映画『ゼニガタ』主演 大谷亮平さんインタビュー

いよいよ明日5月26日(土)より大谷亮平さん初主演映画『ゼニガタ』が公開となります。
本作品は、表向きは居酒屋「銭形」を営む銭形富男と、小林且弥さん演じる弟の静香が深夜0時から金貸しになるという物語。地方のある街で違法な高金利でお金を貸して暮らしている富男と静香。彼の周りには買い物中毒のOL・珠(佐津川愛美)や資金繰りに困った脱サラ農家・留美(安達祐実)などお金を借りたい人間が続々と集まってきます。容赦なく取り立てを行う富男と、返済に困る債務者たち、そして因縁関係にある地元のヤクザと、地元警察をも巻き込んだ人間ドラマが展開されます。
今回は、欲望と暴力が渦巻く“闇金”の世界で圧倒的な存在感を放つ主人公の銭形富男を見事に演じた大谷亮平さんに本作品の魅力をたっぷりと伺いました。
―― 映画『ゼニガタ』主演のお話をいただいた時の率直な感想を教えて下さい。
実は5/26が僕自身の日本でのスクリーンデビューです。まだ日本では出演もしていないので初の主演とは少し遠い感覚があり、「日本のスクリーンにも出れるんだ!」という初出演の喜びがとても大きかったです。
この映画は少し特殊な世界を描いています。主人公の富男は何かを抱えている、何か難しさを隠しているような人物です。これまでの作品の印象から爽やかな、笑顔を振りまく役を期待して下さるかもしれませんが、パッと明るい人物よりも、今回のような役が自分に合っていると感じました。
演じてみてこの役が好きだと改めて思ったし、富男になりきることができた実感もあり、この映画に出演出来たことがすごく嬉しいです。
―― ブラックな内容にも関わらずキャストの皆さんが活き活きとして輝いていました。
完成した作品を試写で観てとても心強かったです。
現場では、カウンターから見守りつつ、他を圧倒するような存在感を出すことを意識していました。しかし、そんな富男が霞んで見えるくらい、共演者のみんなが暴れまくっていて、まさに活き活きと輝いていました。それは僕の望むところでもありました。
玉城裕規さん演じる樺山ら半グレ集団や女優陣も派手なアクションを演じ、大変だったと思います。佐津川さんからは「こっちはアクションを必死にこなしているのに、最後は富男にカッコいい所を全部持っていかれた!」とコメントされました(笑)
―― 綾部監督は大谷さんは優しくて物静かな印象で、孤高な感じが富男と似ていて、「一人でいる感じが抜群に似合う」とおっしゃっていました。
その通りと言いますか、どちらかと言えばプライベートでも周りと群れるタイプではありません。
もちろん役者として現場でのコミュニケーションや会話は大事ですが、この作品に至っては自分も共演者の方もスムーズに進めることができるように、カメラが回っていない時にも富男から離れないようにしていました。
―― 作品を通じて、人と人の繋がりこそが、人間が変化する唯一の術なのかもしれないと感じました。大谷さんの役者人生でも、大切な出会いはありましたか?
人との出会いやご縁、僕の中ではそれこそが全てです。
韓国で活動していて、実は‟もう難しいかな”と感じる時期に差し掛かっていたことがあったのですが、台湾にも知り合いがいて、CMの契約が数本決まりだったので、最後に台湾へ渡り、終わったら日本へ帰国するつもりでした。
そんな時期に韓国の著名な監督に声を掛けていただき映画のオファーが入りました。オーディションがあるなら(どうせ難しいだろうと思って)お断りしようと思っていたのですが、監督から「是非、大谷さんで」とご指名をいただき、出演が決まりました。
その監督こそキム・ハンミン監督です。『神弓 KAMIYUMI』(2011年)という作品で、その年の韓国興行収入1位に輝きました。さらに次回作として制作された『バトル・オーシャン 海上決戦』(2014年)ではもっと良い役で呼んでいただきました。すると韓国の歴代1位となる1760万人動員を記録。全国民の1/3が観た計算になる、物凄い大ヒットです。韓国で1000万人動員した映画に出ると、1000万俳優という箔がつきます。キム・ハンミン監督に呼んでいただけなかったら、今の自分はないかもしれません。
日本での活動も、釜山国際映画祭で当時の事務所と現在の事務所(アミューズ)が出会ったことから始まりました。それもまたご縁です。
振り返ると人生の重要なポイント毎に救世主が現れ、「縁」と「運」に恵まれてここまで辿り着くことができました。
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