映画『ミセス・ノイズィ』篠原ゆき子さん「人間の弱さを演じられる女優に」【インタビュー】

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映画『ミセス・ノイズィ』
篠原ゆき子さん
【インタビュー】

昨年の第32回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門にて上映された映画『ミセス・ノイズィ』は、映画祭上映の反響を受け、全国公開が決定、さらに上映館の拡大が決まっている話題作。いよいよ、今週12月4日(金)に公開を迎えます!

主人公の小説家、吉岡真紀を演じるのは『共喰い』『湯を沸かすほどの熱い愛』『浅田家!』などにも出演されている篠原ゆき子さん。そして、隣人の若田美和子役は『どうしようもない恋の唄』の大高洋子さん。ささいなすれ違いから生まれた真紀と美和子の対立が、マスコミやネット社会を巻き込んで、やがて2人の運命を狂わせる大事件へ発展していく本作。「SNS炎上」や「メディアリンチ」など、現代の社会事情も絡みつつ、後半思わぬ方向に事態が進んでいく展開は最後まで目が離せません!

今回は、主演の篠原ゆき子さんに本作を演じていく上で大切にしたことや役作りの裏話、映画祭での反響を受けて感じていることなど、本作の公開がより一層楽しみになるお話を沢山伺いました。

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主人公・吉岡真紀役の篠原ゆき子さん

天野監督の脚本が凄い!

―――― 『湯を沸かすほどの熱い愛』では双葉(役:宮沢りえさん)にビンタされる君江役としてずっと印象に残っていました。本作も素晴らしく、どちらの作品にもしっかりと泣かされました。
今回、主役としてオファーを受けてから作品に臨んだ時のお気持ちについて教えてください。

篠原ゆき子さん
(本作の)真紀は小説家、私は役者として、やりたいことがあるけど周りに迷惑をかけてしまったり、周りが見えなくなるほど自己中心的になってしまったり、(私自身と)重なる部分があったので役に対しては違和感ありませんでした。スッと台詞も入ってきましたし、やり易かったです。

フィクションではあるものの、基にしている事件があるので、監督もそれは凄く気にしてらっしゃいました。誰か個人を傷つけたりする作品になったら、それこそ本末転倒になってしまうので、「そうはならないような作品にしたいね」と、最初からずっと話しています。

―――― 監督はメディア側の果たすべき役割を理解した上で作品作りをしていて、それを皆さんに伝えながら進めていった感じなのですね。

篠原ゆき子さん
ここまで元々の事件に皆さんが注目されるとは思っていませんでした。ご覧いただけると分かるのですが、本作の中の二人の物語は実際とは別のものです。布団やステレオが出てくるし、二人はお隣同士だし、そういった意味では元の事件と同じなのですが。

見方によっては「騒動そのものを映画化」といった感じになっていて、その反応はちょっと予想外でした。

―――― 確かに最初は「あの実話の映画化か!」って思いました。でも、ラストに向かって物語の本質がどこで暴露されていくのかに自然と関心が移っていきました。その伏線が幾つかの演技の中に散りばめられていて、とても巧妙ですし、凄く印象に残りました。

篠原ゆき子さん
約3年半前の天野監督のワークショップから派生して、この構想、企画は生まれたそうです。私は参加していなかったのですが、その時から大高さんや長尾さんのキャスティングは決まっていたみたいです。そこからずっと脚本を練って練って、何稿書かれたのか分からないですけど試行錯誤をされて、だから脚本が凄いんですよね。

マグロVS生牡蠣、稽古で築いた信頼関係!

―――― この小説があったら読みたいと思いました!
現場に入ってから、逆に台本とは違う演技をしたシーンはあったのですか?

篠原ゆき子さん
そうですね…。
撮影前の準備期間が1ヶ月ぐらいあったので、皆で連絡を取り合って台本にないシーンを即興で演じたりと、かなり稽古しました。例えば、夫役の長尾さんと私で真紀と裕一が結婚する前の出会いのシーンを作ったり、美和子を演じる大高さんと一緒に喧嘩のエチュードをしたり。大高さんはマグロが好きで、私は生牡蠣が好きなんですけど、それを言い合ってどっちが説得力があるかみたいな。くだらないんですけど(笑)。そういった準備期間があったので、役者同士お互いの信頼も作れて安心して現場に入れました。

―――― 台本に書いてある裏設定みたいなのを全部作り上げていったわけですね。

篠原ゆき子さん
大高さんも旦那さん役の宮崎太一さんと子どもが亡くなってしまった時の霊安室のシーンを即興でやられたそうです。そういう歴史を作っているから台本に返った時に、すんなりと役に入り込めたと思います。

―――― また泣けてきてしまいます。
そうなると、台本やワークショップによってラストシーンまでが全部頭に入っている状況ですよね。結論が分かってしまっているところからそれを巻き戻し、改めて順撮りで演技に臨むことになるわけです。気持ちの入れ方として、その辺りはいかがでしたか?

篠原ゆき子さん
その辺りは大丈夫でした。
真紀は監督そのものだなぁと思いました。本当に一生懸命で、猪突猛進。私にもそんな面があるので、とても似ていると感じました。

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ネットの世界について

―――― この作品のテーマですものね。“自分の常識”を常に疑ってみることは必要でしょうし、“世間の常識”も“他人の常識”も違うわけですものね。

篠原ゆき子さん
本当に仰る通りだと思います。
ある一つの情報だけで判断してしまうことって意外と多いと思います。例えば、道を歩いていて、独り言を話している人を「怖いな」と思っても、実はワイヤレスで電話しているだけだったり。

実際に目で見ていてもそうなのに、ネットだともっと情報がなくて、知りもしない一部の情報だけで物事を判断しがちで。それが最近エスカレートしているなって思います。

だけど、人の不祥事の情報を携帯で見てしまう自分もいるし、そういうのが面白かったりもする訳じゃないですか。自分なりの正しい常識をどう疑うかというか…。偏った情報に誘導されているものもあるから、何が真実なのかを判断をする時に一方的な側面からだけで(判断してしまう)というのは止めようと思います。

―――― 監督が作品にメッセージを込めようと思ったのかどうかは別としても、受け止めるべき要素は沢山ありました。ネットの世界は、基本的には受け取る側の問題もあるし、ネットにあるのはそこに見えているだけで完結している世界です。

篠原ゆき子さん
文字になっている世界ですよね。

―――― そうですよね。ネットの話題になりましたが、ネットの危険性について感じていることはございますか?

篠原ゆき子さん
私も昔は、ブログを1日1回ぐらい更新していました。「今日はどこへ行ったよ」とか、「誰と会ったよ」とかアップしていたんですけど、今はちょっと怖いというか、何が炎上するか分からないし、記事を消しても拡散してしまったら消えないし。

―――― そういえば、1年ぶりくらいにブログを更新されていましたね(笑)

篠原ゆき子さん
もう、宣伝以外が怖くなっちゃって。これを言ったら叩かれてしまうかもしれないと考え始めたら、色々怖くなって無難なことだけにしようかなって。

―――― 一度外に出た情報は止まらないですよね。真紀の弟の直哉(役:米本来輝さん)が「消しているんだけど、消えないんだよね」って言っていました。

篠原ゆき子さん
拡散は止められないんだから、それはそうなりますよね(笑)。
直哉は、直接には関りがなく、本人にも悪気はないのですが、一番事態を悪化させてます。それがまた難しいところです。

―――― ところで「情報」の価値についてどのようにお考えか教えて下さい。お隣の人がどんな人なのかも「情報」ですし、子供である菜子の話も一つの「情報」だと思います。「情報」の価値を人間関係に置き換えた時、探り過ぎても良くないかもしれません。AIであれば、情報が多ければより正確なアウトプットができるのでしょうけど、人間の場合、その辺りの塩梅についてはどうなのでしょう?

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篠原ゆき子さん
確かに難しいですね。
でも、「情報」って言葉にならない情報もありますよね。例えば「嬉しい」って言っていても悲しい目をしてたりとか、そういうのが人間にしか分からないことなんじゃないでしょうか。そういうのはきっといつまでも…。どう思われますか?

大高洋子さん、新津ちせちゃんとのエピソード!

―――― 確かにそうですね、そういった所にアンテナを張れるのは人間ならではなのでしょうね。
共演者のお話に移りたいのですが、大高さんの演技も凄かったです。強いおばさんそのものですし、精神的に強い。しかも「私、間違ってないよね?」というのは、自分の常識を疑ってもいる。一方の真紀はどちらかと言うと自分の世界に入り込んでしまう。旦那さんもちょっと悪いところあって、話を聞いてくれなかったり。
ワークショップのお話もありましたが、お2人はどんな会話をして演技に挑まれたのですか?

篠原ゆき子さん
稽古以外では、お互いこの映画に対する熱意を確かめるというか、「やってやろうね!」みたいな気合の注入はしていました(笑)

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―――― まさにその成果が出ましたね!
事前の稽古や撮影の中では「こういう風にした方がいいね」とか、印象に残っている会話はございますか?

篠原ゆき子さん
修羅場のシーンの撮影前に私から大高さんに頼んで平手打ちをして貰いました。入魂的な(笑)。

大高さんは凄く繊細で優しいんです。でも、仲が悪い設定だったので、現場ではちょっと距離感を保ってました。あまり知っちゃうとドンドン好きになっちゃうので(笑)。

―――― 真紀と娘・菜子(役:新津ちせちゃん)そして美和子おばさんの3人の最後の方のシーンもネタバレになるので詳しくは割愛しますが、想像を超える展開で本当に…。

篠原ゆき子さん
めちゃくちゃ感情移入してくださっていますね(笑)。ありがとうございます。

―――― 菜子は第三者というか、当事者として美和子と真紀の間に立って、事実を多分知っていて、それをお母さんの真紀が拾ってあげれば…。菜子の気持ちについては、(新津)ちせちゃんと会話はあったのですか?

篠原ゆき子さん
現場でちょっと距離を取り合っている私と大高さんの間を取り持っていたのはちせちゃんでしたし、その現実と撮影がリンクしている面もありました。

すっと懐に入ってきてくれて、本当の親子のように甘えてくれました。

―――― 気配りも出来てるんですね。ちせちゃんとのエピソードはありましたか?

篠原ゆき子さん
その頃「Foorin(フーリン)っていうのをやっていて、踊ったりしてるの」って言っていて、「(パプリカ)いい歌だね~」と言っていたのですが、まさか紅白出場とは(笑)。

後は、スタッフさんの人数も少なくてアットホームなチームだったので、ロケ弁は味気ないからってみんなでファミレスへ行ってご飯を食べたりして、本当の家族みたいでした。

人間の弱さを演じられる女優に

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―――― この素晴らしい作品を創ることが出来た背景が伝わってきます。
篠原さんご自身は、これからどんな女優さんを目指し、どんなイメージを持たれていますか?

篠原ゆき子さん
人間の弱さを演じられる女優になりたいです。弱っている方にこそ感情移入してもらえたらいいなって。弱い人、落ち込んでいる人、辛いことがあった人、そういう方たちが観て、ちょっとだけ楽になっていただけたらいいなと思います。かといって、コメディとかもやりたいんですけど(笑)

シリアスな作品の中にもコメディ要素があって、光が見える、そんな作品にご縁が出来たらいいなと思います。

―――― 凄く深みがある本作で、主人公の真紀として出演されていらっしゃいますし、更なる飛躍を応援しております。最後に、映画ファンへのメッセージをお願いします。

篠原ゆき子さん
最初は女性が主人公なので女性向けの映画なのかなと思ったんですけど、(第32回/2019年)東京国際映画祭で観ていただいたら、男性が泣きながら劇場から出て来られて、スッゴイ意外で(笑)。

―――― 分かります!泣きました!

篠原ゆき子さん
そうなんですね!その時も「エエッ!!」ってみんなでビックリしていたんです。嬉しいことなんですけど!どの場面で男性は泣けたのか、是非知りたいです!(笑)

大なり小なり誰かと諍(いさか)いがある方って沢山いると思うんです。苦手な人がいるとか…。そういう方に是非ご覧いただいて少しでもストレスを軽くしてもらえたり、光を見ていただけたら嬉しく思います!

―――― ありがとうございました!


映画,ミセスノイズィ,画像

2020 年 12 月 4 日(金)~ TOHO シネマズ 日比谷ほか全国公開

監督・脚本:天野千尋

出演:篠原ゆき子 大高洋子
長尾卓磨 新津ちせ 宮崎太一 米本来輝
洞口依子 和田雅成 縄田かのん 田中要次 風祭ゆき

配給:アークエンタテインメント

©「ミセス・ノイズィ」製作委員会
2019 年/日本/106 分/シネスコ/5.1ch/カラ

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