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メキシコの民間救急救命事業に迫る
ドキュメンタリー映画(日本初公開)

メキシコシティの人口密集地域で私営救急隊を営むオチョア家族。同業の営利救急救命士らと競い合って急患の搬送にあたっている。この熾烈なビジネスで生計を立てるため、オチョア家族は救急医療を求める患者から何とか日銭を稼ごうと奮闘する。
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あらすじ・ストーリー

メキシコ・シティには、人口900万人に対して公共の救急車が45台未満しかない。そのため、救急救命にあたる闇救急車の需要がある。
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オチョア家族も同業の救急救命士らと競い合って急患の搬送にあたる私営救急隊だ。この熾烈なビジネスで生計を立てるため、オチョア家族は救助を求める患者から何とか日銭を稼ごうと奮闘する。
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しかし、闇営業を取り締る名目で汚職警官に賄賂を要求されるようになり、さらに家族は金銭的にも追い詰められていく。
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倫理的に疑問視されるオチョア家族の稼業をヒューマニズムにあふれる視点で捉えつつ、医療事情、行政機能の停滞、自己責任の複雑さといった差し迫った課題を描いたドキュメンタリー映画。

ディレクターズノート/ルーク・ローレンツェン監督

私がメキシコシティに移住したのは2015年の12月だ。総合病院のすぐ近くに住んでいた。毎日、病院のキャパシティーでは対応しきれず門の外まで並んだ必死の面持ちの何百人もの患者とすれ違った。そのうちに、900万人の人口を抱えるこの市の医療サービスの実状に興味を持つようになった。もともとは全く違う映画を構想していて、医療事情に着目してメキシコに来たわけではなかったのだが、毎日そこを通るたびに沸き起こる感情の力を無視することはできなかった。まだ何を探しているのかは分からなかったが、私はそれを追い始めた。

オチョア家族と出会って、伝えるべき物語が見つかったと思った。ある日の午後、16歳のホアンが総合病院の外で救急車の洗車をしていた。彼の9歳の弟ホセは不器用にサッカーボールを蹴っていた。家族経営の救急車に好奇心を掻き立てられて、私は彼らに数時間でいいから一緒に乗せてもらえないかと尋ねた。彼らの父親、フェルはすぐに承知してくれた。私はその夜、唖然となるほどの驚くべき体験をした――これは撮らなければならない。

それから6カ月に渡り、オチョア家族の救急車の後ろに乗り込んで撮影を続けた。胸をえぐられるような光景だった。メキシコシティの過酷な闇営業の医療事情だ。すぐに、この商売が私だけではなく地域の生活者にとっても新しいものだということに気が付いた。政治家、タコス屋台の店主、近隣の家族、学生らにも尋ねてみたが、救急車がどこから来て、どんな救急救命士がハンドルを握っているのかについてほとんど誰も知らなかった。

オチョア家族と私は親しい友人となった。彼らと一緒にいることは楽しかったし、彼らが良い人たちであることも分かった。その一方で、救急車に乗って行動を共にするたびに、この仕事に付きまとう闇の部分も知るようになった。彼らがみんな救急救命士の資格を持っているわけではなく、救急車の登録もなく、装備も完全ではない。十分な救急医療をカバーできない市行政の代わりに必要な医療サービスの提供を続けてはいるが、彼らの経済的不安が患者のケアに悪影響を及ぼしていく様子も目にした。私の善悪の感覚はこんがらがってしまい、「ここで何をすればいいのか? 他に良い方法はないのか?」と自分に問い続けた。答えなんか全く浮かばなかった。ただ、収賄で腐りきった警察官と揉める様子をしばしば目撃して分かったことは、根深い汚職と機能不全の社会システムの渦中で働くオチョア家族もまた、他の大多数のメキシコ人家族と同じく、この仕事で辛うじて食いつないでいるということだった。

重大な事故が発生しオチョア家族にかかる負荷が大きくなるほど、状況は越えないでいてほしいと願う倫理の一線に恐ろしく近づいた。彼らの仕事を誇りに思う時もあるが、彼らに救いを求める患者が気の毒でならなかった。この感情と倫理感の混乱がこの作品を貫く緊張感となっている。

単身で撮影をしながら、この物語をどのように伝えるべきかについて何か月も試行錯誤を繰り返した。オチョア家族の仕事に毎晩ついて行き、これまでと違う実験的な撮影方法を試すことができた。私自身が目撃者であるという感覚とエネルギーを持って撮影に挑む機会にも多く恵まれた。何よりもまず、この作品自体がスリリングな体験となるものにしたかった。カメラを通して、私が毎晩救急車に乗り込み体験した肉体的にも感情的にもまるでジェットコースターに乗っているような、あの感覚を伝えたいと思った。インタビューや音楽、ナレーションは不要だった。傍観者の視点が入れば観客は救急車の臨場感から引き離され、オチョア家族の仕事を善悪だけで判断することになってしまう。私が追い求めたいと思ったテーマは、そんな単純なことではない。見る者によって反応は様々であろうし、説明抜きで実状を目撃すればもっと豊かで深い対話が生まれるだろう。オチョア家族の物語は、粘り強く撮影を続ける民俗学的手法とドラマチックな会話で構成する映像手法のインスピレーションを受けて、普通は相反するとされる2つの撮影法がユニークに交差した作品になったと感じている。長期に渡って本質に迫り、記録のリアリズムに裏打ちされた本作品で、観客を息をのむような体験に連れ出したい。

『ミッドナイト・ファミリー』予告動画

公式HP

midnight-family

キャスト

ホアン・オチョア
フェル・オチョア
ホセ・オチョア
マヌエル・エルナンデス

映画『ミッドナイト・ファミリー』作品情報

監督:ルーク・ローレンツェン

企画制作:ケレン・クイン、ルーク・ローレンツェン プロデューサー:ダニエラ・アラトーレ、エレナ・フォルテス 撮影/編集:ルーク・ローレンツェン 共同編集:パロマ・ロペス・カリーリョ 編集協力:マリー・ランプソン 音響デザイン:マティアス・バルベリス 音楽:ロス・シャハトス 作曲/プロデュース/演奏:レオナルド・ヘイブラム、ジェイコブ・リーバーマン、アレクシス・ルイス、アンドレス・サンチェス 資金協力:カタパルト映画基金 助成:サンダンス・インスティテュート・ドキュメンタリー映画プログラム 助成支援:オープン・ソサエティ財団、ジャストフィルム/フォード財団、PROCINE、サンフランシスコ映画祭ドキュメンタリー映画基金、ニオン・マクエボイ&レスリー・ベリマン、シネリーチ、ナターシャ&デイビッド・ドルビー、スタンフォード大学美術学部 副学長室 協力:サンフランシスコ映画祭投資プログラム(サンフランシスコ映画祭/シネリーチ)、サンダンス・インスティテュート・ドキュメンタリー製作プロデュースフェローシップ、ポインツ・ノース・フェローシップ 配給:MadeGood Films
2019年/アメリカ、メキシコ/81分 © MadeGood Films 2021 All rights reserved.

2021年1月16日よりユーロスペースほか全国劇場で公開
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