映画『さんかく窓の外側は夜』森ガキ侑大監督がポイントにした“対比”とは

映画さんかく窓の外側は夜,画像,森ガキ侑大監督
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映画『さんかく窓の外側は夜』公開記念
森ガキ侑大監督インタビュー

霊を祓うことができる男=冷川(役:岡田将生さん)、霊を視ることができる男=三角(役:志尊淳さん)が出会い、“除霊”を使って未解決事件を追っていく新感覚ミステリー映画『さんかく窓の外側は夜』が1月22日(金)公開です。

今回は、森ガキ侑大監督に原作の人気コミックを映画化する上でのポイントや個性豊かなキャラクターを描くうえで出演キャストの皆さんと会話したことなど、本作をより一層楽しめるようなお話をたっぷりと語っていただいました!

映画さんかく窓の外側は夜,画像

―――― 人気コミックの映画化に際して、監督がそのまま活かしたいと思った点や、実写だとより上手く表現できるんじゃないかと感じられたことがあれば教えてください。

森ガキ侑大監督
漫画原作を読んだ時に、“これを具現化するのってどうすればいいんだろう?”と悩みに悩んで、“難しいな…”って断ろうしたくらい悩んで(笑)

でも、登場人物たちが望まない能力を持ち、その望まない能力を持ったことによって三人が出会い、漫画ではそれぞれの存在の在り方、居場所みたいなところを凄く大事にしてるなって。そこを崩さずに映画にちゃんと落とし込むことが出来たら、凄く面白いものにはなるんじゃないかなと思いました。

ただ、果たして1巻から(当時)6巻まで出ていた漫画の分量を2時間の映画で描ききれるのかという課題があったので、そこは凄く悩んで“出来るのかな?どうなのかな?”っていう自問自答を自分の中でしていました。

―――― そして、怖くてビクッとしたり、夜トイレに行けなくなるようなホラーではないようにも感じました。作中に出てくる幽霊を作り上げるにあたっては、VFXの城戸さんと話し合いをされながら進めたのでしょうか?

森ガキ侑大監督
城戸さんももちろんですけど、あの幽霊はリアルに作っているんです。

スタイリストさんやメイクさんと話し合って、本当の人物を白にしています。だから、城戸さんには消える部分をVFXで作ってもらっています。まさに仰る通りで、この漫画を読んだ時に「リング」とか「らせん」とかそっちのホラーに持っていくと、感情が「怖い、怖い」になってこのドラマが描けなくなってくるなと思いました。

やっぱり、このドラマで描きたいと思った大事な部分は、リアルとファンタジーの境界線を描きたくて。本当に除霊が出来て悪用されてる子がいるんじゃないか、幽霊が見えて悩んでいる男の子がこの世の中にいるんじゃないか、女子高生が幽霊との対話が出来ることで悩んでいるんじゃないかって。もしかして千葉のどこかとか神奈川のどこかとか、本当に存在しているんじゃないかって思わせることの方が凄くいいなと思って。

そこのリアルさを表現したいと思った時に、もちろん三角に対しては凄く怖くないとお化けの恐怖感みたいなものがなくなるのである程度は必要なんですけど、やったことのないお化けをやってみたい、開拓したいというところがあって、パッと見たら「いるっ!ここに」っていう。

映画さんかく窓の外側は夜,画像

多分ふとした瞬間、日常の中にフワッといることの方がリアリティーは出て来るし、その世界に対して怖さが出て来るんじゃないかなと思って、スタイリストさんとかと話してそういう幽霊作りをしていきました。

「幽霊より人間の方がよっぽど怖いです」っていうのはまさに僕自身も思っていて、人間の権力だったり欲だったり、そういうちょっとドロドロしてるところを黒い表現にし、「人間は黒いんだ」っていうところで表現したくて。でも、除霊されていくことによってどんどんクリアになっていく、白は芸術的にも凄く面白いんじゃないかなと。だから黒と白の対比で分けていった感じです。

―――― 最初の交差点で三角と冷川が出会いますが、そこで本人も黒い服を着ていて、周りの人もなぜか皆黒い服を着ていて、それが今の社会を表しているのかなとか思いました。その辺りの黒へのこだわりがあるのでしょうか?

森ガキ侑大監督
そうですね。やっぱり人間界は黒い、幽霊の世界は白いっていう形で色分けしたことで世界を表現したかったなって。なかなか勇気がいるんですよね。多分、ヒューマンドラマ的な映画でそういう表現は出来ないと思います。こういうちょっとファンタジーな余白があるような題材じゃないと思い切ったことは出来ないので、そういう意味では凄く楽しかったですね。ちょっと余白を作っていくっていう意味では面白かったです。

―――― 元々ホラーというものをジャンルとしてどう捉えていて、この作品に関わることでホラーに対する感覚に変化があったのか、なかったのか?この作品から感じられたことがありましたらお聞かせください。

森ガキ侑大監督
ジャパニーズ・ホラーを観たりとか、本当にサイコパスの「シャイニング」を観たりとか。でも「シャイニング」が素晴らしいなと思うのは、猟奇的な人がいながらそこに美術のお洒落さがあったり、アートの力があるところをメチャクチャ面白いなと思っていて。そういうところに美学というか、影響を受けたというのは凄くありますね。

でも「シャイニング」は本当に怖いんですよね。驚かせるっていうそっちの方向だったので、それを多分なぞっちゃうとおそらく「シャイニング」を超えることがない。だから、その土俵では戦わないで新しいジャンルを作りたくて。どうしても登場人物の感情表現を優先したかった。「怖い、怖い」ってなるとそっちに全部持っていかれちゃう。「この映画どうでしたか?」「怖かったです」で終わると思うんです。だから、それだけは避けたかった。

映画さんかく窓の外側は夜,画像

―――― 時を超えて思いを語るシーンなどは凄くストーリー性を感じました。
そして、これだけ豪華なキャストが揃っている中で触れないわけにはいかないですよね。最初に冷川役の岡田将生さんですが、とてもポーカーフェイスな感じでいながらも心の機微をチラッ、チラッと出されています。チラ見せじゃないですけど絶妙に上手で、監督と岡田さんの間ではどんなやり取りがあったのでしょうか?

映画さんかく窓の外側は夜,画像

森ガキ侑大監督
冷川っていう存在は母親がいなくて壊れてるっていう感じなので、でも「僕は壊れてます」っていう大味なことじゃなく、「壊れてることすら気づいていない冷川をどう演じるか、そこだけ凄く気をつけてください」っていうのは岡田君に話しました。

でも、やっぱり岡田君も悩んでいたんですよね。相当難しい役だったと思っていて。動きと間と空気感で“こいつは普通の人間じゃない”“壊れてる、ちょっとおかしい”っていうのを空気感から漂わせることをしないといけないので、その役作りは凄く苦労しただろうなって。そこを上手く表現してくれたので凄く助かるなっていう感じでしたね。

映画さんかく窓の外側は夜,画像

それに対して三角は、母親から愛情を受けてきて、人間の温もりを冷川より分かっていると思うんですよ。そこをしっかり対比させたいんだっていうのは、岡田君と志尊君の両方と話しました。「三角はもうちょっと人間臭くていいよね」とか「愛がちゃんとあるよね」っていう表現に持っていきたかったし、それに対して冷川はもっと孤独さが浮き彫りになるとか、破壊されていってるってところ。二人ともお互いの演技を見つつ、それを対比させていく役作りをやってくれました。

―――― 三角に対して「利益のために除霊の仕事をやっているんだよね」みたいなところも岡田さんの冷川は「エッ、何が悪いの?」みたいな。岡田さんに失礼かもしれませんが、そういう演技がメチャクチャ似合っていました(笑)

森ガキ侑大監督
「悪いんだぁ」みたいな(笑)
多分、その感想は嬉しいと思います。相当この役について悩んでいたので。

映画さんかく窓の外側は夜,画像

―――― また、三角役の志尊さんの演技もスゴイなって思ったのは、失神していくシーンです。迫真の演技でそのまま失神してしまうのかなと思ったぐらいです。ご本人も相当苦労されたシーンだったのではないでしょうか?

森ガキ侑大監督
苦労して、呼吸だったり苦しかったりとか、集中力がスゴイですね。僕もあまりテイクを取らないので、2、3テイクで決めていきたいなって。段々とリズムにノッていくので、1回で集中して撮りたいって気持ちはありますし、皆さん集中力が凄かったですね。

―――― そして、非浦英莉可役の平手さんですが、謎めいた感じっていうんですかね。冷たいようでいて、どこかに心の隙があって助けて欲しいっていうのでしょうか。限られた時間とカット数の中で段階的に変化していく様が見事に表現されていました。

映画さんかく窓の外側は夜,画像

森ガキ侑大監督
本当は学校帰りにパフェを食べる女子高生に憧れているというか、自分が特殊な能力を持ってなかったら、普通の女子高生のように皆と喫茶店やファーストフード店に行って会話をしている女子高生になれていた自分がいたんじゃないかって。そっちの世界に憧れて、闘いというか苦しみみたいなことの境遇を常に持っているんだというところを核に持って欲しいですっていう話はしました。要するに、人間の女子高生の普段のところに憧れを持っていて、それの葛藤と常に闘っていて欲しいですって。

そういう意味では冷川とはまた違って、何でこういう環境になったのか自分がおかしいということに対して理解しているんですよね。だから「冷川はこう、三角はこう、でも非浦英莉可はこうなんです」っていうところをしっかりと平手さんと話して。平手さんは割とリアリティーを追求するために自分のパートしか台詞を読まないんです。本人が知らないはずだから。そこからリアリティーが生まれるって意味合いで、(物語の全体を彼女は)全く分らなかったんで、そういう役作りをしてきた時に、自分的には凄いリアルに近いなと思っていて、あとは色々話し合って決めて、面白い非浦英莉可像が出来たらって感じでした。

―――― この三人がとてもよくマッチしていて凄く良かったです。
加えて滝藤さんが“霊を信じない”刑事・半澤日路輝役でしたが、元々面白い方だと聞き及んでおりまして(笑)、現場でもギャグを連発されていたのではないかと思っているんですけど、滝藤さんに関するエピソードはありませんか?(笑)

映画さんかく窓の外側は夜,画像

森ガキ侑大監督
ユーモアがあって、現場も明るくしてくれて、引っ張ってくれるし、若手がワーって演じている中で、書道で使う文鎮的な役なんですよね、バッと止めるというか。そういう意味で滝藤さんの演技が入ると締まりますし、滝藤さんの演技を見ていると安心しますよね。

しかも、半澤の台詞って冷川の過去を説明していかないといけない。ある意味道具的な立場ではあるんですけど、それをいかに道具じゃなく台詞を言っていくのが素晴らしいです。ご本人も「そういう役がよく来るんだよ」って言っていて、「俺に任せて。説明台詞をいかに説明台詞じゃないようにさせるのが俺の武器だから」って(笑)

―――― 悲哀も込めずに淡々と喋られるんですよね。
公園から歩いて立ち去るシーンでそれを感じましたね。歩き方でも人によって癖とスピード感があると思うのですが、あの“スッ”と画面を横切っていくあのシーンだけとっても良かったですね。

森ガキ侑大監督
凄くその役について考えているなって。NHKの大河ドラマに出演されてますが、まったく違う役柄も演じられていて、改めて滝藤さんてスゴイなって思いました。

―――― 全然違いますよね。最後となりますが、次回作に繋がるような伏線も感じますし、今後の展開に期待しております(笑)
ちなみに、監督は除霊だったり呪いだったりという世界観って信じますか?

映画さんかく窓の外側は夜,画像

森ガキ侑大監督
最初、全く信じてなくて。でも、この内容について勉強していくうちに、どんどん“居る”って感じ始めちゃって、今は真逆ですね。
三角みたいになっちゃうかもしれないんですけど、この映画に関わり始めてから何か感じるようになりましたね(笑)でも、見えてはないです。見えてはないですけど「居たな」とか、感じるようになり始めました。霊が見える知り合いがいるのですが、その人がヤマシタ先生の漫画を読んだ時に、「全く同じように視える」と言ってましたね。それを聞いた時に怖くなりました。

―――― 監督のお話を聞いたらこちらも怖くなりました。ありがとうございました!

森ガキ侑大監督動画メッセージ!

キャスト

岡田将生 志尊淳
平手友梨奈 滝藤賢一
マキタスポーツ 新納慎也 桜井ユキ  和久井映見 筒井道隆

監督

森ガキ侑大

原作

ヤマシタトモコ「さんかく窓の外側は夜」(リブレ刊)

脚本

相沢友子

主題歌

ずっと真夜中でいいのに。「暗く黒く」(EMI Records / UNIVERSAL MUSIC)

配給:松竹
公式HP:https://movies.shochiku.co.jp/sankakumado/
©2021映画「さんかく窓の外側は夜」製作委員会 ©Tomoko Yamashita/libre

1月22日(金)全国ロードショー

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