画像,あこがれの空の下 教科書の無い小学校の一年
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「トットちゃんの学校」って、ホントにあったんだ!
⼦どもたちの伸びゆく⼒を ⼼から信頼し、みんなの⾃主性を 何よりも⼤切に 何でも話し合う
教科書は使わずに…授業も 学校⽣活も すべてが⼿づくり
ユニークな学校の ⼀年間を追ったドキュメンタリー
未来を変える 希望が⾒えてきます

コロナ禍でやや後景に退いてしまったが、今年は、延期となった東京五輪と並んで、「2020 教育改⾰」という歴史的な節⽬である。「知識を教え込む/覚える」から「考える⼒を⾝につける」へ……明治5年の学制以来150 年近くも⽇本の教育を⽀配してきた「知識偏重」から、政府・⽂部科学省が⼀⼤パラダイム転換を図るものだ。その中で、全国の教育関係者から注⽬されている和光⼩学校(東京・世⽥⾕)のユニークな教育を、1年間にわたって⾒つめたのが、このドキュメンタリー映画である。

和光⼩学校は1933(昭和8)年、新しい教育を求める⽗⺟たちの⼿で創⽴されて以来、「⽬の前の⼦どもを何よりも尊重する」独⾃の教育哲学に基づいて実践を続けてきた。和光⼩学校が⻑年、地道に⼯夫を積み重ねてきた教育は、2020 教育改⾰が謳う「⾃分で考え、表現し、判断する」⼒を育てる、「主体的・対話的・深い学習」と同じ⽅向だ。

気づいてみればトップランナー。

しかし、国の⾳頭取りと⼤きく異なるのが、いったい「何のために学ぶのか?」や「誰のために学ぶのか?」という点だ。「2020 教育改⾰」に⾒え隠れする⾔葉は、相も変わらぬ「⼈材」や「国際競争⼒」。⼀度きりの⽣を⽣きる個⼈を、国の「⼒」の「材料」に使いたい……そんな、経済界をはじめとする“社会の要請”である。和光⼩学校の教育は、あくまでも主体となる「⼦ども⾃⾝」のためなのだ。
“時代の要請”という⼤義名分や、時々の世論受けした⽬新しい“改⾰”によって、左右されがちな学校教育を尻⽬に、シンプルな教育哲学の実践を続けてきた和光⼩学校の教育。

この映画に収められた、その⼀端が、「教育の原点」を考え直す縁(よすが)となってほしい……それが製作スタッフ⼀同の、切なる願いである。

この映画の受け⽌め⽅は、⾒る⼈の⼩学校時代の経験によって、千差万別のはずだ。「普通じゃん」と思うのは、恐らく幸せな⼩学校時代を過ごした⼈。不幸な経験を多くされた⼈は、瞠⽬仰天するかもしれない。また、ありがちな反応として「和光⼩は私⽴だから、こういうことが出来るんだ」というものがあるが、ひとつしっかりとお伝えしたいのは、「私⽴」ということは、この映画で描かれている本質とは何ら関係がないということだ。逆に⾔うと「公⽴学校だから出来ない」ことは、何もないのだ。この社会が⺠主的で、そして私たちの⼿で学校が変えられ、ひいては未来が変えられるものならば。

映画『あこがれの空の下 教科書の無い小学校の一年』予告映像

和光小学校について

和光⼩学校は1933(昭和8)年開校。⾃由な環境と個性重視の教育を求める親たちが校舎を建て、教師を募集して創った。「⼦どもが学校の主⼈公」との理念は、当時から⼀貫している。

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職員室では、⼦どもたちの理解度や気持ちをきめ細かく考慮しながら、教材の準備が進められ、また全教員が参加する「研究授業」では、互いの教え⽅を細かく批判し合う。

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いずれも、「⽬の前の⼦どもを何よりも尊重する」理念から頻繁に開かれている。

教材は、⼦どもたちの⽇々の学びに合わせ、教員たちが毎⽇⼿作りするプリント。その結果として、画⼀的な内容の教科書は、配布はするものの、ほとんど使わずに終わる。

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学びの核となるのは、⼦どもの⼼に湧き上がる「?=はてな」。それについて、⼦どもどうしが考えを⾔い合い、教え合う。だから、どんな疑問でも答えでも、恥ずかしがらずに⾔えることが⼤事。

そのため、和光⼩学校で⼀年⽣から⼒を注ぐのが、「何でも話せる学級づくり」だ。これは教科学習だけでなく、クラスで起きる問題に意⾒を⾔い合い、話し合って解決することにも繋がる。座学でなくリアルな「道徳」の実践だ。話し合いには膨⼤な時間がかかるが、無駄を排した独⾃のカリキュラムによって、「総合学習」や「国際理解」にも時間をかけて取り組んでいる。

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また、和光⼩学校には、真の⾃主性を養うため、授業開始のチャイムはない。互いに注意しあう中で、⾃然な規律が⽣まれていく。

和光⼩学校 概要
・ 創⽴: 1933(昭和8)年
・ 児童数: 430 ⼈
・ 所在地: 東京都世⽥⾕区桜2-18-18
・ 学校⻑: 北⼭ひと美
・ 公式ホームページ:http://www.wako.ed.jp/e/

作品について

○ ⼊学式
4⽉中旬。「⽇本⼀遅い」⼊学式が、和光⼩学校で開かれた。上級⽣が⼿づくりで会場飾りや贈り物を準備するため、遅くなるのだ。新⼊⽣は6 年⽣に⼿を引かれ、会場上座のステージ上ひな壇に着席。上級⽣が、アイヌ舞踊など学年ごとに習う各地の⺠俗舞踊を、⽬の前で踊る。新⼊⽣を歓迎する気持ちに満ちあふれ、余計な「格式」や「厳粛さ」など微塵も無い、温かい式だ。

○ 1 年⽣
朝は「発表」から始まる。希望する⼦が、⾞座になった級友の前で⾃由に話し、質問に答える。「松ぼっくりを拾った」「図書館で⾯⽩い本を借りた」……学校が、何でも話せる楽しい空間になっていく。引っ込み思案な⼦も、次第に⾃信をつけ、何でも話し合えるクラスになっていく。

○ 3 年⽣
教室を覗くと、国語の時間。⼦どもたちが教材の物語を読み、感じた疑問を次々と挙げる。教員は、交通整理するのが役割で、⾃ら答えたりしない。⼦どもたちが意⾒を交わすことで深く読み込んでいく。教科書を使わず、⼿作りのプリントによる授業だから、物語を分割して読み、関⼼を持続させる等の⼯夫も⾃在だ。

○ 5 年⽣
算数の授業で「異分⺟分数の⾜し算」の例題に、視覚化する紙⽚「タイル」を折り曲げたり切ったりして取り組む⼦どもたち。効率良さそうな「公式」や「やり⽅」は教えない。数種類の答えが出されると、教員は全て⿊板に書き出し、それぞれ「どう考えて、その答えを出したのか」を説明してもらう。1 年⽣の時から、たとえ1⼈でも違う意⾒を⾔うことを、ごく⾃然のこととして、互いに受け⼊れているため、誰も物怖じしない。それが真価を発揮。間違った答えでも、説明を話し・聴く中で誤りに気づき、考える「地⼒」をつけていく。

○ 運動会
⼦どもたち主体で、種⽬の選定から応援の⽅法に⾄るまで全て準備。相⼿を地⾯に崩すまで格闘する騎⾺戦など、熱く盛り上がる。微妙な判定には、⼦どもが遠慮なく「物⾔い」をつけ、それに対して教員が誠実に場内放送で説明するのも、この学校ならではの光景だ。「⾃分たちで作った」運動会だから、負けたときの悔しさもひとしお。

○ 総合学習
和光⼩学校で総合学習は、⽂部科学省による導⼊(2002 年)より遙かに早く、1970年代から教科教育と並んで⼒を⼊れている。テーマは3 年⽣:かいこ、4 年⽣:多摩川、5 年⽣:⾷。6 年⽣の教室では、「沖縄」がテーマの総合学習。⾃然や⽂化、歴史から基地問題まで幅広く、そして深く学んでいく。ちなみに、6 年⽣が習う⺠俗舞踊は、もちろん沖縄のエイサーだ。

○ ⽯巻で学ぶ踊りと悲劇
3 年⽣は、宮城県⽯巻市の「はねこ踊り」を習うのが伝統。夏休みには、本場に希望者親⼦が習いに⾏き、地元の夏祭りに参加して踊る。7年前から⾏程に加わったのが、⼤川⼩学校の現場だ。遺族の語り部の話に聴き⼊って悲劇の実相を⼼に刻み、「もし⾃分だったら」と考えながら、慰霊碑に合掌する。

○ 恵みと感謝
秋。5年⽣は郊外の⽥に⾏き稲刈り。社会科で学ぶ「⽇本の農業」の⼀環で、6⽉に植えた稲が、たわわに実った。収穫に感謝して奉納する「⼤森み神楽」が、稲架(はさ)に響く。

○ 沖縄学習旅⾏
晩秋、6年⽣は沖縄へ。総合学習で現地を訪ねる「学習旅⾏」だ。壕(ガマ)を訪ね、従軍看護師として学徒動員された沖縄戦の⽇々を⽣存者から聴き、普天間基地を俯瞰して基地と隣り合わせの⽇常を実感。⼀⽅で、⽶軍⼈と⽇本⼈を親に持つアメラジアンの⼩学⽣たちと交流し、基地が必要という声を聞いて、考えを揺れ動かされる。“⼩指の先の痛み”でさえもしっかり感じる繊細な⼼を持ち、多様な声を受け⽌めながら社会をつくっていく⼈間に成⻑してほしい̶̶そんな願いが込められた濃密な3 泊4⽇。

○ 英語学習
この年は、教員たちが度々集まって、ある問題の検討を続けていた̶̶「英語学習」。和光⼩では、⽇中韓の提携校との交流などで、「⾔葉の学習以前に、異⽂化への興味を育てる」ことを⼤事にしてきた。そのため英語学習も実施して来なかったが、国が「⼩3から」を掲げ、保護者の関⼼も⾼まる中、対応に迫られた。独⾃の教育理念と、社会情勢の変化の狭間で、悩む教員たち。

○ 卒業式
3⽉。晴れ着やコスプレ、思い思いの⾐装でひな壇に上る卒業⽣。学習でも学校⽣活でも⾃ら考え、仲間と意⾒を交わして実⾏する⼒を養った6 年間。その⾃由で伸びやか、豊かな存在感は、「教育とは何か」を無⾔のうちに、私たちに鋭く問いかけている。

作品情報

語り: ⾼橋 惠⼦(たかはし・けいこ)
⾳楽: 岩代 太郎(いわしろ・たろう)
監督: 増⽥ 浩(ますだ・ひろし) / 房 満満(ボウ・マンマン)
撮影: 岡本 央(おかもと・さなか)
編集: 森崎 荘三(もりさき・そうぞう)
⾳響効果: 鈴⽊ 利之(すずき・としゆき)
プロデューサー: ⽮島 良彰(やじま・よしあき)
制作協⼒: 和光⼩学校
2020 年|⽇本|101 分|DCP・Blu-ray|ドキュメンタリー
© テムジン
製作: テムジン 〒151-0063 東京都渋⾕区富ヶ⾕1-34-4
www.temjin-tv.com
配給・問い合わせ: パンドラ
www.pan-dora.co.jp
公式ホームページ: http://⼦どもが教育の主⼈公.jp/#/

クラウドファンディングについて

クラウドファンディング⽤ホームページ:https://motion-gallery.net/projects/akogare_movie
※映画の製作に⾄った経緯について詳しく掲載しています

12 月19 日(土)~ 渋谷 ユーロスペースにて公開!

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