りの増幅と同時に、失望や絶望、境界に追いやられていくような表情に見えるのんです。どっちなんだろうって。やっぱりエスカレートするのだろうかっていう、緊張の糸を感じるんです。あの辺の澄子の気持ちって複雑だったのではないですか?

福永朱梨さん
そうですね。先生も助けようとしてくれるし、寄り添ってくれようとする人に対しても拒絶していく中で、言葉で「嫌い」と言いながらやっぱり寄り添ってほしいというか、愛みたいなものを求めている部分があったので、嫌い嫌いも好きのうちじゃないですけど、うーん、やっぱり苦しかったですね、拒絶するのが。ただ嫌いで、本当にその人のことが嫌いで「NO」って言ってるんじゃなくて、好きだからこそっていうのがあったので、凄い苦しかった記憶がありますね。

―――― 観ている側にも辛い思いが伝わってきました。また、ラストにかけて感情を爆発させる澄子を見た時にも同じように澄子の気持ちが伝わってきました。
感情ののせ方も大変だったとは思うのですが、撮影は順撮りですか?

中川奈月監督
初日に保健室でした。

―――― 初日に保健室を撮ったんですか!!

福永朱梨さん
はい(笑)でも、ラストの階段とか先生のところは最終日でしたね。

彼女はひとり,画像

―――― 保健室のシーンも、秀明の感情が垣間見えるようなシーンでもあり、設定も複雑じゃないですか。カーテン越しの、いいシーンですよね。一番好きなシーンって、どのシーンですか?

福永朱梨さん
一番好きなシーン!?(笑)

―――― この私を見てね、でも、金井さんのここが良かったです、でも結構です(笑)

福永朱梨さん
秀明が「写真消してよ」とか言ってきて、それを拒否する澄子と秀明のところは、金井さんメッチャテンパってて(笑)あの何とも言えない表情は格別ですよね。

彼女はひとり,画像

―――― 金井さんは『キラキラ眼鏡』でインタビューさせていただきました。今は、NHKの大河ドラマ「麒麟がくる」で浅井長政役としてご活躍されていますね。金井さんは白紙にポンッと個性が浮き出るような感じで、どんな色にも染まらない、色々な役をこなせる方なのではないかなという印象でしたが、いかがでしたか?悪口も含めて(笑)

福永朱梨さん
(笑)
私も高校を卒業してお芝居を始めて、こんなに芝居の息が合う俳優さんに出会ったことがなくて、それは有難いことに金井さんもおっしゃってくれたんですけど、本当にキャッチボールしているような感覚。投げたら嘘なく返ってくるから嘘なく返せる。その場の反応で返せたので、本当に出会えて良かったと思える俳優さんですね。本当にまた絶対一緒にやりたいなって思います。悪口はないです(笑)

福永朱梨,画像

中川奈月監督
本当に二人に出会えたことが一番大きかったので、二人のあの感じを越えるものに出会えるのか、やれるのかが今後の私の課題でもあるので、本当に幸せでしたね、見てるだけで(笑)

―――― 監督から見た福永さんはどういう特徴というか、個性を持った人に見えますか?

彼女はひとり,画像

中川奈月監督
そうですね。普段会っている雰囲気とはまた別のもの。そこには無かったものがいっぱい胸の中にあるというか、後ろの背景がいっぱいあるので、“この人こんなところがあったんだ!”みたいなのを凄い見せてくれる。

私は作品を撮ってて人の嫉妬とか怒りみたいなものを出してくのが、自分的には面白いし、そういうのも面白く出来るんじゃないかなと思いつつあるので、そういう雰囲気にピッタリ合う方だったなと思いますし、一番最初に出会えたのはスゴイ光栄でした(笑)

福永朱梨,画像

―――― 監督も洞察力が強いので見抜かれていたんじゃないですか?

福永朱梨さん
どうですかね。自分では普段そんな闇がある(笑)感じだとは思ってないんですけど、やっぱりどこかで、自分の中で普段絶対発散しない部分、嫉妬だったり妬みだったり凄く本当はあると思うんですよ、自分の中に。でも言葉にしないし、人に見せないし、けどそれを澄子ちゃんの役とかで自分じゃない人になった時に出て来るのは、自分の中にやっぱり元々あるものなんだろうなっていう風には思います。

―――― そうですよね。いろんな感情って、多かれ少なかれ皆備わってるものだから、それを引っ張り出してくるわけですよね。そういう心の深層心理みたいなものと、表現ってものを鍛えていかないと普通には多分出せないですよね。
福永さんの演技って分かりやすいし、わざとらしくない。ハチャメチャになってやるけど、なる人はそうなるよねっていうのは伝わってくるので、凄い女優さんですよね。

中川奈月監督
怖いことを言うのに全く無理してないというか、自然に出てくるのがスゴイ怖いんですけど、見てて凄く面白くて、“あぁー”って(笑)

まだまだ楽しいお話は続きます!後編へ!!

中川奈月監督&福永朱梨さん動画メッセージ!!

中川奈⽉監督特集上映 4DAYS

2020 年 11 ⽉ 29 ⽇(⽇)〜12 ⽉ 2 ⽇(⽔)テアトル新宿
連⽇ 20:50 開映
⼊場料:前売り券 1000 円/当⽇券 1400 円

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