高畑勲監督の遺志を継いだスタジオジブリの取り組み「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」とは【後編】

画像,ロング・ウェイ・ノース,ジブリ,ディズニー
スタジオジブリ広報部部長 西岡純一氏

高畑勲監督の遺志を継いだスタジオジブリの取り組み
「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」とは【後編】

12 月 2 日(水)にアニメーション映画『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』のブルーレイ/DVDを最新ラインナップとして発売する、三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー(デジタル配信、同日開始)。

今回は、スタジオジブリ広報部長の西岡純一氏に三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーの活動やスタジオジブリの根底に流れる信念を語っていただきました。後編では、アニメーションの未来を背負う子どもたちへのメッセージもいただきました!

前編はこちら

 

―――― これまでもアニメーションの世界では、海外との交流が進んでいると思いますが、今後、新しく取り組んでいきたいことは具体的にどういったところでしょうか?

西岡純一

CGアニメが全盛の世界の中では、日本は独自の手描きアニメーションを作っている国です。というのは、人口が1.2億人もあることで、作品を国内でヒットさせるだけで十分に資金が回収できるアニメーション市場があるんです。

だから日本のアニメーションというのはガラパゴス化しているとも言えます。それを好きな外国の方も増えていますけれども、ディズニーのように世界を席巻して観られているのかな?と思っています。

海外との交流ですが、海外のクリエイターが「日本のアニメーションを好きだ」と言ってくれるのはよく耳にしますが、日本のクリエイターたちから「海外のこの作品が良い!」と言うのはあまり聞かないですし、いわゆる一方通行なのではと感じています。

日本で、「海外アニメーションを良い」というのは、なんだかインテリっぽい感じがあって、なかなか娯楽として気楽に見てもらえないことをもどかしく思っています。毎年3月に開催されている「東京アニメアワードフェスティバル(TAAF)」は、日本のアニメーションだけでなく海外の優秀なアニメーションも沢山上映してくれるイベントです。そこから海外のアニメーションに少しでも親しんでもらえたらいいなぁと思っていて、できるだけ協力したいです。

今後の企画として具体的に決まっているものはないのですが、いい作品と出会えたらと思っていますし、今後も各アニメーション映画祭には注目していくと思います。

―――― ちなみに、実写とアニメを比較した時にアニメーションだからこそ表現できるものとは、どんなことなのでしょうか?

西岡純一

アニメーションの良いところは、人間がロケできないシチュエーションでも描くことができるところです。『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』もそうですが、実写で撮ると過酷なロケが要求されるわけです。北極のブリザードが吹きまくっているところで撮ることは無理なんです。多分、カメラが止まってしまう(笑)

物語の後半、ブリザードで風と雪が激しくなるシーンは、物凄く寒さを感じました。あのシーンの表現力は本当に素晴らしいですが、アニメーションだからこそ出来る表現です。レミ監督のこだわりや観察眼がよく出ているシーンで、いいなぁと思います。

実写の場合は、普通の雪山で撮影して、CGで吹雪を入れてみたりして、結果としてちょっとチープな感じになってしまいがちです。こういう表現は、実写よりもアニメーションの得意とするところです。

ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん

―――― 最後になりますが、三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーの様々な活動を通じてアニメーションに触れ、将来アニメーターになりたい、アニメーションに携わる仕事がしたいと思う子どもたちが大勢いると思います。子どもたちに向けてメッセージをいただけますか?

西岡純一

アニメーションを見てアニメーターになりたいと思う子どもは多いと思いますが、学校で図工とか美術があって、あの子は絵が上手いなぁとか、自分は絵が上手に描けないなぁと感じることも多いじゃないですか。そうすると、諦めからアニメーターになりたいという夢はしぼんでいってしまう。それが多くの子どもたちにとっては現実ではないでしょうか。

ところが、アニメーションの仕事はアニメーターだけではないんです。僕だってアニメーションの仕事をしていますけど、絵は描きません。アニメに関わる仕事というのは沢山あって、アニメーションが好きだったら、色々な道を模索してみるのもありかなと思います。

それには自分は何が得意なのかを理解する必要があります。文章を書くのが得意な人だったらシナリオという道もあるし、歌が得意であれば主題歌だって歌えるかもしれません。「決してアニメーターだけがアニメーションの世界で働く道じゃないよ」ということは子どもたちに気づかせてあげたいですね。

―――― アニメーションを観ていると絵を描くという印象が強すぎてしまいますが、色々なフィールドがあってそれぞれに持ち場があるわけですね。楽しいお話を沢山お聞かせくださり、ありがとうございました!

発売&レンタル開始日

『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』
ブルーレイ発売中/デジタル配信中
ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん [Blu-ray]

© 2015 SACREBLEU PRODUCTIONS / MAYBE MOVIES / 2 MINUTES / FRANCE 3 CINEMA/ NØRLUM

発売/ウォルト・ディズニー・ジャパン

三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー

世界の優れたアニメーションを、ジブリ美術館がセレクトし広く紹介する活動として、2007年に発足。高畑勲監督・宮崎駿監督がおすすめする作品を中心に、まだまだ知られていない世界中の名作を取り上げています。

映画配給第一弾は、ロシアのアレクサンドル・ペトロフ監督作品「春のめざめ」、DVD化第一弾はフランスのポール・グリモー監督作品「王と鳥」。以後、世界のアニメーション作家やスタジオと協力し、美術館での展示やイベントにとどまらず、“映像”による作品紹介を念頭に、劇場公開(配給)とブルーレイ・DVD化を2本柱として活動を継続中です。

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