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Q.実写でもアニメでも「原作のある作品を撮ることは難しい」「やはり原作の方が良かった」などと言われることがありますが、監督は‟原作とメディアとしての映画”との関係をどのようにお考えですか?

メディアとしての特質があって原作通りに描けない、という気持ちは多くの作り手たちが感じるのでしょうけど、その特質は絶対に守らなければならないものでも実はないのかもしれず、そんなものを打ち破った時にもっと新しい表現が生まれて来るんじゃないか、などということを期待したいんですね。

「原作のままやれないだろう」というので、制限を作るより、「原作のままやったら面白いんじゃないか」と思えばいいわけです。それには新しく何と何が必要となるのか考える。そこから今までになかった新しい作品が作れるようになっていくかもしれない。原作付きのものを扱う人で、時々そういった観点に立たないことがあるのは、むしろ何故なんだろう? と思うんです。原作のまま描くというのは非常に大きな作家性が必要な作業だと思うんですよ。でも、そうではなくて、どうしても自分の表現みたいなものをそこに持ち込みたくて、原作とは違うものにどんどん変えていこうとする。もちろん全部の場合にそれがいけないとは言わないですし、そうやって成功した例もあるはずだとは思うんです。でも、まず一概にそういうものだと決めつける前に、原作のままやったらいいんじゃないかっていう風に、なぜそれができないと思いこんでるんだろうと考え直すところから再スタートした方が建設的なのではないかと思います。

――まずは原作通りにやってみて、そこで格闘したらきっといいものができるよ、ということですね?

そうですね、‟原作の中に含まれる色んな意味と格闘する”ということにしてもそう思います。

Q.例えば、4月に呉の軍港に戦艦が入ってくる。そうすると具体的な日にちや天気までもが特定できます。そうしたことは原作を突き詰めることになるのでしょうか?

原作にも映画にも、戦艦大和が呉に入港する昭和19年4月のエピソードがあります。実は、それが‟4月17日”だということを、原作者のこうのさんはそこまで把握した上で漫画のコマを描いているわけですね。だとしたら、‟そこまでが原作”だということになると思うんですよ、自分の場合。

つまり、原作というのは主人公はこういう名前の人で、こういうような境遇で、こういうような運命を辿りますというだけが原作ではないというわけですよね? もっと、細やかな色んな部分での表現としても原作は存在しているはずですよね。ナラティブなストーリーだけが原作ではないわけですよね。

何を尊重するべきなのか細部にまで至って考えた、と思います。


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