青春映画の傑作誕生!『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』湯浅弘章監督インタビュー

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全世代が感動、共鳴した押見修造さんの人気コミックが待望の映画化。本日7/14より公開の映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』で満を持して長編映画デビューを飾る湯浅弘章監督にお話を伺いました。
Q.湯浅監督の経歴について教えて下さい
京都造形芸術大学在学中に林海象監督に出会い、「1年間は面倒見てあげるから、東京に出て来ないか」とお誘いくださったのがスタートです。当初は、事務所の掃除をしたり、なかなか歩かないチワワの散歩で下北をぶらぶらしたり。(笑)

徐々に、林監督の助監督として仕事をすることも増え、助監督繋がりではないですが、押井守監督の助監督と出会ったご縁から、押井監督の短編で助監督を務めることになりました。実写映画『アヴァロン』(2001年)が公開され、長編アニメ『イノセンス』(2004年)を制作している頃、プロデューサーの方から「愛知万博のパビリオンを押井さんが手掛けるから一緒にどう?」とオファーを頂き、演出助手やメイキングを2年近く担当しました。

愛知万博後は、押井さんの下でカメラマンの仕事もしたりして、実写オムニバス映画『真・女立喰師列伝』(2017年)の一編『草間のささやき 氷苺の玖実』で監督に抜擢してもらい、商業映画デビューを果たしました。

当時は、カメラのオファーも沢山頂くようになり、迷いもありましたが「一旦カメラマンは辞めます」と宣言し、押井さんが総監督を務めた『機動警察パトレイバー』実写版プロジェクトの『THE NEXT GENERATION パトレイバー』で数本監督をしたり、乃木坂46のMVやショートムービーに携さわるようになり、じわじわと監督業に戻ってきました。

乃木坂46では、カップリング曲中心に多数手がけてきたのですが、案外自由度が高く、ショートムービー風にしたり、女子高生風に演出したりと色々と経験することができました。
‐本作でも、教室のシーンがすごくきれいでした!
実は乃木坂46のMV(『大人への近道』)で一度使用したことがある場所なんです。悩んだり、葛藤している登場人物たちと、コントラストになるような場所で撮影したいなと思い、「沼津とかどうかな」と勝手に考えていました。そんな折、映画チームから「沼津とかどうですか?」と言ってもらえて、「ですよね!」と。原作者の押見さんも、「漁港の街でも良いですか?」と確認したら、快くOKして下さいました。

廃校になった学校なのですが、撮影でもよく使われていて、有名どころではアニメの『ラブライブ!シリーズ』でも登場します。そのせいか聖地巡礼スポットにもなっているようで、撮影中もアニメのラッピングをしているような車が来ていました。「撮影中なんで、スミマセン」と映らないように誘導する一幕もありました。(笑)


Q.キャスト陣への演出について
南さんは吃音の演技に挑戦し悩んでいましたし、蒔田さんもギターに挑戦して大変だったと思います。裏では結構悩んだり、努力していたようですが、あまり苦労を表に出さず、ケラケラしていてそこは萩原さん含め3人に共通していました。

最終日に予定していたラストシーンに向けてどう持っていくか、それぞれの役作りをこちらもアドバイスしながら進めていきました。芝居に悩んでいる様子も、志乃や加代にシンクロする瞬間があり、それは実は狙い通りだったんです。少しドキュメンタリー風になれば良いかなと思っていました。

一方で、唄っている最中にはしゃぐシーンでは、「カメラ回しておくから好きに演じてどうぞ」と撮った場面もありました。そうすると、段々志乃と加代じゃなくなっていくので「ちょっとやりすぎ!」とツッコミを入れたり。本当にこの二人が仲良くなってしまって。(笑)


‐南さんと蒔田さんはタイプが違いそうにも見えますが。
そうですよね。本人達のキャラも全然違いますし、オーディションの時もお芝居はすごく良いけど二人とも全然話さないし、撮影の初日も硬いし。それはそれで演出手法があるので、そっちのパターンかなと思っていたら、二日目に急に仲良くなっていてこっちが驚きました。聞けば、どちらかの部屋で夜中までお喋りをして、一緒に寝ていたみたいです。
Q.加代に心を開いた志乃の前に、菊地が登場することで志乃は新たな悩みに直面します。
物語を通じて、自分の居場所を探している志乃が、菊地の登場で居場所を失うんですよね。それは、大人からすれば大したことではないかもしれないけど、志乃にとっても初めてのことです。

菊地のキャラは脚本の足立さんが相当思い入れがあるらしく、原作でも濃い役なんですけど、さらに際立っていました。そんな菊地のあのウザさ加減は、結構芸達者じゃないとできない難しい役ですよね。良い感じでイラつくじゃないですか。試写会でも菊地のシーンで結構笑いが起きていたみたいで、萩原さんも頑張ってくれたと思います。


‐現場では南さん、蒔田さんとどんな感じで彼は接していましたか。
萩原さんの方が歳上なので、気は遣ってくれていました。あと、普段の性格も似ているというか、意識的に役を延長して過ごしてくれていました。いじられキャラでスタッフと絡んでいたり、南さん、蒔田さんとも積極的にコミュニケーションをとってくれたり。

自分の役を探っている様子が伝わりましたし、彼の存在は助かりました。
Q.ズバリ!日々変化する若い世代を演出する醍醐味は?
完成されていないことに尽きますね。

伸びしろと荒削りな感じがすごく魅力的です。オーディションで南さんが選ばれたのもそこだと思っています。他にも完璧な演技をする子はいたのですが、南さんからは「ああ、これが志乃ちゃんだ!」と思える未完成さゆえの魅力が伝わってきたんです。原作者の押見さんも含め、満場一致で決まりました。きっと志乃ちゃんとシンクロしたんだと思います。
Q.クライマックスシーンについて
志乃の渾身のセリフは一発、唄のシーンはカット割りの関係で何度か撮影したものの、1テイク目が採用されたと思います。この最終日に向けて一緒に撮影を進めてきたので「大丈夫、できる」という確信も持っていました。

例えば、カラオケボックスの前のシーンも「体育館のシーンだと思ってやってごらん」とイメージを持たせていたり。

私はモニターを見ながら演技をチェックしていたのですが、後ろの方からシクシク聞こえてきて「うまくいった。響いてる!」と感じました。

押見さんも駆けつけてくださり、200人近いエキストラの方も参加していて緊張もするはずですが、見事でした。肝が据わっていないとできないですし、あのシーンが彼女たちの今後のキャリアの良き出発点になってくれると嬉しいです!
Q.最後にこの作品を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
吃音に限らず、悩みや問題を抱えていない10代はいないはずです。そんな10代が抱える悩みという普遍的なテーマを、原作者の押見さん、スタッフ、キャストのみんなで一丸となって表現しました。是非、劇場でご覧ください!


<編集部より>
林海象監督や押井守監督の下で基礎を叩き込み、乃木坂46のMVをはじめ数多くの作品を手掛け、十分過ぎる実績を残してきた湯浅監督。満を持しての長編映画デビューとなる本作品では、若手俳優の魅力を見事に引き出し、コンプレックスや悩み向き合う高校生を力強くスクリーンに映し出して下さいました。

本作品が南さん、蒔田さん、萩原さんのさらなる飛躍のきっかけになると同時に、悩みを抱えている人々にほんの少し”光”を当ててくれることを信じています。湯浅監督ありがとうございました!
<湯浅弘章監督プロフィール>
1978年8月29日生まれ。鳥取県出身。京都造形芸術大学在学中より自主制作映画やMVを監督し、卒業後は林海象監督や押井守監督のもとで助監督を務める。『流れる』(01)がPFFアワード2003技術賞(IMAGICA賞)を受賞。『まばたき』(06)がPFFアワード2006審査員特別賞を受賞。『花』(06)が第13回函館港イルミナシオン映画祭、第10回シナリオ大賞でグランプリを獲得するなど数々の受賞歴を持つ。押井守総監修の実写オムニバス映画『真・女立喰師列伝』(07)の一編『草間のささやき 氷苺の玖実』を監督し商業映画デビュー。以降、撮影監督を務めると共に、監督としてもテレビドラマ「増山超能力師事務所」(17/ YTV・NTV)、「ワカコ酒 Season1~3」(15~17/BSジャパン・TX)、「男の操」(17/NHK BSプレミアム)、「リピート?運命を変える10か月?」(18/ YTV・NTV)や、乃木坂46のMV・ショートムービーなど数多くの作品を手掛ける。『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』で満を持して長編商業映画デビューを果たす。

映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』は、2018年7月14日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開!
■ 予告動画

■ スタッフ
監督:湯浅弘章
原作:押見修造 「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」 (太田出版)

【関連情報】
6/21(木)~8/14(火)の期間、HMV&BOOKS SHIBUYA店にて、本作品の公開を記念して映画パネル&複製原画の展示と、対象コミックス購入者対象で複製原画が当たる抽選会を開催中。詳しくは、『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』映画公開記念キャンペーン(HMV&BOOKS online)をご確認下さい。

脚本:足立 紳 音楽:まつきあゆむ 配給:ビターズ・エンド 制作プロダクション:東北新社
製作:「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会(日本出版販売 カルチュア・エンタテインメント 東北新社 ベンチャーバンク)
■ 公式サイト
http://www.bitters.co.jp/shinochan/
■ コピーライト
© 押見修造/太田出版 c2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会

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