目指すは鬼滅の刃、呪術廻戦!企画と脚本のこだわりで勝負!『ベイビーわるきゅーれ』阪元裕吾監督

映画ベイビーわるきゅーれ阪元裕吾監督,画像

映画『ベイビーわるきゅーれ』公開記念
阪元裕吾監督インタビュー

社会不適合者な“元女子高生”殺し屋コンビが社会に馴染もうと頑張る異色の青春映画『ベイビーわるきゅーれが絶賛公開中です!限られた予算の中で制作されたとは到底思えない、日本のアクション映画に希望の光を灯す小さな映画が、大きな一歩を踏み出しました!

阪元裕吾監督にお話を伺ってみると、そこには企画や脚本への強いこだわりがありました。監督が意識されているのはハリウッド映画ではなく、『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』を生み出した「週刊少年ジャンプ」!日本が世界に誇るコンテンツを目標に、阪元監督の挑戦は続きます!

―― 予算をかけた作品なんだろうな、と思っていましたが全然違うんですね!とても良かったです!!監督は、これまで暴力・アクション描写に関心があって、色々な賞も獲られてきました。今回は「殺し屋映画は暗いから、発想を転換して明るい作品を撮ってみました」とコメントされていますが、明るい・暗いだけじゃないお考えもあったと思います。どんな発想でこの作品を作ろうと思ったのか、教えていただけますか?

阪元裕吾監督(以下、阪元監督)
まず、現代の日本を描きたいというのはありました。現代劇で東京にいる普通の女の子を描くことがやりたいと思っていて、殺し屋はむしろ後でした。逆に言えば、前作『ある用務員』が結構ノワールじゃないですけど、ガッツリヤクザが出て来て、殺し屋たちと戦って、「ギャーッ!!」みたいな(笑)遊びがない映画だったので、遊びしかない映画にしたいとはずっと思っていました。

その『ある用務員』は、アクション映画好きに刺さるアクション映画を日本でも頑張って作ってる、ぐらいの広まり方がベストな感じでした。それをそのままに、『ベイビーわるきゅーれ』も“戦いまくって”みたいなことをやるのは違うだろうな、と。むしろ、二人の唯一無二なところは何だろう?と思ったら“かけ合い”だったり“生活感”だったり、この映画ではそんなには映ってないですけど、“東京の街にいる二人”みたいな様子をなるべく入れられたらなっていうところから、話を作りました。だから、最後のアクションに向かってどんどん話が進んでいく感じではないです(笑)

映画ベイビーわるきゅーれ阪元裕吾監督,画像

阪元裕吾監督

―― 確かにコンビニのシーンや街角にあるゴミ箱など、日常の風景と二人の女子の姿のカットは明確に頭に残っていますね。アクションについてですが、監督ご自身もアクションにこだわりがあると思いますが、アクション監督の園村(健介)さんとはどのような役割分担で作品作りを進めていったのですか?

阪元監督
この脚本が出来上がった時、最初に見せたのが園村さんでした。2時間ぐらい永遠に「こういうのが好きです。園村さんのアクションのこういう所が好きです」とか会話して、後は自分が用意した20分くらいのアクション動画集を一緒に見て、「俺はこういうのが好きです」と永遠に喋るだけの時間を設けました。

時間も限られていて本当だったら厳しかったんですけど、どうしても二人の戦い、敵を無双していくシーンは出来れば入れてほしいとお願いして。(W主演の二人は、本職はスタントウーマンの)伊澤(彩織)さんがアクションバリバリ出来て、髙石(あかり)さんは銃を撃つ役の経験はなかった。なるべく二人が対等に見えるように、園村さんのパートじゃない日常の中に、拷問して撃ち殺すとかメイド喫茶で撃ち殺すとかを入れました。逆に言えば、ラストバトルは全てお任せでした。

ベイビーわるきゅーれ,画像 映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかり

唯一、表情については殺し屋の設定だったので、普通の女の子が頑張っているような感じではなくて、「百戦錬磨だからもっと気が狂ってる感じに見えてほしい」みたいなお願いはしました。園村さんはメチャクチャボコられて、焦っているみたいな表情を作ってくださったんですけど、「もうちょいここで頭ポーンと抜けて、頭真っ白になって凄い冷静になっているみたいなのどうですかね?」みたいな話をして、伊澤さんとも話して。最初は「どういうこと?」「ここで冷静になるの?」みたいになったんですけど、伊澤さんに3〜4回やってもらったらイイ表情が見せられた。逆に、立ち回りの演出は僕には理解不能でしたね。何をしているのか全く分らなかったです(笑)

―― 体を突き合わせる格闘における短い間合い、ナイフでの間合い、銃の間合いなどが物凄く巧妙に考えられていると感じたのですが、アクションシーンの太い幹みたいなところも園村さんが考えられたんですか?

阪元監督
全部園村さんです。

アクションシーンを組み立ててもらってやってもらったんですが、自分は何をやっているのか分からないんです。10回ぐらいやり直しているんですけど、「ウォー、バ バ バ バ !!」ってやって「カット!」って言うと、「もう1回だね」とか言ってて、“何があかんかったんやろっ…”て(笑)ただ、僕には分からんことをやってもらわないとアクション監督を雇う意味がないというか、自分も殺陣を決めるぐらいやったらちょっとは出来るので、アクション監督を雇った以上は、自分の理解不能なことをやってほしいと思ってやってもらいました。そうしたらあんなにスゴイのが出来上がって、良かったです。

―― 観ている方はビックリして、本当に凄かったです。監督としてはその辺のアクションに対するこだわり、分析の目という意味ではどういう視点で見ていらっしゃるのですか。

阪元監督
漫画が好きで、漫画をよく読む方なんですけど、格闘漫画って攻防がスゴイ。「鬼滅の刃」もそうですけど、頭の中で考えていることが出て、この技を使うのかどうかの駆け引きがあったり。「NARUTO」もそうなんですけど、「当たった!!」とか大開きで入ったり、モノローグで「0.01秒のカウンター!!」とか。でも、それは漫画でしか表現出来ないと思っていて、格闘シーンでモノローグが入ってスローになったりしたら鬱陶しいじゃないですか。

映画ベイビーわるきゅーれ阪元裕吾監督,画像

逆に言えば『ベイビーわるきゅーれ』のラストの戦いは、モノローグ無し、台詞無し、永遠にフィジカルだけで戦っている。それは映画、映像でしか出来ないアクション、格闘だなと思って。それにプラス園村さんの監督作『HYDRA』では、攻防の中で相手の目線の先を読んでフェイントをかけるみたいなのがあって、「フェイントと攻防と裏切りとか駆け引きみたいなのは、是非入れてください」と最初にお願いしました。「一箇所でも入っていたら嬉しいです!」って。

(ラストバトルの敵役の)三元(雅芸)さんが蛇みたいに動いて、それに対して伊澤さんがこういって、こう構えを変えてみたいな。あれもやっぱり、格闘技ベース、実践ベースじゃないですけど、アクションって感じじゃなくて、本当に二人が試合をしている感じ。至近距離で戦うシーンも、アドリブというか、「1、2、3、4」みたいな4カウントがあって、そのうちの「1、2、3」がアドリブで、ご自由に戦ってください、4で決められた元の殺陣に戻るみたいな作り方。だから、マジの伊澤さんVS三元さんのカットが入ってたりします。

―― そうなんですか!でもケガは?

阪元監督
ケガは全然していないですね、そこは二人ともスタントマンなでもあるので。

―― これだけ武道が発展している日本が将来的にアクション映画を世界に広めていくには、どんな形があるんだろう?ってとても興味深いです。監督の理想というか頭の中で思い描かれていることをちょっとお聞きかせいただけますか?

映画ベイビーわるきゅーれ阪元裕吾監督,画像

阪元監督
アクションに向かって進む脚本を書くことですかね。

アクションのためにはフリがあって、ドラマがあって、そしてこの二人が戦ったら盛り上がるよね、みたいなのが一番。「バキ」もそうですけど漫画がそれを一番やっていますよね。因縁があって、目の前で殺されて、ドラマが盛り上がってアクションに向かうのが大事かなと。『ベイビーわるきゅーれ』はアクションに向かう話はやっていないですけど。

日本発で世界に広まっているものはアニメや漫画なので、お手本にすべきはそこかなとは思っています。何かと「ダークナイト」とかを真似したがるんですけど(笑)自分は「鬼滅の刃」とか「呪術廻戦」を参考にすべきだと思っています。そこが人気で、日本のコンテンツで一番広まっているじゃないですか。ジャンプが一番分かりやすいと思うんですけど、週刊連載で面白くなくなったら人気が落ちて突然終わる。しかも競争率も高いですし、企画がまず問われるし、キャラクター力も問われる。本当に百戦錬磨のアイデアと、才能の結晶が漫画業界にはいますよね。

韓国映画もアイデアが凄くて『エクストリーム・ジョブ』では、刑事がチキン屋で張り込みしていたら、チキン屋を買い取って繁盛してしまう。マ・ドンソクの『悪人伝』は、ヤクザと暴力刑事がタッグを組んで殺人鬼を追うとか。一言で面白そうっていうのが分かる、韓国映画も企画が凄いです。あらすじで分かります。

『ベイビーわるきゅーれ』に関しては、自分の想いとしては、高校を卒業したばかりの二人の殺し屋の女の子が同居していてダラダラ過ごす。青春映画と殺し屋映画の融合を一番興味をもってもらいたいっていうのがあったんで、そういう気持ちで映画を作っていけるようになったらとは思っています。アイデアがあったら、予算以上に盛り上がるアクションを作られる。園村さんは深夜ドラマですら世界水準のアクションを作られてますし、この作品もアクションシーンの撮影は2日間ぐらいでこのレベルのアクションを作っている。

やっぱりアイデアと企画があって、そこにアクションが乗っかったら世界で戦えると思います。逆に、企画をサボるとアクションシーンだけ凄いけど、よく分からない映画になってしまうような気がします。

映画ベイビーわるきゅーれ阪元裕吾監督,画像

―― 目から鱗ですね。青春映画と殺し屋映画の組み合わせは、確かに他ではないですよね。

阪元監督
パッとは思いつかない(笑)

ジャンプに持ち込んでもそこそこいけるんじゃないかっていうぐらいの気持ちじゃないと。映画の企画が緩いわけではないんですけど、日本で一番の企画を作っているのは集英社の週刊少年ジャンプかなと自分は思っているので。

―― 最後のアクションシーンでは、監督の術中にはまりました。パッとは思いつかない動きがありますね。ところで、髙石さんと伊澤さんのコンビですが、どういう経緯でこのお二人をキャスティングされたのですか?

阪元監督
前作『ある用務員』の時に、何か面白いキャスティングをしたいと思っていました。伊澤さんが大分昔にPVを撮っていて、彼女がプレイヤーでガッツリ顔出して出ていたんです。刀で戦っていたんですけど、こんなにビジュアルも映えてアクションも出来て“凄い人がいるな”と思って。それで3年ぐらい前に「出てほしいです」みたいなことをお願いして。

当時は、ちょっと話したぐらいだったんですけど、何となくずっと頭に残っていて、『ある用務員』の時に、こういうキャラどうだろうなみたいな感じでした。

映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかり

―― 先ほど、どれだけ体を張るかみたいなところにアクションの凄さはあるのでしょうか?って意図も含めてお聞きしたのですが、それなりの技術を持っている人が、それなりの企画の中で動けば、そのアクションは間違いなく活きてくるということになりますね。

阪元監督
個人的に伊澤さんの存在は日本、世界でもなかなかいない存在かなと思います。本職でスタントをやられるので、2階から飛び降りたりも出来る。今回も入れれば良かったなと思ったんですけど。昔のジャッキー映画は車から転げ落ちてサモハンがそのままとか(笑)、時計台から落ちて「ギャー」みたいになって、それにカメラがズームしてちゃんと(本人が)落ちてますよみたいなのが分かったりして。エンドロールでジャッキーが運ばれてたり(笑)

そういうのを伊澤さんがやりたいかどうかは知らないですけど、今出来るのはこの人ぐらいかもなって思います。客が呼べる芝居が出来て、体を張れるアクションが出来て、しかもスタントだけじゃなくて、攻防も出来るのって伊澤さんだけやなって。映画業界がこの伊澤彩織をどう活かしていくかでアクションは変わるかもなと、ちょっと思っています。

―― メイドカフェの自己紹介の演技も名演技でしたね(笑)

阪元監督
ケーキ持って来て謝るシーンも絶品でしたね(笑)

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―― 主演の二人は、ご一緒していかがでしたか?

阪元監督
髙石さんも伊澤さんも二人ともメッチャ不思議な人です(笑)

『ある用務員』の撮影から1年ぐらい付き合ってますけど、未だにどういう人なのか分からないです。どっちも不思議なので。二人とも別のベクトルで不思議なので、映画の中でも二人がどういう人間なのか、まひろはちょっと分かると思うんですけど、完全にこういう人間ですとは描いていない。ちょっと引いて撮っているんですけど、僕自身の二人に対する目線だから、分からない部分も残ったままです。髙石さんもよく分からないです。何でこんなに冷静なんだろう?とか(笑)

―― 髙石さん・伊澤さんの実物像について改めて監督から一言でお伝えいただくとすればいかがですか?

阪元監督
髙石さんは、大御所のオーラが出ていて、動じない感じでしたね。お話していても落ち着いていて。でも、たまに急に「ガハハハッ」って感情をパーンって出す時があって、面白い方です。

伊澤さんも不思議な人。どっちかって言うとメッチャ元気なんですよね。「監督~、イェイ」みたいな感じの人。むしろ髙石さんの方が虚空を時々見つめているみたいな。それがメッチャ面白くて(笑)

その印象を前作『ある用務員』で感じて、そのまんま脚本に入れたら面白いだろうなって脚本を書きました。分かりやすくコミュ障で、分かりやすく騒がしいキャラにしたら面白くないなと思っていたので、色んな要素をバラバラにして、あえてメガネかけそうなキャラはこっちだけど逆にこっちにしたりとか、そういうのは結構入れました。

―― 是非、続編にも期待しています!

阪元監督
「2」をやるならかなりハードな話になると思います。一応、「4」までの構想はあります。その時は、予算をたくさん欲しいですね。3週間ぐらいかけて撮りたいです。

そのためにもまずは、映画館の大スクリーンで『ベイビーわるきゅーれ』のアクション、しばき合いを観てください!

映画ベイビーわるきゅーれ阪元裕吾監督,画像

―― ありがとうございました!!

キャスト

髙石あかり 伊澤彩織
三元雅芸 秋谷百音 うえきやサトシ 福島雪菜 / 本宮泰風
水石亜飛夢 辻凪子 飛永翼(ラバーガール) 大水洋介(ラバーガール) 仁科貴

監督・脚本

阪元裕吾

アクション監督:園村健介
音楽:SUPA LOVE

主題歌

主題歌:KYONO「STAY GLOW feat.TAKUMA (10-FEET)」
挿入歌:髙石あかり×伊澤彩織「らぐなろっく ~ベイビーわるきゅーれ~ feat. Daichi」

配給:渋谷プロダクション
公式HP:https://babywalkure.com/
©2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会

テアトル新宿ほか全国順次公開中

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