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- 2020年10月公開, 今月公開, 作品情報
- 映画『靴ひも』

一度は家族を捨てた父と、発達障害のある息子。
約30年ぶりの共同生活は、せつなくも愉快な発見の連続。
完璧な人なんていないし、人はいくつになっても成長する。
世界で大きな感動を呼んだ、心揺さぶる大人の親子の物語。
母の突然の死により、同じ屋根の下で暮らすことになった父と息子。息子は明るく誰に対してもフレンドリーな一方で、食べ物の配置から眠る前の儀式まで生活習慣へのこだわりが強く、苦手なことも多い。父はそんな息子にどう接したらいいか分からない。さらに長年、子育てから逃げていた負い目もあり、戸惑ってばかり。そんな二人がようやく打ち解けた頃、息子は病を抱える父にあることを提案するが、父は愛ゆえにそれを拒むのだった——。
複雑で普遍的な親子の愛憎と、予測のつかない展開で本国イスラエルやアメリカで大きな感動を呼んだドラマがついに日本上陸! なおタイトルの『靴ひも』は、息子の苦手な動作の一つである「靴ひもを結ぶこと」を指しており、本作では父子の関係の変化と成長の象徴として三度登場する。三度目の靴ひものシーンがもたらす展望は、観る者すべての心にあたたかい光を灯すに違いない。
イスラエル・アカデミー賞(Ophir賞)8部門ノミネート、助演男優賞(ドヴ・グリックマン)受賞!アメリカ各地の映画祭で観客賞を多数受賞!
監督を務めたのは、イスラエルの映画・テレビドラマ界で長年活躍するヤコブ・ゴールドヴァッサー。自らの生い立ちをもとに、居場所を探し求めるユダヤ人一家を描いた「Over the Ocean」(91)がアカデミー賞外国語映画賞イスラエル代表になるなど、人間ドラマの名匠として知られる。本作では、イスラエルで報道された実在の父子の臓器移植にまつわるエピソードをもとに、これまでにありそうでなかったユニークな親子ドラマを作り上げた。ゴールドワッサー監督自身も、障害を持つ息子の父親であり、テーマが身近であるだけに困難な挑戦だったが、映画を通して人々の障害に対する意識を変えたいという情熱が制作の原動力になったと語る。
息子役を演じるのは、映画『ボーフォート レバノンからの撤退』やイスラエルの大ヒットドラマ「Prisoners of War」(米ドラマ「HOMELAND」原案)」、「Hostages」(米ドラマ「HOSTAGE/ホステージ」原案)などに出演する実力派のネボ・キムヒ。本作の企画を立ち上げる際、監督は息子役のキャラクターがどれだけ観客を魅了できるかに映画の成功がかかっていると考えていたが、キムヒは見事にその期待に応え、多面的で愛情深い、誰もが好きにならずにはいられない主人公を体現した。
父親役には、1970年代からテレビドラマの第一線で活躍し、日本でも劇場公開された『オオカミは嘘をつく』(2013)、『嘘はフィクサーのはじまり』(2016)に出演、近年はNetflix配信の「シュティセル家の人々」の厳格な家父長役が話題のドヴ・グリックマン。本作では哀愁が滲む演技で観客の笑いと涙を誘い、イスラエル・アカデミー賞(Ophir賞)助演男優賞に輝いた。
『靴ひも』予告映像
あらすじ
エルサレムで小さな車の整備工場を営むルーベンの生活は、ある日一変した。数十年前に別れた妻が交通事故死し、一人息子のガディを引き取ることになったのだ。30代半ばのガディには発達障害があり一人暮らしが困難なため、受け入れてくれる施設が見つかるまでの間、父と息子は狭いアパートで同居することになる。
今まで自分を守ってくれていた母を突然失い、悲しみと不安に包まれたガディに対し、ルーベンは戸惑うばかり。さらにガディには皿の上の食べ物の配置から、寝る前のルーティンにまで、独自のこだわりがあり、長年疎遠だったルーベンはどう対応すればいいのか分からない。だが、誰に対してもフレンドリーで明るいガディは、整備工場やルーベンの行きつけのリタの食堂ですぐに人気者になるのだった。そしてガディは整備工場の従業員デデの恋人で食堂で働くアデラに恋をする。
やがてルーベンとガディの互いの存在に慣れ始めた頃、ルーベンは末期の腎不全と診断され、人工透析が必要になる。また、障害者の自立支援コミュニティに空きが出るまで3、4ヶ月かかることが判明し、ルーベンはソーシャルワーカーのイラナの勧めで特別給付金を申請する。その面接の場で、ガディは特別な支援が必要であるとアピールするため、靴ひもを結べないふりをする。
ルーベンの体調が悪化し、医師から腎臓移植が必要だと告げられる。ガディが自分の腎臓を提供すると申し出、ルーベンは拒絶する。それを自分に欠陥があるせいだと思い込んだガディは、これまで以上に塞ぎ込んで薬を飲まなくなり、母に加えて父も失うことへの不安もあいまって発作を起こしてしまう。
ついにルーベンはガディの望みを受け入れ、二人は腎臓の適合検査を受けて合格するが、新たな壁が立ちはだかる。特別支援が必要なガディは、手術に伴うリスクなどを理解していないと見なされ、後見人であるルーベンのドナーにはなれないというのだ。ガディは再び専門家の面接を受け、靴ひもを結ぶよう指示される。だが、この時に限ってガディは手が震えて結べなくなる……。
面接の結果、ドナーの資格がないと判断されたガディはしかし諦めなかった。ガディはイラナの協力を得て、専門家たちに自らの意志の強さを認めさせる。そして、父と息子は移植手術の日を迎えるが——。
キャスト
ネボ・キムヒ
ドヴ・グリックマン
エヴェリン・ハゴエルほか
監督
ヤコブ・ゴールドヴァッサー
配給・宣伝:マジックアワー
公式HP:https://www.magichour.co.jp/kutsuhimo/
(C)Transfax Film Productions
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