映画『ツナガレラジオ~僕らの雨降Days~』川野浩司監督が語るラジオの魅力

映画ツナガレラジオ~僕らの雨降Days~,川野浩司監督,画像

映画『ツナガレラジオ~僕らの雨降Days~』公開記念インタビュー

イケメン若手俳優によるwebラジオ番組「オールナイトニッポンi “おしゃべや”」番組パーソナリティを務める10名がスタジオを飛び出し、オリジナルストーリーの映画『ツナガレラジオ~僕らの雨降Days~』に登場!

かつて存在したFMラジオ局を舞台にインターネットラジオをスタートすることに。果たして彼らは、ラジオ局を蘇らせることが出来るのか…。90年代の懐かしい名曲を出演陣がカバーし、ラジオらしく音楽とともに観客に感動を届けます!

今回は、本作の川野浩司監督にラジオの魅力やカバー曲の選曲、演出でポイントにされたことなどを伺いました。撮影現場では“もっともっと”と演出された川野監督。映画ログプラス的宣伝の合言葉は、「若者もかつて若者だった大人たちも、映画館の大きなスクリーンで90年代J-POPを聴こう!」です。

―― 映画化にあたってどのようなことを思い描いて制作されましたか?

川野浩司監督
10人をいかに素敵に撮るかというところですね。

役者がいるんだけれども、キャラクターをどう演じてもらって、良い表情を引き出すためにはどうするか。別にカメラ目線で写真集のように自分が得意な表情とかではなく、喜怒哀楽の表情を撮らないといけないので。だから意外とアップが多いんじゃないですかね。

後は、昔からよく言うじゃないですか。黒澤明監督も「物語を描くには7人が限界だ」みたいな。10人いるからどうしようって思いましたね。ストーリー上の主役はいるけど、なるべく均等にみんなが主役みたいな話にという感じだったので、誰かだけ出番や印象が少なくならないようにしようと思ったので、果たしてそれが出来るかどうかはやってみないと分からないなって思いました。

例えば、シーンにいても主軸にいないと印象に残らないですよね。その辺りは脚本上では藤咲さんがバランスを取ってくれていたので。でも、撮影となると全部が脚本通りに撮れなかったりするので、その辺のプラスマイナスは結構気にして撮りました。

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―― 特に後半は盛り上がって、自分の気持ちが持っていかれるような感じがしました。それぞれを主軸にということですが、10人がいる中でどういうストーリーを作ろうと思ったのか。脚本の藤咲さんとの役割分担も交えてお聞かせください。

川野浩司監督
ストーリー創りは参加してなくて、プロデューサーと藤咲さんにお願いしています。そっちの方がいいかなって。企画の在り方にもよると思うんですけど、今回は藤咲さんのストーリーです。逆に、藤咲には任せたい(笑)、藤咲さんのストーリーを撮りたいみたいな気持ちがあるので。

―― 10人が2人ずつのタッグを組んでクローズアップされているシーンは、それぞれの特徴を活かした撮影になっていると思いました。

川野浩司監督
そうですね。ほとんど会ったことも仕事をしたこともない人達だったので情報が少なかったんです。普段はもうちょっとリハーサルとかコミュニケーションを取って情報を集めながらクランクインするんですけど、10人揃うのもなかなかないし。だから朝からテストをして、変えていった部分もあったと思います。どちらかと言えば、我々の方が彼らに寄せていきました。

現場で情報を収集して、いかにそこのシーンをよく撮るかみたいなやり方をした気がします。基本的には彼らのやりたいことを尊重しつつやった気がします。

―― 元々のイメージと現場での顔にはギャップもあるわけですよね。

川野浩司監督
10人いたら十人十色じゃないですけど、好き勝手やらせたら結果10人になったんじゃないかと思います。

本人たちとは話してないから分からないですけど、本人たちプラスアルファで作ったんです。細かい「このシーンはこういうキャラクターです」という話はしてないです。違和感を感じたら本人たちに言うみたいな、だから任せた部分も大きいと思います。

―― 後半にかけて西銘さん演じるアクトの本気度が伝わってきました。監督からのディレクションがあったのでしょうか?

川野浩司監督
「もっともっと」(笑)、みたいなことは言ったと思います。

今回は走ったりとか、感情的に喧嘩したりとかの動きが意外とないので。ラジオは座って喋っているので。その中でどう盛り上げるかはちょっとハードルが高いと思っていたんですけど、感情が上がっていくように、ヘトヘトになっていましたね。

西銘君は途中で呂律が回らなくなって休んだりもしました。順撮りで「もっともっと盛り上げて」って言いながら、「次はもっと盛り上げないとダメだからね」とか。

そうしないとラジオの中でもラジオのリスナーに伝わらないし、映画でもアクトの想いを伝えないといけなくて、そうするとあれぐらいやってもらわないと。ラジオは声だけですけど、映画の場合は表情が観えるので。だから、ラジオって声だけでスゴイなって今思いますね(笑)声だけで人を感動させるのはスゴイですよね。

―― 俳優陣が90年代の名曲をカバーして、それぞれ歌声を披露されています。音楽との親和性は意識されたのでしょうか?

川野浩司監督
ラジオの話なので音楽が大事だとずっと思っていて。

「雨降FM」が元々90年代にあったという設定の中で、90年代って勇気づける名曲が多い、背中を押してくれるような。24時間テレビで「サライ」の前に流れるのはほとんど90年代ですよ。

今回は勇気づける曲をかけて欲しいというお題がきて、編集している時に選んでそのまま通ったので(笑)、完全に私の趣味になってます(笑)

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―― 「イージュー★ライダー」(※)をメインにしたのは監督のこだわりですか?

川野浩司監督
単純にエンディング感があったんです。編集していて、映像を観てると曲が聴こえてくるんですよね。それで当てる作業をするんです。それがたまたま「イージュー★ライダー」で、「ハミングがきこえる」も入りに盛り上がる曲はなんだろう?って思った時に、90年代で調べて。ちびまる子ちゃんだからみんな知っているだろうなって。

―― ウィスパーボイスの曲を男性が歌うのは意外性もありますよね。

川野浩司監督
そうなんですよね。最初は女性が原曲の曲は難しいかなと思ったのですが、まあいっか、何とかなるかって。しかも、ジュディマリの声も独特だからどうするのかな?と思ったけど、音楽の成田さんが「大丈夫ですよ」って。

イントロというか入りで選んでいますね。歌詞はそうですね、ジュディマリは(歌詞が)どストレートなんですけど、GAOも歌詞かな。
先日テレビで甲本ヒロトが「最近歌詞を聴き過ぎている」って言ってて、響きましたね。昔は雰囲気で聴いてたのにって。

―― 音楽を担当された成田さんとはどんなお話をされましたか?

川野浩司監督
具体的に「こういう曲を」ってお伝えすると面白くないんです。成田さんの趣味みたいなところも知りたいので、意味合いとかぐらいを言って、お任せで作ってもらいました。基本的には感情を誘導させるために音楽を使っているので、観た人をこういう気持ちにさせたい時に違った気持ちになる時だけ変えてもらって。曲調とかは成田さんが色々やってくれた感じです。

―― 昔は雰囲気で聴いていたと仰っていましたが、この選曲もどストレートでもないですよね。

川野浩司監督
その辺が俺の趣味ですよね(笑)

―― 今の若者の役者さんたちがこの時代の歌をどう捉えて歌ったのか、完成した音源を聴いて監督はどのように感じましたか?

川野浩司監督
結局、彼らが曲のことをあまり知らなかったので、シーンに合わせて素直に歌ったんじゃないですかね。どこのシーンでかかるのかは知っていたと思うので。奥田民生くらいは知っているでしょうけど、意外と特別な気持ちはなかったんじゃないかなっていう気はします。変えようという気持ちがないから、普通になったんじゃないですかね。普通は意識して変えるけど、知らないがために(原曲と)一緒になったのかもしれませんね。

―― ちなみにこの曲の中で監督のカラオケの十八番は(笑)?

川野浩司監督
全部難しい歌だからないんじゃないですかね。「カルアミルク」はよく歌いますけど。「イージュー★ライダー」はみんなで歌ってましたかね(笑)。

―― 監督が仰っていた“繋がる”ということに、世代まで超えて繋がっていくみたいな意図を感じます。

川野浩司監督
映画は広げていかないといけないと思うので、彼らのファンだけなら映画にする必要ないじゃんって思ったりするので。

―― 西銘さんのシーンが多いわけですが、一番監督とディスカッションされたのはどなたでしたか?

川野浩司監督
みんな同じくらいじゃないですかね。いじられ役はいたりしたけど、誰がという印象はないですね。
イッセーさんは、若干探って演ってたんじゃないかなという気はしますけどね。イッセー尾形じゃなかったらあんなに(映画が)締まらないですね。

―― イッセーさんの話す仕草も、少しいじけているようで凄く良くて、流石イッセーさんだなって。

川野浩司監督
(現場で)会っていない人もいるのですが、だいぶ触発されたんじゃないですかね。映画を観て、芝居はこうやってやらないといけないんだなって。
直接やったメンバーはだいぶ触発されていました。西銘君とかもその後に自分のアイディアを入れて来たりとか。全部は採用しなかったですけど。ベテランと絡んで繋がっていかないとダメなんでしょうね。共演して伝承していかないと。

―― 監督とイッセー尾形さんの繋がりは?

川野浩司監督
実は、監督としてはないんですけど、昔エドワード・ヤンの映画で助監督をやってたんで、その時にイッセーさんとちょっとだけ接点があるんです。東京ロケで。
20年くらい前の話なので、それ以来ですねイッセーさんとお会いするのは。

―― キャストさんとの会話で具体的に印象に残っていることはありますか?

川野浩司監督
あまり覚えてないですけど、その時々で「もっともっと」は全員に言ったかもしれないです。どこまでやっていいのかは意外と分からないと言えば分からないので。キャラにもよるかもしれないですけど。

ゆうたろう君と李光人君はだいぶお任せにしましたね(笑)彼らの空気感はオッサンには出せないです。あれは任せないと、カワイイ感じ。多分、あれがイイんでしょうね。あそこは衣装も含めて二人がプロデュースしてます。こっちが言うと変になってダサくなっちゃう(笑)

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―― 若いキャスト陣の演技で驚いたことはありましたか?

川野浩司監督
ゆうたろう君と李光人君は、今の若者はそんなに熱くなんないですよね。だから「もっともっと」って言っちゃった。全部がフラットだと盛り上がらないので、シーンの波によって「盛り上がってください」みたいなことを言いました。とにかく熱くならないし、むきにならないですよね、演技上でも。ゆうたろう君はちょうど月9に出演していた時だったので、入りと出しがある時もあって月9→映画→月9みたいな。「ここで息抜きしていきな」って話はした記憶があります(笑)

―― 劇中のように現場も皆さん楽しくやっていたのですね?

川野浩司監督
みんな楽しく伸び伸びとやってました。この山に来るのが楽しいみたいな。

劇中の楽しくしている時の雰囲気のまんまだと思います。自然なところを意識した部分はあって10人出てくるということもあったので、10人が勝手にやってれば結果的にそれぞれキャラが付いた。

あと、田中真弓さんも凄く良かったです。まさかご一緒出来るとは思っていなかったです。超ベテランで、“ルフィ”なんて誰でも知っているじゃないですか。でも、顔出しはそんなにしてなくて、忙しくて中々映画とかは出れないみたいで。朝ドラには出ていましたけど。

普段はアウェーにくることもないじゃないですか。基本みんなが知っているし、中心にいるし。でも、楽しんでやっていたんじゃないですかね、無理矢理踊っていただいて(笑)

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―― 歌も披露されていました。

川野浩司監督
あの選曲は田中真弓さんが決めたんです。

―― そうなんですね、ところでラジオにはどんな想い出がございますか?

川野浩司監督
普通に世代なので、高校生の時はオールナイトニッポンを聴いていました。ハガキ職人までいかないですけどラジオは結構聴いていた方です。土曜日の夜とかは二部(21時から25時)まで聴いていたので。そういう所で言うと世代なのか、時代なのかもしれないですけど。やっぱり当時自分の部屋にテレビがないから娯楽がラジオしかなかったですよね。だからラジオは毎日聴いていました。

―― テレビは夜見ると怒られるので、部屋にこもってラジオを聴いていましたよね。

川野浩司監督
そうですよね。それが今はラジオがスマートフォンになっちゃった。そういうツールはやっぱり変わっていくんですよね。でも、今回思ったのはラジオって自分で(チャンネルを)合わせに行かないといけないというのは良いなと思いますね。しかも一方向で。今は相互の時代ですけど。

映画ツナガレラジオ~僕らの雨降Days~,川野浩司監督,画像

―― 昔はテレビには出ないけど、ラジオには出るアーティストの方もいてラジオの特別性みたいなものもありましたよね。

川野浩司監督
ラジオって共犯関係になれるじゃないですけど、ラジオだけで盛り上がってることがあったりしたじゃないですか。だから実はツイッターとかよりも対相手、例えば、喋っている人と距離感が近かったような気がしますけどね。

―― “ある時間に、この番組”を聴いている人の輪がありましたよね。

川野浩司監督
コミュニティが共犯関係、悪い事しているようなノリになれる。

声っていうことじゃないですかね。声に託すしかないじゃないですか。ツイッターは文字、TikTokとかYouTubeとかは動画だし。ラジオは声に頼るしかない、声で勝負するしかないから、声の力。本当に(脚本の)藤咲さんの書いている通りじゃないですかね。

―― タイトルもまさにそのままですよね。

川野浩司監督
タイトルは素晴らしいですね。全く思いつかなかったですからね。これは主題歌「Message ~ツナガレイノチ~」を作詞されている大森祥子さんがつけたんです。まさかの角度ですよね。一番のテーマ、軸をついてきている。みんな繋がっていく、それが今の時代の話になるんですけどね。SNSで繋がっていっているけど、こういう繋がり方もあるんだよって。イッセーさんの年賀状だったり。アナログの良さと言うか、デジタルじゃないところの良さもあるんじゃないですかね。ラジオも。

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―― ありがとうございました!!

※「イージュー★ライダー」の正確な表記は「ュ」が〇囲み文字です。

川野浩司から動画メッセージ

キャスト

アクト:西銘駿
ニガリ:飯島寛騎
クッパ:阿久津仁愛
ミュート:井阪郁巳
コーシ:橋本祥平
マクロ:深澤大河
ディジェ:ゆうたろう
セルガ:板垣李光人
バントー:立石俊樹
ジム:醍醐虎汰朗
田中真弓(特別出演)
イッセー尾形

監督

川野浩司

脚本

藤咲淳一

音楽

成田 旬

主題歌

PARED「Message ~ツナガレイノチ~」

配給:ローソンエンタテインメント
制作:ポニーキャニオン
制作プロダクション:ブースタープロジェクト

公式HP:https://afuriradio.jp/
©2021「雨降ラジオ」製作委員会

2021年2月11日(木・祝日)公開

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