ミニシアタークラブ対談レポート!国立映画アーカイブ展示室で開催中の「日本の映画館」岡田秀則主任研究員

ミニシアタークラブ対談レポート!国立映画アーカイブ展示室で開催中の「日本の映画館」岡田秀則主任研究員

「映画館というのは基本的に止まらないもの。それがコロナであっさり止まってしまった。人が集って映画を観る場所を今こそ振り返ろうと考えました。」

ミニシアター、映画好きのためのオンライン・コミュニティ「ミニシアタークラブ」では毎回様々なゲストをお迎えして映画、映画館にまつわる様々なお話をしていただいております。

今回は、現在、国立映画アーカイブの展示室(7階)にて開催中の「日本の映画館」を担当した岡田秀則主任研究員に実際の展示物を前にお話しを伺いました。
ミニシアタークラブ,画像

展覧会名:日本の映画館
日本の映画館,画像
会期:~7月17日(日)
会場:国立映画アーカイブ 展示室(7階)(東京・京橋、東京メトロ銀座線「京橋」駅徒歩 1 分、都営地下鉄浅草線「宝町」駅徒歩 1 分、東京メトロ有楽町線「銀座一丁目」駅徒歩 5 分、JR 「東京」駅八重洲南口徒歩 10 分 )
休室日:月曜日
料金:一般250円、大学生130円
展覧会ホームページ(https://www.nfaj.go.jp/exhibition/movietheatres2022/

レポート

入り口の水戸東映シネマに掲示されていた「映」の看板の解説からスタート。この看板は個人で引き取った方からお借りしたという話に北條支配人もビックリ。
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岡田
「この「日本の映画館」という展覧会は当館でも今までにないタイプの企画です。映画を作ること、作った人や撮影所ではなく、<映画を観ること>に視点を置きました。その動機は、まず学術的にも映画館や映画を観ることの歴史研究が進んできたことですが、あと、やはりコロナが映画界に与えた困難も契機になりましたね。ここで一度、映画館のパワーというものに光をあてたいと思うようになりました。

ここで一度、映画館のパワーというものに光をあてたいと思ったのがきっかけでした。今回は、国立映画アーカイブの資料の他に、各地の映画資料館、個人の方が所有している品々も含めて展示しています。」

北條
「(浅草富士館の展示写真を指差して)、関東大震災の翌年1924年にはもう立て直しちゃてるんですね。」
日本の映画館,画像
岡田
「そうなんですよ。震災後、映画界はとにかく早々と映画館を復興させています。その代わりこの時期、土台がしっかりしていないいわゆる「バラック建築」なんですが、それだけに外観が華やかな感じのものが多いです。当時のモダニズムの最先端が取り入れられていて。」

岡田
「当時は、ネットも何もなかったので、映画館の並ぶ場所に行ってから観るものを決めるので、劇場宣伝が盛んで、絵看板やのぼりなど、映画館そのものを目立たせる努力が行われました。ただ、戦争の時代に入ってゆくと映画の内容も統制されますし、フィルムの原材料が足りなくなり物資の統制も入ってきます。華美な劇場宣伝も難しくなります」
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岡田
「映画館に巨大な絵看板が設置された写真は珍しいのですが、近年大阪の看板工房で戦後すぐからの写真が発見されました。巨大キングコングの腕がモーターで動いたりと大掛かりですが、その後宣伝予算が縮小されて規模が小さくなってゆきます。」
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北條
「全盛期の頃ですね。」
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岡田
「特別コーナーでは、まず川崎の映画館「チネチッタ」の歴史をご紹介しています。」

北條
「100年という歴史が重みを感じます。」

岡田
「前身の美須興行の時代から、いつも「街づくり」を志して、いろんなイベントも実施されていますね。没フィルムの供養イベントとか、仮装パレードとかアイデアが斬新です。もう一つは北九州の中村上という劇場経営者の旧蔵資料です。

興行主の方はなかなかまとまった資料を公に残されないものですが、この方は8000点ほどの資料を松永文庫という映画資料館に寄贈されまして、今回は松永文庫より資料をお借りしております。

今回のコレクションで一番心に感じ入る資料は、終戦後、占領軍の責任者へセメントや木材などの物資を提供してほしいという陳情の手紙です。空襲で小倉の映画館が9つから2つに減ってしまっていたのです。まず日本語で書いて、さらに英訳した草稿もあります。」
日本の映画館,画像
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北條
「こんな資料もよく残ってましたね。」

岡田
「名画座とミニシアターのコーナーでは、やはり閉館予定の岩波ホールの歴史に触れたいと思い、「エキプ・ド・シネマ」シリーズの中から12作品のパンフレットを展示しております。本当にほんの一部ですが。」

ミニシアタークラブ運営:展示を見ていかがでしたか?

北條
「いろいなものが展示をされていて、特に後半は、ユーロスペースのオープニング作品の『ある道化師』のパンフレットがあったり、さまざまな書籍も展示されていてどっぷりと時代を感じることができました。」
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ミニシアタークラブ運営:岡田さんに質問です。こういった企画展は年に何回実施されているんでしょうか?

岡田
「年3回実施しています。」

ミニシアタークラブ運営:今回、「日本の映画館」というテーマで実施しようと思った動機は?

岡田
「冒頭でも申し上げましたが、企画展で多いのは、監督などの映画人や作品を軸にしたものが多いと思うんですが、今は、映画館についての研究が進んできたことと関心を持っている人が増えていると思ったからです。

もう一つは、2020年春からのコロナで映画館が一時閉館せざるを得ない状況になり、映画館というのは止まらないもの、常に動き続けるものと思っていたので、それがショックでした。

映画館の活動が止まったのは、120年の歴史の中で1945年8月15日の終戦から1週間というのは映画史の書物にも書かれていますが、それがあっさり止まってしまった。そこで今、人が集まって映画を観る映画館というものをもう一度振り返ってみるいい機会なのではないか、と思ったのです。」

ミニシアタークラブ運営:ありがとうございました。この展示は7月17日(日)までとなっております。
ぜひ皆さん、足をお運びください。

ミニシアタークラブ

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い変化を余儀なくされている映画業界において、全国のミニシアター文化の盛り上げを、映画を届ける側と観客の相互コミュニケーションによって推進するオンラインコミュニティとして設立された。、映画に携わる様々な人たちによるリアルな現場の話題を提供し、ミニシアター支配人によるおすすめ作品トーク、ミニシアターの歴史講座、国内外映画祭事情・買付け、邦画製作秘話、配給宣伝、ポスターデザイントークなどを取り上げている。

7月17日(日)まで展示

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この展示を見て、北條誠人さんが、鑑賞された新聞記事を再読したいと思い、たどり着いたのが、このサイトでした。恐らくこれを見て記事にしたものだったのだろうと想像します。
 展示も良かったですが、このレポートもよく出来ています。ありがとうございました。
                               北峰霙志

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