人々の想いをのせて“はやぶさ”が新たなミッションに挑む!『劇場版HAYABUSA2~REBORN』【後編】
- 2020/12/1
- インタビュー, 映画監督
- 上坂浩光, 劇場版HAYABUSA2~REBORN
- コメントを書く

人々の想いをのせて“はやぶさ”が新たなミッションに挑む!
『劇場版HAYABUSA2~REBORN』【後編】
11月 27 日(金)に『劇場版HAYABUSA2~REBORN』が全国公開しました!
「はやぶさ」「はやぶさ2」ミッションの10年間を、映画制作を通じて追ってきた上坂浩光監督へのインタビュー後編をお届けします!!
―――― ところで、監督ご自身のことについて教えて下さい。高度なCG技術を持ち、宇宙にも興味を持たれていて、プラネタリウム内の映像なども手掛けています。監督と宇宙、CGとの出会い、この辺りについて教えて頂けますか。
上坂浩光監督
僕と宇宙との出会いは、アポロ11号です。元々、夜になると星を見るのが好きでよく見上げてたんですけれども、その少年が星好きになったきっかけというのはアポロ11号の月面着陸です。その翌年か翌々年に火星大接近があって、それを見たくて見たくて、その辺から星好きになって将来は天文学者とか宇宙飛行士になりたいって思ってました。
一方で絵を描くことも好きだったので、映像を作るのも初めから興味があったんです。高校へ行った時に理系・文系って分かれるじゃないですか。どっちか選べって言われて、自分は両方持っているので体を引き裂かれる思いでした。結局、映像の方に行っちゃったんですけども、それが映像の仕事を続けてきて、ある時、宇宙に対しての想いはずっと持っていたので、それが今、丁度上手くくっついたというか。
―――― 本作でも、すごく細かい映像が色々出てきますが、監督が一番拘ったシーンはどのあたりですか?
上坂浩光監督
いくつかありますが、一番拘ったのは“はやぶさ2”がスラスターを細かく噴きながら自立制御で姿勢を変えていく、そこのリアルさ、本物になるべく近くしたいなというのがありました。JAXAの方たちにも色々と取材をして、60分の1秒単位でスラスターの噴出時間をコントロールするんだよというのを聞きました。60分の1秒ですよ、シュシュシュシュシュってしながら姿勢を変えていく、あれ全部自立で動いていて地球からの命令ではないのでその辺を拘って描きました。
その映像をはやぶさ2ミッションチーム、プロマネの津田さんにお見せする機会があったんですが、拍手して喜んでくれました。「あ~これだよ~」って(笑)
―――― JAXAのチームの方々も現実には見れてないわけですもんね。
上坂浩光監督
そう、見れていない。ただ、コマンド打ってコントロールしていく上で、彼らの頭の中にはこんな風に動いているだろうっていうイメージは恐らくありますよね。それと僕が作った映像が「これだ」ってなったってことです。
―――― 宇宙を中心に作品を作られていますが、宇宙以外にも映像を作ろうとか、今どういったことを考えていらっしゃるのですか?
上坂浩光監督
こういう劇場用のものを作る前は色んなことをやっていて、コマーシャルも作っていましたし、パナソニックさんのCMのCGは一時期ほとんど僕がやっていました。ゲームのムービーとかもやっていて、「鬼武者」とかですね。それは全部雇われ仕事なので、いつかは自分で企画をして、監督として作品を作りたいと思っていて今の状態になっています。
―――― その監督の集大成3部作を終えて、次の大作に挑まれる予定は?
上坂浩光監督
はい、もちろん。“はやぶさ”ではないんですけども、また新しいテーマの作品を作ろうとして、今、企画段階というか考えているところです。
―――― 今回のように観てる側に余白を与える作品にしようというコンセプトは、次も活かしていきたいと思ってらっしゃいますか?
上坂浩光監督
そう思います。そうでなければ映像にする意味がないというか、作らなくていいと思うんです。受け取る人が観てくれて、能動的にいろんなことを感じ、考えてくれることによって作品は初めて完成すると思っていて、そういう余地を残さなければいけないなと思っています。
―――― ここをよく観てほしいというシーン、監督イチオシのシーンを教えていただけますか?
上坂浩光監督
沢山ありますけれども、先ほども話しました一回目のタッチダウンでスラスターを細かく噴きながら“はやぶさ”が本当に生きているように自分で降下していくところを、是非感じてほしいなって思います。観て頂く方がどこを感じるかっていうのは別に僕が言わない方がいいと思っています。狙いとかもよく聞かれるんですけども、それは映画を観てくださいっていうのが作り手の本質だと思います。映像に全て込めてあるつもりですので、観て映画に身をゆだねてくれれば良いなって思います。
―――― 私たちも十二分に楽しませて頂きましたが、大画面で観たいです。
上坂浩光監督
ぜひ今度大画面で観てください。もし良かったらプラネタリウムでもやっていますので、丸天井で全天周の映像としてどう感じるかっていうのは、また違ってくると思うのでもしご興味があれば。
そして、こういう時ですから逆に劇場でなるべく多くの方に観て頂きたいなと思います。目先のことばかりを追うんではなくて、やっぱりそういう高い視線でというか、日常から離れて、世界、宇宙をあらためて観て感じる時間があっても良いんじゃないかなと思っています。
―――― 細部にまで拘って作り上げた映像だけはなく、ロマンを含んだ壮大な世界観を感じることが出来たインタビューでした。そして、私たち観客の目線に余裕を与えてくれる、映画監督としてのスタンスにとても共感することができました。上坂監督、有難うございました!
『劇場版 HAYABUSA2〜REBORN』
予告動画
あらすじ・ストーリー
小惑星リュウグウのカケラを持ち帰るため、再び広大な宇宙空間へ飛び立ったはやぶさ2。それから 2 年半、32 億キロの距離を進み続けた孤独な旅路の末、待ち受けていたのは、想定外のリュウグウの姿だった。あらゆる場所が岩で覆われ、タッチダウンに最適な、平らな場所が存在しなかったのだ。「君を”また”失ってしまうかもしれない」小惑星イトカワでの悪夢が去来する。はやぶさ2はどのように困難を乗り越え、数々のミッションを成功させていったのか。そして彼がリュウグウで見つけたものとは・・・
スタッフ
監督・シナリオ:上坂 浩光
ナレーター:篠田 三郎
音楽:酒井 義久
監修:吉川 真
制作:ライブ
配給・宣伝:ローソンエンタテインメント
協賛:NEC 大正製薬株式会社
協力:宇宙航空研究開発機構(JAXA)
©HAYABUSA2〜REBORN 製作委員会
公式サイト
ユナイテッド・シネマ豊洲他 全国公開中
コメント