女優・瀧内公美さんが映画『裏アカ』で出し切った“葛藤”

女優,瀧内公美,画像

映画『裏アカ』公開記念インタビュー

今の社会や時代が持つ二面性を象徴する“SNSの裏アカウント”。裏アカウントを通して出会う男女の姿から、現代に生きる者が抱える葛藤や欲望、そして性への衝動を赤裸々に描き出し、観る者の心に突き刺さるセンセーショナルな人間ドラマへと昇華させた映画『裏アカが、4月2日(金)より新宿武蔵野館、池袋HUMAXシネマズ、渋谷シネクイントほか全国ロードショーです。

今回は、本作の主人公・伊藤真知子役を演じた瀧内公美さんに本作を演じるうえで大切にされたことや撮影の裏話など伺いました。神尾楓珠さん演じる“ゆーと”のキスを真知子が拒絶するシーンや、葛藤の先に映し出される印象的なラストシーンについても振り返っていただきました!

ポイントは作品の流れ

―― 濡れ場シーンもある作品ですが、どのような気持ちで挑まれたのでしょうか?

瀧内公美さん
(裏アカは)本当に身近なお話じゃないですか。監督とはいかに丁寧に積み重ねていくかっていう話し合いが多かったです。全体を通して濡れ場だけ浮いて見えると良くないですし、作品の流れを大切に。

瀧内公美,映画『裏アカ』,画像

―― 『彼女の人生は間違いじゃない』、『火口のふたり』そして本作でも演技が非常に自然だと感じます。瀧内さんはどんな所にポイントを置いて演技をされているのでしょうか。

瀧内公美さん
まず、タイトルを見て何をやりたいのかなって考えます。『彼女の人生は間違いじゃない』というタイトルを見て、何が間違いじゃないって言っているのか、『火口のふたり』に関しては、火口のふたりってどういう意味なのかなって。作品毎にやりたいことが何なのかということを大切にします。

今回は「裏アカ」がテーマになっていますが、「裏アカ」が何なのかだけを考えると情報になってしまうので、「裏アカ」を通して何を表現しなければいけないのかを考えていました。加藤監督の初長編監督作品なので、監督の“こういうことをやりたい”という思いが沢山あって、それをどう成立させたいのかという話はお伺いしました。

―― 本作では加藤監督とだいぶコミュニケーションを取られたのですね。

瀧内公美さん
そうですね。SNSが身近なので、物語は大きなものにはしない方がいいかなとか。「どういう風にやれば共感を得ることが出来るかを大切にしたい」と監督が仰っていて、「共感を得るって何なんですかね?」とか、本質的な話し合いを沢山積み重ねた記憶があります。

瀧内公美,映画『裏アカ』,画像

―― その本質を理解した上で、自分がどういった演技が出来るかってことですね。

瀧内公美さん
「自分たちなりの答えを探そう」って。答えは多分ないけど、そこをあやふやにしちゃうと全てが不安定になっちゃうから、「根幹だけは大事にしよう。そこだけはお互いの共通認識を持ちましょう」という形で始めていきました。

受け入れられなかった【キスシーン】

―― 終盤のシーンで、パーティーの際の出来事から、真知子が壊れた瞬間がありました。観ていて共感しましたし、ザワザワしました。あの時の真知子の気持ちを言葉で表現していただくとすれば?

瀧内公美,映画『裏アカ』,画像 瀧内公美,映画『裏アカ』,画像

瀧内公美さん
言葉に出来ない…(笑)

SNSと承認欲求という言葉はよく結び付けられてて、承認欲求って何なんだろうね?って言ったら、目に見えないものですよね。それを追い続けてる苦しさだったり、もどかしさだったり、そういうどう表して良いか分からないものが言葉に出てきた。それが言えないからこそこうなっているんですけど、台詞で凄く訴えかけているんです。

元々は言葉がもっと沢山あったんです。でも、それだけハッキリと言えるんだったらこうはなっていないんじゃないかって話し合いにもなったり。どうぶつけていいか分からないことってそんなに言葉にしない方がいいよね?とか。自分の中で理解した「“必要”って言って欲しかったです」っていう想い、それはちゃんと大事にしてぶつけましょうって。

―― なるほど、非常に伝わってきました。
“ゆーと”役の神尾さんが真知子に対して「お前もこっち側の人間だろ?」と言った時に、真知子はキスを拒絶します。あのシーンがストーリーの重要な部分で、バーチャルと現実との間をまさしく言い表し、それを拒絶している真知子の立場を体現してるような感じがしました。瀧内さんの受け止め方としては、あのシーンはどういうシーンとして考えていらっしゃったのでしょうか?

瀧内公美,映画『裏アカ』,画像 瀧内公美,映画『裏アカ』,画像

瀧内公美さん
本当はそのまま流されるままキスをするシーンだったんです。でも、ここで受け入れたくないと思いました(笑)

「私は違う!」って思うところがあってもいいんじゃないかなって。ただ流されるままにそのシーンを過ぎていくこと、“ゆーと”が思いをぶつけるシーンなんで、そこでちゃんと対峙しないといけないような気がして、それがSNSとの違いでもあるわけじゃないですか。

だから、「私はちょっとキスをするところは受け入れられないです」って言ったら、監督も「僕も見ていてそう感じたんで、そうしましょう」って仰って。監督も私も一緒に作品を作っていくことで、全員で「そう変わるよね」ってなった瞬間だったので、やっていて面白かったですし、そういうこともあるんだなって(笑)

―― 真知子にとってはバーチャルも現実の一つだったんじゃないかと思いました。

瀧内公美さん
真知子をやってた時は、裏アカを始めることに関して、バーチャルとか日常とか分けてないんですよね。それが分かってたら、多分こういう風にはならない人間だろうなって。ずっと自分の人生が地続きというか。真知子に関してはそういう風に感じてましたし、一つずつちゃんと受け止めてる人だなと思いましたし、真面目だし、だからこうなっちゃう。表と裏みたいに観る方もいらしたと思うんですけど、私としては表も裏もない。

―― それに、ネットの世界も現実と同じように人間が操ってるわけですからね。

瀧内公美さん
そうですね。実際やるのは人間なので、顔が見えるかとか名前が分かるかとかありますけど、公表されないですから。やってる本人としては同じ自分、同じ人間。

―― 「敬語を使ったら100円を支払う」という罰ゲームを通して、真知子と“ゆーと”のそれぞれの立ち位置が垣間見れる気がしました。瀧内さんから見た“ゆーと”はどう見えていたのでしょうか?

瀧内公美,映画『裏アカ』,画像 瀧内公美,映画『裏アカ』,画像

瀧内公美さん
神尾さんがどういう風に感じてたのかは分からないですけど、“ゆーと”に関しては器用だなと思いました。シーンを重ねていくとピュアな人だなって。私はずっと葛藤しているわけですけど、彼はそれを見せない。冷静って言ったらおかしいですけど、使い分けてるなって思いました。

表現の仕方を変えてたんですかね。彼なりの工夫が多分あったと思うんですけども、“ゆーと”に会う時と、原島という人に会う時は違うなぁと感じました。
“ゆーと”の方が人間味を感じました。原島努に会った時は、結構「形」。そんな感じがしました。

“葛藤”を吐き出すラストシーン

―― そして、最後のシーンですけれども、真知子の姿と朝焼けのコントラストが非常に綺麗でした。
全身で現実を全て受け止めている姿という風に感じ取ったのですが、あの時の真知子の気持ちを教えていただけますか?

瀧内公美さん
吐き出すっていう行為が、今までの葛藤を全部出す。なので、それはもう惜しみなく吐かなきゃなと思って(笑)

ただ、あの橋がスッゴイ長いんです。500メートルくらいあって、「全力で走ってくれ」って言われて。リハーサルの時に3回やったんですけど、どんどん走れなくなって。本当にきつくて(笑)なんだか怒りみたいのも出てきて、役というより本当に大変でした(笑)でも、あれだけ走る経験もないですから、いい経験だなって(笑)

瀧内公美,映画『裏アカ』,画像

瀧内公美さん流・美の秘訣

―― 時間帯は朝方ですか?

瀧内公美さん
朝狙いで、2時とか3時ぐらいに準備をして、4時、5時に撮影でした。

―― 走る姿も美しいと思いました(笑)瀧内さん流の美の秘訣を教えてください!

瀧内公美さん
よく食べて、よく寝る!

女優,瀧内公美,画像

瀧内さんの美の秘訣は「よく食べて、よく寝る!」… ©

―― (笑)シンプルかつあまり参考にならないご意見ありがとうございます。

瀧内公美さん
(笑)
本当によく食べて、よく寝ることが大事なような気がします。
コロナの時期で自宅にいますから、「ビリーズブートキャンプ」を…やってみるのもいいなと思って、久しぶりにDVDを開けて「ビリーズブートキャンプ」のコアリズムをやっています。疲れますし、本当にイイ運動です(笑)

―― 大変参考になりました(笑)
加えて、本作ではアパレルショップの店長さん役で洋服のセンスが抜群で、ピッタリでした。

瀧内公美さん
劇中の洋服はスタイリストの方が持って来てくださったり、撮影で使っているショップのお洋服も着させていただいて、気に入ったので一着買い取りました。体のラインが綺麗に見えるお洋服ですとか、流行に沿ったものとか、凄くセンスがいいお洋服ばっかり用意していただきました。

瀧内公美,映画『裏アカ』,画像 瀧内公美,映画『裏アカ』,画像 瀧内公美,映画『裏アカ』,画像

―― 最後に映画ファンにメッセージをお願いします!

瀧内公美さん
この作品は身近なお話だと思っています。大きなお話ではなく、小さな小さな、本当に誰かに寄り添えるような作品であってほしいなと思ったので、丁寧に作り上げていきました。お洋服もオシャレで観ていて楽しい映画だと思いますので、気軽に観に来ていただければ嬉しいなと思っています!

女優,瀧内公美,画像

「気軽に観に来て」by瀧内公美 ©

―― ありがとうございました!

映画『裏アカ』予告動画

キャスト

瀧内公美 神尾楓珠
市川知宏 SUMIRE
神戸浩 松浦祐也
仁科貴 ふせえり
田中要次

監督

加藤卓哉

脚本

高田亮 加藤卓哉

配給:アークエンタテインメント
公式サイト:http://www.uraaka.jp/
©2020映画『裏アカ』製作委員会

4月2日(金)新宿武蔵野館、池袋HUMAXシネマズ、渋谷シネクイントほか全国ロードショー

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瀧内さんって向田邦子さんに似ていますよね。そんな企画があったらぜひ向田邦子さんの生涯を瀧内さんの主演でやって欲しいです。

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