人々の想いをのせて“はやぶさ”が新たなミッションに挑む!『劇場版HAYABUSA2~REBORN』【前編】

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人々の想いをのせて“はやぶさ”が新たなミッションに挑む!
『劇場版HAYABUSA2~REBORN』【前編】

11月 27 日(金)に『劇場版HAYABUSA2~REBORN』が全国公開しました!

今回は、「はやぶさ」「はやぶさ2」ミッションの10年間を、映画制作を通じて追ってきた上坂浩光監督からお話をうかがいました。

はやぶさミッションに関わってきた方々の想いを如何にして作品に込めたのか、実際には見ることのできない “はやぶさ”の動きのどこに拘りをもって映像化したのか、そして私たち観客目線に立った時に何を大切に思って制作したのか等を語っていただきました。

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上坂浩光監督

―――― 非常に素晴らしい作品で、ちょっと涙が出てきてしまいそうな場面もありました。

上坂浩光監督
本当ですか。ありがとうございます。
どこで涙が出ましたか?

―――― ナレーションで“はやぶさ”にずっと語りかけている点や、地球に帰還して燃え尽きる時が一番感動しました。監督も豪まで行かれて実際に帰還するところに立ち会われたそうですがそれこそ感無量だったのではないでしょうか?

上坂浩光監督
そうですね(笑)

―――― 『はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH』から10年、今回『劇場版HAYABUSA2~REBORN』が制作されました。この10年 “はやぶさ”と付き合っていかれたわけですが、感想をお聞かせいただけますか?

上坂浩光監督
僕が一作目を作った時は、まさかこの作品がシリーズ化して3作もできるとは思っていなかったんです。1作目を作った時にかなり多くの方に観て頂いて人気が出たんですけれども、それによって3作作ることができたっていうのは、非常に有難いと思っています。

なぜそうなったかという点に関して言うと、自分なりに思っているのは、はやぶさミッションの説明に終わらない作品だったからかな、って思っています。

感情移入するような(ナレーションによる)切り口や方向性があったから、科学とか宇宙に興味がない多くの人に観てもらえて、それで色んなことを感じてくれたのかな、それによって3作も作れたんだなって思います。

―――― 10年の歳月がどんどん監督の思いを強くしていかれたと思うのですが、そもそも監督と“はやぶさ”との最初の出会いについて教えていただけますか?

上坂浩光監督
私も皆さんと同じようにニュース等で知っているぐらいで、はじめは良く知らなかったんです。映像制作をやっているので、ある日、JAXAさんから“はやぶさミッションを説明する映像作品を作りたい”というので呼ばれたんです。CGの映像作家として参加したんですが、その時初めてはやぶさミッションに出会いました。

映像を作るためには僕がはやぶさミッションを良く知らなきゃいけないですよね。なので、宇宙研(宇宙科学研究所:ISASの略称でJAXAの一部門)に行って部屋を開けたら、はやぶさミッションのリーダーが全員揃っていて!その彼らが寄ってたかって僕に細かな話をして説明してくれるんですよ、役得ですよね(笑)

普通では絶対聞けないような話や色々なことを教えてもらって、“すごいチャレンジングなミッションをしている!世界初のミッションをしている!!”というのが良く伝わってきました。

もう一つはミッションをやっている人たちがとても魅力的だったんです。宇宙研の現所長の國中均さんですがその当時はスタッフの一人として、初めて会う僕に対してフランクに話しかけてくれたり、素人の様な質問にも凄く丁寧に答えてくれました。その場で僕が変な質問をして、すぐには分からないことでも、その場にいるみんなで話し合って結論を出してくれたり、僕が「それはちょっとおかしいんじゃないですか?」みたいなことを言っても、「そうかもしれないね」みたいに返してくれました。

凄く一体感があって、その仲間に入れてもらった感じがして、直ぐにはやぶさミッションのチームが好きになりました。

―――― 初代“はやぶさ”が任務を終えて、はやぶさ2が造られたわけですが、新たに“はやぶさ2を打ち上げるぞ!”といった話をはじめに聞いた時はどんなお気持ちでしたか?

上坂浩光監督
はい、すごい嬉しかったです。オーストラリアで燃え尽きる“はやぶさ”を見た時に、やっぱり悲しいじゃないですか。目の前で爆発しながら消えていくんですけど、僕はそれを見ながら後継のミッションがもし行われる時は、自分が出来る限りの応援をしたいと思いました。

頑張って帰って来た“はやぶさ”に報いたいというか、そういう気持ちでしたね。だからとても嬉しかったです。

―――― 大気圏に突入する時の“はやぶさ”について教えていただけますか?

上坂浩光監督
色んな部品が取れていって、それぞれが高温になって発火するのが分かりました。はやぶさはタンクが二つあるんですが、それが爆発するんです。大きな爆発を二回するんですけど、すごく明るくて、砂漠なので辺りは真っ暗なんですけど、自分の影が落ちるくらい明るく光りました。

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―――― 皆さんが大変な想いをして造って、でも一時は帰還できるかどうか分からないということになった。そして、やっと戻ってきてくれた“はやぶさ”が目の前で爆発して消えていく。その姿を見たら、みんな涙を抑えきれなかったのではないでしょうか?

上坂浩光監督
本当ですよね。僕が1作目の『はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH』を完成させたのは、実は帰還前の2009年なんです。帰ってきたのが2010年なので、その一年前に応援の気持ちで作った感じなんです。裏話なんですが、『はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH』を見たミッションチームの人が“これは絶対に地球に返さないとまずい”と思ったって(笑)、それを観て。

―――― “はやぶさ”に関しては実写版も制作されています。実写版は様々な登場人物が感情表現をするわけですが、本作は感情表現はなく、CGの映像とナレーションだけです。それだけで泣けてきてしまうことが不思議でなりません。

上坂浩光監督
どんな作品にしようか?って一番初めに思った時に遡るのですが、映画って、普通主人公がいて“はやぶさ”とJAXAのミッションチームの話にすると思うのですが、そうではなくて“はやぶさ”と観ている人の話にしたかったっていうのがあったんです。だから他のものは出さない。観ているあなたと“はやぶさ”の物語だということなんです。

―――― ナレーションでは“はやぶさ”を擬人化して語りかけますが“はやぶさ”は勿論答えません。でも、情熱を注いだ人たちの想いが、“はやぶさ”を通じてなんだか心の中に語りかけてきているようでした。ロマンを感じるし、努力や人間臭さまで感じるんです。素晴らしかったです。

上坂浩光監督
それって皆さんが映画を補って観てくれてるんですよ。僕が全部作っているんじゃなくて、観てる皆さんがそういう風に補って観てくれているんですよね。僕はそういう映画が良いんじゃないかなと思っていて、そういう面では、成功しているのかも知れません。
勿論、はやぶさミッションをやった人たちの想いっていうのは“はやぶさ”には宿っているので、それは事実ですよね。

―――― 脚本上、苦労されたポイントなど教えて頂けませんか。

上坂浩光監督
いくつか自分が言いたいことをシナリオ化しているシーンがあります。冒頭近くで「宇宙は遠いところにあるのではなく、私たち自身が宇宙なんだ」っていうセリフがあるんですが、太陽を一周してまた地球に帰ってくるあたりでセリフを当てるっていうのは、かなり自分の想いが入っています。

―――― 最後の方でも“自らの存在の意味に気付き、歩み始めた時・・・命、やどる”といった言葉があったと思います。それは“はやぶさ”を物として見ていないという意味にも繋がるし、すごく含蓄のある言葉だと思いました。

上坂浩光監督
それは副題のREBORNにも繋がるんですけれども、生まれ変わるっていうのは当然一回死んで生まれ変わるっていう概念があります。けれど、自分の生きる意味とか立ち位置とかを知ることによって、生きている状態で生まれ変われるというか、ですのでそういう気づきを得ることっていうのはとても大事なのではないかって思います。

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―――― JAXAの皆さんも、科学に向き合っているだけではなく、“命とはなんだろう?”とか“生きてるってなんだろう?”とか、そういう想いが裏側にあるわけですよね。

上坂浩光監督
人間みんなそうだと思うんですよね。自分がなんでここにいるのか、なんのために生きているのかっていうのは、自然に考えることなんじゃないかなと思っています。その答えは地球上を探しただけでわからなくて、宇宙を探査して、宇宙を知ることによって自分を知れるっていうか、そもそも僕らの身体を作っている分子原子は星の中でしか作られないですから。

―――― 「水と有機物だけで命は生まれない、なぜだ!“はやぶさ”」なんて語りかけもありましたよね。

上坂浩光監督
よくセリフ覚えていますよね。(笑)

―――― 言葉たちが頭に残ります。それはやっぱり上坂監督がミッションチームの皆さんや他の科学者の方々と接する中で感じたことなのでしょうか?

上坂浩光監督
そうですね、全くその通りです。科学とか、芸術もそうだと思うんですけど、仏教もそうかもしれないですけど、その目指すところっていうのはやっぱりそこだと思うんですよ、そのためにやっているんだっていう。

それで宇宙探査をした後に、翻って地球を見てみるとなんて美しくて素晴らしい場所なんだろうって思うんですよね。最後のエンドクレジットに森の風景とか海の波とかを入れたのはまさにそういう気持ちなんです。

後編へ続く

『劇場版 HAYABUSA2〜REBORN』

予告動画

あらすじ・ストーリー

小惑星リュウグウのカケラを持ち帰るため、再び広大な宇宙空間へ飛び立ったはやぶさ2。それから 2 年半、32 億キロの距離を進み続けた孤独な旅路の末、待ち受けていたのは、想定外のリュウグウの姿だった。あらゆる場所が岩で覆われ、タッチダウンに最適な、平らな場所が存在しなかったのだ。「君を”また”失ってしまうかもしれない」小惑星イトカワでの悪夢が去来する。はやぶさ2はどのように困難を乗り越え、数々のミッションを成功させていったのか。そして彼がリュウグウで見つけたものとは・・・

スタッフ

監督・シナリオ:上坂 浩光
ナレーター:篠田 三郎
音楽:酒井 義久
監修:吉川 真
制作:ライブ
配給・宣伝:ローソンエンタテインメント
協賛:NEC 大正製薬株式会社
協力:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

©HAYABUSA2〜REBORN 製作委員会
公式サイト

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ユナイテッド・シネマ豊洲他 全国公開中

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