4/21(土) 公開 京アニ最新作!映画『リズと青い鳥』山田尚子監督インタビュー
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高校生の青春を描いた武田綾乃さんの小説『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』をアニメーション映画化した映画『リズと青い鳥』がいよいよ明日4月21日(土)から全国公開となります。本作品は、2016年に公開された映画『聲の形』で第 40 回日本アカデミー賞優秀アニメーション賞、東京アニメアワードフェスティバル 2017 アニメオブザイヤー作品賞劇場映画部門グランプリなどを受賞した京都アニメーション制作の最新作です。吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美の2人の少女の儚く美しい一瞬を切り取った青春ストーリー。TV アニメ『響け!ユーフォニアム』シリーズからシリーズ演出と して参加してきた山田尚子監督にこの作品のこだわり、キャストの皆さんやスタッフと作り上げた制作の裏側、そして心のすれ違いについてなどたっぷりと語っていただきました!
〇女優 本田望結さんを声優に抜擢!
本田さんのお声は特徴的だなと思っていましたし、お声が好きだったんです。透明感というか、お声を聞いただけで本田さんだと分かると思っていて。そもそも‟リズと青い鳥の少女”をどなたかに一人二役でやってもらいたいと心に決めていたのですが全然決まらなくて、まさか本田さんに思い至る想像もしていませんでした。プロデューサーとお話していた時にポンと出た感じです。何だろう、透明感、無垢な感じ、きれいなかわいらしい感じが一致したんです。
〇映画で新たに演出するにあたっての印象は?
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こんな切り口でキャラを立ち上げていく武田先生の着眼点にまず感動して、凄く夢中になったことをまず思い出しました。みぞれと希美の関係性に、もの凄く業(ごう)の深い話だと思いましたが、そうは言っても、もの凄く透明で、向こう見ずで、とにかく魅力的だなと思いました。自分からは出てこない切り口で、ずっと気になっているキャラクターでした。
また、プロットを読ませていただいて、本編である‟久美子たちの物語”がありながらもみぞれと希美の存在感が凄いと感じました。何かうったえかけられている様な、見て見ぬふりが出来ないと思うぐらいやっぱり魅力的なお話で、是非描きたいなと思いました。ユーフォニアムの2期の時にはあまり触れなかったこともあって、とても興味があったので何とか形にしたくて。やっぱり実際に向き合ってみて、二人とも何だろう、凄く繊細だし繊細でありながらも頑固で図太い部分もあって、いろんな面があってほんとうに楽しかったです。

※プロット:小説・演劇・映画などの筋・構想
〇‟みぞれと希美”の話がなぜこんなに膨らんだのでしょう?
『響け!ユーフォニアム』の映画を作る企画が元々あって、そのシナリオ会議をする際に‟武田先生がこんな新作を書いています”というプロットを読ませていただきました。石原監督は久美子のお話を描くと既に決めていらっしゃったし、久美子の話を一本の映画にするとなった時に、どこにまず焦点を絞っていくべきかといった話になりました。なので、二本作る予定は全然なくて‟ユーフォの新作をつくる”‟久美子の話だ”というところが最初でした。となると‟みぞれと希美”の話は際立っているんだけど、それを入れてしかも久美子の話を描くとなると結構な量になるので、もしかしたら「これこんなに二つとも話が立っているんだったら離すことも可能なのでは?」となりました。
そこでチャレンジして「もしよかったら切り離してもいいでしょうか?」とお伺いをたててこの様な形になりました。
〇一人二役に込めた想いとリズの選択について
どちらがどちらにでもなり得るという意味で、一人二役は凄く大事にしたかったんです。どっちがどっちだと明示するお話ではないんです。個人的には、まさに「リズ!一回話し合おうよ!結論は待って!!」と思いました(笑)。

青い鳥は別れを悲しんでいるし、いきなり別れようと言われるわけで。ストーリーが進みつつ思ったことは、結構お互いがお互いを思っているけど、お互いの話を聴いているか?というと実は聴いていなっくて理解にまで及んでいない、というのがこの作品の大きな肝だと思っています。なので、リズの身勝手さというか、愛ゆえになんですけれど、話し合うことすらしていない。通天してお互いが思っていることって分からないものなんだな、それでもその原動力が愛であったり愛と思う気持ちであったりとか、そこが面白かったり、なんというか、スパッとこっちがこっち、白黒つけれるもんじゃないというのを延々と描いていい作品で、そこが面白かったです。
これはリズの愛のあり方であって、そこにはその人を閉じ込めたくないという想いもあるけど、自分には羽が無いというところの何かこう・・・少し傷もあるかもしれなくて、だからどっちもあると思うし、一方だけじゃないところが大事だと思います。


〇キャラクターデザイン西屋さん
女の子二人の話だと言うところを西屋さんには結構熱弁しました。ちょっとした仕草でも掬い取っていく様な作品になるので、髪の毛一本、睫毛も撮り逃さない様に作品にしていきましょう、というところで、西屋さんが出して下さった答えがここだったんです。そして、西屋さんのところで、一本これじゃないかと思ってらっしゃるところがあって、その良し悪しをみるために、全く振り切ったものとかを描いてもらったりしました。でも、西屋さん的には描きたくなかったものもあったみたいですけど(笑)。それで、こっちがいいなという風になって後は微調整ですね。目の大きさ、ほんとに線一本分違うだけでこんなに印象が違うとか、顎が丸いか尖っているかとか、手の長さ足の長さとかは微調整でした。
-西屋さんから最初に出てきたものでいいなと思いつつも、ちょっと違うものもみてみたいという感じ?
そんな感じです。結構大人っぽいと思います。ストレートに言えば「こんなにお姉さんっぽくて大丈夫かな?」というのは一瞬ありましたけど、凄く絵の力もあって、もうすぐに「やっぱりこれがいいな」と思って考えを改めました。
〇今回はみぞれと希美の二人に集中
完全にこの二人に集中する、二人の構造を延々と描くという、かねてから挑戦してみたい題材ではありました。今回こういうことにチャレンジ出来て凄く嬉しかったです。二人を編み込んでいく構造を作っていきたくて。
〇劇中劇が挟まっている構造ができるまでの経緯とは?
みぞれと希美の関係性に‟リズと青い鳥”を重ねていくような狙いはありつつも、”みぞれと希美”を構造的に編み込んでいくことで何か表現できるものがあったらいいな、という想いがあったと思います。だから、‟みぞれと希美”がいる世界と‟リズと青い鳥”の世界と二つあって、それが呼応し合うことによってどんな効果が生まれるんだろう?それが面白くできたらいいなと。映画として興味深いものになりそうな気がして。
武田さんのプロットとしては、‟リズと青い鳥”の話がソッと描かれていて、ソッと希美の話が始まっていく形でした。そこを編み込んだのは映画としては見栄えもあるし、こういう話ですといった、ちゃんと尺度をもって追い込んでいく仕掛けでもあって。
武田さんのプロットは、みぞれと希美の二つの世界を描いていくような印象があったので、そこを二人とリズの世界に置き換えてみたりとか、そんな感じの探り方をしてみました。


〇みぞれ役の種﨑さんが納得した監督のお言葉「全てのものは傍観者、風も木も空も二人を見守っている」の意味するところとは?
ソッと、こう・・・特別にじゃなくて、当たり前のように存在している様にと思いました。という想いと、‟全てのものが傍観者”というのは、二人が巻き起こしているもの、例えば二人が歩くことによって音楽が生まれてくるとか、周りのものが二人達に対して固唾を飲んで見守っているような状態でもあって、二人には気付かれないように見ているから、あなたたち二人は覗(のぞ)き見されているから、普通に見せるための演技ではなく、全部がオフの状態のお芝居を、という感じでしょうか。
〇この物語を描く時に、こういう風に見えてはいけないとかやらせたくないということはありましたか?
とても力加減が難しくて、会話の一個一々、言葉尻のかけ方一つでも嘘っぽいことをしたくない。ただ想いに忠実でありたい、この二人の想いが忠実であるようにっていうところを大事にしました。ただ、これは凄くリスキーな意向でもあるのですが、作り手が観てもらう人に対して‟こうです”と説明しない様にするという、言い換えれば‟この二人は仲良しです”と作らないように、彼女たちの尊厳を守る、見世物っぽくしないことを大切にしました。
-でもそういう描き方をするとなると、ユーフォニアムに出て来る沢山のキャラクターの中でもこの二人は特に難しかったのではないでしょうか?
そうですね。ずっとお互いがお互いの声を聴いている様な聴いていない様なというあやふやな状態というのを徹底して、そこが少しでも上手くいってしまうと全部の積み重ねが駄目になるから、でも、表面上は上手くいっている様に見せないと。そこはお芝居も含めてとても大事にしました。
〇TVシリーズの劇場化にあたって、監督が抱いていた課題意識とは?
‟少女を撮りきる”というのが課題です。まばたきとか、息をのんだりとか、吸ったり吐いたり、目線をずらすことなど、腰を据えてじっくり一本観てもらえるようにしました。そこを‟来週につづく”とかはできないので(笑)。TVでは難しいかもしれませんが、映画だったら実現できること。そういうのをやりたいなと思っていました。
〇この映画で表現したかった心の動きとは?
「みんな理解してもらいたくて生きてるんだな」というか「でも、思いのほかみんなやっぱり身勝手に物事を理解しているな」というのでしょうか。なので、「自分が好きな相手には好きでいて欲しいということが実は届かないもの」であったりとか、そうですね・・・「やっぱり心っていうのはすれ違うもんだな」というのが「言葉っていうのはいくら尽くしても伝わらないもんだな」とか、いやいや全然絶望感まみれの話ではないんです(笑)。だからこそ希望が持てるというか、伝えたいし、伝われ!と思うし、思いを諦めないために物事って伝わらないものなのかな?と思うぐらい、なんかそういうチグハグ感が今回は大事だったのかなと思います。多分最後の最後まで会話ってかみ合っていないんですよ。だから、その大きさの違う歯車をずっと描き上げる、なんかそこに人の面白さを感じました。


〇作詞することになった経緯と込められた想いを教えて下さい。
あれはエンディングの二曲のうち一曲目の方ですね。作曲は劇伴の牛尾憲輔さんが作って下さっているのですが、作詞を誰にしますか?というお話に対して牛尾さんの方から「山田さん!」って言ってくださって。普通に二つ返事で「面白い!」と思って軽く受けてしまったのですが、結果、大変難しくて大分待たせてしまうことになりました。でも作品のコアな部分を歌にできたかなと思います。先程お伝えした‟ものの目線”というか”見守り目線”というのを描いてみました。みぞれにも通じるような感じというのでしょうか。
-作詞は初めて?
恥ずかしながら1回だけあって『たまこラブストーリー』の「恋の歌」です。あれは豆大さんというキャラクター名で出しているので、全部の責任を豆大さんに押しつけることが出来たんですけど(笑)。
〇声優さんたちへのご指導や想いは?
やはり一人の役者さんとして真剣に向き合って、キャラクターと向き合って、そのキャラクターとの対話の中で創り上られていくことなので、極力具体的な話をしないという事はすごく大事にしています。どういう色味の作品なのか?どういった匂いだったりと、そういった話はたくさんしますが、さて、この子はどういう喋り方をしますとは言わないですね。そのキャラクターの性格や家族構成、その中でどの様な育ち方をしたか?ぐらいまでは言うかもしれないですが、具体的に声が高いとかそういう聞いて分かるようなことは言わないです。
〇‟音”に対してはどのようにお考えですか?
全てが同列だと思っていて、その台詞・音・色、全部が一つのものになる感覚です。今回は‟みぞれと希美”が音楽を創っていく様な、二人の機微が構築されて音楽になっていく様な作品にしたいなと思って。足音だったり、鳥のさえずりだったり、まばたきのタイミングだったり、その髪の毛の揺れが、全部が音楽として成り立っているような。今回、音に関しては二人が創っていく音楽だから、会話だけでなくて具体的に演奏する音楽というわけではなくて、生活していくこと・歩くこと・時間を経ることで音楽が生まれていく感じを目指していました。なので、その中に台詞がありますし、全部まとめて一個の音楽ということを目指しました。

映画『リズと青い鳥』予告動画キャストとあらすじやストーリーネタバレ「評判・レビュー」
-監督はもともと‟音”にこだわりをお持ちなのですか?
音は無意識的に感情を伝えることが凄く出来ると思っています。音色で愉快・不愉快って理解できることがある。具体的には分からないけど、なんか嫌なセリフだったとか、なんか楽しいセリフだったと感じる。色も一緒なんですけど、その音からくる波動というか、良いか悪いかが左右されると思うんです。作品を作り上げていく上で、音はほんとに大事にしたいなと思っています。意識・無意識のために、音楽というより‟音という感覚”と思っています。どんな風に人に伝わっているのかが気になります。
〇監督の朝食はフレンチトースト派?
ああいう可愛いセリフは吉田玲子さん(脚本)が考えてくださるんです。フレンチトーストって答えた女の子は、お金持で育ちがいい女の子なんですよ。育ちのいい女の子はきっと「フレンチトースト食べてます」って言う!!それで、周りの庶民の子達は「やっぱりフレンチトーストって凄い!」となるわけです。梨々花はコンビニで卵を食べてびっくり!美味しい!ということで、みんなに普及していますね(笑)。
〇映画ログのファンに一言お願いします!
映画館で観ないと多分拾えない音がたくさん詰まっています。この作品は映画館で見て最大のパフォーマンスを発揮するように作っています。是非皆さん劇場にお出かけください!!


~編集部より~
日本のアニメここにあり!
心情の機微、周囲を溶け込ませる音、命を与えられた絵、全てが同時に動き出す時に、この作品のテーマが心に静かにそしてしっかりと響いてくる映画です。「一生懸命に生きることができる世界」の前提の一つが、「お互いに分かり合えないこと」であり、そこに作品としての悲壮感が漂うことはない。山田監督の類まれなる才能が発揮されています。青春時代の若者から大人に至るまで万人が楽しめる映画です!!
【あらすじ】
あの子は青い鳥。
広い空を自由に飛びまわることがあの子にとっての幸せ。
だけど、私はひとり置いていかれるのが怖くて、あの子を鳥籠に閉じ込め、何も気づいていないふりをした。
北宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美。
高校三年生、二人の最後のコンクール。
その自由曲に選ばれた「リズと青い鳥」にはオーボエとフルートが掛け合うソロがあった。
「なんだかこの曲、わたしたちみたい」
屈託もなくそう言ってソロを嬉しそうに吹く希美と、希美と過ごす日々に幸せを感じつつも終わりが近づくことを恐れるみぞれ。
「親友」のはずの二人。
しかし、オーボエとフルートのソロは上手くかみ合わず、距離を感じさせるものだった。
■ 予告編

■ 原題・英題
リズと青い鳥
■ クレジット
「リズと青い鳥」
原作:武田綾乃(宝島社文庫『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』)
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
キャラクターデザイン:西屋太志
美術監督:篠原睦雄
色彩設計:石田奈央美
楽器設定:高橋博行
撮影監督:高尾一也
3D監督:梅津哲郎
音響監督:鶴岡陽太
音楽:牛尾憲輔
音楽制作:ランティス
音楽制作協力:洗足学園音楽大学
吹奏楽監修:大和田雅洋
アニメーション制作:京都アニメーション
製作:『響け!』製作委員会
配給:松竹
■ コピーライト
c武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
■ 公開日
2018年4月21日
■ 公式サイト
http://liz-bluebird.com/





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