9月20日(木)東京都内にあるテアトル新宿にて10月13日(土)公開の映画『止められるか、俺たちを』の完成披露上映会が行われ、上映前の舞台挨拶に門脇麦さん、井浦新さん、白石和彌監督が登壇しました。
本作は、若松プロダクション出身で、『凶悪』で第37回日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞、『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017)『孤狼の血』(2018)など日本映画界を代表する白石和彌監督が自ら企画。1969年から71年にかけての若松プロダクションで助監督をしていた吉積めぐみの目を通して、当時の若松プロに集った若者たちを描いた青春群像劇。若松プロという未知の世界に迷い込んだ吉積めぐみ役を若松プロ初参戦となる門脇麦さん、若松監督役を若松組の常連井浦新さんがそれぞれ熱演。映画に魅せられた何者かの卵たち、知られざる異才たちの青春がいま明かされます。


この日司会を務めたのは、なんと本作脚本の井上淳一さん。早速井上さんの呼び込みで、門脇麦さん、井浦新さん、白石和彌監督が登場すると、満席の会場から大きな拍手が沸き起こりました。

撮影中は僕にとって夢のような時間を過ごさせてもらいました(井浦さん)

門脇さん
本日はありがとうございます。この作品は若松監督と映画への愛が詰まった作品で、なかなかこういう作品を巡り合える機会はないんじゃないかと思えるほど幸せな現場でした。皆さんに今日見て頂けることが出来てとても嬉しいです。

井浦さん
本日完成披露試写にお越し頂き、本当にありがとうございます。若松孝二監督役を務めさせて頂きました井浦新です。
晩年の作品に全て呼んでいただいて、僕にとっては恩師でありますし、映画の世界で父親のような存在でもありました。その人を演じさせてもらうということは、まあ厄介な作業でした。でも、白石監督をはじめ、技術スタッフの方々、みんな若松プロダクションで同じ釜の飯を食ってきた人たちが集まって、しかも若松プロダクション制作の映画ということもあり正直、若松孝二監督を演じるというのは役者だけではなく、あまりにも唯一無二の存在で誰も演じることは出来ない、そんな人だと思っていたんですけど、何とかなってしまいました。
撮影中は僕にとって夢のような時間を過ごさせてもらいました。監督にまた会えたとは思っていないですけど、自分の中にいる若松監督がまた自分の中に溢れ出してきてくれた。そんな幸せな時間でした。若松プロダクションや若松監督の作品を全く知らないという方たちにこそ、この映画が素直に何も捉われずに楽しんで頂けるのではと思っています。ごゆっくり映画を楽しんで下さい。

白石監督
今日はきてくださってありがとうございます。まさか、僕にとってだけではなくこの映画に関わったスタッフは、ほぼほぼ弟子筋というか、若松さんにお世話になった者ばかりで企画としては非常に禁断の企画ではあったのですが、吉積めぐみさんという僕にとって遥かかなたの大先輩の助監督の存在に気付いて、彼女の足跡を知った時に、居ても立っても居られず、僕にとってこれほど衝動をもって撮った映画はないんじゃないかなと思える、やらないとどうしようもなく、自分の気持ちを向ける所が見つけられなくて始めた映画です。
出演者はじめ、実在する方を演じるのは大変だったと思うのですが、僕だけじゃなくて、沢山の人の想いがこの映画に詰まっています。今夜は楽しんで帰って行って下さい。また、このテアトル新宿が若松監督は大好きで、いつもここから(上映を)スタートしていて、この企画内容だけで時期を空けてくれたテアトル新宿さんに感謝しております。

司会:禁断の企画とおっしゃいましたが、それでも吉積めぐみさんという存在を知って、これはやらなきゃ絶対思ったのはどうしてですか?

白石監督
個人的には僕自身が若松さんの映画作りの原点をもう一度見てみたかったし、体験したかった。しかも、若い頃の若松監督を体験したかった。
それと今の日本映画界を見渡すと、勿論最近エッジの効いた面白い作品も出てきていますが、大手のメジャーの作っているものとは違うんだ俺たちはと当時やっていた若松さんの気概を僕がもう一度自分の中に入れたかった。
あとは、『千年の愉楽』という作品を残して、監督が突然いなくなってしまって、僕だけではなくて俳優部もみんな途中で止まってしまった感覚があったし、これを撮ったから決着にはならないんですけど、もう一度みんなで集まってお祭りをしたいという気持ちです。

司会:監督白石和彌の目から、監督若松孝二を撮り終わって、何か思う事ってありますか?

白石監督:
2年半くらいの期間を描いて、映画で描かれているその間だけでも信じられないくらいのエネルギーで若松さんは映画を撮っていたんですね。先日取材で言われてなるほどと思ったのは、「でも、良い意味で未完成なところがありますよね。それは若松孝二という人がやってきた足跡のほんの一部しか描けてないからなんだ」とお話頂いて、2年半でこれだけのエネルギーで、亡くなるまで100本以上映画を作っていたと考えると、若松さんのことを知っているようで、何もわかっていなかったんだなというのは今率直な感想です。

司会:去年の若松さんの命日に新さんとトークショーをして、その時に「若松さんを演じた後では、若松さんの目でこの映画を観た」とおっしゃっていたような気がしますが、、

井浦さん:
本当ですか?

(会場笑)

司会:その禁断と言う意味では、新さんにとっても禁断だったと思うんですけど、演じてみてどうだったんですか?

井浦さん
僕自身も、禁じ手だなと最初は思っていたんですけどね。演じていてどうやっても60年代、70年代の若松監督を書籍など文字の世界でしか知ることができなかったから、どんなテンションでどんな風に映画作りをされていたのかなと思ったんですけど、台本みたときに若松監督の言葉と台詞としてある言葉って、僕が現場で受けてきた言葉が散りばめられていたんですよね。それは当時監督が書いた本を読んでも、監督が言っていたことや映画に対する志というのは、自分の知っている若松監督がそのままいたりして、演じていて感じたのは、評論家の方々が晩年の若松監督はどうだとか言っていますけど、監督はブレずに、同じテンションで映画を作り続けていた映画監督なんだなと、演じていて思いました。だから自分の知っている若松監督像を自信をもって、思いっきり演じることができました。

司会:あと新さんの印象に残っているのは、クランクインの2週間位前にレジェンドと呼んでいる方々と、ご意見会を開き、そこでビックリするくらいボロクソに言われまして、特に脚本が。それで僕が結構凹んでいる時に新さんがひとこと、「僕は決してものまね大会するつもりはありませんから」と断言されて、これから観て頂ければわかると思いますが、結構物真似しまくってるよね?

井浦さん
モノ真似しまくってます!

(会場爆笑)

それはですね、レジェンドたちへの、僕なりの反抗です。「変なもの撮ったら承知しないぞ」とか、「あれは違うこれは違う」とか、「お前に若ちゃんがやれるわけないだろう」とか。やれるもんならやってみろくらいに言われたんで、皆さんが満足するか分かりませんけど、モノ真似なんか絶対しませんからねと宣言しつつ、100%モノ真似をしたんです。あれは大先輩方への最大のギャグでもあって、きっと僕が真剣にやるのは当たり前でそんなのは大前提として、それをただただ真面目にやったらダメだなと思って、僕が知ってる若松プロダクションの面々、若松監督そのもの自体がそれこそ赤塚不二夫さんの漫画の中に出てくるようなメチャクチャな人たちを、筋を通して真面目にやっただけだったらそれこそ絶対に怒られる、悪い怒られ方をする。だったら最大限の愛情を持って、レジェンド達みんなを笑かしてやるくらいのテンションのギャグです。
僕があの世に行ったときに、若松監督からバカタレと笑いながら怒ってもらうために、僕は何をするのかと言ったら最大級のギャグで感謝を返すということを選んだんだと思います。

(拍手)

司会:そっくりぶりを是非みなさんご堪能下さい。お待たせしました門脇さん。濃厚に若松さんと関わった人たちの中で、若松監督と面識がないですよね。しかも、他の人物はほぼ実在するのに対し、数十枚の写真しかない吉積さんを演じて怖かったですか?

門脇さん
最初このお話を頂いた時は、ゆかりがある方たちがそろって、皆さんのそういう想いには到底勝てなくて、どんなに必死に追いかけても届かないものがあるっていう中で、自分がめぐみさん役で真ん中に立った時に何ができるのかなという不安も勿論あったんですけど。でも、めぐみさんも若松プロを知らないで飛び込んだ女性ですし、だったら私も知らないで飛び込むというのは境遇は一致していて、成立するかなと思いました。逆に私はお会いしたことがないですし、モデルとなる像がないので、新さんのような苦しみというか。私も自分の尊敬している方とか、大切な方を演じるというのはすごく怖いことだと思うので、そういうのがなかったので、苦しんでいる先輩方を見ながら、自分はその想いを感じながらも、距離を持ってフラットにいることが今回の私の役割だと思ったので、現場に入るときは割り切って、毎日いました。

司会:どうですか全盛期というか、当時の若松プロを体験してみて。

門脇さん
60年代は資料や映画の中でしか知らない時代ですけど、いつもその時代への憧れがあって、今の世の中にはない時代の熱だったり、ヒリつく感じだったり、生きていかなきゃいけない感じとかが
羨ましいなと思いながら思っていて、簡単に羨ましいなでは語れないですが、すごく幸せでした。映画作りってこういう風にあって欲しいなってみんな思っているだろうなと日々感じながら演じていました。

司会:皆さんに共通の質問で、作中に若松監督が大島渚さんへのセリフとして「俺は腐った日本映画や世の中ににヤイバを突きつけたいんだ。ぶち壊したいんだ」と言いますが、ぶち壊したいとか、ヤイバを突きつけたいものってありますか?

門脇さん
自分ですかね。こういう仕事をしていて、この作品は去年の10月に撮影をしていて、この頃の顔って1年しか経っていないので自分にしか分からないかもしれないですが、もうできないし、この時にこれしか出来ない瞬間、瞬間を人は生きていると思うので、常に過去の自分に全部ぶち壊すような気持ちで、今を生きていきたいと思っています。

白石監督
若松さんも同じことを言うかなと思いますけど、今日日本の政権が据え置きになることが決まり、とても良い政権だとは個人的には思えない中で、それを壊せない民衆であったり、世の中大衆に対してヤイバを突き付けたいとも思うし、じゃあ、お前はそういう大衆に対してメッセージを送れているのかという自分に向けてもヤイバを向けて、自分の中にもヤイバを持って、僕は映画を作ることが仕事なので、映画を作っていかないとなとは思っていますね。

司会:デビュー作のインタビューで、若松さんが映画を武器に戦うと言っていて、僕もそうしたいとおっしゃっていましたが、、、

白石監督
チェックしてますね、先輩(笑)その想いは今も変わっておりませんよ!

(会場拍手)

井浦さん
今白石監督が言ったように、若松監督ならば、もっと世の中面白く、良くしただろうし、だからこそ現政権を許している民衆にヤイバを突き付けただろうなと思います。僕もそう思うけれども、自分も大衆の中の一人であると考えるならば、ヤイバは自分自身に突き刺さないといけないんだなと思います。大衆の中には僕も入っているだろうし、それを許さないもしくはそういうものに対して何ができるのかとすれば、これから皆さんに観て頂く、こういう自由な、映画があったりするんだろうなと思います。


サービス精神旺盛なフォトセッションは、司会の井上さんから赤旗がサプライズで贈呈され、最後に観客の撮影もOKに!まさに自由な若松プロダクションを象徴する瞬間に。

これぞ青春キラキラムービーです!(門脇さん)

白石監督
僕にとっても大切な映画になりましたし、若松監督もどこかで見てくれていて、おそらく自分を描くとか嫌だったはずなんでバカヤローって言ってるんだと思うんですけど、色んな想いが詰まっていますので、今日観て頂いて興味持っていただいて、応援してくれると嬉しいです。今日は本当にありがとうございました!

井浦さん
僕ら想いが込めすぎてしまっている感があるんですけど、これは白石監督作品でもあって、皆さんに楽しんで頂ける映画なんだと思います。僕らの想いは全く関係ないですから、ひとつの映画を楽しむという形で観て頂きたいと思います。若松プロを知らない若者たちの世代は、この映画をみたらそこで必死にもがいている若者たちの姿をみてきっと何かを感じ取ってくれると思います。リアルタイムで知っている世代の方たちにはまた違う楽しみ方がこの映画にはあると思います。幅広い世代に楽しんでもらえる青春映画になっているので、観て気に入って頂けたらどんどん友達や家族に伝えて頂いて、今の時代にこの映画みないとヤバイんだよと伝えて下さい。今日はありがとうございました!

門脇さん
最後を締めるには相応しくないというか、想いを込めたつもりですが、それでも恐縮ですが、だからこそ言えることがあります。完成した映画を見た時に、めぐみさんも含め彼らがすごくかっこいいなと思いました。今の時代からするとちょっと暑苦しかったり、泥臭かったり、スマートじゃなかったりするかもしれないけど、しゃかりきに必死にもがきながら生きることって、かっこいい事なんだなって。それは今の私もそうですし、どの方にも響くのではないかなと思っていて、これぞ青春キラキラムービーだと私は思っています。本当にキラキラしているので、一生懸命生きるのって良いなとか、彼らがかっこいいなと思ってもらえたら、こんなに幸せなことはないかなと思います。今から上映楽しんで下さい。ありがとうございました!

盛大な拍手の中、舞台挨拶が終了となりました。『止められるか、俺たちを』は、10月13日(土)よりテアトル新宿ほか全国順次公開です!


■予告動画

■キャスト
門脇麦(『ここは退屈迎えに来て』『サニー/32』)
井浦新(『菊とギロチン』『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』『二十六夜待ち』)
山本浩司 (『きらきら眼鏡』)
岡部尚(『二十六夜待ち』)
大西信満(『泣き虫しょったんの奇跡』『菊とギロチン』)
タモト清嵐 (『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』)
毎熊克哉
伊島空
外山将平
藤原季節
上川周作
中澤梓佐
満島真之介
渋川清彦
音尾琢真
高岡蒼佑
高良健吾
寺島しのぶ (『のみとり侍』『キャタピラー』)
奥田瑛二 (『散り椿』『世界から猫が消えたなら』『ロストパラダイス・イン・トーキョー』)
吉澤健(『残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―』『龍三と七人の子分たち』『キャタピラー』)

■スタッフ
白石和彌(『孤狼の血』『サニー/32』『彼女がその名を知らない鳥たち』)
脚本:井上淳一
音楽:曽我部恵一
製作:尾﨑宗子
プロデューサー: 大日方教史 大友麻子
撮影:辻智彦
照明:大久保礼司
美術:津留啓亮
衣裳:宮本まさ江
ヘアメイク: 泉宏幸
編集: 加藤ひとみ
録音: 浦田和治
音響効果: 柴崎憲治
キャスティング: 小林良二
助監督: 井上亮太
制作担当: 小川勝美
タイトル: 赤松陽構造
宣伝プロデューサー: 福士織絵
主題歌:曽我部恵一「なんだっけ?」

■公開情報
2018年10月13日(土)よりテアトル新宿ほか全国順次公開

■公式サイト
http://www.tomeore.com/

■コピーライト
©2018若松プロダクション

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